くたびれた豆電球の弱光が四畳の室内に降り注いでいた。  
 
 布団の上で、ぺちゃぺちゃと舌の鳴る音がする。  
 それに合わせて女の声が、はかなく夜気を震わせる。  
 
「ぁぅっ……ふぅぅ……」  
 
 あえぎ混じりの速い呼気、甘くほつれたすすり泣き――少年に唇と舌で責められるハクの、媚毒に侵されたような声だった。  
 横たわって脚を広げさせられたハクの股間に、レンが顔を埋めていた。  
 白大理石でできた双の円柱のような太もものはざま、充血した秘肉の粘膜が、ちろちろと動く舌に刺激されている。  
 
 蜂蜜のびんを倒したように、秘部からは愛液があふれていた。尻の谷間を通って垂れ、布団のシーツまでべっとり濡らしている。  
 
「ぅ……ぁっ、ぁぁぁ……ひっ、あう……」  
 
 少年の手に大陰唇をむきゅりと広げられる。ハクが「ゃン」と羞恥に鳴く間もなく、あらわになった膣前庭に舌を這わされだした。  
 レンは急速に、クンニリングスのコツをのみこみつつあった。  
 
 内ももや大陰唇に口づけし、小陰唇を舌でそよがせ、ずずっと音をたてて膣口からあふれる蜜をすすったり、尖らせた舌で尿口までほじったりしてアクセントをつける。  
 けれど基本はゆるやかに、そして繊細に。  
 ハクの反応がいい場所を丹念に探し、見つけると、強弱をつけてそのポイントを愛撫しはじめる。  
 ほどなくもっともハクが快い舌使いを見つけ、達するまで一点集中で追い上げてくるのである。  
 
 バスルームから上がったのち、こうしてもう一時間近くもハクは“お返し”を受けていた。  
 ゆっくりと時間をかけてしゃぶられて、ハクはあまりの快美感に気が変になりそうだった。  
 官能が甘すぎる。まるで中東のお菓子だ。砂糖をたっぷりまぶしたドーナツを、溶かしたチョコでコーティングしたうえ、シロップをかけまわしたというこってりした甘さの。  
 
「あっ、また、はいってきちゃ……んっ」  
 
 蜜の泉と化してふやけきったような肉壺に、つぷりと舌をさしこまれた。泣きそうに眉を下げ、シーツを強くつかんでしまう。  
 そのまま肉穴を舌でゆっくりかきまぜられだすと、ハクの全身が骨を抜かれたように柔らかくなる。身動きもならず震えっぱなしになった。  
 膣口粘膜の輪だけがきゅっきゅっと収縮し、侵入してきた舌に、拗ねた甘噛みを繰り返していた。  
 
 少年の舌が入り口周辺でうごめくたびに、クリームのような濃い甘悦が、じんわりと肉に染み入ってくる。  
 深く根を下ろしてくる性感に、子宮がからめとられていた。  
 
「もう、もうダメ……あああ……あっ、あっ、イ、いくっ!」  
 
 こみ上げるままにハクは艶叫した。十何度目かの絶頂――雪色のなめらかな肌が、達する瞬間にはさあっと紅潮を強める。  
 ……が、レンの舌は変わらず、にゅるにゅるとハクの快楽ポイントを刺激し続けていた。  
 
「やあぁ、イったばかりなのにぃ、ひぃぃ……っ」  
 
 甘ったるい肉悦の波が引かなくなる。陰唇が自然と開き、陰核と乳首が鼓動とともにピクピク勃起を強めてしまう。  
 桃尻をぐぐっと浮かせ、淫麗な肉の盃を少年の口に自分から押しつけてしまった。  
 呼吸を合わせたように少年が、舌を尖らせ、ますます奥へと貫いてくる――  
 
「やぁあッ、あぁぁっ!」  
 
 余韻というには濃すぎる官能に耐えかね、双臀を淫らに上下に揺すぶっても無駄だった。  
 長い長い法悦を堪能させられてから、ようやく舌を抜かれ、ハクはぐったりと布団に身を沈めた。  
 温められたミルクアイスのようにとろとろになりながら、艶に溶けた声で不満を漏らす。  
 
「やだ……なんで、ずっと、こんなまどろっこしいことぉ……」  
 
 バスルームで少年に奉仕したときすでに、ハクの体の準備は出来上がっていたのである。  
 だというのに、まだ挿入してもらっていない。  
 不可解な落ち着きを取り戻したレンは、じっくりと腰をすえて、丁寧すぎる口唇愛撫をほどこしてきたのだった。  
 
 そうやって与えられる性感は、とろ火の熱がじわじわと蓄積するような種類のものだった。  
 愛撫されるうちに沸点を超える感じで、何度も達しはしたが、ちゃんと男のものをもらえないもどかしさといったらない。  
 とぼけているのか、レンがわざとらしい問い掛けを投げてくる。  
 
「あれ、女の人って、お口でされるのは気持ちよくないの?」  
 
「いいけれど……すごくいいけれどぉ……」  
 
 語尾が甘く伸びてしまった声でぼやきながら、ハクはみずからの股間に手を伸ばした。こっそりと、剥けていたクリトリスの包皮をつまんで戻す。  
 艶々した肉の粒は、優しく吸われて勃起させられきっていた。そのうえに、愛撫されるとどんどん敏感の度を増していくようで、怖くなってきていた。  
 いましがたも、自分の指でおずおず皮をつまんで戻しただけで、うわずった悲鳴を噛み殺さねばならなかったのだ。  
 
 ……クリトリスの両側一センチほどのところをレンの指が押さえてきた。  
 
「あひゃあんっ!?」  
 
 ぷりゅん、と勢いをつけて肉豆がまた包皮から飛び出した。  
 一瞬、鋭い肉悦が走って達しかけ、ハクの腰がビクンとはねる。「ひいっ」と悲鳴をあげながら、勃起した陰核で宙にピンク色の軌跡を描いてしまった。  
 あらわになった紅玉をどうしようもなくヒクつかせながら、ハクは抗議した。  
 
