リーマンなカイトとOLなメイコ2
駅から出た私たちは、コンビニで食料を買ってから適当なホテルに入った。
お腹は空いていたから食料を買うのは理解できたんだけど、買いすぎじゃないってぐらいの量だった。
それを男に言ったら、「まあまあ」なんて笑ってた。
胡散くさ……。
だけど食料多く買ったからって、そこから何を推理できる訳もなく。
雑談しながら腹に掻きこんで一応名前とか訊いてみた。始音カイトっていうらしい。
偽名かもだけど。私の苗字とちょっと似てる。ふむ……。
んで。
早速ヤったんだけど………………。
「ん……はっ」
仰向けに寝た私の上に覆い被さったをカイトの舌が、私の胸の谷間を這う。
「感度、いいね。メイコさん?」
「あっ!」
膨らみを登って乳首を口に含まれた。軽く吸われると、腰が揺らいじゃう。
気持ち良い。触れられる度にどんどん身体が熱くなってアソコが濡れてくるのが分かる。
セックスが久しぶりなことを差し引いても、十二分に感じてる私の身体。この男、女の身体の扱いは結構上手い。女慣れしてないだなんて思って、悪かったわ。
……でも。
「ねぇ……やっぱりコレ外してよ」
私の両手首は彼のネクタイで縛り上げられ、ヘッドボードに括りつけられていた。
これを言い出された時、勿論全力で断った。身動きが取れない状況で見知らぬ男に身体を自由にされるのは抵抗がある。
だけどカイトは私の反論と拒絶をのらりくらりとかわし、人の良い笑顔で宥めすかされ、結局受け入れざる得なかった。
服は殆ど着たまま。ジャケットは脱がされ、ブラウスの前を全開にし乳房が見え隠れしている状態だ。下もスカートは穿かされたまま脚の付け根まで上げられた。
「気になるの? でも……」
捲り上がったスカートの奥に指が忍び込んで、くちゅくちゅ音が立つ。
「ひっ……」
「こんなに感じてる」
脚を広げさせ、腿に小さなキスをされた。脚の間に青い髪が埋まって至近距離で覗かれる。
「さっき、ココでイったよね」
小さな尖りに唇で挟む感触がした。びくんと跳ねる腰を押さえ、そのままコリコリ食まれ喘ぎが口をついて出た。
「はぅっ! あ、あっ」
クリトリスを吸われ、舌先でちろちろ撫でる感触に下腹部が疼いた。
思わず閉じてしまう脚を強引に押し開かれる。見知らぬ男に大事な部分を嬲られてる事実は、私をより興奮させた。
「はぁ……」
「すごいね。大洪水になってる」
「あ、あんたがしゃぶるから……」
くすりと脚の間で笑う気配がした。
「でも、電車の中からこうなってたでしょ? 今だって、縛られてるから余計に……ってね」
「そっ、そんなわけ……んぁっ」
指がぬかるみの入り口を擽って反論を封じられた。正直、図星だった。
今までこんなプレイしたこと無い。付き合ったどんな男にだって許したこと無かったのに。
――きっと、今日限りの男だから許せた。今夜だけ。
もう二度と会うことのない男なんだから、思いっきり乱れても後を引くことなんてない。
知らなかったわ。縛られただけで、こんなに興奮するものなのね。
身動きの取れない不安が性感に繋がるなんて。
潜り込んでくる指が二本になり、膣の内側を指の腹が探ってくる。とめども無く溢れる粘膜がその動きを助け、私は快感に溺れ始めた。
「お尻の方まで垂れてきたね」
「や、やめてよ……んぁっ」
穏やかなカイトの声も、熱を帯びている。恥丘を撫で、親指がまたクリトリスを捕えた。
「んっ……! ダメっ、二か所は……ひっ!」
「そう? 剥けてきたから、触ってっておねだりされるのかと」
「待って、まっ……やぁっ……!」
カイトは制止なんて全然聞かない。悶える私に、「舐められるのと指で弄られるのどっちが好き?」なんて卑猥な台詞を暢気に口にしている。
ば、馬鹿にして! でも、身体はしっかり反応して着実に絶頂への階段を急速に登っていく。ああ……!
指が私を誘導し支配し、逃げることを許さない動きが私を一気に押し上げる。
「あっ、ひゃっ、うう……っ!」
全身に力が入り肌が汗ばむ。背中が思い切り反って、私は絶頂に達した。
「もうイっちゃった? 早いね」
膣から引き抜いた指が、粘膜にまみれた襞をイタズラするみたいに弾いた。
それにすら感じて情けない声が咽から出てしまう。
乱れた息を整えていると、脚の方で金属音が聞こえる。多分、ベルトのバックルを外す音とごそごそした音。更に脚を広げられ、カイトの身体が私の間に据えられた。
期待で熱くなったアソコに肉棒の先端が当てられる。
「や……ちょっと、待って」
「感じちゃってカワイイね。すごいぬるぬるしてる……」
頬に軽くキスされてそれにも感じてしまった。
「よ、よしてよ」
普段カワイイなんて、言われることなんか無い。つーか、こんな時にだって言われたこと……!
