「ダメだよレンくん。私たちまだコドモなんだし。お兄ちゃんに怒られちゃう……」
「バレなきゃへーきだって。それに今日はがくぽだってルカ姉んとこ泊まりだろ?」
「そうだけど……」
「妹の誕生日なのに彼女のとこ泊まりに行くってどんだけだよ」
「お兄ちゃんは昼間ルカさんと一緒にお祝いしてくれたよ。ルカさんケーキ作ってくれたの」
「……へぇー」
「とにかくっダメだったらダメなんだってば!」
「誕生日プレゼントだと思って受け取れよ。俺を」
「どこがプレゼントなの!?」
「そこかしこから溢れる愛が」
ぶはッ
「吹くなよ!!」
「ごめ……ぅははっ、ちょ、……ホントごめ……ひ、ははっ……おなか痛い……っ」
「グミ……」
「ゴメン、ほんとごめ……無理、ホント無理もう……………はぁ苦し……レンくんそんな台詞どこで覚えてくんの〜っ!?」
「…………」
「漫画? テレビ? カイトさん?」
「……お前の兄ちゃんがそう言っているのを聞いた」
「お兄ちゃん!? まさかルカさんに!? ……ルカさんはなんて答えてたの!?」
「……嬉しいとかナントカ言いながらじゃれ合ってた」
「あー……なんか想像できるなぁ。仲いいよねぇ、早くお義姉さんって呼びたいなぁ」
………。
「あれ、レンくんなんかいじけてない?」
「……別に」
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「……がくぽ、やっぱり気になるからって盗聴はよくないと思うのよ」
「しかしだな、ルカ。もし何かあったら教育的指導というものが必要なんだぞ。そもそも年若い男女が二人きりなどとんでもないことだ!」
「……あんたが兄馬鹿なうちはグミちゃんの願いは叶わないわね……」
「へぁ? 何か言ったか?」
「別に。マグロ食べたいなーって言ったのよ」
「そうか。なら今度付き合わせた詫びに回らない寿司屋に連れて行ってやる」
「時価でも奢ってオオマさん」
「た……タコワサくらいで……」
「何か言った?」
「何でもないです」