「せっ、せっかく元通りにしたのにぃ、な、何をっ……」  
 
「ふうん、やっぱりこのちっちゃなのが感じるんだね。  
 ちょこんとお豆みたいに膨らんでるこれ、なんて言うの? 教えてよ」  
 
 陰核亀頭にひとさし指の腹を置かれた。くにくにと撫ぜ回され、逆らえなくなって言わされる。  
 
「あっ、あ、あ、く……くりとりす、クリトリスぅ、女のひとのおちんちん!」  
 
 肌を火照らせながら、ハクはけんめいに制止の声を続けた。  
 
「それは、おねがい、それを触るのはよして、それ、すごく敏感なんだからっ」  
 
「触るなって? だめ」  
 
「だ、だめって……」  
 
 拒否されてハクは絶句する。  
 なにかがおかしい――と、ようやく気づいた。  
 
 レンの雰囲気が、始まったときとは完全に変貌していた。薄く微笑を浮かべたかれの目は据わって、あぶない感じの光をたたえている。  
 バスルームにいたときはぎこちない態度で、与えられる快楽に狼狽えるだけだった少年は、ハクの口に三度も精を絞り出させられるうち、理性のどこかがプツンと切れたらしかった。  
 
「おねーさんはさんざん僕に好き勝手したでしょ? こんなふうにして」  
 
 レンが指を離し、かわって顔を寄せた。むきゅりと剥き出されて根元まで露出させられたクリトリスが、しゃぶりつかれる。  
 
「あううぅぅっ!」  
 
 唇で挟まれで柔らかくしごかれ、熱く濡れた舌をぺちゅりとかぶせられた。  
 開けた口で、柔らかな恥丘ごとあむっとかぶりつかれた。まるで乳輪ごと乳首を吸うように、舌で愛撫されながら肉豆を吸引される。  
 
「待、待っ、ひっ、――はぅンンっ」  
 
 ハクはたまらなげに少年の頭を押さえ、その髪に両手の指をつっこんでくしゃくしゃにしていた。  
 めりはりの際立った優艷な女体が切なげに身をよじる。そのたびに、発情の甘い香りがふりまかれる。  
 先刻、バスルームではハク自身がレンに口唇愛撫をほどこし、昂ぶったレンから頭を押さえられたが、それが立場を変えて再現されていた。  
 
 しゃぶり抜かれるクリトリスがまたプクンと充血を強め、少年の口の中でトクトク脈打った。  
 上体をのけぞらせるたびタプタプ揺れ動く双の乳房まで、先端が陰核に共鳴したように、同じリズムでヒクつきだす。  
   
「やっ、うあっ、あんん、そ、そんらぁ、ぜんぶ剥いて皮のなかまで舐めないでっ……  
 うやああああっ、それっ、そっ、その舐め方だめえっ」  
 
 男なら裏筋にあたる部分――クリトリス下部から、舌尖で掘り起こすように刺激されはじめた。ぷりぷりに勃起した陰核を、舌でクニッと持ち上げようとするかのような動き。  
 あまりの過敏な刺激に、ハクは白いのどを反らしてビクンと背を浮かした。が、いつのまにか両の太ももを少年に抱え込まれていて、肉豆嬲りから逃げようにも逃げられない。  
 絶望的に見開いていた瞳を固く閉じ、紅潮した内ももに艶かしく筋を浮かせる。  
 
「あぐうううっ……!」  
 
 脚をはねあげて達していた。  
 弾かれたように背をたわめてのけぞり、「はっ……あ……はふっ……」と肺から呼気をしぼりだす。  
 少年の頭を押さえたまま、あえぎながら物憂い余韻にひたる。  
 
 耳に届いた。クチュリ、と自分の蜜壷が鳴る音が。  
 膣口へ、二本そろえられたレンの指がもぐりこんできていた。  
 呆然としながらハクは声帯を震わせる。  
 
「あ……あ、ゆび……」  
 
「おま○こ……っていうんだよね? この穴のこともっと教えて、おねーさん。  
 どのあたりが気持ちいいの? こんな感じ?  
 どういうふうにされたいの?」  
 
 陰唇を分け、膣口をくすぐり、肉壁をなぞって、性感帯を慎重に探索してくる少年の手つき。慣れてはいないが、細心の注意を払った愛撫――  
 そしてクンニリングスのときとおなじく、少年はたちまちのうちに愛撫のツボを押さえてきていた。  
 
 ハクの肌が火照り、瞳の色がまたも朦朧としてくる。蜜を吐く膣肉がわなないて、少年の手を食いしばった。  
 夢幻を見つめるような瞳で、レンを見つめて言っていた。  
 
「…もう、し……してよ……」  
 
 愛欲をかきたてられきって、欲しくてたまらない。下がりきった女の芯が、早く早くとせっついている。  
 その子宮の焦りが表に出てきたかのように、ハクは声を高めていた。難詰と哀願を織りまぜた催促の台詞。  
 
「なんでずっと、してくれないの……?  
 前戯はじゅうぶんしてもらったから、ちゃんと欲しい……ねえ、早くっ」  
 
 ハクの余裕のない悶え方に、顔を上げたレンがくすりと笑う。  
 
「そんなこと言ったってね。僕のほうが、すぐ元通りってわけにはいかなかったし?  
 ……十分そこらのうちに、三度も連続で射精させられたら、男ってふつうへたばるよ」  
 
「……でも、いまは……」  
 
 ハクは少年の股間に視線をやった。部屋が暗いうえ涙の幕でかすみがかった視界だったが、それでもレンの若い男性器が硬度をとりもどしていきり立っているのは見えた。  
 怨情をこめて切なげににらみながらこぼす。  
 
