朝から何かがおかしかった。
「リンちゃんおはよう。」
「マスターおはよう!」
「リンちゃん…具合でも悪い?」
「ん?私元気だけど?なんで?」
そう、この時確かに違和感を感じたんだ。
でも違和感の原因が分からなかった。
だからそこで話を終わりにしてしまった。
あの時気づいていれば…。
今は夜の21時を少しまわったとこだろうか。
正確な時間を確認したくても出来ない。
なぜなら僕は今ベットの上に縛り付けられていて、さらにリンちゃんが僕の上に跨っているからだ。
「リンちゃん。ふざけてるにしては洒落になってないんだけど、
何で僕がこんな仕打ちを受けなければいけないのか教えて貰えるかい?」
こんな時になに冷静に質問してるのかとツッコミを入れたくなる。
「んー。因果応報?」
「なぜ?」
「マスターはどちらかといういうとリンの方を大事にしてくれるよね。
でもね、リンはレンも平等に愛してもらえないと嫌みたいなんだ。」
「だから私たち考えたんだ。一人になれば悩まなくて良いんじゃないかって。」
「リンちゃん!まさかレンを!」
声を荒げるとリンちゃんは僅かに微笑んだ。
「リンはレンが大事だからひどい事なんてしないよ。
二人で話し合った結果一人になろうって決めたの。」
僕はようやく朝の違和感の正体に気が付いた。確かに外見や仕草がリンだったが、声や喋り方はレンだったのだ。
しかもいつもは自分たちの事をそれぞれの名前で話すのに、今朝は私と言っていた。気づくタイミングを完全に逃してしまったことに今更気付いた。
「君は誰なんだ?リン?それともレン?」
「私はリンでもレンでもない。…鏡音だよ。」
そういって妖艶な笑みを浮かべるとリンちゃんの外見をした何かは僕の股間へ手を伸ばしていった。
「どーでもいいお話は終わりにしよ。マスターにはこれから
私のこといっぱい愛してもらうんだ。」