ケンカップルなカイメイ(DIVA2水着ネタ)
「まいったなあ……」
メイコは自室の姿見に映った自分の姿にそっと溜息をついた。
DIVA2の発売により、新しいコスチュームを渡され早速試着を試みた。前回よりモジュールが増えたお陰で衣装も増え、あれこれ楽しく着替えていたのはいいけれど。
「……なんで、よりにもよって、コレだけ……」
メイコの眉間にしわが寄る。そう、よりにもよってこの衣装だけが……。
む〜と鏡に映る自分を睨みつけていると、背後の扉がいきなり開いた。
「メイコ、ちょっと質問……」
「きっ、きゃああぁあっ!」
耳をつんざく調子外れの悲鳴に、扉を開けたカイトは顔を顰めた。楽譜を握る手に思わず力が入り、紙に皺が寄る。
「な、なによ! ノックぐらいしてっ」
「したよ。全然返事しないから開けたんじゃないか……なに、そのカッコ?」
メイコは咄嗟にベッドに潜り込み、身体にタオルケットを巻き付けていた。その素早さにカイトは唖然とした。
「何でもないわよ!」
「いや……何でもあるだろ。みの虫ゴッコ?」
「それは一体、どんな遊びなの……?」
「真顔で聞き返すなよ。僕が訊いているんだけどなあ」
やれやれとカイトは呆れながら頭を掻いた。馬鹿にした仕草に、メイコの頬がぷうっと膨れる。
「で? 何してんのさ」
「何もしてない。出ていって。話なら後で訊くから」
メイコのにべもない態度に簡単に会話が終了してしまう。しかし、タオルケットからはみ出てる剥き出しの白いふくらはぎを、カイトの視線はとっくに捕えていた。
何か、面白い事になってるに違いないのだ。こういう時のカイトの嗅覚は抜群で、外したことなど一度も無い。カイトの本来の目的であった質問は、頭からとうに消え失せた。
意地の悪い笑みを浮かべたカイトに、メイコが身を竦ませ警戒を身体全体に纏わせる。
楽譜を机に放り投げ、じりじり近づくカイトから距離を取ろうとメイコは逃げるが、退路を断たれている上に狭いベッド上では直ぐに間合いを詰められてしまう。
「カカカ、カ、カイト君? 何でこっちくるのかナ?」
「見事なスタッカートだね。発音怪しいけど。流石ですよセンパイ」
「出てけって言ってるでしょ?! コッチくんなアッチ行け!」
カイトがベッドの上に乗り上げ、ベッドが軋んだ。
「そんな力いっぱい嫌がられたら、構ってくれって言ってるのと同じだよ」
気色悪い程の爽やかな笑顔にメイコは顔を引き攣らせた。こんなときのカイトはまるで肉食獣か猟犬を思い出させる。どこまでも追いかけてきて、食らいついてくる。
完全に壁際まで追い詰められ、それでもなんとか逃げ出す方法に思考を巡らすメイコに、カイトの最後通告が言い放たれた。
いい笑顔で。
「さあ、いい加減観念しようね」
「いっ……や〜〜〜〜〜っ」
悲鳴と共に、メイコの身体からタオルケットが剥ぎ取られた。
「…………」
タオルケットを投げ捨てたカイトの目の前には、腕を胸で交差させ身体を縮込ませて隠すメイコがいた。
ただ、その姿は……。
「それ、今度発売されるゲームの新作水着じゃん」
「……そうよ」
メイコは唸りながら涙目でカイトを睨みつけている。そんなメイコに怯むことなくカイトは首を傾げた。白い肌が眩しい。
「何で今更隠す必要があるの? 去年の時の水着は自分から僕に見せびらかしに来た癖に」
去年はワンピースのクセに露出の高かったあの水着を着て、『どーよ?』とエロティックなカットで際立たせた見事なボディを、仁王立ちでカイトに披露したメイコである。
ポーズに色気は無かったが、あの水着姿のメイコはカイトの雄を大変刺激してくれたので、カイトは心置きなく反撃して美味しく頂いたのだった。
アレは僕得だったなとカイトは反芻する。
「……」
メイコは身体を隠したまま俯いた。その膝に、ぽたりと透明な雫が落ちてカイトはぎょっとした。
「ここ、泣く所かよ!」
「うっ……うぇぇ〜〜ん!」