「いまは、とっくに元通りじゃないかぁ……仕返ししたいだけでしょ、君」  
 
「それもあるけど。  
 どうせなら、おねーさんにもっとトロトロになってほしいって思ってるんだよ」  
 
 蜜壷をいじりながら、少年が身を乗り出してハクに顔を寄せてくる。かすめるようなキスが唇に触れ――そして、愉しそうな声でうながしてきた。  
 
「ね……後ろ向いて這ってみて。こっちにお尻向けるカッコで。そうしたらしてあげる」  
 
 動物じみた四つん這いの体勢をとれという指示だった。  
 穏やかで低い声。それでも屈辱的な指示には違いない。  
 今日くらい乱れたいとお風呂では思ったけれど――いきなり後ろからなんて恥ずかしすぎる。  
 ゆるやかな官能を与えられながらも、なんとかハクは自我を保って主張した。  
 
「わ、わたし、前から……このまま入れてもらうほうが、いい……」  
 
 レンはそれには答えてこなかった。  
 少年は黙って、薄くれないに赤らんだハクの頬に口づけを降らし、乳首を優しく指にはさむようにして、右の乳房を下から揺すりあげてきた。  
 ひ、と小さく鳴いて、思わず背を反らそうとしても、乳首を引っ張られて上体を戻される。甘痛い乳悦にあえぐ美唇に、再度キスされた。赤い瞳がうっとりと焦点を散らす。  
 
 左手でハクの豊かな乳房を揉み上げながら、レンの右手は休まずゆるゆると動いている。妖しく濡れそぼった秘肉の性感を掘り起こされて、ハクはぼうっと頭が痺れてしまいそうだった。  
 かれの右手が、指二本で膣口をかき回しながら、親指でクリトリスにそっと触れてきた。内と外から性感が連動する。  
 子宮をとらえる甘いおののきに、たまらずハクは了承してしまっていた。  
 
「わ、わかったから、言うとおりにするからぁ……ぁン、そこ、押さえちゃ……」  
 
 自分の声だとは信じられないほど、とろけて甘え媚びた声だった。  
 
「そう……じゃあ、姿勢を変えて」  
 
「ゃぅうっ」  
 
 少年がハクの片足首をつかんで持ち上げてくる。そのあいだも彼女の秘唇を割る指は離れない。  
 充血してしこってきた膣壁のポイントを、指の腹で押し揉まれてクチクチ水音を鳴らされる。  
 
「い、今する、いまちゃんとするってば、んんんン……っ」  
 
 瞳を潤ませて震えながら、ハクは体をよじって裏返した。  
 布団の上でおずおずと四つん這いになり、ヒクンと尻を高める。表面がクリーミーに柔らかい双臀が、美しい曲線を強めた。  
 
(こ、子供が相手なのに、こんな格好ぉ……)  
 
 恥ずかしくて死にそうだった。ハクは両手でシーツをきつくつかむ。  
 
「は、早く――ひゃうンっ」  
 
 お尻を向けたとたん、蜜壷が前にも増してかきまぜられだした。  
 ハクの肉の具合を確かめるような指の動き。さんざん舌で愛撫された膣粘膜は、指に粘っこく吸い付きそうに蕩けている。  
 過敏になっている膣肉をこりこり掻かれ、ハクは快美感でわけがわからなくなりそうだった。  
 
「へえ……こんなにヌルヌルトロトロになっちゃうんだね、おま○この中って。お肉の手触りもプリプリして、きもちよさそ。  
 さてと」  
 
 言うやいきなりレンは、ハクの愛液をたっぷりすくい取って、震える蜜壷から指を抜いた。  
 指が抜かれた瞬間、ハクは「ひぃっ」と括約筋を引き締めていた。膣口からビュルッと膣圧で蜜が噴いてしまう。  
 
「わ、後ろにお汁噴きこぼしちゃったね」  
 
「……は……あぁ……あっ!」  
 
 揶揄した少年が、指を、クリトリスにぴとっと当ててくる。  
 すくいとった愛蜜を肉豆にたっぷり塗りつけるように、くにゅると円をかいてこすられた。  
 それだけでまた鳴かされたのに、続けてくにくにくにと指の腹で揉みこまれだすと、鳴き声が終わらなくなった。  
 
「やあっ、そこ、さ、触らないってさっきぃっ」  
 
「僕、そんなこと約束してないよ?  
 それよりお風呂場でのお返しは、これからが本番だからね。その後に『ちゃんと』してあげる」  
 
「ひ、ひどいぃ、――あぁんっ!」  
 
 ハクの片腕が、背中にねじ上げられた。  
 まだ少年とはいえ男の腕力にぎちりと固められて、上体の身動きがとれなくなる。  
 布団の上で、お尻だけ上げて這わされる格好だった。ハクは組み伏せられながら、どうしてだか、ぞくりと妖しく胸奥が疼くのを覚えていた。  
 
 動けないようにされてから、クリトリスが本格的に嬲られだす。  
 一定の速さでくるくる小円を描かれ、妖美な肉の粒をこねまわされる。  
 
「ぁぁぁっ、こ、こし痺れちゃう、痺れてっ、ううううッ」  
 
 腰を支点に裸身をよじるようにして、ハクは悶えた。  
 プルプルと転がされる陰核が、すぐさま口で愛撫されていたときと同じくらいに勃起を取り戻してゆく。  
 完全にそれが膨らみきったとき、  
 
「……………………ひぃっ……」  
 
 雷撃の矢を浴びたごとく、尾骨から脳天まで白い痺れが走った。  
 叫びすら忘れて顔を真っ赤にし、ハクは息をひゅっと吸う。露出したクリトリスを、直に指でしっかりとつままれていた。  
 もとのサイズからすると倍も膨れ上がった股間の肉豆が、少年の指にとらえられて赤い剥き身をヒクつかせている。  
 
