不意に手元が見えにくくなって、顔を上げた。  
 
 辺りはいつの間にか薄暗くなっていて、窓の外はすっかり陽が落ちている。  
 自室で譜読みをしていたのだけど、集中しすぎて日が暮れたことにも気付かなかったみたいだ。  
 ぐう。と腹が鳴って、胃がメシの催促をする。集中力が切れたのも多分空腹のせいだ。  
 腹が減ったと自己主張する胃を擦りつつ、僕は食事を求めて自室を後にした。  
 
 廊下に出ると、なにやら向かいの和室から人の気配……というか光が襖の隙間から洩れてる。  
 普段和室はあまり使わない。誰か電気を消し忘れたのかと思って、僕は襖を開けた。  
 「きゃ?!」  
 驚いた声に、僕も驚いて一瞬固まった。声の主は僕を認めると大きく溜息をつく。  
 「なんだカイト……驚かさないでよ」  
 「そっちこそだよ。……ていうか、なにしてんの? めーちゃん」  
 めーちゃんは和室に椅子を持ち込んでその上に乗り、天袋を漁っていたようだった。  
 「天袋の整理。ちょうどよかった。あんた、椅子支えてて」  
 「支えてって……」  
 戸惑う。当たり前だ。今のめーちゃんは私服だけど、スカート姿だ。それもミニ丈。  
 しかし、めーちゃんは椅子の上で爪先立ちで細いふくらはぎがぷるぷる震えて足元は不安定。  
 椅子もあまり丈夫な感じじゃない。なんでもっとしっかりした椅子使わないんだこの人……。  
 和室の入り口でまごつく僕を、早く! とめーちゃんが急かす。僕はとりあえず足元に寄り、  
上を見ないように椅子を支えた。なし崩しとはよく言ったもので、非常に困るよこの状況!  
 オイシイと思えない所が、僕が家族からヘタレと呼ばわれされる所以なんだろうな……。  
 
 「ねえ、僕がやるから交代しようよ」  
 「もうすぐ終わるもの。私がやった方が早いわ」  
 とりあえずこのいたたまれない状況をどうにかしたい僕からの提案は、あっさり却下された。  
 「……ミクとかさ、他に押さえてもらえそうなヒト居なかったの?」  
 「生憎年少組はマスターに呼ばれて出払ってるの。今日は遅いんじゃないかしら」  
 天袋の整理に夢中なめーちゃんは鼻歌交じりにそんなこと言ってくれて、こちらの事情を考慮する  
気配など全く感じられない。  
 余所様のメイコは知らないが、ウチのめーちゃんに関しては僕やもう一人の弟であるレンを異性と  
認識してはいない。  
 風呂上がりもバスタオル一枚で出てきたり、僕やレンにミニ丈スカートからぱんつが少々見えた所で  
気にもしない。  
 見たら見たでミクとリンに『エッチだ!』と責められ、僕とレンは理不尽だと思いながらいつも視線を  
逸らすのだ。  
まぁ、レンを意識されたら僕が涙目状態だが、せめて年の近い僕のことくらい少しは意識して  
くれないと……僕の気持ち的に、とても悲しい。  
 「めーちゃんは羞恥心を覚えたほうがいいと思う……」  
 そのカッコで僕を手伝わすのって、何の拷問デスカ?  
 「なによそれ? ……ああ、ぱんつのこと? 別に減るもんじゃなし。弟だし?  
  それに、ヘタレのあんたが私のぱんつ見たって何ができるわけでもないでしょ?」  
 頭上に降ってくる豪快な笑い声が地味にHPを削る。  
 あ〜あ。家族で姉で弟で。幾つの『壁』を乗り越えたら、僕は『男』としてめーちゃんに見てもらえる  
のだろうか。  
 何度目か知れない溜息をそっとついた時、よし! と満足気な声が頭上でした。  
 「さあて。終わった……っきゃ?!」  
 「へ?!」  
 油断したのか、めーちゃんが椅子の上でバランスを崩した。体勢を立て直そうと試みるも、  
それは余計足場を不安定にすることになって、身体は大きくぐらぐら揺れる。  
 「カ、カイト! 助けっ……」  
 「めーちゃ……」  
 「きゃあ……っ!」  
 椅子をなぎ倒し盛大な音を立てて、僕らは畳の上に倒れこんだ。  
 