「それより、つ、付けてよ」
避妊無しでヤルのはリスクが大きすぎる。流されそうになる自分を叱咤して足掻く身体に圧し掛かられて焦った。
「やだって……イヤ!」
「病気なんて持ってない。メイコさんだってそうでしょ?」
「そうだけど……!」
「大丈夫、中には出さない」
そういう問題じゃないってば……。口先だけの確認で信じられるはずがないのに!
腰を捩じって逃れようとしたけど、覆い被さる身体はびくともしない。やわやわと胸の膨らみを揉まれ、入り口に圧力がかかった。
「んぁっ!」
「! ……っは」
肉棒は全然濡らさなかったけど、私の中にずぶずぶ沈みこんでいく。
ああもう、こうなっってしまったら、カイトの言葉を信じるしかなかった。
「あ、あ……」
耳に舌の動きを感じ、下腹部の圧迫感が増す。久しぶりに受け入れた肉棒を、膣が大喜びで迎え入れてるみたい。アソコがじんじんする……。
全部入ってお互いに溜息をついた。私の中で脈打つ肉棒。いつも自分を慰める時に使う……ニセモノのアレとは、全然違う。
カイトは私の上から起き上がり、腰を引き寄せながら自分と膣を馴染ませるよう揺すった。
「ふぁ……っ」
「ゴム無い方が、気持ちイイよ……ほら」
揺すられる度に繋がる部分からイヤらしい音が立つ。
「さて、と」
足元でカイトが何かして……ベッドの上に、さっきまで無かった鞄がある。その中をカイトが探っていた。何時の間に?
「な、何?」
急に怖くなった。この男、さっきまで名前も知らない人だったんだ。
人の良さそうな顔に、いつもだったら絶対にしない色々事を許してしまって……今だって半ば強引にナマで挿れられた。
拒絶しても、結局はカイトの思いどおりになってない?
何する気なの?
鞄から出したのは、卵型のローターと……ムービーデジカメだった。
さっと血の気が下がり、火照っていた体温が冷えた。
待って、一体……?
思考はぐるぐる回るけど、最悪なことしか思い至らない。
「いやぁっ! やだぁ!」
振り上げようとする腕は縛られていて、下半身はカイトの手で押さえつけられた。
縛ったのは動きを封じるためだったんだ。今頃気がつくなんて……!
これじゃあ、身体を隠すことすらできない。
「暴れないで、抜けちゃうから」
低く唸る振動音。クリトリスにそれが当てられ、私の身体は跳ねあがった。
「ひぃっ」
イったばかりのクリトリスはいつもより敏感に反応を返し、また官能が呼び起された。
「うわ、締まるね」
カイトが眉根を寄せながらローターに緩急つけて、円を描くようクリトリスに当ててくる。微妙なタッチが、イヤなのに勝手に身体が反応した。
「やだ……っやぁ! ……は……ぁ」
快感が抵抗を奪う。イク寸前でローターから解放され、息を乱した私の胸は大きく上下した。
その隙に、準備を終えたカイトがデジカメのレンズを私に向けた。
乳房の間から見えるカイトがレンズ越しに真っ直ぐに私を見ている。恐怖に引き攣る私の顔と隠すべき部分が丸出しの身体を撮っている。
「そんなに怯えないで。これは、保険だからさ」
「ほ、保険て……」
「気にしないで。ちゃんと気持ち良くしてあげるからね」
デジカメを構えたまま、カイトは片手で腰を掴んで肉棒を強く打ちつけた。
「ああっ! ひぃんっ」
先程受けた刺激のせいで、熱を取り戻した身体は中で暴れる肉棒に歓喜した。
穿たれる度に振動でブラウスの前が全開になり、たゆんと乳房が揺れる。緩急つけて出し入れされ、生まれる性感に身体が悶えた。
スカートももう腰までたくし上げられて、肉棒を咥える襞も剥けたクリトリスも零れる体液も、余すところなく曝け出された。
恥態をレンズが舐めるように捉えられている。
イヤなのに。撮られているのに。肉棒の動きに全身が性感帯になったみたいに感じてしまう。
「あぅ……うぅ……」
「ホントすごいよ。下のお口が離してくんない……卑しん坊だな」
流石にカイトも息を乱している。大きな手のひらが腰骨と鼠径部を撫で、そこを覆いベッドに押し付けた。そして。
「? うぁ……っ、ああっ! やだぁ!」
腰骨と鼠径部を掴んだ手の親指が、さっきのローターをまたクリトリスに当てたのだ。
「ああっ、ダメぇっ、ダメっ!」
親指とクリトリスの間にローターを挟み、今度はメモリを上げたのかさっきより振動が強い。強すぎる快感に逃げる腰を力ずくで阻まれ、脚ががくがくする。
「ダメなの? いいんでしょ?」