「あ、あ、あ、あぁ……」  
 
 おねーさん、と、危ないなにかに目覚めかけている感じのレンのささやき。  
 
「くりとりす、指でしごいてあげるね。根元のほうまでもう一回きちんとエッチなお汁を塗って……」  
 
「だめ……だめったらぁ……ひゃぐうっ!」  
 
「ほら、シコシコ。おちんちんと同じなら、こうするとイイのも同じなんでしょ?」  
 
「あひいっ、あああぁっ! 駄目だめだめぇっ」  
 
 同じ――なわけがない。ずっと過敏だ。  
 女性の陰核は、形も感覚も、男性の亀頭部を「凝縮」したような快楽器官である。  
 ふだん包皮に覆われていなければ、女は自転車にもまたがれなかったかもしれないと評されるほどの神経の密集部だ。  
 そんな場所、愛蜜でぬめりを与えられているとはいえ、直に指につままれてこんなしごき方をされたら痛い。痛いはずだ。ううん、たしかに痛いのに――  
 
「あぁぁぁ、ひ、ひいっ――いいぃ!?」  
 
 信じられなかった。その痛みがいきなり、脳を刺す鋭い肉悦に化けたのである。  
 むっちり張った双臀が、ビクンとはねあがる。  
 油を塗ったように汗で凄艶にぬめりながら、その白桃は左右にくなくな振り乱された。  
 
 しかし、どれだけ双臀が淫らに舞い狂おうとも無駄だった。  
 レンはハクの左腕をねじあげて上体の動きを封じている。かれのもう片手は手のひら全体で女陰を包むようにぴったりと覆っている。  
 クリトリスに密着した指が離れることはなく、一定の刺激が継続してゆくのだった。  
 
 高まるばかりの官能があっさりと飛翔する。拘束されていないほうの手でシーツをぐっと掴み、ハクは目をかたくつぶって艶叫した。  
 
「あうっ、待ってええ――イく、あああああ、イくうぅっ!」  
 
 突き出された桃尻が絶頂に小刻みにわななき、どっと汗を噴いた。  
 ……お構いなしに、責めを続けられる。  
 
「やああっ、イった、イったからっ……と、止めて、とめてぇっ」  
 
 こまめな動きで愛撫を与えつづける指――肉悦の電流を流されっぱなしになっていじめられ続ける。  
 次の絶頂はすぐだった。肌全体を湯あがりの桜色に染めあげて達する。  
 
「イく、イくうっ!」  
 
 叫ぶと同時に、また蜜壷を締めて愛蜜をびゅるっと噴きこぼしていた。  
 
 ――十分。二十分。三十分。ときどき白濁液のローションを補充されて、延々と責められる。  
 肉豆をヌコヌコとしごかれつづけているうち、やがて、小さく鋭い絶頂が頻繁に訪れるようになった。  
 そのころにはわざわざなすりつけられなくても、新たに分泌された女の愛液が膣前庭をねばり落ちてきて、クリトリスどころか恥丘や内もも全体をしとどに濡らすようになっていた。  
 
「ひいッ、ひいッ……あああっ、止め、ほんとにぃ、ほんろに感じすぎへるからぁ……!」  
 
「うん、舌まわってないもんね、いっぱい感じてくれてるみたいだね。  
 おねーさんの『くりとりす』、プクンってすっかり膨らんじゃった。せっかくだからもっといっぱい指でイイコイイコしててあげる」  
 
「た、たふけて、止めて、やああ、イく、いくの止まんなひ……ひぃ、またぁッ」  
 
「おもしろいね……女の人って、何回でも連続でイけちゃうんだ。男は数秒間隔で次々射精なんて無理だけど」  
 
「無理いぃっ、わたひもこんなの無理だってばぁ、あうううぅっ」  
 
 涙声をうわずらせ、ハクは泣きをいれた。  
 陰核が発生させる絶頂感、そのひとつから次のひとつまでの間隔は、すでに十数秒から数秒程度しか空かなくなっている。  
 恥丘の下から肉悦のスパークがわきおこり、頭蓋の中でぱちんぱちんと片端から炸裂してていく。  
 
「お返しだって言ったでしょ?  
 いっぱいイかせてあげるから、好きなだけ楽しんでね」  
 
「ゆ、許し――ひいぃっ」  
 
 半狂乱のありさまになり、全身で哀訴する美女の艶姿に、レンが薄く笑う。  
 
「これでおあいこってものだよね、おねーさん。こういう敏感な先っちょ、ずっと責められてたら辛いでしょ?」  
 
「つらいっ、つらいぃ、つらいのよくわかったからゆるしてえっ」  
 
 骨身にしみた。一方的に激烈な肉悦を与えられると、息もつけなくなる。  
 手を動かしつづける少年は、にこにこしながら言ってきた。  
 
「うん、僕もそんなふうにお願いしたと思うんだけど。そっちは全然やめてくれなかったよね?」  
 
「ぁぁああんっ、ご、ごめんなひゃい、ごめんなさいぃっ」  
 
「しょうがないなあ、これで許してあげるね」  
 
 ずる剥けのクリトリスを、最後につねられた。  
 充血しきった肉の尖りは、感じすぎてとっくに生柔らかくなってしまっていた――そんな場所をくりくりとひねられ、回転まで交えてキツめにしごかれる。  
 
「んんんンッ、ん゙ーっ!!」  
 
 頭が灼けつくような被虐的な絶頂に、女体が錯乱させられた。  
 子猫の失禁のように、双臀を卑猥に後ろにしゃくりながら尿口を開き、断続的な潮までピシュピシュと後方に飛ばしてしまっていた。  
 潮液が尿道をこすって噴き出すたびに達して頭が虚ろになる。  
 