 「痛たた……」  
 
 横に視線を走らせれば転がっている椅子があった。僕はめーちゃんの下敷きになって、仰向けに転がって  
いた。畳の上だったことが幸いして、ちょっと身体は痛むけれど怪我はしていない。  
「……う」  
めーちゃんのうめき声が聞こえた。僕らは上下逆さまに……めーちゃんが頭を僕のお腹に乗せ、脚を僕の  
頭上に投げだしている状態だ。身体を少し起こし、めーちゃんの様子を窺う。  
 「めーちゃん、大丈夫?」  
 「……うん。ごめんねカイト。下敷きにしちゃって」  
 とっさの行動だったけど、めーちゃんの身体の下になるよう倒れこむのに成功したみたいだ。  
 怪我もないようだし、よかった……!  
 僕の身体から退くために、めーちゃんの脚が僕の身体の両脇に置かれて腰を上げる。僕の位置からじゃ  
良く見えないけど、ちょっと女豹のポーズに似た格好だ。僕の顔へお尻が突き出される。  
その拍子にミニスカートの裾から、形のよいヒップが現れた……今日は白のレースで紐パンですね。  
男だから当然チェックしちゃいます。当然です。  
 それにしても、女の子のぱんつってどうしてこんなに布面積が少ないんだろう。特に大事な部分を  
覆うところなんて、あれっぽっちの布切れしか……ああ、なんか布越しに形が分かりそう。  
 本人が気付かないことをいいことに、今晩のオカズにしようと下心満載でそこを凝視していたその時だった。  
目の前でその白いレースの布切れがハラリ……と、外れて僕の胸に落ちた。  
 
「え?」  
「……?!」  
倒れた拍子になんとめーちゃんのぱんつの紐が解けてしまったみたいだ。  
なにこのエロゲ展開は?!  
僕の眼前には、当然めーちゃんの、その、アソコが……!  
時間が凍りついたように身動きできない。僕も、多分めーちゃんも。  
「……ぴんく」  
「! っきゃああああああっ」  
つい呟いた僕の一言に固まっていためーちゃんが、時を取り戻し叫びだした。  
僕の上から退こうと、振り上がる細いふくらはぎを思わず強く押さえこんだ。  
 もがいて、揺れる白いお尻。めーちゃんのアソコは綺麗なピンク色をしている。もう全部が見えちゃって、  
脳が沸騰しそうだ。薄い陰毛。小さな突起。柔らかそうな襞。溝を少し登った所にはスミレ色のすぼまりが。  
 うわ……!  
 ぐらり、と目眩が僕を襲った。視線が離せない。  
 「み、見ないで! カイト、離しなさい!」  
 パニック状態のめーちゃんが首を捩じって、顔を真っ赤にしながらこっちを睨んでいる。  
 そんなこと言われたって……離さなきゃ、と思う反面、身体は言うことを聞いてくれなくて、手はしっかり  
めーちゃんの両脚を掴んだまま。どうにかしようともがくめーちゃんは、手は身体を支えるため使えないし、  
脚は僕に掴まれて動かせないわで、恥部を隠すことができない。  
 めーちゃんの大事な部分を観察しながら、僕は正直そこに感動していた。僕だって成人男性だから、  
いわゆる18禁動画サイトを見たことはある。だけど、こんな綺麗な色をしたそれを見たことはなかったから。  
 じぃっと魅入っていると、襞と襞の間、その奥からじんわりと光るものが滲み出てきたのに気がついた。  
 それが、めーちゃんのあそこをより鮮やかに彩って濡れたら、もっと綺麗なんだろうな。  
 なんて自分の世界に入っていたら、めーちゃんの怒鳴り声で現実に引き戻された。  
 「離してってば! バカイト!」  
 その声で、さっきのめーちゃんの台詞が頭を過る。  
 
――ヘタレのあんたが私のぱんつ見たって何ができるわけでもないでしょ?  
   