確かに悪乗りして嫌がるメイコに意地悪したけど、こんなことは二人の間では日常茶飯事だ。
からかうとすぐむきになるメイコが可愛くて、カイトはもっと酷い意地悪だってしたことがある。大体このぐらいの戯れで泣くメイコではないのだ。
いつもだったら面白いぐらい立ち向かってくるのに、今日の打たれ弱さは一体なんなんだ。
まるで自分がいじめっ子みたいじゃないか。正にそうなのだが、カイトは自分のしたことを棚に上げて溜息をつく。そして泣きじゃくるメイコの傍らに座り込んだ。
本気の泣き顔なんて、見たい訳じゃない。
「ホントに何なの? 調子狂う……」
小さい頭をがしがし撫でてやると、メイコがくすんと鼻を鳴らした。涙で濡れた瞳が、前髪から覗いてカイトをちらりと見上げた。
「……もん……っ」
「ん?」
「カイト、笑う、もん……」
しゃくり上げながら紡がれた言葉に、カイトはまた手荒く頭を撫でる。
「笑わないから、話してよ」
メイコの瞳がきゅっと閉じ、赤くなった目尻から涙の雫がまた落ちる。
「……った、の……」
「え?」
湿った声は不明瞭で、ボカロの耳でも拾えなかった。メイコに耳を傾けると、再度口を開いた。
「……太った、の……」
カイトの冷やかな視線に、メイコは更に身体を丸めてしまう。
その姿は見ないで見ないでーーー! と全身で訴えてくるようだ。
「…………は?」
「だって、採寸してもらった筈なのに、き……キツイし……。水着が肌に食い込むし……っ! 絶対太った……!
今更そんなことスタッフに知られたら笑われちゃうし、プロのクセに体型管理も出来ないのかって怒られる……っ」
はらはらと涙を流すメイコをじーっと無表情で眺めていたカイトは、ふむと頷いた。
「……メイコ、ちょっとそこに立って」
いきなり遮られ、メイコはきょとんとしてカイトを見た。彼が『そこ』と示した先はベッドの脇で姿見の前。
「いや!」
即座に拒否したメイコにカイトの右の眉が跳ね上がる。本気で気分を害している時の癖だ。でも、メイコだって嫌なモノは嫌だ。
「力いっぱい拒否したね」
「嫌だもん」
「確かめたいんだ。立って」
身を硬くして頑なにカイトの提案を拒否するメイコに業を煮やし、カイトは無理矢理メイコを引き立てた。もともと気の短い方じゃない。
「さっさと立つ! 手間かけさせんな」
「いーやーっ! 先輩に何てことすんのよっ」
「先輩風吹かすなら後輩に面倒かけさすな! ……って、この体勢はなんだよ……」
鏡の前に力ずくで立たされたメイコは、鏡に背を向けてカイトに真正面からしがみついている。
「……だって、前向いたら鏡に全部映っちゃうし、くっついてないとカイトに全部見られちゃうじゃない……」
彼女なりの最後の抵抗だったようだ。前を隠すことに気を取られて、柔らかい胸の出っ張りをカイトに押し付けてしまっていることは、どうでもいいらしい。
まあいいやとカイトは嘆息する。鏡に映る後ろ姿でも多少は確認できるし、前は後回しだ。
鏡越しのメイコの背中に触れると、直ぐに背中が緊張した。
「ちょ、触んな!」
「この状況で何をぬかす。確かめてんだから黙ってて」
「太った事実を確かめるって、どんな羞恥プレイよ!」
半分泣き声の怒鳴り声を無視し、カイトは鏡で観察しながら滑らかな背中に指を這わせた。
胸を覆う布地の縁は、確かに肌に食い込んでる。続いて身体のラインに合わせて指を伝わせ、括れたウエストへ。
「その手付きいやっ。ヘンタイ! ムッツリ!」
「うるさいよ」
腰骨の辺りに引っかかるショーツの紐も……まあ、食い込んでる。
正面を向いて鏡に映る僅かな布で覆われたメイコの桃尻は、腰の部分は尻の溝がちょっぴり垣間見えて、脚の付け根はぷりっとしたお肉が少々はみ出していた。
胸できゃんきゃん吠えるメイコをガン無視し、カイトはその尻を思いっきり揉んだ。
「やぁん!」
