リーマンなカイトとOLなメイコ3/メイコ編 
 
【 注 意 事 項 】  
 ・カイメイ  
 ・パラレル作品なので超注意してください。  
 ・会社で、カイトに遠隔操作でえっちなことをさせられるメイコさん。ソフトなSM風味。  
 ・挿入ナシ。相変わらずご都合主義的展開。  
 以上が苦手な方はスルーよろしく。7〜8レスほど使用します。誤字脱字はご容赦を。  
 あと、今回エロ度低めになってしまった。スマヌ。  
 
 
戒められた手首がもがく度に、手錠が耳障りな金属音を奏でる。  
身体を伝う大きな手のひらが、暴れ疲れた汗ばむ肌にしっとり馴染んだ。  
抵抗する脚をかわし、足首を捕えられ大きく割り開く力に抗えない。  
曝け出された私の性器を薄く笑いながら見つめられ、身体が竦み羞恥に熱くなる。  
奥から滲み始めた体液を、青い光彩が認めて手が伸ばされた。  
肉食獣のような視線に射抜かれ、身動き一つできない。  
ああ、もうすぐソコに、指が――。  
 
「メイコさん?」  
名を呼ばれはっと意識が戻る。声の方へ顔を向けると、後輩のミクが私の席の横でお財布を片手に首を傾げていた。財布につけられたネギのチャームが揺れている。  
「えっ、何?」  
「何って、お昼になったからゴハン誘いに来たんですよ〜」  
周りに視線を走らせれば既に多くの同僚たちが席を立ち、残った者は自席でお弁当を広げている。食べ物の匂いが鼻を掠めた。  
「あ……もう、お昼休み?」  
「そうですよ。そんなに仕事に集中してたんですか? ……あれ? 顔、赤いですよ?」  
「何でもないわ!」  
だって、集中してたのは仕事のことじゃない。とても口では言えないようなことだったから。  
にこにこ笑うミクに「早く食堂に行かないと席がなくなっちゃう」と急かされ、私は慌ててバックから財布と化粧ポーチを取り出した。  
 
 
食堂は混みあっていたけど、何とか席を確保し昼ご飯にありつけた。  
テレビ番組の話しとか、上司の笑える失敗とか、そんな他愛のない会話をしていると、不意にミクが「そうだ」と切り出した。  
「昨日の夜の飲み会、メイコさんなんで来なかったんですか。皆びっくりしていましたよ」  
「え? あ、ああ。昨日はちょっと、ね」  
引き攣りそうな頬を叱咤し、なるべく自然な笑顔を作った……つもりだ。  
「結構いいお酒が飲み放題なのに、メイコさん不参加だっていうんだもん。ホント、驚いちゃいました」  
ミクの言い分はあんまりだけど、酒好きな私を知る人ならば飲み会の誘いを蹴ることに驚くのも無理はない。酒絡みのイベントはほぼ皆勤賞な私だ。  
「久しぶりにメイコさんと呑めると思ったのになぁ」  
ネギだくのみそ汁を啜りながら、ミクが悲しそうに眉根を下げた。ミクは入社時から私を慕ってくれる可愛い後輩だ。  
「ごめんね。また今度誘って?」  
チラっと上目遣いにミクの大きな瞳が動く。  
「もしかして……メイコさん。オトコできました?」  
「へ?」  
思わず唐揚げを箸から落としそうになった。私の動揺を見透かしたミクはだからかぁと肩を落とす。  
「酒好きのメイコさんが飲み会蹴るんだもん。ヘンだと思ってたんですよ。最近付き合い悪いし、仕事終わるとさっさと帰っちゃうし」  
ミクは神妙な顔で腕なんか組んじゃってるけど、別に彼氏恋しさにいそいそと帰っているわけでは断じてない。  
――あの男とは、そんな甘い関係じゃないから。  
昨日だって……。  
昨夜の記憶に頬が熱くなる。俯いて唇を噛んだ。こんなところで思い出すな、私。  
可愛い顔の割に結構はっきりモノを言うミクの言葉が、私に突き刺さる。  
「でも、ちょっと心配。メイコさんって流されやすいし、男運悪いんだもん」  
ミクは笑いながら、鰆の西京漬けの最後の一切れを口に放り込む。  
聡明な後輩の洞察力に、私は頭を抱えたくなった。  
 
