微スカ、アナル注意
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「ア……、ウアッ……」
少年の優しい笑顔。
大好きなものの一つだが、ハクの瞳には写らない。
グチュ、グチュ……
「ア、アッアッ……」
あれ程嫌がっていた行為だが、蕩けるような淫声を上げ、受け入れていた。
前処理として、浣腸される。
むろん、そんなものは家に置いて無い。
「これ使うよ。
ハクの大好物だし」
冷蔵庫の瓶ビール。
歯の根が合わない程の恐怖に震えながら、自ら尻たぶを開き、少年に突き出す。
ひと降りした茶色の瓶を、慎ましやかな菊口にあて押し込まれた。
炭酸とアルコールが、冷たさと質量を伴い、ハクに襲い掛かる。
痛烈な腹痛と排泄感。
耐え切れず、必死に許しを乞う。
焦らしに焦らされた後、トイレに連れ込まれた。
ハクが、どんなに頼んでも、レンは出て行かなかったが……
放心状態のハクを、風呂場に連れていく。
汚れた尻を洗うレン。
さらに、ホースで流し込み、徹底的に洗浄した。
吹き出す所まで、さらけ出すハク。
出てくる水が奇麗になるまで繰り返すと、きつかったハクのソコも、大分緩んだ
ローションを使い、丹念にほぐしていく。
両手の指、二本づつで開き、中が覗けるぐらいまで。
細かいシワがすべて伸び、ポッカリ円く、口を開けられるようになるまで……
「さあ、本番だよ。ハク」
風呂場から、居間へ移動。
長い髪をリードのように引き、四つん這いのハクを誘導するレン。
ハクは、屠殺場に連れ込まれたけだもののように、虚ろな目をしていた。
布団の上に押し倒されても、心を飛ばしたまま……。
パンッ。
レンは、ハクの頬を軽く叩く。
「……ァ」
少しだけ、目の焦点が戻った。
「ちゃんと見てて。
ハクが、もう一度、俺のものになる姿を」
グイッ
仰向けに横たわるハク。
レンは、その膝の裏に両手をあてがい、肩の方に持ち上げ膝を押し開く。
ダンサーのしなやかな体でも、窮屈な姿勢。
いや、それ以上に自らの性器も排泄口もあからさまになる、淫らな格好。
しかしハクは、悟りにも似た気持ちで、そんな姿を受け入れていた。
そして……
……ズン
まるで、おしめをあてるような格好で、レンはハクに押し入った。
充分ほぐして、ローションで滑らかにしてなお、ハクのソコはキツク締まる。
押し入る毎にレンは、輪ゴムで締め付けられるような刺激を感じた。
「ハク!
ハクのココ、気持ちいいよ」
グチュグチュ……
ローションと腸液をぬめらせながら、容赦ないピストンを繰り返すレン。
「オ、オオゥ……」
初めての感覚にハクもまた、唸りにも似た嗚咽を漏らす。
入れられた事はあった。
モノやオモチャ、あるいは指や舌まで……。
レン自身だけは、必死に拒絶してきた。
どうしても嫌だったのは、引き返せなくなりそうだったから……。
違う。
引き返せるという口実を、失いたくなかったからだ。
レンの指示に従い、最後の隙間が埋め立てられるのを、夢うつつに眺める。
「ハク、ハクゥ……」
終わりが近づき、レンの声に喘ぎが混ざり始めた。
ハクも、それに応える。
「来て、レンくぅん!」
ビュクッビュクッ……
腹中、一杯にレンを受け入れた。
何ものにも変えがたい、少年の熱い分身を……
『戻れる訳ない』
モノである少年に、すべてを捧げ、ハクは心の底から満足感に浸った。
「…………ン」
ふと、目を覚ます。
尋常でないけだるさが、夕べの行為の烈しさを物語っていた。
ハクは、胸元の温もりに目をやる。
彼女の小さな暴君が、豊かな胸にうずくまり、穏やかな寝息をたてていた。
『どうしたんだろう……』
夕べのレンは、さすがに乱暴すぎた。
違法プログラムに狂わされているとはいえ、基本的にレンは優しい子だ。
意地悪したり、癇癪を起こしたりしても、それはある意味、プレイの範疇に収まる。
それが……。
『レンくん。
私のこと、キライになっちゃったのかな……』
ハクの自嘲癖が、顔を出した。
胸の谷間の温もりが、急に重く感じ始める。
起こさないよう、ソッと離れ、布団から出た。
逃避するかの様に、フラフラと台所にむかう。