……できないなんてこと、ないよ。  
 
目の前には、抵抗できないめーちゃんのソコが晒されている。……自然に顔がそこへと引き寄せられた。  
 
 そして。  
 
 「濡れてきた……」  
 「―――っひゃぁ!」  
 甲高く上がるめーちゃんの悲鳴。僕の舌が、めーちゃんのそこを下から上へとなぞったから。  
 もっと身体を起こして、ちゅ、ちゅっと音を立てながらあそこにキスをする。その度にあっあっと  
聞いたことのない愛らしい声が僕の耳朶を打つ。いつもの強気な彼女ではない、まるで別人みたいな声だ。  
 「見られているだけで濡れちゃうの?」  
 「そんなワケ……ない……んぁ!」  
 直ぐにあそこは濡れだして僕の唾液と混じり合う。舌先で突起を弄ったり、唇で襞を挟んだりしている  
内にめーちゃんは自分を支えられなくなったのか、僕のお腹の上に上半身をぺったり乗せてきた。  
 僕の腹に、めーちゃんのおっぱいの柔らかさが伝わってくる。  
 「あ……っ。カイ……トっ……止めてってば……ぁ」  
 そんなこと言われたって、ここで止められる男がいたら教えてほしい。この期に及んで逃げるお尻を  
掴んで、ぐっと引き寄せる。長時間中途半端に身体を起こしていたから流石に背中が痛くなっていた。  
 僕は背中を畳に付け、頭を少し起こした格好でまためーちゃんのそこに顔を寄せた。  
 「めーちゃん、すごいよ。滴りそう」  
 音を立てながら啜れる程に潤うそこは、艶々と蛍光灯の光を弾いている。指の腹で突起を細かく擦れば  
ふるるっと身体が震えた。  
 「あぁっ! やめ……お願いっ」  
 泣きそうな声に背筋がぞくぞくする。小さく首を振る気配がして、めーちゃんがぎくりと身体を  
強張らせた。ほっぺたが、ボトム越しに僕の高ぶりに触れたからだ。それが何を意味しているのか、  
めーちゃんは気がついたのだ。  
 
 「カ、カイトっ」  
 僕を呼ぶ声に焦りが交じっている。  
 「……そりゃ、こんな状態で興奮しない男なんていないよ?」  
 僕の下腹部はさっきから熱が集中して猛っている。性的な興奮に浮かされながら、反して心は冷静なのが  
不思議だった。いや、冷静ではないか。めーちゃんに触れる手を止められないのだから。  
 「私たち、きょうだ……」  
 「関係ないよ。こんな風にここを見せられたら、勃つでしょ。普通」  
 お尻を押さえながら、両の親指を使って入り口をぐっと開いた。襞が左右に開いて確かに感じている証が  
光ってる。  
とろりと溢れるそこに何度も舌を這わせて、捻じ込んでみた。  
 「……! っああ」  
 やっぱりキツイ。ちゅっと吸ってから一度顔を離して、今度は襞の間に中指を差し込む。  
 「あぁっ!」  
 ぎゅうっと締め付けられそっと前後に動かしてみた。緩い刺激に小さくお尻が揺れ、体液がまた染み出る。  
 「気持ちイイ?」  
 「やだぁ……」  
 「……嘘つき」  
こんなに濡らして、なにがイヤなの?   
探るように動かす指がある一点に触れた時、びくんとお尻が跳ね上がった。  
 「ん? ココがイイの?」  
 「ちが……っ! んんっ……やぁっ」  
 僕のベルトを握ってイヤイヤとめーちゃんは首を振る。だけど身体は上半身を僕の腹に押し付けて  
お尻は高く上げあんあん喘いで姿は先を求めているようにしか映らない。  
 指を二本に増やし良い反応のあった場所を集中して擦ったり、突起を唇で吸ったり舌で転がしたりして  
出来うる限りでめーちゃんを追い込む。泣き声にも似た喘ぎ声は僕を大いに煽った。  
 「は……あぁっ……やああ……っ!」  
 膣がきゅっと僕の指を締める。びくびくと身体を震わせ、次いで僕の上にめーちゃんの身体が崩れた。  
 「……イった?」  
 めーちゃんは僕の上ではあはあと荒い息をし、くったりとしている。イったんだ。僕の指と舌で。  
素直に嬉しい。  
 息を乱しながら放心しためーちゃんの身体を僕はそっと脇に倒した。そしてスカートを脱がせて  
覆いかぶさる。今度はちゃんと顔と顔を合わせて。  
 「カ、イト……」  
 潤んだ瞳がようやく僕を映す。むき出しの滑らかな太股の外側を手のひらで撫で上げると、その感触に  
また身体が震えた。  
 