 
食後、売店に行くミクと別れてある場所へ向かった。  
職場とは離れた、社内でもあまり人の来ないトイレへ。  
予想通りトイレには誰も居なかった。この階のフロアは女性社員が少ないから、ここを利用する人もあまりいない……はず。  
でも、油断はできない。全く誰も来ない保証はどこにもないのだ。  
一番奥の個室に入って携帯電話を取りだす。あの男の番号を出し、かけた。  
…………呼び出し音が暫らく鳴った後、彼が出た。  
『……やあ。ちゃんとご飯は食べてきた?』  
穏やかな低音に私の鼓膜を通じ身体を震えさせた。身体が緊張する。  
「はい……ご、ご主人様」  
声を潜め、未だ抵抗のある呼び方を声の主に返した。そうじゃないと、後で何をされるか分からない。  
昨日も私の身体を苛んだこの男は――私の『主』を主張する。  
先日から私を躾と称し調教する男。名を始音カイトという。  
昨夜、昼食を取ったらトイレから連絡を入れるよう、彼に指示されていた。  
私に逆らう権利は無い。逆らえばお仕置きされるし……私が強姦された姿を映した動画を彼に握られている。いや、正確に言えば強姦されているというのに悦んでいる私の動画を、だ。  
彼に無視すれば無修正のそれを、会社や動画サイトにバラまくと脅されれば、私にはなす術がなかった。  
それだけじゃなく、カイトは私を犯す度に、乱れ悶える私の痴態を気まぐれに撮影する。  
そして泣きながら許しを乞い快楽に溺れる姿を、正気に戻った私に見せて哂う悪趣味な一面があった。その度に羞恥で苦しむ私を、カイトは愉しんでいる。  
「あ、あの……」  
萎縮する私に、咽で笑う声が聞こえた。  
『焦らないで。ちゃんと持ってきた?』  
アレは、昨日手渡されていた。思い出し、かっと顔が熱くなって俯いてしまう。  
「はい」  
『そう、時間も無いことだし準備しようか。……服を脱いで。全部ね』  
通話口から聴こえる言葉に絶句した。外からの視界を隔てた個室だけど、全部って……。   
「ま、待って……」  
『今更でしょ? メイコ。昨日君が僕におねだりしたことを思い出せば、個室で裸になるぐらいなんとも無い筈だよ?』  
うろたえる私に、柔らかな声が容赦なく言い放つ。  
『メイコは昨日、後ろの孔の処女を僕に差し出したよね。自分からお尻を開いて、恥ずかしい格好でさ。あれに比べたらそこで裸になるぐらいどうってことないよ』  
「やめて!」  
嘲笑を含んだ声音に、昨夜の出来事を思い出し涙が滲んだ。  
お尻の孔をしつこく弄られ、高められ、誘導されて……自分から願ったのだ。あんな弄り方、我慢が出来なかった。  
挿ってきた肉の棒がお尻を貫く耐え難い屈辱を思い出し、携帯電話を握る手に力がこもる。  
とても最後までカイトの嘲りを訊いていられなくて、返事をするほかない。  
「……もう、分かったから……」  
『あ、ガーターとストッキングはそのままでね』  
携帯を紙巻器の棚の上に一旦置き、私はスーツに手をかけた。  
あまり時間をかけられない。ブラを外すと、キスマークと強く握られて出来た指の痕が、乳房と一緒に揺れる。昨夜の名残だ。  
最後にショーツを下ろした。内腿に冷たい感触が伝う。彼の声を聴いて、これからやらされることを予想し下着はしっとりと湿っていた。  
カイトに調教された身体は、私をすっかり作り変えてしまった。屈辱的な命令なのに私の身体は反応している。  
服を畳んで便座の後ろの棚に置く。ひんやりとした空気が肌に染みた。  
こんな場所で、無防備な姿になるなんて心細くて仕方ないのに、確かに興奮している自分がいた。  
 
