「え、えっと、レンくん?」
「違う!俺だよ」
「ふざけんな!俺だ!!」
「俺がレン「「俺が……」」」
一斉に主張を始めるレンくん達。
「わ、わからないよぉ」
わからなくなってしまった……。
そもそも、外見は全く同じなのだ。
どうやって見分けていたのかなんて、私にもわかっていない。
だが突然、全てのレンくんが、レンくんになってしまい、私は途方に暮れた。
いや、多分、今、私が抱えているレンくんこそが、レンくんなのだろうが……。
無線LANで接続し、同調を始めて数分。
突然、レンくんが倒れた。
慌てて駆け寄り、抱き起こす。
ポッカリ目を開けたまま、全く反応もない。
「レンくん!レンくん!?」
パニックに陥る私に、尖った声がかけられた。
「何やってんだよ。ハク姉!
そんなヤツにさわるな」
「エッ?」
不機嫌に睨みつけるレンくんは、間違いなくレアくん。
「エッ?じゃあこの子は……」
胸元に抱き抱えたレンくんを見直す。
でも、やっぱりレンくん。
「オイ、馴れ馴れしく呼ぶんじゃネエよ」
「そうだ!俺のハク姉だぞ」
「ふざけんな!ハク姉は俺のだ」
「何だと!?」
胸元のレンくん以外、全てのレンくん達が、一斉に主張し始めた。
そして私にも、全員レンくんに見えてしまうように、なったのだった。
「どぉしてぇ!?」
キュッキュッ……。
「コレでよし」
口紅をしまいながら、一人つぶやく。
レンくん達は大騒ぎの後、漸くシステムの異常だろうとあたりをつけた。
チェックプログラムを起動させたところ、やはり同調プログラムの暴走らしい。
「で、キミが5と……」
とりあえず、見分ける為のマーキングをさせて貰う。
一人づつ、オデコに番号を書いた。
マジックじゃあんまりだから、口紅で……。
前髪を上げて、なんとなく不機嫌そうなレンくん。
上目遣いに、軽く睨んでいる。
だって、しょうがないじゃない……。
尖った視線を避け、今だ意識のないレンくんに目を落とす。
『眠り姫みたい』
膝枕に、チョコンと頭をのせたレンくん。
なんとなくふざけて、マークを唇に塗ったのが間違いだった。
『可愛いなぁ』
濃いめのスカーレットの口紅。
繊細な顔立ちによく似合い、思わず見とれる。
つい、ホッコリと……。
「「「「「………………」」」」」
ハッ!
愛らしいレンくんに現実逃避していた私を、ジト目で睨むNo.1から5のレンくん。
「なに、ハク姉。
そういうの好きなの」
「ソイツばっかり……」
「そうだ!俺の目の前で……」
口々に文句をいう。
「だってぇ……」
こういうのも好きなだけで、私が好きなのは、レンくんな訳で、見とれてたのもレンくんで、
でも、怒らせてしまったのもレンくんで……
混乱の極み。
「貸せよ」
「アッ!」
2のレンくんが、私の手から口紅を引ったくった。
「俺もだってこのぐらい」
「ズルいぞ」
「そうだ、よこせ!」
「ふざけんな!俺が先だ」
口紅を奪い合い、ケンカが始まる。
「ち、ちょっと、レンくん」
胸に抱いていたレンくんをおろし、慌てて止めに入る私に、5のレンくんが……。
クチュ。
「!?」
いきなり、唇を奪われた。
「どう、ハク姉。
コレでいいか?」
誇らしげに見せつけるレンくん。
うっすらと紅い唇。
そうか。私のが移ったのか……。
皆、一瞬凍りつくが、
「俺も」
「俺が先だ」
「退けよ!」
「何しやがる、俺のだぞ」
「ふざけんな!俺のだ」
「キャアッ???……」
襲い掛かるレンくんの群れ。
訳のわからぬまま、私は飲み込まれた。
「アアン!」
どうしてこうなった。
当然の如く、奪われるのは唇だけでは済まない。
最初は争うように、すべてを奪い合っていたレンくんが、あっという間に足並みを揃えた。
