重くてキモい雰囲気になった↓
似ている、と言われる。
僕はそう言われるたび、リンとの違いを探す。探して修正を試みる。
似ている。
この言葉、不思議だと思う。
同じようだけれど、確実に違いがある。それを分かっているから、誰も彼もが、似ている、と形容する。
似ていることは同時に異質であることを指す。刺す。
そうして刺されると、僕は、いたたまれなくなって修正を試みる。
「ドッペルゲンガーに会うと死んじゃうんだって」
彼女はそういった。年を重ねるごとに男らしく、女らしくかわってゆく僕と彼女。
徐々に消えて行くドッペルゲンガー。
僕が彼女で(もしくは彼女が僕で)、僕が光で彼女が影で(もしくは彼女が光で僕が影で)。
そんな日々が、薄れて消える。
それがおそろしくて、僕は彼女と交わる。
少しでも違いがなくなるように、混ざって一つになるように。
「あたしたち、きっと赤ちゃんできないよ」
血が濃すぎるから?
「ん〜ん…あん…」
彼女の奥に僕の先端があたり、きしりと軋む。
もうこれ以上は、深くひとつになれない。
渇きは癒されない。
僕は酸欠の魚のように口を開けて乞うた。
リンが舌を出して、たらりたらりと、僕の口に涎を垂らす。
いくら飲んでも、渇きは癒されなかった。
「…音楽を量子化する時にね」
うん。
「近すぎる量子間を行き来する音は、白色の、雑音になっちゃうんだって」
…うん。
「だからきっと、できない。赤ちゃん」
…そうかも、ね。
生まれる前から、ドッペルゲンガーと過ごしている僕らは、生まれながらに死んでいるのかもしれない。
ねぇリン、シュレーディンガーに僕らの歌は届くかな。