「脱ぎました……」  
再び電話に出ると、カイトの楽しげな声がした。  
『じゃあ、便座に座ってから、アレ出して』  
蓋をした便座に座り、ポーチの中を探ってアレを取りだす。アレとはローターのことだった。昨日の夜カイトから手渡され、会社に持っていくよう指示されたのだ。  
イヤらしいことが大好きなメイコのために、会社でも満足させてあげるよ。そう言って。  
『スイッチいれて、乳首に当ててごらん。円を描くように……』  
言われるまま乳首に低い音を上げ振動するローターを触れさせた。乳首に感じる振動に肩が竦む。  
「んっ……」  
『ふふ。メイコは乳首弱いもんね。もう勃ってるんだろ? もう片方も同じように』  
指摘通り、刺激を受けた乳首ははしたなくピンと勃って硬くなっていた。芯を持って反応を示すそこに、いつも触れてくる彼の指を思い出す。  
私が否定や拒絶の言葉を口にする時、いつもお仕置きに乳首を強く捻り上げられる。  
痛くて、悲鳴を上げる私にお構いなしに抓って冷笑するカイトが脳裏に浮かび、背筋に悪寒とも快感とも言い難いものがぞくりと這った。  
あの夜から、私はカイトを「ご主人様」と呼ばされて身体を好き勝手に犯されている。  
一夜限りの関係だと思っていたのに撮影された恥態を材料にカイトは私を辱め、あれから私の世界が一変してしまった。  
カイトは避妊をしようとせず、私は自分を守るためにピルを常用するようになり、昼間は何食わぬ顔で仕事をこなして夜はカイト専用のペットだった。  
これは『躾』だよ。そう言いながらカイトは私に囁いて身体を蹂躙した。  
嫌らしい台詞を言わされ、恥ずかしい格好も幾度となくさせられた。その姿を眺め、カイトはせせら笑い私に侮蔑の言葉を投げつける。  
拒絶すれば胸を抓ったりお尻を平手で叩かれ、次第に私はカイトに従順になっていく。  
恐ろしいのに、嫌なのに、拒否しきれない。カイトの調教は性質の悪い麻薬のようだった。  
意地悪を囁く低音も私を苛む指も舌も痛みも全部が甘くて、腰や身体の奥底も蕩けてしまう。  
全てが終わった後、私を抱きしめる体温がそれまでの仕打ちを忘れさせるぐらい優しい。  
あんなに私をいたぶるのに、身体や髪を撫でられると心地よくって、この時ばかりはつい、うっとりと身を任せた。  
カイトは行為中とその後の落差が激しいのだ。受ける仕打ちが激しい程、その後に包み込む腕が異常な性行為を忘れさせ安心させて、私を錯覚させる。泥沼だった。  
そんな夜を重ねてゆき、気がつけば私はカイトに身も心も支配される獣になっていた。  
音漏れを恐れてメモリを下げているローターの弱い振動に、敏感な乳首は物足りない性感を感じて焦れた吐息が咽を登る。便座に座り込む脚が、もっと欲しいと徐々に開いた。  
静かな空間に私の堪え切れない吐息が響く。アソコが燻るように熱い。開いた脚の中心が自然に便座のフタの上に乗って、ひんやりとアソコを冷やした。  
「は……ぁ……」  
『どんな感じ?』  
「気持ち、いい……です。でも……」  
『でも? なに?』  
「……足りない……お願いします、ご、ご主人様……」  
 