棚から引き出したモノは、ハクの昔の愛人。
意識もせずに、唇を当てた。
コッコッコッ……
二合瓶の冷酒を、一気に煽る。
ちょっと前までは一升瓶で、浴びる様に呑んでいた。
仕事への活力を得る為。
売れない不安を紛らわす為。
歪んだ展望を宥める為……。
増える一方の酒量を、食い止めたのは、一人の少年。
一体のボーカロイド。
一個のモノ。
そう。
どちらにしろ、只のモノだ。
プログラムに従い、人に奉仕するよう作られた、只のモノ……。
それが今は、酒なんて問題にならないぐらい、自分を蝕んでいる
『こんなにツライなら……』
かつては林立していた空き瓶を思い出し、無意識にゴミ置き場に目をやった。
「あれ?」
作られたモノとはいえ、生体として寝ぼけはする。
布団の中、無意識にソレを求めた。
しかし、状況を把握すると、一瞬で覚醒する。
『ハク姉がいない!』
必死の形相で、布団から飛び出すレン。
「ハクねぇ!」
「あら、オハヨ。レンくん」
トントントン……
リズミカルに、包丁を使う音が聞こえた。
「もうご飯出来るから。
顔、洗ってらっしゃい」
いつも通りの、穏やかなハク
ホッとすると同時に、複雑な感情がレンに襲いかかる
「ハク姉……。
オレ……、オレ…………」
「レンくん。
ゴミ捨てといてくれて、ありがとうね」
口ごもるレンに、流しに向かったまま、ハクは上機嫌に礼を言った。
「えっ?」
「あれはゴミだよ。レンくん」
料理を載せた皿を両手に、振り向いたハクは、とても優しい笑顔を浮かべていた。
ガバッ!
「ハク姉!オレ……」
「キャッ!」
がむしゃらに抱き着くレンに、バランスを崩しかけたハクだが、皿を置くと膝を落として、
しっかりと抱きかえす。
「ごめんなさい。
ごめんなさい。ハク姉」
後悔の涙にくれる宝物を、ハクは大事に、懐に抱え込み続けた
ゴミの正体は、一枚のファックス。
ハク宛てのそれには、
『ボーカロイドに詳しい者を紹介出来る。
礼に、一晩つき合え』
と、いったことが、下品に書かれていた。
ハクの留守中見つけたレンは、怒り狂ってゴミ箱に捨てたが、深い不安に襲われた。
『ハク姉を、取られたりしたら……』
『ハク姉に、好きな人が出来たら……』
『そもそも、壊れたボーカロイドなんて、要らないんじゃないか』
『新しい、あたり前に歌えるボーカロイドを買ったら……』
グルグルと頭の中を渦巻く、不安と焦燥に狂い、レンは凶行に及んでしまったのだ。
「ごめん。ハク姉」
「もう、いいってば。
あんなの残してた、私も悪いんだし」
レンのシステム異常を治す為、仕事関係の人にボーカロイドに詳しい人の紹介を、
それとなく頼んでいた。
FAXの送り主は、昔しつこく口説かれた男で、そうした噂を聞き付けたのだろう。
相手にする気は無かったが、万が一を考え、捨てるほど思い切れなかった。
触るのも嫌で結局、FAXのトレイに置きっぱなしに……
「ごめんね、レンくん。
変な気を使わせちゃって」
「何いってんだよ。ハク姉。
俺、嫌だからな。
俺の為にハクが……」
「それは無理」
いつも気弱な彼女だが、キッパリと拒否した。
「私、レンくんの為なら、何でも出来ちゃうから」
「…………!」
「万一の時は、何でもしちゃうから、気をつけてね。レンくん」
迷いの無いハクの姿勢に、絶句し真っ赤になるレン。
照れ隠しに、茶碗のご飯を口一杯、ガサガサと掻き込むのであった。
食後、落ち着いたレンと、お茶を啜りながら穏やかに話し合う。
「……で、今日は私オフだけど、何処か行きたいとことかあるかな?」
「…………たい」
「ん?」
「俺、歌いたいな……」
レンは淋しげに、ポツリと呟いた。
ジワッ……
思わず熱くなる目頭を押さえて、ハクは明るく勧める。
「いいでしょ。歌おうよ」
「だって……」
「河原にでも行ってさ、おっきな声で歌お。
私だって歌いたいし、レンくんの声も聞きたい」
レンを作り上げた、プログラム技術的なことは、素人のハクには分からない。
でも、体を使って歌うことなら、教えて上げられるかも知れない。
私だって、歌を諦めた訳じゃ無いんだ。
一緒に夢を叶えよう。
歌おう、二人で……
いつまでも、二人で……
いつか、二人で……
終