尻どころか、ウエストや背中も抓まれてメイコは真っ赤になりながらも抵抗できず、カイトにしがみ付く。実はそれしか出来ない。前は絶対見られたくないからだ。
「なんつー声出すんだよ……」
カイトの呆れ声が落ちてくる。メイコはその声に睨み上げた。
「触るからでしょ! 見るからでしょ!」
「……あのさあ、確かにこの水着、すっごく食い込んでるけど……」
ガン! とカイトの脛に激痛が走った。メイコが蹴り飛ばしたのだ。
「最後まで聞けよ! 食い込んでるけど、太ったんじゃないよ。多分」
顔を顰めるカイトに、加害者のメイコは不思議そうな顔をした。
「……どういうこと?」
「イテ……採寸したのっていつ?」
「一ヶ月ぐらい前かなぁ」
「その間、僕ら何回セックスした?」
「ばっ、関係ないでしょっ」
メイコの顔は、何を言い出すんだコイツと言わんばかりだ。
「結構してるだろ?」
「………………誰かさんがサカって襲ってくるからでしょ……」
耳まで赤くして、ぼそぼそと呟く。それを受けて、カイトは溜息交じりに答えを落とした。
「……だからさ、僕が気付かない筈ないんだよ。頻繁にシてて、メイコの裸見たり触ったりイロイロやってんだから、太ったんなら僕が一番に気づくって」
「へ?」
憮然とした視線が真っ直ぐにメイコに向けられている。
「大体、一昨日ヤった時だって変化を感じなかったからおかしいと思ったんだ。
だから触って確認したかったんだんだよ。サイズは変わってない。水着のサイズが小さいんだ。
スタッフの採寸ミスか、発注先がサイズ間違えたかそんな所だろ。S★G★に連絡入れて、作りなおしてもらえ」
ぽかんとそれを見詰め返すメイコを、カイトはなんて間抜け面なんだと思った。
「……カイト、あんたすごいわ。流石ヘンタイね! ヘンタイも極めると職人技だわ!」
「黙れ。犯すぞ」
さっきまでの怒りはどこへやらきゃっきゃと無邪気にメイコは笑う。きらきらと輝く瞳がまた腹が立つ。カイトの右眉が勢いよく跳ねあがった。
「ほら、続きするから」
細い二の腕を掴んで密着する身体を離そうとする。慌ててメイコはカイトの背中を握った。
「え? 何でよ? もう結論は出たじゃない」
「前の確認はまだじゃん。言ったろ?「多分」って」
「うえぇ……もういいよ」
「それにさ」
カイトがちらりと下を見る。正確には密着しているたわわな胸を。メイコの乳房がカイトの胸に押し付けられ、むにっと形を変えている。
「新作水着見たいし……そんなに前を隠すのも気になるしっ……と」
くるんとメイコの身体が宙を舞い、カイトごとベッドに倒れ込んだ。カイトがメイコを抱き締めたまま回転して、そのままベッドに押し倒したのだ。
「ちょ、ちょっとお!」
「さー、見せてもらおうかね」
ヒッヒッヒと好色爺のような笑い声まで付け足して、胸をガードする腕をカイトが引き離そうと掴んだ。ぎょっとしてメイコは首をぶんぶん横に振る。
「待って待って、待ってってばぁ」
「待たない。違った、待てない。五秒以内に理由を述べたら考えてやってもいいよ」
五秒。そう告げられて焦ったメイコはつい、口走ってしまった。
「ちょっと見えちゃってるの! だから……っ」
「何が」
メイコが頬を染め、視線が泳ぐ。う〜と唸る咽がやっと言葉を発した。
「水着、小さいから、その……にゅう……りん……が……」
恥ずかしさで死にそうなメイコの声に、カイトの目が瞬く。
「カイト、だから……」
「さっきのナシ」
「は……?」
カイトは俯いていて、メイコからは前髪が邪魔で表情が見えない。が、得体の知れない邪悪なオーラがカイトから立ち昇っている……気がした。
「カ、カイトくーん……?」
動かないカイトに恐る恐る声をかけると、顔が上げられた。右眉は釣り上がっていて、目はメイコを睨みつけている。
「あのねメイコ……そんなの言われて止める男なんていないだろ! 犯すから。もう決めた!」