官能の種火が下半身で燻ってる。一度火をつけられた身体は、より強い刺激を求めて私を灼いた。  
カイトの咽で笑う気配が、肩で耳に押し付けた携帯電話から伝わる。  
『全くメイコはしょがない淫乱だね。下、触りたいの?』  
「だって……」  
『ま、いっか。いいよ触って。でも、僕の言う通りにね。大きく脚を開いてアソコを丸出しにして』  
言われるまま、便座に浅く座り脚を出来るだけ広げた。昨夜指示を出された時から期待でうずうずしていた身体は、素直に声に従う。  
後ろに傾けた背中に、タンクの冷たさを感じて、火照る身体を自覚した。  
『ローターを舐めてからクリトリスに当てて。下から上になぞるんだよ』  
目の前にカイトが居るわけじゃない。こんなこと、感じているような声出してやり過ごしたり、服だって脱いだ振りしてカイトを喜ばせればいいだけなのに。  
だけど私はカイトを拒否出来なかった。だって、手にしたローターが昨夜の情事の激しさを思い出させ、身の内を焦がすのだ。  
舌でローターに唾液をつけ、舐め上げた。  
あの柔らかな低音が放つ酷い言葉に、身体が支配されている。カイトの声に私は指一本も自分の意思で動かせない。  
護ることも隠すこともできない裸体は熱が高まる一方で、さっきまで肌を撫でていた寒さなどもう感じなくなった。喘ぎを咽の奥で留めるも難しい。  
私の個人情報はカイトに握られ、彼は私のスケジュールどころか生理期間までを完璧に把握していた。  
だいたい2〜3日おきにカイトからの連絡が私の元に届いて、呼び出される。  
場所はいつもホテルか私の部屋で、まだ躾中だからと土日などは室内から出してもらえない。全てがカイトの都合に合わせ、私は行動させられた。  
心も身体も疲弊するまで酷使され、抵抗する気力を快楽で踏みにじるようなセックスは、私の中から知らない生き物を揺すり起こす。  
呼び出しのメールに終業後いそいそとホテルに行き、苛められ犯されてカイトをご主人様と呼ぶ日々は、私の中の淫らな獣を目覚めさせ刺激して止まなかった。  
「はんっ……」  
膨れたクリトリスに宛がうローターは唾液と粘膜で滑らかにソコを辿った。望んだ快感に咽が反る。  
『可愛い声。ゾクゾクするよ……』  
「……っ」  
イイコだね。と囁く声と、ちゅっと湿った音。アソコにキスされている気がして、興奮する。潤んだ膣から新たな体液が零れ、便座のフタを汚した。  
指示に合わせ、アソコを蹂躙するローターが敏感な部分に触れる度に、膝がびくんと跳ねるのを押さえられない。  
『メイコ、感じてる?』  
「う……は、い」  
『ホントかなぁ? メイコの涎を垂らす孔の音が聴きたいよ。確かめたい』  
びっくりして動かしていた手が止まった。え……?  
我に返った私の口から、初めて否定の言葉が転がり出る。だって、そんなの恥ずかしい!  
「や……無理……!」  
途端に、穏やかだけど不機嫌さを滲ませた声が携帯から響いた。  
『無理じゃないよね。メイコは変態だもん。今だってそんな所で一人でオナってるんだから』  
ひどい。やれと命令をしたのはカイトなのに、まるで他人事のようにそんなことを言ってくる。  
「でもっ」  
こんなことを社内でしているのに今更だけど、それでも羞恥が勝ってまた口答えをしてしまう私に、一際低い声が投げつけられた。  
『聴かせて。命令をきかないとお仕置きだ』  
 