私を貪る方に……。
後ろ手に、両手を押さえ付ける4くん。
脚をこじ開ける1くんと3くん。
シャツのボタンを5くんが外し、4くんと入れ替わりながら、腕を抜く。
同時にブラも奪われた。
大きいだけで、色気のないソレは2くんの手に渡り、しげしげと観察されている。
1くんが片手で、パンツのボタンを器用に外すと、3くんと一緒に引き下ろした。
両足が解放される前に、2くんと4くんが、再度抱え込む。
手が空いた1くんが右腕を取り、私の四肢は四人に抑えられた。
軽く持ち上げようにして、腰を浮かせる。
最後の一枚の私のプライドを、ユックリ引き下ろす3くん……。
「そんな!ダメッ!!」
制止の声をかけた頃には、ほぼ終わっていた。
まるで、十の手を持つ怪物のよう。
凄まじい連携に、全く抵抗出来ないまま、私は総てを奪われる。
素肌に突き刺さる、五つの視線。
ついに、不様な素肌を晒してしまった。
『ヒドイ、ヒドイよぉ』
この子達はレンくんだけど、レンくんじゃない。
だから、こんなことを許す訳にはいかない。
でも、私がレンくんに逆らえるはずなかった。
涙にくれる私に構わず、レンくんは、私の身体を、執拗になぶり続ける。
熱い視線で、見つめる。
優しく髪を、撫でる。
涙を舌で、拭う。
エッチな言葉を、耳に囁く。
キスで口を、塞ぐ。
淫らに疼き始めた、身体には触れずに……。
ああ、この子達は悪魔だ。
堕天の道に、私を引きずり込む。
「だめ。お願い、やめて……」
弱々しく懇願する。
「なんで。
ハク姉、俺のこと嫌いか?」
悲しそうな目をする3くん。
「だって、君達は……」
「『達』なんて言うな」
この子は2くん。
「そうだ!『俺』がハク姉が好きなんだ」
この子は……5くん。
「そうだ。『俺』がだ」
4く……ん。
「『俺』だ」
いち……。
「『俺』がハク姉を愛してるんだ」
……さ……ん。
五人に、一斉に告白される。
しかも、みんなレンくん……。
『逆らえる訳ない』
浅ましい浮気心か、純粋なる恋心なのか、とにかく私の退路は、完全に断たれた。
閉ざそうとしていた、身体と心がの扉が、蕩けるようにに開く。
察したのだろう。
たちまち、群がるレンくんに、片っ端から喰われていった。
額のマークも汗で流れ、もはや区別もつかない。
皆、私のレンくんだ。
「ハァアンッ……」
末端部から丹念に……。
四人がそれぞれ、手足に取り付く。
指先は疎か、爪先まで丹念に舌をはわした。
小指を口に含む。
足指のまたを、舌で擽る。
手の平を撫でる。
足の甲にキスマーク。
手首に歯形。
土踏まずを揉み、手を繋ぐ……。
愛撫であり、拘束でもあった。
その間、一人のレンくんによって、頭を固定されつづける。
顔を反らさないよう。
目を閉じないよう……。
むろん、それだけですむはずもない。
首から上、あらゆる所に、レンくんは触れる。
髪を、オデコを、瞼を、頬を。
鼻を、耳を、うなじを、顎を、喉を、唇を。
指で、舌で、掌で、視線で犯していった。
手足の末端から食い尽くしたレンくんは、徐々に勢力を拡大していく。
ジリジリとはい上がり、手首足首、肘裏膝裏を一通り楽しんだ後、脇と内股で鳴かせ始めた。
「アッ、ハヒィッ!
イクッ!またイッちゃうっ」
「ハク姉ばっかりズルいよ」
「そうだよ。俺のもやってよ」
何度目かもわからない、快楽の波にさらわれかけた時、両脇のレンくん達が苦情を告げる。
ムニュ。
熱く固いナニかが、手の内に押し付けられた。
キュムッ……。
「「……ッ!」」
意識することもなく、優しく扱きあげる。
「アッ!」
「クウッ……」
今度鳴くのは、彼等の番。
馴染み深い形のソレを、慣れた手つきで、ユルユルと高みに……。
グイッ!!