怒鳴られ、びっくりして力を抜いてしまったメイコの手首を、カイトは思いっきり左右に広げ、ベッドに押し付けた。
メイコが必死になって隠していたものは、呆気なくカイトに晒すことになってしまった。他ならぬメイコの発言で。
今、メイコは圧し掛かるカイトに腕を押さえられて胸を凝視されていた。
DIVA2の水着はビキニタイプ。胸を覆う布地は小花柄が散って可愛らしいが、谷間が全開のデザインだった。
サイズが小さいものだから、豊満な乳房が押さえ付けられる胸も窮屈そうだったが、問題はその谷間だ。
……乳首はかろうじて隠されているが、桃色の乳輪までは無理だった。元々乳房のボリュームにしては小さい乳首と乳輪なのに、布地からしっかりはみ出てしまっている。
「……うっわ。これは腰にくる」
「うぅ……ヘンタイ〜〜〜」
「隠したくても隠れてくれないってエロい。乳輪もだけど、ムチムチ加減が堪んない」
「エロイト……」
「褒めてるのに」
「ウソ! 絶対ウソ!」
「……メイコ、興奮してるんだろ? 乳首勃ってるじゃん」
「……ん……っ」
はみ出てる左の乳輪に生温い舌が這い、メイコが鼻にかかった声を漏らした。
胸の頂きが更に硬くなって、完全に勃ち上がったのを感じる。カイトの鼻先が水着の上からそこを掠め、微妙な感覚に身体に力が入ってしまう。
しつこくピンクの部分を舐め、乳房の素肌の部分に歯を軽く立てながら、カイトはメイコの手首を離した。
胸の下辺りを掴んで乳房の谷間に顔を埋め、舌と唇で愛撫を施すとメイコの体温が上がっていくのを感じる。
「これを、見られたくなかったんだ?」
「……だって恥ずかしいし、みっともない……」
メイコの身体を揺すぶってやると、半端に隠れた乳房がたゆたゆ波打つ。
柔らかそうな膨らみの中心で、そこだけ硬くしこった乳首が布地を押し上げ自己主張していた。
「外じゃね。家ならいいじゃん」
「ばか……カイトを喜ばすだけじゃん」
「心外だな。僕一人で楽しむと思った?……水着ずらして、乳首を自分で出してみな」
メイコも悦ばせてあげるよ。とカイトが囁くと、メイコの頬に赤みが増した。
腕が持ち上がり、さっきまでカイトが舐めていた左側の乳房を覆う水着の真ん中に、指を引っ掛けくいっと引っぱる。
内側からぴんと勃った乳首が現れ、カイトは両眼を細めた。
羞恥で顔を背けるメイコにお構いなしに、愛らしくカイトを誘う乳首へむしゃぶり付いた。
「あぁん、あっ、あっ……」
口の中に含み、芯を持ったそれを吸ったり甘噛みしたり好き放題していると、メイコの喘ぎが絶え間なく漏れる。
メイコは乳首を弄られるのに弱い。形ばかりとはいえ、始める時にいつも抵抗するメイコを、カイトはここを執拗に弄って大人しくさせている。
手間ばっかかけさせてと思う反面、カイトの手中で次第に従順になるメイコの姿は壮絶に色っぽく、彼の性欲を刺激してやまなかった。
強く吸い立てそこから唇を離し、身体を下へずらす。平らな腹部を手のひらで擦ってショーツの覆う下腹部へと辿った。
もはやカイトの目的はメイコのスタイルの確認ではない。
「あー……下も大概アレだな〜」
「? え?」
「おっぱいに気を取られて、こっちは気付かなかった? ココ」
カイトが指摘した部分を指で滑らす。
「ひゃ!」
「脚の間。食い込んで割れ目の筋が、もうくっきり」
メイコの性器に張り付いた布地が折れて、割れ目と同じ筋を一本作っている。クロッチの脇から指を入れようとしたが、メイコに思いっきり身体を反転させられて阻まれた。
「ばかっ! 何でそーいうこと言う……だからいやだって」
舌打ちしようとしたカイトは、メイコを見下ろしてそれを呑みこんだ。
横臥して身体を丸めながら脚の間を両手で隠し、固く目を瞑ってる。
胸はすっかり無防備で、脇を絞めたせいで大きな膨らみが強調され、たわんだ水着から実にけしからんピンクの突起が顔を出していた。
悩ましい姿に、こいつワザとか? カイトは思わず問い詰めたくなった。何だこの無自覚天然誘い受けは。
