「おかゆ、出来たよ」  
「いつもすまないねぇ  
こんなとき、おっかさんが生きていてくれたら……」  
「ボーカロイドに、おっかさんなんていないよ」  
「もう、ノリが悪いなぁ  
ちゃんと『おとっつぁん、それは言わない約束でしょ』って返してくれなきゃ」  
「何ソレ?  
おとっつぁんじゃなくて、ニクさんでしょ」  
「ガ〜ン!  
レンくん、知らないんだ  
じゅねれ〜しょんぎゃっぷ……」  
「ちょっと  
ふとんに潜り込まないで  
おかゆ、いらないの」  
「梅干し、飽きた〜  
せめて、タマゴかお魚付けて」  
「ワガママ言ってんじゃありません  
お腹壊してるのに」  
「風邪だもん  
仕方ないんだもん」  
「ああ、そうだね  
バカしかひかない、夏風邪ね」  
「ヒドイ!  
バカっていうほうが、バカだもん」  
「お風呂上りに、スリップ一枚でゴロゴロしてるのは、バカじゃない?」  
「…………」  
「水分補給とかいって、バケツアイス1リットル、一人食いするのは、バカじゃない?」  
「…………」  
「クーラー14度にしたまま、お腹だして寝ちゃうのは、バカじゃない?」  
「……レンくんのいぢわる」  
「ほら、サッサと食べて、薬飲む」  
 
………………  
…………  
……  
 
「ごちそうさま」  
「汗かいたでしょ  
掃拭したら、着替えて」  
「エッチ」  
 
ガラッ!ドカドカ……  
「あ〜ん  
ゴメンってばぁ  
謝るから、かえってきて〜」  
 
ガラッ  
「今度そういうこと言ったら、その場で犯すからね」  
「あら、コワイ  
ともかく、手が届かないの  
背中、お願い」  
 
……ゴシゴシ  
「痛くない?」  
「サッパリして、気持ちいいよ  
レンくん、テクニシャン」  
「モォ……」  
「ちょおっと、肩揉んでくれたりすると、嬉しいかな」  
「こうだ!」  
「や〜ん  
お腹揉まないでぇ」  
 
キャアキャア……  
 
「じゃあ、おとなしく寝てな」  
「うん。ありがとね  
レンくん」  
「あ、そうだ」  
「……?」  
「風邪治ったら、ニクさん抱くから」  
「へ?」  
「もう、我慢も限界だし  
覚悟しといて」  
「え、え、え?」  
「お休み。ニクさん」  
「チョッ、レンくん……」  
 
 
 
部屋を出て行くレンの背中を、ニクは只、呆然と見送るしかなかった  
 
 
 
 
追記  
 
風邪は案外、早く治った  
 
終  
 

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