「ヒャン!」
「ハク姉、ズルいよ」
「俺にもして」
両足の二人から、苦情を受けた。
同時に、実力行使で自分のモノを、足指の股に差し込んでくる。
「アアン!」
『なんで、こんなところまで』
レンくんの、熱さが伝わる。
唾液まみれになっていたつま先は、滑らかに滑り、官能をジリジリと刺激した。
私が自由に動かせ無い分、レンくん達は快楽を求め、自ら工夫して動く。
鈴口を爪先に押し付けたり、亀頭だけ挟んだり、足の甲に押し付けながら、私の爪先を、
自分のお尻に導いたり……。
両足を性器に変えたように、執拗かつ、徹底的に犯し貪る。
そうして高めあいながら、レンくん達は、私の敏感な内股を責めてきた。
薄甘い快感の波に揺られながら、それでも、もどかしさに狂う。
その根元には、触れて来ないから。
縄張りが交差しているソコは、お互い牽制しあって、手を出して来ない。
脚を引き上げて、入口を開かせたり、裏の門まで覗き込みはするものの、感じるのは視線だけ。
切なさに腰をよじりながら、ただ、熱く淫らな露を垂れ流す。
下半身に気を取られ、優勢だった両手も、反攻を許してしまった。
「ヒアッ!」
レンくんは位置をずらし、一気に急所を急襲した。
こちらは二人で分けられる。
いつもの倍の勢いで、責められる乳首。
チュウ、チュウ……。
必死に吸い付く、レンくん達。
先端をくわえながら、指が溶け込みそうなほど、執拗に揉んできた。
襲い掛かる快感に、必死に堪える私。
ほぼ勝手に動く両手で、少しでも口撃を食い止めようと奮闘するも……。
ギュッ。
「モガッ!」
「ネッ、ハク姉。
俺のも、してくれよ」
突然の参戦。
最後に控えてた、頭担当のレンくんが投入される。
私の顔に跨がり、いきり立ったオチンチンをつき付けた。
否応なしに押し込まれたソレは、顎を外さんばかりに肥大している。
熱い肉棒を味わいながら、展開する光景に目を遣った。
視界いっぱいに拡がる、小さなお尻。
『可愛いなぁ』
キュッと締まってて、とてもいい形。
私のデカ尻とは大違い。
薄いお尻で跨いでいるから、お尻の穴も覗けちゃう。
小さくすぼんで愛らしい。
こんな愛らしいところを……。
チュポン。
ブルン。
「あ、ハク姉。
やめない……、ヒャアアアッ」
口技を中断された抗議も中断し、別のところの刺激に悲鳴をあげるレンくん。
「ハ、ハク姉……、だめ……だ……。
きたな……いよ、や……め……」
何か訴えているが、切れ切れだからわからない。
まあ、大事な事なら、ちゃんと言うでしょう。
かまわず、続けた。
クチュクチュ……。
「ヒャン、ヒャアン……」
子犬のような、レンくんの鳴き声。
そういえばレンくんが、一方的に責められることは、あまり無いのではないか?
私が責めに入ると、いつも素早い反撃で、主導権を奪い返す。
でも、今は……。
私も責められているけど、このレンくんは、他のレンくんが邪魔で責められない。
自分のペースを保てないのだ。
何となく、興奮して更に責めたてる。
ベトベトになったシワを拡げるように擽ったり、舌先を尖らせて中に押し込んだり……。
蟻の戸渡りを抜け、袋を頬張ったり、もう一度、棒をくわえ、喉まで飲み込んだり……。
「アアッ、ハク姉。ハク姉!」
レンくんのボルテージが上りきる。
連動して、他のレンくんも。
そしてそれは、私にも繋がりやがて……。
「「「「「「アアッ???……」」」」」」
私は何度目かの、レンくん達は始めての絶頂に達した。
ピチャピチャ……。
全身を濡らす、五人分の白濁液。
立ち込める淫らな香に酔いしれる。
けだるく甘い疲労に痺れながら、ふと視線が合わされた。
一人伏せる、意識のない身体。
意識の失せたまま、ポッカリ開いた目に、汚れた雌が写っていた。
この惨状を、彼はどう思うか。
自分の意志に従ったと褒めてくれるか、寝ている間に他の男をくわえこんだと激怒するか……。
『仕方ない……』
レンくんには、逆らえないのだ……。
いつものレンくんにも、今の沢山のレンくんにも、その後のレンくんにも……。
怒られたら謝ればいい。
棄てられたら死ねばいい。
私は腹をくくっていた。
抵抗の意志を無くした私。
だが、レンくんが膝の間に歩を進めた時、
「ダメ」
断固として拒否した。
「ハク姉……」
「ゴメンね。レンくん。
ココだけはダメ。
私は……」
愚かな、本当にありえないほど愚かしい決意を話す。
馬鹿な女の戯れ事だったが、皆、納得してくれた。
「……じゃあ」
「うん。他はどこを使ってもいいよ」
本当は、少し遠慮してほしいけど、これ以上我が儘は言えなかった。
続く