「きゃんっ」
カイトは乱暴にメイコをうつ伏せにひっくり返した。驚き体勢を立て直そうと、腰を上げたメイコの尻を掴んで自らへ引く。
大事な部分を隠す布地は、メイコの体液が滲んでうっすら色を変えていた。それを確認してカイトは鼻を鳴らす。
「ったく……嫌がる意味分かんないな。感じてるクセにさ」
「な、ちょっと!」
肉付きの良い尻に張り付くショーツに手をかけたカイトは、それを膝まで一気に下ろした。
白く丸い桃尻と、閉じた性器がカイトの前に晒される。
メイコは枕に顔を埋めてしまった。髪から覗く耳が赤い。
「どうして欲しい?」
ぷにぷにの尻を撫でまわしながらあえて訊く。
「え……っ」
「して欲しいこと言ってみなよ。メイコは僕がすること、気に入らないみたいだからさ。どうして欲しいのかなって」
「いっ、言わせる気? ドS! 陰険っ! ムッツリスケベ!」
「口ばっか元気だな。ちなみに言わないと……」
「止めたりとか?」
「ううん。やりたい放題する。ピーとか××とか。あ、★★★とかやってみたい」
「しれっと言うな! そんなの身体持たないわよ! 出来るわけないでしょ、この鬼畜!」
「だから訊いたんだよ。ちゃんと言えば、メイコの希望通りにしてあげる」
親指の腹で割れ目をつーっとなぞると、白桃のような尻が震えた。カイトは指に付いた体液を舌で舐め取る。口の中にメイコの味が広がった。
「……んっ」
「どうなんだよ」
沈黙がメイコの逡巡をカイトに伝える。枕に顔を押しつけたメイコは観念してぼそぼそ答えた。
「……触って、欲しい」
「触るだけでいいの?」
冷たい返答に、メイコは唸りながら更に強く顔を枕に埋めた。
「な、舐めたりとか、吸ったり、とか……気持ち良くして……」
「ん。了解」
メイコの尻が掴まれ持ち上げられる。顔を寄せるカイトは、その潤み切った挟間にぴっとり吸いついた。
「あう……っ」
中心を広げられ、襞と襞の間に硬くした舌先が差し込まれてクニクニ動く。軟体生物がそこで蠢いているようで、メイコの背筋にぞわぞわしたものが走った。
襞の形を探りながら唇で挟んで引っ張られたり、膣口をチロチロ擽られたり。舌の腹で性器全体を下から上へ舐め上げられるに連られて、震える尻が上へと動いてしまう。
溢れる粘膜を啜られ、じゅるりと卑猥な音を立てられると、どれだけ自分が感じているのかまざまざと見せつけられる気分になって、恥ずかしくて涙が出そうだった。
「どう? 感じてる……ね、こりゃ。いっぱい溢れてくる」
「ば、ば……か」
「馬鹿って、ひどいな。言う通りにしてるんじゃないか」
舌先が前方に伸びて、クリトリスを突きメイコの身体が大きく跳ねた。
「やっ、ソコ、やだっ!」
頭が激しく振られ、茶色の髪が乾いた音を上げる。
「相変わらずだね、ココ」
暴れ出したメイコに嘆息し、諦めて顔を離す。メイコはクリトリスを弄られるのが嫌いだ。感じすぎてしまうらしい。
以前、無理矢理ココ責め続けていたら、メイコは強すぎる快感にフリーズしてしまった事がある。
あの時はカイトも大いに焦ったし、目の前で裸で寝ているメイコがいるというのに自分で抜いた虚しさを思い出して、カイトはクリトリスを断念することにした。
「しょうがないか……これからは徐々に慣れていこう。ね?」
ちゅっと性器に口付けてカイトは身体を起こした。無言で枕に涙を押しつけるメイコの背後で、金属音が聞こえて身体に力が入る。
布擦れの音がして、太くて硬い熱が尻たぶに押しつけられた。
メイコの背後でくすりと笑う声がした。
「なに緊張しているの? セックスするの何回目だと思ってんだよ?」
「も……うるさ、あっ、んん……っ!」
ぐに、と尻たぶに感じていたものが捻じ込まれ、メイコは背中を反らす。入り口がカイトの形に沿いながら無理に大きく広げられ、内側を擦り性感を刺激してそれは戸惑うことなく進んでいく。