「あっ、ああっ、あああ……っ」  
 
 悩ましい美尻の痴態は、潮を出し切って余韻を終えるまで続いていた。  
 
……………………………………………  
………………………  
…………  
 
 後ろからハクの股の間に差し込まれていた少年の手が、ようやく離れてくれた。  
 肉豆嬲りから解放されはしたが、ハクは快楽による疲弊に身動きもならず、そのままへたりこんだ。布団に上体を突っ伏したまま、裸身をあえがせるしかできない。  
 しかも休ませてももらえなかった。  
 
「おもらししたの? 大人なのに、だめじゃない」  
 
「あひいっ!」  
 
 ピシャンと、突き出したままの尻たぶを叩かれた。  
 それなのに、のどからほとばしった響きはどこか甘やかな――  
 
「あれ? お尻叩かれるのも、もしかして感じるの? じゃあ」  
 
 ぱちん。もうひとつの尻丘にも平手を降らされた。  
 今度のスパンキングは、あとが残るくらいの強さ。打たれた尻房がぷるんと弾み、熱い痛みがなめらかな尻肌を染めた。  
 
「ふ、あぁぁ……ン」  
 
 ゆるんだ鳴き声をあげてしまう。  
 桃尻に手形までつけられて、はっきり感じていた。年下の男の子に屈辱的な扱いを受けながら、ぞわぞわと体の奥底から這い上がってくるものを。  
 シーツに押しつぶした両乳首と、恥ずかしくかかげてしまっている膣口とアヌス、それになにより剥かれた陰核がヒクヒク訴える。  
 より尻を上げて、交尾する牝犬のような屈従姿勢を強めてすらいた。  
 
(やだ……、なんでぇ……)  
 
 羞恥と官能の入り交じった忍び泣きを漏らす。  
 そうしながらも体は、背後に陣取った雄をいざなっていた。赤い紅葉をはりつけられた双臀が、ねっとりと扇情的にうねる。  
 その様を見て、レンはたしかに煽られたようだった。  
 
「あは……ぶたれたお尻をエッチっぽく振って恥ずかしくないの? ピンクの穴からトロトロお汁まで垂らして、すごくやらしー眺めだよ。  
 こんなの見せられたら、僕も、これ以上引きのばせないや……入れるよ」  
 
 ねじあげられていた片腕が解放される。  
 しかし身動きする間もなく、腰骨をつかまれ、美麗な桃尻をぐいと背後に引き寄せられ、一呼吸で深々と犯された。  
 
「――――ッ……!」  
 
 四つん這いのまま、後ろから真っ赤な絶頂の杭で串刺しにされたかと思った。  
 赤熱気味に興奮した子宮を突き上げられた瞬間、ハクは、さっきまでとは種類の違う高みに急激に登りつめていた。  
 倒錯した悦びの火種を、一瞬で炎上させられた感覚。激しく重く、残響で腰骨がとろけ出すような官能だった。  
 
「あ……ひ……? あれぇ……なに、これ……?」  
 
 頭が真っ白になり、舌がこぼれる。  
 わずかな動きでこり、こり、と奥のそこをこじられるたび、頭蓋内の快楽中枢が甘ったるくひりつく。  
 彼女の後ろでは、極上の濡れ肉に絞られているレンが、脂汗をにじませて女の子のように呻いている。それが収まると、かれは余裕をよそおった声をかけてきた。  
 
「なにっていうか……おねーさん、いま入れただけでイったよね。  
 ぅ、とろっとろの中のお肉がからみついて震えてくる……すごいね」  
 
「イっちゃ……? ンあっ……あっ、お……おかしいよう……こんな、私……」  
 
 感じすぎている。子宮口までの膣道をみっちり肉棒に満たされて、女の芯が震撼している。  
 この体位。背後から犬のように貫かれた体位が、どうやら“合いすぎる”ようだった。  
 ハクの子宮口の一箇所、怖いくらいに過敏な部位。そんな部位に、レンの亀頭がちょうど当たっているのだ。  
 肉の相性が良すぎる。  
 
「そっか。おねーさん、後ろからするこんなカッコが、特に好きだったんだね」  
 
「ち……違……ぁっ、ぁっ、あぁぁぁ――……」  
 
「違わないでしょ? こうやって奥をぐりぐりするだけで、またすぐイキそうなんでしょ。声、ぞくぞくするくらい色っぽくて綺麗。  
 おねーさん可愛い……」  
 
 後ろからのしかかられてちゅっと首筋にキスされ、「ゃん」と鳴いた。  
 そのはずみに、濡れた膣肉のひだを巻きつけるように、肉棒を強く絞ってしまう。  
 
 その粘膜の蠕動を受けて、レンが感嘆のつぶやきを漏らした。  
 
「うわ……吸い出されそう。ほんと、女のひとのからだって、こんなに気持ちいいって思わなかった……」  
 
 かれは、昂ぶりのこもった意地悪げな声で続けた。  
 
「でも、先に三回出させられてるし、休んでるうちに敏感なのもおさまったから、今度はなんとかもちそう」  
 
 手におさめた主導権を、少年は手放す気はまったくないようだった。  
 とはいえ、ハクはひとまず双臀を突き上げられることはなく、代わって背面に口づけをほどこされだした。  
 銀色を帯びた白の髪が、レンの手にさら……とかき上げられる。露出させられた繊美な首周りが、キスの痕を次々とつけられていく。  
 
「やんっ……んっ、ぁンっ」  
 
 流麗な背、華奢な肩口、幽艶なおもむきのあるうなじ――唇を雪肌に押し当てられて、いちいちハクは反応してしまった。  
 ことに、きつく吸われてキスマークを付けられている間などは、蜜壷が卑猥に痙攣しっぱなしで、少年を悦ばせてしまう。  
 腰を使ってもらえないまま、ただ唇を降らされる。  
 
