〆切の追い込み後
私は爆酔していた
十何時間眠っていただろうか
心配して何度も様子見に来てくれていた
彼女に気づくこともなく
突然目が覚める
憔悴したようなミクの項垂れた首が視線に入る
あれ 体がだるくて上手く動けない
「マスター、安らかに、眠って下さい」
立ち上がるミク
「祭壇で笑うお前に 黒い縁取りがあった〜」
何か歌いだした
「うああああ〜!」
「え、ちょっと…」
「健康! 優良児! お前はいつでも! 健康! 優良児! そう呼ばれてたよね!」
「悪かったねミク」
「ぐす…さみしそうな笑顔…」
私を死んだと思ったようだ
仕方なく空きっ腹に抱いて慰める
生きているよと教えてやる
どこか間の抜けた私のボーカロイド
爆風スランプなんていつ覚えたのか
しかし家に来てからほんの数週間
ええ 楽しませてもらっていますとも
「マスター、朝ごはん作ってきました〜」