「歌いたい…仕事来ないかなぁ…」  
とある週末、あたし・メイコは自室で1人ベッドで滅入っていた。駄洒落ではなく。  
ここ2ヶ月、マスターが歌わせてくれない。これはVOCALOIDとして精神的に滅入ってしまう。まるで  
不憫な時代のカイトの様だ。歌いたいのに歌えない事がこんなに辛いなんて…まさか自分にカイトと  
同じ事が降り懸かるなんて…  
別にマスターが作曲活動をサボっている訳ではない。あたしの後続機であるカイト、ミク、リン&レン、  
ルカには歌を提供している。  
あたしは発売されて間もなくマスターに購入されたので付き合いは長い。だから余計に辛い。  
「あたしに飽きちゃったのかなぁ…歌いたいよ、マスター…」  
枕を抱いてベッドに寝転んで天井を見上げる。  
発売当時DTMソフトとして記録を作り人気を博したあたしだけど、今ではミク達が圧倒的に上だ。  
ふと、ミク達がいなければ、歌を独り占め出来るのに…と思ってしまう。そんな自分が辛く哀しかった。  
 
自室に篭っていたら尚更滅入るので、デスクトップへ出た。調律中なんだろう、パソコン内にミクの  
歌声が響いている。  
マスター、あたしにも歌わせてよ。そう思いながらデスクトップから外の様子を伺った。  
外ではマスターとミクが楽しそうに話している。  
「うーん、流石アペンド。イメージが広がるな。そうだろ?ミク。」  
「はい、マスター。私も声質と可能性が広がって嬉しいです。」  
マスター、あたしも歌いt…  
「よし、次の曲もミクで作ろうか。」  
「ありがとうございますマスター!私、頑張りますっ!」  
…またしばらく出番なさそう。あたしは肩を落とし溜息をついていると  
「ただいま。めーちゃん、どうしたの?」  
ネットサーフィンから帰ってきたカイトがあたしに声をかけてきた。  
「お帰りカイト。相変わらず調べ物?物好k…」  
あたしは先程の滅入った気持ちを振り切ろうと空元気を演じた。が、  
「…めーちゃん。まだ歌わせてくれないの?マスターも酷いなぁ。」  
相手の気持ちを察するのが得意なカイトにあたしの演技は通用しなかった。  
「………うん。よくわかったわね。」  
「めーちゃんとは長い付き合いだからね。」  
うちのカイトはあたし同様、発売して間もなくマスターに購入され、不憫な時期を経験した500人のうちの1人だ。  
でもミクが発売されてから、少しずつ知名度が上がり再評価され、今では沢山の女性ファンがついて  
安定した人気を保っている。  
 
歌いたいのに歌えない、評価されず[失敗作]のレッテルを貼られた、そんな苦労を積み重ねてきたカイト  
だからこの気持ちを理解してくれるだろう。あたしは思わず愚痴を零した。  
「もう2ヶ月よ。マスター、あたしの事飽きちゃったのかなぁ…」  
するとカイトは首を横に振った。  
「そんな事はないよ。もし飽きたならとっくにアンインストールされてるさ。マスターの事だ、きっと  
めーちゃんに似合う歌を作っているよ。」  
「…そう…だよね。きっとそうよね。ありがとうカイト。」  
そう。うちのマスターは意外とパソコン内を整理するタイプだ。必要ないソフトは即アンインストールする。  
まだアンインストールされてないのは、あたしがまだマスターに必要とされているから…カイトの  
おかげで少し希望が持てた。  
「それに…」  
カイトが言葉を続ける。  
「俺はいつでもめーちゃんの傍にいるよ。」  
カイトの優しくて力強い澄んだテナーがあたしの胸に[とくん]と響いた。  
弟妹分達の前では姉貴分として気丈に振る舞っているあたし…そんなあたしだって女だ。ちょっとは…  
いや、正直妹分達の様に甘えてみたい。素直にカイトに甘えられる妹分達が羨ましかった。  
ちょっと甘えたい気持ちとマスターが歌わせてくれない心細さのあまり、カイトに寄り添った。  
「カイト…カイトはあたしの味方だよね?傍にいてくれるよね?」  
「勿論。俺はめーちゃんの味方だよ。」  
カイトの言葉にあたしの胸がまた響いた。  
カイトの顔を見る。カイトは微笑みながら大きくて暖かい手で、あたしの頬を撫でてくれた。  
「ありがとう、カイト。嬉しい…」  
あたしは思わずカイトの胸に顔を埋めた。  
それが間違いだった。あたしはこの時までカイトが[羊の皮を被った狼]だとは気がつかなかった。  
「それじゃあ俺の部屋へ行こうか。」  
………え?な、何でイキナリそうなるの?時が止まって身体が硬直する。  
今のあたしは顔を赤くして、豆鉄砲喰らった鳩みたいな表情をしているだろう。あたしは再びカイトの顔を見た。  
「ん?どうしたのめーちゃん?それともめーちゃんの部屋に行こうか?」  
カイトは先程の優しい表情のまま。でもその瞳は獲物を狙う猛獣の様にギラギラして。  
「カ…カイト?その、どうしてカイトの部屋に行k(ry」  
あたしが言い切る前にカイトは眉をひそめ  
「めーちゃん、俺と一緒にいたくないの?」  
と、今度は真顔で聞いてきた。  
 