「ひいぃ……あうっ、な、なんで……? 深く……ふかく入ってるのにぃぃ……なんで動かな……っ」  
 
「動いてほしいんだ?」  
 
「だって、こんなの……舐められてたときよりもどかしくて、変になっちゃう……ひぃ、耳をしゃぶっちゃ、そんなっ、ひああ……」  
 
 愛欲の焦燥に苛まれて、ハクはむせびを洩らした。  
 先ほどはあんなに口や手での愛撫で悩乱させられ、後ろから挿入された瞬間には子宮口絶頂の片鱗を味わわされた。それなのに、いまはとろ火であぶられているも同様だ。  
 さんざん女体の感度を引き上げておいて、とどめを刺してくれないのは切ない。  
 
「おねーさん、こっち向いて……」  
 
 頬に手を添えられて肩ごしに振り向かされ、唇を奪われた。  
 ハクのくぐもった叫びが唇の間で響いたが、それはすぐに漏れ出るあえぎに変わった。  
 濃密なキスで情感が高まり、発汗が促進される。舌を吸われると、貫かれたままの美しい尻がクイクイと淫艶にうごめいた。  
 快楽に貪欲な体は、とっくに意思を離れて動いていた。  
 
「ちゅ、ぷぁ……ねえ、おねーさん。僕の名前、まだ言ってなかったね。  
 レンって言うんだよ」  
 
 唇を離した少年に教えられる。それを聞いて、むさぼられた美麗な唇が弱々しく名を呼んだ。  
 
「レン……くん……」  
 
「そうだよ。  
 それじゃあ次は、動いてほしいってお願いしてみて。欲しいんでしょ?」  
 
 淫らな懇願をすることをうながされ、ハクはこくんとのどを鳴らした。逆らえない気分になってはいても、羞恥に心乱れてなかなか口を開けない――が、  
 
「ひいっ……」  
 
 一度だけ腰を送りこまれ、ぐりっと子宮口を押し上げられて圧迫された。重低音のような悦びの波紋が体奥を揺るがす。  
 それだけで我慢できなくなった。焦らされて待ちわびる子宮が、拗ねるように痙攣を伝えはじめていた。  
 
「ほ……ほしいのっ……うごいてぇ……」  
 
 可憐な舌が、従順な甘え声でおねだりを唄う。  
 
「よく言えたね……今からごほーび、いっぱいあげるね」  
 
 静かな声で褒められ、頬にちゅっとキスされて、茫洋としたハクの表情がなおさらぽうっと溶ける。  
 なぜだか嬉しく、心地良かった。ほろ苦くも甘美な屈服の妙味に、酩酊する。  
 年下の少年にいじめられ、お尻まで叩かれるうち、麗しい女体は被虐の官能に目覚めさせられていた。  
 そして――  
 
「ンあああっ!」  
 
 下がりきった子宮を突き揺らされ、肉の芯で官能が爆ぜた。  
 
「あ……あ、いくっ!」  
 
 たったの一打で、また脳裏が灼熱していた。  
 くねり悶えて全身で絶頂を叫ぶ。  
 そのオルガスムスから下降してこないうちに、続けて第二打、第三打と同じ部位を突かれ、第四打でねっちりと押しこまれ――  
 
「…………え……あれ……い……いくっ!?!」  
 
 目を瞠った。熱病患者のようにブルブルと胴震いが大きくなる。肌から蒸気が立つほど、汗がぶわっと噴いた。  
 第五打、第六打、第七、八、九、十――いとも簡単に追い上げられる。  
 
「ひいぃぃ……つ、突くのは待って、いまスゴく、すごくイっちゃ……だから少し……いやああぁっ、それっ、その場所を叩かな……ひっ、ひっ、あうっ」  
 
 若さにまかせた、スピーディーでがつがつした抽送だった。  
 それがことのほか「効く」。単純な前後動なのに、熱い悦悶が沸きたってしまう。  
 快楽神経がすみずみまで目覚めきって、激しい情欲をぶつけられるだけでそれに応えてしまうのだ。  
 
「いやだぁ、続けちゃだめ、すこし待っ……やぐッ、やっ、そんな、そんなの続けられたら……また……ひいい、またイくううっ!」  
 
 それまで中途半端に焦らされる格好になっていた膣奥の性感が、一気に花開いていた。  
 切れ切れに媚声をこぼして腰をうねらせ、子宮口を突き上げてくる少年に哀訴した。  
 
「ああ、待ってっ、おっ、奥ぅ、当たってるぅ、やだ、そこほんとにだめぇっ」  
 
「ここがいいんじゃないの?」  
 
「よすぎてだめなのっ、ひあ゙っ、そこずっと叩かれてたらおかしくなりそうだから……っ!」  
 
 子宮性感の深さにハクは戦慄を覚えていた。  
 連続絶頂といっても、鋭く刺すようなクリトリス絶頂とはまた違う。  
 ひとつひとつの絶頂が重く、濃い。長々と後を引く余韻が波紋のように重なって、つぎの絶頂がじわじわと巨大になっていくのだ。  
 最奥の肉袋を繰り返し乱打されるだけで、快楽曲線がじりじりと上がっていく。  
 
「わがままだよ、動いてって自分の口でおねだりしたばっかりじゃない。ほら、遠慮なんかしないで、またイって」  
 
 生餅のような巨乳が、レンの手にすくいあげられてたぷりと形を変えられる。  
 奥の子宮を揺らされる重い快感が、なめらかな乳房を搾られる性感とからみあって、熾烈さを増した。  
 しかも――  
 
「ああああぁぁぁっ!?!」  
 
 ――どく。  
 どく、どくと、生命のリズムを伝えられる。全くの不意打ちで、蜜壷の最奥で射精されていた。  
 肉の芯に吐精されるたび、その感覚が脳裏に染み入ってくる。  
 レンがちょっと情けなさそうな声で謝ってきた。  
 