「あ、あ、ひぃ……」
「きっつ……締めすぎ、力抜いて」
「ムリ……よぉ……んあっ」
慣らす様に小刻みに突かれ、メイコの腰が上がりまるで発情したネコの格好だ。
「中、熱い。すっごく気持ちいい」
はあ、とカイトが感じ入った溜息をついた。メイコの中はヒクヒク息づき肉棒を包んで、言葉も無くカイトを求める。
ゆっくりと出し入れする動きが、快感を追って段々速く、力強いものへと変化していった。
「ああっ? ひぁっ、や、強い……」
結合部から打ち付けられる度にぐちゅんと卑猥な音がして、メイコは枕に顔を埋めながらシーツを握りしめた。より感じる部分を擦られて反射的に膣が締まってしまう。
カイトが身体を屈め、白く滑らかな背筋に沿って舌を這わせた。舌に乗る汗ばんだ肌の味は、粘膜のそれに少し似ている。
些細な刺激にもしっかり反応する肢体は、度重なる快楽にすっかり鋭敏になっていた。
舐めた背中に覆い被さって肩口から首を伸ばし小さな耳を食み、背中のホックを外す。
勢い良く解放された双球は、カイトの揺すぶる動きにぶるぶる振れた。乳房を片方揉んでやると、甘い悲鳴が上がる。
それを手中で玩ぶ内に、ふとしたことに気がついた。寄せていた耳元にキスして囁く。
「……あのさ、さっきはサイズ変わってないって言ったけど、訂正する」
「な、なに……こんな、時、に……んんっ」
「ココ、おっぱいだけは前より確実に大きくなった」
むにむに揉みしだき、乳首をくいっと引っ張る。
「やぁん! あ、ひっ、胸弄っちゃ……」
「でもこれ、僕のせいかもだ。いつも揉んでるからさ」
メイコの身体に力がこもっていく。シーツを握りしめた拳に腱が浮き始め、膣内も熱く肉棒に絡んで吸い付いてきた。最後が近いことをカイトは悟った。
絶え絶えの息の下、それでもメイコはバカイト、と憎まれ口を叩くことを忘れない。
「怒んな。大きい方が、僕は好きだ」
ぐっとより深くメイコの中に突き入れる。ぐちっと水音と共に、内股を粘膜が伝い流れた。
「ん! あ、ああっ、あひぃ……」
背中が弓形に反る。カイトを締めながら言葉にならない声を上げて、メイコは身体を強張らせ絶頂を迎えた。
「ちろう……」
緩やかな動きにたゆんと揺れる乳房。その谷間に顔を埋めるカイトの耳に、甘ったるい罵声が聴こえる。
「おっぱいせいじん、きちく、せいよくまじん、バカイト……」
「……いい加減にしろ」
カイトのこめかみに青筋が浮いて顔を上げた。
メイコと向かい合いながら膝の上に乗せ、対面騎上位の格好では怒り顔も効果半減のようだ。メイコは温い快感に浸りながらその口でカイトを罵る。
憎たらしい口を利くメイコを激しく責め立てて黙らせたいが、二回戦目直前に「ゆっくりして」と申し渡されている。
自分から「して欲しいこと」を訊いた手前、渋々言うことに従ってやっているのだ。
……あまり強い刺激で意識を飛ばされるのは困るというのもあった。メイコは性的な刺激に過敏で、感じすぎる身体を持て余す気がある。
とんだワガママボディだ。互いの身体は気持ちいいが、相性がイイのかは甚だ疑問だった。
「遅漏じゃない。メイコがイクのが早いの」
身体で黙らすことが出来ないのなら、残る手段は一つしかない。
「黙れ、気が散る」
「ん、む……」
ぱくりとメイコの唇に自分のそれで噛みついて深く口内を探る。差し出してきた舌を絡め取り、互いに唾液を交換して味わった。
「あー……そろそろ出そう……イッていい?」
メイコの内部で膨れた肉棒が限界を訴えて膣を小突く。
「あん……いい、よ」
「掴まってて」
快感に気を取られ、メイコは胸元でにやりと笑ったカイトに気がつかなかった。
がっしり腰を掴まれた時には、もう遅い。
「へっ……? ん、きゃぁ! やっ、あぁん」
掴んだ腰を上下に動かされ、腰を下から打ち付け肉棒がメイコを勢い良く貫く。
「よくも言いたい放題、悪態を吐いてくれたな」