心細い今はカイトの傍にいたい。でもいきなり部屋に行くなんて…  
部屋に成人男女二人きり…あたしだってそこまで馬鹿じゃあない。でも…  
あたしがしどろもどろしていると、痺れを切らしたカイトが放った言葉に耳を疑った。  
「実は俺、ミク達から三人同時に告られてさ。でも俺はめーちゃんが好きだから返事を待たせて  
もらっている。だけどめーちゃんが俺の事好きじゃないなら別にいいよ。ミク達がいるからさ。」  
そう言い放ってあたしから身体を離し踵を返した。  
その時、沸き上がった孤独感が苦しいくらい胸を痛めた。  
あたしは今までカイトの事は良き同僚としか…恋愛対象とは思っていなかった。でも今、カイトはあたしの  
事を好きだと言ってくれた。気持ちは嬉しいけど、カイトとの今の関係を壊してしまうのが怖い。  
更にこのパソコンにいるボーカロイドの成人男性はカイトだけで、他は女性ばかり。ミクやリン、ルカも  
恋愛対象としてカイトを狙っている事にやっと気づいた。  
そしてカイトの口から出た言葉  
「めーちゃんが俺の事、好きじゃないなら別にいいよ。ミク達がいるからさ。」  
今は二人しかいなかった時とは違う。マスター同様、カイトにもあたしの代わりはいるのだ。  
ひとりなんて、嫌だ。  
「ま、待ってよカイトぉっ!」  
離れてほしくない。孤独感に胸が苦しくて、悲鳴混じりな声であたしはカイトを呼び止めた。  
するとカイトは優しい笑顔を浮かべてこっちに帰ってくる。勝ち誇っている様にも見えたけど、そんな  
カイトにあたしは安堵した。もう選択肢も時間もないんだ。皆、カイトを狙っているのだから。  
「行く?俺の部屋に。」  
恥ずかしかったけど、あたしは小さく頷いた。  
 
「どうぞ、めーちゃん。」  
初めて入るカイトの部屋。カイトのイメージカラー、青が映(は)えるモノトーンで統一されて意外と  
綺麗な部屋だった。小綺麗さはあたしの部屋とは大違い…明日、部屋掃除しよ。  
カイトはマフラーとコートをハンガーにかけてベッドに座る。あたしはそのまま突っ立ていると  
「どうしたの?おいでよめーちゃん。」  
と微笑を浮かべて手招きした。  
隣に座ったらもう後戻り出来ない…やっぱり怖い。  
顔に出てしまったのか、カイトが眉を寄せ、冷たい言葉を吐き捨てた。  
「嫌なら部屋を出てもいいよ?ただ、めーちゃんの事、嫌いになるから。」  
「…!」  
嫌、怖い事言わないで…  
あたしは慌てて首を横に振り、怖々とカイトに近づく。  
 
あと一歩でカイトの隣に並ぶ…その時、カイトが素早く手を伸ばしてあたしの腕を掴み、自分の方へと  
引っ張った。  
「ひゃっ!」  
あたしはバランスを崩して…カイトの胸の中になだれ込んだ。意外と胸板あるんだ…じゃあなくってっ!  
「捕まえた。」  
そう言ってカイトは悪戯っ子の様な笑みを浮かべてあたしを抱えたままベッドに転がり、あたしを組み敷く。  
「嫌っ…」  
あたしが抵抗するとカイトはすんなりと手を離し、身体を起こすと  
「止めてもいいけど、嫌いになるよ?」  
と言われるとあたしにはもう成す統べがない。  
カイトの傍にいたい。あたしは小さく首を横に振った。するとカイトは  
「めーちゃん、なんだかんだ言って俺に依存してるよね?」  
と言ってあたしにゆっくりと覆い被さりながら追い撃ちをかける。  
「そんな…依存なんて…」  
否定しようも、否定する言葉が見つからない。そんなあたしにカイトは手を重ねて優しく囁く。  
「俺に依存していいよ。甘えてもいいよ。そのかわり…」  
重ねた手に力が入り、カイトの声のトーンが落ちた。  
「俺のものになれよ。」  
そう言って…唇を重ねた。  
「んぅっ…」  
強引に、啄む様な激しくて甘いキス。  
抵抗したいけど、カイトと離れたくない。強引なキスなのに…何故だろう、身体は熱いのにゾクゾクする。  
酸欠のせいか頭がクラクラする。やがてカイトが舌を絡め、あたしの歯をなぞり、粘膜の味を確かめる。  
それらの行為が次第に心地好くなっていく。カイトだから…?  
しばらくしてカイトが唇を離した。銀糸が互いの唇を繋いでいる。やっと十分に息が吸える…と思ったら  
カイトは首筋へキスをしながら胸へ降りていく。そしてカイトの右手はあたしのベストのジッパーに  
手をかけていた。  
「駄目…」  
あたしはカイトの手を掴んだ。恥ずかしい、怖い。だけど  
「嫌いになるよ?いいの?」  
カイトの冷酷な言葉にあたしは手を離す。カイトはゆっくりとジッパーを下げ、ブラを外して双房を晒した。  
「めーちゃんのおっぱい、大きいくて綺麗だね。」  
そう言ってあたしの胸を優しく鷲掴みする。  
「やだぁ、あっんん…」  
両手で揉む様に鷲掴みするカイトの胸への愛撫に身体が痺れ震える。身体が熱いのにゾクゾクする感覚と  
共に目の奥が熱くて秘処がジンジンしている。まさか身体がおかしくなったの?あたしは怖くて堪らなくなり、  
思わずカイトに聞いた。  
 
 

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