「ごめん、言わなかったのはわざとじゃないよ……おっぱい大きいなあって思ったら急にこみあげて出ちゃった」  
 
「あああ゙っ、あ゙っ……」  
 
 答えることもできない。  
 はねる亀頭の傘が、子宮口周りのとろけた敏感な肉を掻いてくる。  
 汗にぬめ光る美しい尻たぶが、薔薇色に血を透かして震えた。  
 
……………………………………………  
………………………  
…………  
 
 雲の上では星の位置が移ってゆく。  
 外では雪がふりしきる夜、室内では、淫蕩な熱気が粘るように濃い。  
 絶頂するたび肌から噴く女の色香、分泌される生殖液や汗のにおい、それらが霧のように部屋にたちこめている。  
 
「……とめてよおっ……真っ白だからっ、あたまのなか真っ白なのおっ……!」  
 
 獣のような後背位で交わり続けていた――ハクの両手首は、後ろ手にタオルで縛られていた。  
 艶美な乳房を布団に押しつぶして上体をへたらせ、息絶え絶えにむせぶ。抽送を受けるたび、肉棒に密着した膣口のピンク色の粘膜が、卑猥に伸縮している。  
 どのくらい経ったのか時間の感覚などない。ずっと肉の高みを見せられて悩乱していたのだ。  
 
 子宮口を揺らされて達し、肉豆をつままれて達し、豊かな乳肉を搾るように少年の手にこねられて達し、甘く嗚咽しながら達し続けた。  
 少年が射精して肉棒を抜いても、ハクには小休止すら存在しない。白濁を吹きこぼす蜜壷に指を挿入され、レンの勃起が回復するまでは、過敏な肉穴を指でかき回され続ける。  
 
 途中からなにをされているのかすらわからなくなった――粘膜にはりめぐらされた陰部神経すべてが、猛烈な官能に燃えあがっているようだった。  
 責めを継続されて、快楽の上限が無限と思えるほどに高まってしまっていた。  
 
 儚い雪色だったすべやかな肌は、すっかり上気して紅艶に染められている。  
 桃尻は発汗しすぎで、お湯をぶっかけられたようにしとどに濡れている。快楽にくねり悶えて照り光り、狂おしいほど濃淫な情景だった。  
 エロティックな双臀が、少年の腰を打ちつけられるたび、いやらしく肉音を鳴らす。  
 その肉鳴りの一つごとに達するような状態に堕とされていた。  
 
「イってる、ひっ、ひいいい、終わらなひぃ、とめてぇ、くるっちゃううっ……!」  
 
「狂っちゃだめだよ、んっ、く……ちゃんと報告し続けてなきゃね。  
 ほら、いまどうなってるの?」  
 
 耳まで犯すようなねっとりした囁きを吹きこまれる。  
 言葉を忘れて獣になりきることさえ許してもらえない。赤くなったお尻をひっぱたかれ、乳首をひねられて、屈辱的な報告を強要される。  
 
「ばかぁ、ひいいィッ、言ったじゃないかぁ、あたま真っ白ぉ、もうずっとぉ、おなかの奥がずっとイっへるぅっ……!」  
 
「あは……そうだよね、中が震えっぱなしだもん。んっ、だからこっちもさっきから良すぎて……僕も、もう……  
 っく、出そう、出すからね、くりとりす指でコネコネしながら奥に出してあげる、ほらっ」  
 
 ハクの腰の前にレンの手が回された。すっかり生柔らかくなった剥け肉豆が指にひねられる。そのままグッグッと子宮口を亀頭に押し上げられて、白濁を浴びせられた。  
 
「あゔう――――っっ!」  
 
 絶頂感が一段はねあがり、脳が蒸発してしまいそうなほど肉悦が沸騰する。  
 
「あ゙ああ、熱、すごひぃ、ドクドクでてるううっ」  
 
 それがとどめだった。瞳から光が消し飛ばされた。  
 爛熟した性感は、もう射精で強烈に達するまでになっている。真っ赤に灼熱した肉悦の焼きごてを押し当てられたようだった。  
 
 肉体が、このとき完全に屈服していた。レンの抽送はぴたっと止まっていたが、ハクの腰が勝手にうねりだす。  
 つまみしごかれているクリトリスのすぐ下で、何度目かに尿口が開いた。  
 ひきつけを起こしたように双臀が痙攣し、少年の射精のリズムに合わせてジャッジャッと熱い潮をまきちらしはじめた。  
 
 さながら桃尻が雄への隷従を宣言しているかのような、濃淫な狂態だった。淫艶な湯気がくゆりたつ。  
 
「あれ、またお漏らし? 二度目だよ、しょうがない大人だなあ。  
 中に射精されてイキながらお漏らしまでするの、ふつうの女の人って?」  
 
 呆れた口調で少年に揶揄されて、ハクの心に猛烈な羞恥がぶりかえした。  
 
「言わないれぇ、とまっへぇっ……とまってええ!」  
 
 悩乱しきって、少年の腰に密着した柔らかな桃尻を悩ましく揺する。  
 双つの妖美な半球をプリプリとよじりたてながら、渾身の努力で尿口を閉じようとした。  
 
 だがすぐジュッとかけのぼる潮液に尿道をこすられて、瞬間的な絶頂に頭が灼ける。綺麗なピンク色をした尿口粘膜がぱくぱく開き、熱い液がほとばしってしまう。  
 結局、貫かれたままヒコッ、ヒコッと尻をしゃくり、濁った潮をぴゅっぴゅっとぬめり飛ばすだけだった。  
 どれだけ恥ずかしがっても、絶頂しながらの潮噴きを止められない。  
 