 「……僕も気持ち良くなりたい」  
 
 「あ……ああっん、っあっあ」  
 結合部は腰を動かす度に音をぐちぐちと卑猥な音が立ち、めーちゃんは甘い声をひっきりなしに上げた。  
 突き入れた膣口は小さかったけど、とろとろに熟れていて僕の怒張した自身を難なく受け入れ心地いい  
刺激を与えてくれた。  
 Tシャツの裾とホックを外した下着を捲り上げて解放したおっぱいは、突き上げると重そうに揺れて  
僕を更に興奮させる。めーちゃんはおっぱいも綺麗だ。白くておっきくて、弄ってほしいと  
言わんばかりにつんと勃った乳首はアソコとお揃いのピンク色。  
 そこに舌を絡めるように吸ってやれば、一際高い声が上がって中がきゅんと締まった。  
 「また締まったね」  
 めーちゃんは真っ赤な顔で僕を見上げる。涙を流した跡が残る顔に、良心がチクリ痛んだが無視した。  
 だってめーちゃんの中は本当に気持ちが良いのだ。  
 「ねえ、僕はまだ弟……?」  
 おっぱいを揉みながら耳元で囁いた。軽く乳首を抓れば面白いように反応する身体。  
 「あぅ……ひ……」  
 「弟にこんなことされて感じちゃうなんて、いやらしいお姉さんだよね」  
 腰を回すように押し付けれると、めーちゃんの腰もつられて動いた。  
 「言わないで……ふ……っ」  
 「めーちゃんのココ、『もっと』って吸いついてくるよ? 気持ち良くって僕もう限界」  
 膝裏を勢いよく持ち上げ脚を肩に担いで、思いっきり自身を打ちこむ。肌の当たる音が和室に響いた。  
 「ああん!」  
 自分を焦らし切れない僕は快楽を追って激しく抽挿を繰り返した。  
 息も絶え絶えに喘ぐめーちゃんを見降ろして僕は呟く。  
 「めーちゃんは、男を甘く見すぎ」  
 だから、こんなしっぺ返し食らうんだよ。  
 気を許した男に対して、無遠慮で無防備で無神経で。  
 でも、そんなめーちゃんがこんなにも愛しい。  
 「大好き。めーちゃん、大好き、だよ……!」  
 神経回路を蝕むような快感に浮かされて出た本音に、ぱっとめーちゃんの目が見開かれた。が、直ぐに  
僕の与える刺激に表情が崩れる。  
 がんがん突き上げ吐精感が競り上がる。貪るような動きに中が呼応して求めるように締めあげた。  
 「――っあ! あああぁ!!」  
 僕の腕を掴んでいためーちゃんの指に力が入って赤い爪が肌に食い込む。  
 「……っ!」  
 絶頂に達した肢体を強く抱きしめて、僕はめーちゃんの中に全てを放った。  
 
 
 行為の後、気絶してしまっためーちゃんの身体を綺麗にして早々に部屋へと運んだ。ぐずぐずしていると  
弟妹たちが帰宅してしまう。  
 ベットに寝かせ、顔を覗き込むと目尻が赤くなっていた。泣きすぎたんだな……。  
 ほぼ無理やり奪って、罪悪感が芽生えるのかと思いきや僕の中にそれは無かった。むしろ、達成感すらあった。  
 「これで、少しは僕のこと男として見てくれる……?」  
 ここまでしちゃって、無かったことにされるのは勘弁してほしい。もう、『弟』は嫌なのだ。  
 これからは、どう『男』として見てもらうか。そしてめーちゃんを振り向かせるか。  
 さて、どうしよう……と考えていたら、玄関のドアが開く音と賑やかな声が聞こえてきた。  
 どうやら我が家の年少組が帰ってきたらしい。  
 もう行かなくては。でもその前に。  
 「おやすみ、めーちゃん」  
 僕は行為中にしなかったキスを、めーちゃんの唇に落とした。  
 「この先、覚悟しておいてね」  
 そういい残し、僕は玄関に向かうべくめーちゃんの部屋を後にした。  
 
 
おしまい  
 

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