「あっ、いやぁ!」
少しばかり仕返ししないと気が治まらない。どうせもうイクなら、カイトはメイコの減らず口に対して制裁を加えてやりたかった。
突き上げられ、目の前で揺れる大きな乳房はエロく、下はきゅんきゅん締めてくる。切ない刺激が堪らなかった。
「ばか! 嘘つきっ、んぁっ!」
射精感の赴くまま吸い付く奥を穿つと、メイコの身体が反ってくる。それでも責めることを止めず続ければ、嬌声は益々高くカイトの耳朶に響き煽った。
「ダメよ、ひん……っ、や、優しく……してぇっ」
中を抉る刺激に乱れるメイコが力いっぱいカイトの首にしがみ付き、肉棒を食む膣の動きにもう耐えられなかった。
登り詰めつつあるメイコの様子を窺いながら、カイトは抽挿を更に激しくさせた。
「イヤ、もうダメ、イっちゃう! ああっ、あーー……」
身体全体を強張らせ、メイコが達する。蠕動する膣に合わせてカイトも自分を解放した。
「……っ、出るっ……く、あっ」
最奥に弾けたカイトの迸りを感じ、脱力したメイコは身体を預ける。
射精の余韻に浸りながら、痛いぐらいの強さで抱き締めたメイコは……強すぎる絶頂の快感に耐えられず、すっかり意識を手放してしまっていた。
「S★G★が悪い」
目を覚ましたメイコがカイトの所業を詰って、返ってきた答えがコレだった。
「あんなエロいデザイン考えて、尚且つミスでサイズの小さい水着寄こしてさ。あんなの目の前で着られたら勃たない男なんていないだろ。後、エロいメイコも悪い」
「あんたが私の部屋に勝手に入って、無理矢理見たんでしょーが!」
悪びれも無く言い切るカイトは実に満足そうな表情をしていた。小憎たらしいその顔に、メイコの怒りはウナギ登りだ。
無断で部屋に入られ恥ずかしい姿を見られて、あまつさえ身体を好き放題にされてとにかく気に入らない。
激昂して吠えるメイコにうんざりしたカイトは、寝返りをしてうつ伏せになり枕に頬を埋めながらメイコへ向く。
「さっきは泣きべそかいていたくせに元気だなぁ……大体、何であんなことで泣くんだよ。いつもだったら、実力行使で黙らせにくるのに」
カイトの投げかけた疑問に、メイコは悪口雑言を捲し立てていた口を噤んだ。
「?」
いきなり黙り込んだメイコを怪訝に思い、カイトはそっと様子を窺った。まさかまた泣くんじゃないだろうなと密かに考えながら。何が地雷なのやらカイトは全く理解できない。
しかし当のメイコは、頬を染めて居心地悪そうに視線をカイトから逸らしている。
「だって……太った身体、見られたくなかったんだもん……。カイトは直ぐからかうし、その、こういうことする相手には知られたくないじゃない……」
恥じらいながらそんなことを言うメイコは、まるで思春期の少女のようだ。
目をぱちくりと瞬かせながらその様子を見ていたカイトは、不機嫌そうな顔をした後、メイコの身体を引き寄せた。
「きゃ、カイ、」
「何それ、反則だろ……」
泣いた理由が、太った身体をカイトに見られたくないからなんて、本当に反則技だ。
普段ケンカばっかりで、憎たらしい口を利くクセに、こんなところばかりメイコはやたら可愛い。……とても本人には言えないが。
無理に抱き寄せられたメイコは文句を口にしようとして、止めた。
耳に押し当てられたカイトの胸から聴こえる鼓動がやけに速くて、くっついた素肌の温度が上がったのを感じたから。
メイコも素直じゃないが、カイトだって捻くれた性格をしていることは十分に承知している。
だけど身体の変化は正直で、今カイトはメイコに向ける顔がないんだろうなと思っていたのに、次に口を開いた時にはいつもの彼に戻っていた。
「……まあ、メイコが本当に太ったら痩せるよう協力するよ。もちろんスパルタでね。安心しな」
「あんた、どこまで上から目線なのよ!」
腰や尻、胸まで触りながらほざくカイトに、メイコは今度こそ実力行使でその口を黙らせることに成功した。
おしまい