「うわあ……お尻クイクイ揺すりながらお漏らしイキするのに夢中だね。  
 おねーさんってヘンタイなの? こんなエッチなイキ方して、よく恥ずかしくないよね」  
 
「……いやあああっ……恥じゅかひいっ、はずかひいようっ……」  
 
 言葉責めに、ハクは泣きむせんだ。心をすりつぶされるような無茶苦茶な法悦の渦で、精神が幼児退行を起こしはじめていた。  
 
「おもらしごめんなひゃいい、呆れないでえ、ひいいイクっ、おもらひイくうっ、  
 ――あひっ゙、あうああ゙っ、いま動くのだめえ、もうおなかの奥をトントンしなひでえっっ……!」  
 
 射精が終わったばかりなのに、女の痴態に当てられてか、今回はレンは萎える気配も見せなかった。  
 ほかほかに火照った双臀をわしづかまれ、ハクはまた律動を送り込まれはじめる。  
 子宮が興奮しすぎてビクビクわなないている。その子宮への鐘突きを繰り返され、荘厳なほど重い残響に、新しい響きをつぎつぎ重ねられる。  
 意識が肉色に混濁する。  
 
「うごくのやめてえっ、ひああああ゙っ、いくっ、いくっ、いくうっ、やだぁ、  
 奥がぁっ……とろけへる、子宮っ……しきゅうがとろけてるよう、ぐちゃぐちゃにされてるうっ……  
 こんなのしんじゃう、ほんとに死んじゃうよおっ……ひいい゙ぃ――――ッ!!」  
 
 グチュグチュと蜜壷を蹂躙され、甘く甘く蘭が香るように、被虐の香気が濃厚に放散される。それはもうもうたる桃色の蒸気のごとく立ち上った。  
 それでも、すぐには気絶も許してもらえなかった。しどろに髪を振り乱してどこまでも乱れ狂ってゆく。  
 執拗に子宮を小突かれて、絶頂漬けでむせぶばかりの美しい肉に堕とされてゆく。  
 豆電球の室内が、妖夢に満ちた拷問部屋となっていた。  
 
 限界を通り過ぎても攻め立てられ続ける――そのなかでいつしか、浄化されているような爽快感を得ていた。  
 肉悦の泥濘で溺れ、きつく嬲られているのに、それはえもいわれぬ甘美な味わいをもたらしてくるのである。  
 
 濃密な、至純の快楽――破滅的な官能の極みにあって、むしろ全てが清浄に近づいていくようだった。純白の世界、肉の桃源郷のような夢酔の境地へと。  
 最後の意識のかけらも、そのなかに溶かされていった。  
 
……………………………………………  
………………………  
…………  
 
 レンは、失神して眠りについてしまったハクの体を、新しいタオルでていねいに拭く。  
 情交の後始末をしながら、少年はいささか複雑な心境でつぶやいた。  
 
「元になった遺伝子提供者とどこまで同じなのかな、僕ら(ボーカロイド)のこういう機能って」  
 
 こういう機能――とは、射精など肉体上の機能のことではない。そちらは問題ないことはわかっている。  
 
 ボーカロイドの身体部分のおおよそを形成している生体組織は、ヒトという種のDNA情報をもとに構築されている。  
 正真正銘、ヒトの細胞からなる生きた肉であり、加えて機械部と合わせてそれらを統括しているソフトウェアも、おおよそは解析された人間の脳を再現したものである。  
 つまり生殖や免疫などの各機能において、人間とほとんど変わるところがない。基本仕様をいじらなければ、人類と同じスピードで成長や老化すらする。  
 
 いまレンが頭を抱えて悩んでいるのは、主に内(ソフト)面のことである。  
 
「ヘンタイは僕じゃん……  
 僕のソフト、だいぶアブノーマルな性的嗜好が混ざってる……」  
 
 要するにSっ気。  
 加えての悩みは、  
 
「セックス用アンドロイドのプログラムとか組み入れられてたりしないよね……?」  
 
 なにしろ中盤で責めに回ってから、やったこともなかったのにやたら体がスムーズに動いた。  
 あらわになった自身の嗜虐的な性癖に、レンはどうにも微妙な気分なのである。  
 
(といっても……デビュー直前だし、プログラミングしなおしてもらうとか無理だよね)  
 
 諦めよう。ちょっとしたサディズムくらいならそう問題じゃないさ、とため息ひとつで割り切る。もっと業が深い性癖が発露していたよりはマシなはずだ。  
 
(それに、なんだかんだで良かったし。……たぶん、お互い)  
 
 裸のハクに毛布と掛け布団をかぶせながら、レンは含羞に目元を染めた。性癖の波長が合ったから、あのような展開になったと薄々気づいていた。  
 体の相性がよい相手とのセックスというものを、少年は体験したわけである。この快楽はたしかに中毒性があると認めざるをえなかった。  
 
 と、くしゃみが出た。自分自身も裸で、夜気の冷たさが思い出したように気になってくる。  
 
「さむ……」  
 
 とっくに深夜、帰ろうにも終電はない。歩いて帰れないこともないが、億劫だった。  
 
 まあいいかと再び諦めた。(ここで寝かせてもらお)と、レンは自分も布団にもぐりこむ。  
 とたん、もぞもぞとハクの体がすりよってきた。  
 目を丸くする間もなく、鳩のように柔らかい胸に抱かれる。レンは戸惑った。  
 
「ハクおねーさん?」と、初めて名前を呼んでみた。起きてるの? ともささやく。  
 すぴーと小さな寝息が返ってくるばかりで、答えはない。  
 彼女が寝ぼけて湯たんぽがわりに素肌を求めたのか、単なる寝相なのかはわからなかった。  
 
(まあ、いいか……)  
 
 ふくよかな胸のぬくみに顔を寄せ、三度目にそう諦めをつけると、うとうとしはじめた少年は目をつぶった。  
 
 

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