ぐちゅぐちゅと腰をぶつけられてそれにも喘ぐ。
クリトリスに感じる振動と中を抉られる悦びに、もうおかしくなりそうだった。
「はぁっ、あうっ」
「感じすぎちゃう? どこがいいの……?」
「っう……ア、アソコ、が」
「どこ?」
間髪入れず重なる問い。なにも考えられず、思ったことがそのまま口から転がり出た。
「……お、まん……」
「はは、言っちゃうんだそれ」
じわりと涙が浮かんで目尻を伝う。更に激しく突き動かされ、一気に登り詰めてきた。
「ひぃ……ぁ……も……ダメぇっ」
大きく開いた脚の爪先がピンと張る。二度目の絶頂に、断続的に身体を震えさせる私からカイトは肉棒を引き抜き、扱きながら内股目がけて己を解放した。
「あ……あぁ……」
ねっとりした飛沫が腿やアソコにかかり、それが垂れる微かな感触にも感じて小さく震えた。
カイトがデジカメを降ろし、息も絶え絶えの私を見下ろす。
柔らかかった話し方とは一転した声音で「淫乱」と低い呟きが落された。
「……で、痴女してたってワケ?」
私は全裸に剥かれ、今度は後ろ手にカイトが隠し持っていた手錠で戒められた。
様々な道具を使った淫らな愛撫をされながら、電車で私がやっていたことについて尋ねられ、全部白状させられた。
話す事を拒否したり口ごもれば痛みを覚えるほど乱暴にされ、感じている身体を放置される卑猥な尋問で全て言わされた。
あの路線に乗っていたのは仕事の都合上、今日までだったこと。
彼にした行為もその動機も。自宅で行為を思い出して自分を慰めてたことも……全て。
「仕事のストレスと欲求不満の解消って、大胆だなあ」
後ろから私を抱えたカイトは回してきた手で乳房を揉む。愛撫というよりきつく握りしめられた柔らかい膨らみは、おかしな形に変形した。
「い、痛い……」
「痴女最終日の今日はノーブラノーパンで電車に乗り込んで来たんだ……舐められたもんだね」
ぎり、と乳房に指が食い込んだ。苦痛に悲鳴を上げる。
「この変態」
耳元で囁かれた。違う、と言いたかったけど、カイトに私の行動を言葉で羅列されると、否定なんかできない。
私のしたことは本当に変態のすることだ。なんてことをしてしまったんだろう。
「ご、ごめんなさい」
「ふうん。悪いことしたって思ってるの?」
今度は優しく乳房を揉まれる。その手付きに縋るよう、私は項垂れ頷いた。
もう酷いことしないで。気が済むまで謝るし、二度とこんなことしないから。
「……君は僕に許してほしいの?」
こくんとまた頷いた。後ろから抱きつかれているから、カイトの表情は見えない。許してほしい。全部私が悪かったの。調子に乗ってエスカレートしていった行為。
男のほうから触ってこないって、反撃されないってどうして思っていたのかしら。
性欲に負け、言葉巧みに縛られていいように犯され、あまつさえそれを撮影され……。
後悔に涙が滲んでくる。
「ごめんなさい……幾らでも謝るわ。お願い、撮ったものは消して……」
泣き声に似た声で乞う。でも、背後から感じたのは鼻で笑う気配だった。
「いやだよもったいない。ハメ撮りなんて、そうそう撮れるもんじゃないよー」
乳首に指が触れ、くりくり弄られて身体が竦んだ。
「はう……っ」
「撮られてるって自覚した途端、すっごく締めたよね? 感じまくってびくびくしてて可愛かったな」
「やめてよ」
「動画は保険って言ったでしょ? 消さないよ。こんな淫乱なペット手放すつもりもないしね」
ぎょっとして目を見開いた。今、なんて……ペット?
首を捩じってカイトを見ると、彼がにっこり笑う。人の良さそうな笑顔を向けられているのに、私の身体はカタカタ震えだした。
もしかして、この男は。
「淫乱なペットには、僕以外の男に腰を振らないようにちゃんと躾をしないと」
恐怖に声の出ない私を突き倒し、うつ伏せの肩に体重をかけられる。ベッドが軋みながら沈み、もがく私の背中を生温い舌が尾骨へ向かって這っていった。
「安心して、イヤらしくって変態の君をちゃんと飼ってあげるから……今日は週末だし食料も買い込んだから、たっぷり教えてあげる」
「い……イヤ! イヤぁっ!!」
不遠慮に潜り込む指が中を掻き回し身体が総毛だった。嫌悪感と快楽が同時に身の内を蝕み、苛む。
足掻いても逃げられない。絶望しか見えないこの現実に、固くつぶった瞳から涙が零れるのを私は感じた。
おしまい
カイト編に続く