似ている、と言われる。
あたしはそう言われるたび、レンとの違いを探す。探してその部分を強調する。
似ている。
この言葉、皮肉だと思う。
同じようだけれど、確実に違いがある。それを分かっているのに、誰も彼もが、似ている、と形容する。
異なる部分をないがしろにして、類似性を突く。
そうして突かれると、あたしは、ムカムカしてきて、心の内側が真っ黒になる。
「そんなの、嘘だよ」
あいつはそういった。年を重ねるごとに女らしく、男らしくかわってゆくあたしとあいつ。
徐々に消えて行くドッペルゲンガー。
あたしがあいつで、あいつがあたしで…取り換えのきく一組。
あたしが光であいつが影。どちらか一方だけで存在しては奇妙なもの。
そんな日々が、薄れて消える。
それが嬉しくて、あたしはあいつと交わる。
少しでも違いを実感するために、あいつを異物と知覚するために。
「血が濃過ぎるから?」
いいえ。あたしが、愛していないから。
あいつの先端があたしの奥をつつき、きしりと軋む。
違和感を感じて、あたしは安心する。やっぱり、異物だ。
その感覚があたしの内側の真っ黒を、少しだけ白くする。
あたしを求め、蔑まれているのにも気付けない、かわいそうなこ。
あたしはあいつの口に唾をたらす。
気持ち悪い。あたしはあんたに唾を吐いてるんじゃないの。
唾棄したいのは、あんた自身よ。
あたしが取り換えの効かないものになるために、自分の影を持つために。