命令。そう言われて私は身を竦めた。お尻を打たれた時の恥辱を思い出してしまう。  
一旦ローターを置き、のろのろ腕を動かし脚の間に携帯の通話口を据えて指でアソコに触れた。  
入り口と襞を擽るように動かすと、濡れそぼるソコは簡単にくちゅくちゅと音を鳴らした。  
電話の向こうで耳を澄ましているであろうカイトを想像し、脳内で自分の指をカイトのモノに置き換えまた芯が疼いた。  
微弱なローターの振動より、指で弄ってカイトに音を聴かせている方が感じる……。  
はぁ、と息をつき、電話に戻ると堪え切れないといった笑い声が私の鼓膜を嬲った。  
『はは。イイ音だね。たくさんイヤらしい汁を零して傑作だよ。  
 あ、ローター使っていいよ』  
カイトは満足したようだった。許しを得て、再びアソコにオモチャを当てがい息を殺して快楽に身を震わせる私に、カイトの意地悪な軽口を言う。  
『ねえ、会社のトイレでさ、裸になってオナニーしてるのって、どんなキモチ?』  
「……っ……!」  
『あんなはしたない音がする位濡れてさ。さすがメイコだよ。すごく嫌らしい。  
 ……誰かに気づかれたらって思うと、もっと興奮するのかな?』  
「そんな……あっ、ん……」  
『気持ち良いから大股開いてんでしょ? メイコはおマタがゆるいからね。感じると、いつも僕に見せつけるように脚を開くじゃないか』  
視線を下半身に向けると、桃色の乳首を尖らせた乳房の間から陰毛が飾る脚の付け根が見えた。広げた性器から陰毛を透かしオモチャが嬲る赤いクリトリスを僅かに確認できる。  
ローターを動かす度、内股がぴくぴく震える。座り込む便座のフタも、背中が寄りかかるタンクも、私の上がりっぱなしの体温ですっかり温くなっていた。  
身体を中途半端に蝕む刺激は、ただ私をじりじり私を焦らすだけ。快楽が苦しくて私はカイトに懇願した。  
「お願い……全然、足りないの」  
『足りないって、何が?』  
分かってるくせに、カイトはとぼける。意地悪だ。私の身体をこんなにして、嘲笑して快感を得ているのに。……ヘンタイなのは彼のほう。  
「イキたい……」  
ローターが滑り、良い所に当たって声が漏れてしまった。  
『素直で可愛いね、メイコ。でも、口の利き方戻っちゃってるよ? そうじゃないよね』  
「……ぁ、イカせて下さい、ご主人様ぁ……」  
ねだる声は余りにも甘ったるく、自分自身に嫌気がさした。でも、それが今の私の偽らざる気持ちだった。  
『それから?』  
あくまでカイトは私に言わせる。そうさせることで、私の被虐性癖を認めさせるように。更なる快感を求める身体は彼の思惑通りに理性を手放させ、それは一旦仕事を放棄する。  
震える唇が勝手に動き嫌らしい言葉を綴って、子宮がどうしようもなく疼いた。  
「メイコの、えっちな露を零す淫乱なアソコを……苛めて、下さい……」  
恥ずかしさも頂点になって、涙が滲む。電話に向かってこんな卑猥な言葉でおねだりするなんて。  
過去、関係のあった男にこんな仕打ちを許したことなんて一度もなかった。強引に身体を求められても、はっきりと拒否を示せば相手は退いてくれた。  
セックスに溺れることがあっても乱暴にされれば途端に冷めたし、ましてや被虐の悦びなんて感じたことなどなかった。  
それなのに、カイトに酷いことをされると身体が言うことを利かなくなる。あの低音が囁く命令とお尻を打つ手のひらに、性感を感じ全身が震えた。  
恐怖も痛みも全部快感にすり替わり、脳が警鐘を鳴らすのに引き込まれる。  
その一方で正気の部分の私は、カイトに玩ばれる現実を受け入れることなんかできない。  
こんな自分を信じたくないのに、身体はカイトの陰険な言葉でちゃんと悦んでいて、苦しかった。  
 
『……いいよ。ローターを下のお口に入れて。奥までね』  
許しを得られ、私は粘膜の溢れるソコにオモチャを押し込んだ。粘膜を垂らしながらそれはくぷんと埋没し、コードだけが襞の間から顔を出す。  
胎内で震える微弱な振動にまた焦れた。  
『入れた? そうしたら、メモリを最大に上げてクリトリスを指で弄って』  
唇を噛んでメモリを上げた。途端に強く震えだしたローターの刺激に思わず身体が跳ねて、反射的に脚を閉じてしまった。  
「はひっ……!」  
ぶぶぶ……とアソコからこもった振動音が漏れている。その音も私を煽った。  
『気持ちイイの? クリトリスも触ってる?』  
「ま、まだ……あっ、ぁ」  
『ダメだよ。ちゃんと言うこときいて』  
柔らかな口調だけど、有無をも言わせない威圧感があった。閉じてしまった脚を緩々開き、震える指先をソコに運ぶ。  
ちょんと触れただけで、熱い溜息が咽から漏れた。それを悟ったのか、カイトが訝し気に訊く。  
『どうしたの? 指の腹でクリトリスを引っ掻いてごらん。それと……』  
カイトの言葉に沿い指を動かすと痺れるような快感が身体を巡った。まるでカイトに触れられているみたい。  
喘ぎ、絶頂へ導かれながら、私は周囲のことなんか考えられなくなっていた。いやらしい声も吐息も、とっくにトイレ中に響き渡ってる。  
今ここに誰か来たら、絶対に言い逃れなど出来ない状況に興奮して性感が高まっていく。  
自分を慰めることなんて初めてじゃない。だけど身体は自分ひとりで自由にするより、ずっと私を昂ぶらせた。  
容赦のない卑猥な命令を下すカイトの低い声音が、私を狂わせる。カイトの私を嗤う言葉や指令が、指一本触れなくても私の身体を疼かせて、意のままに操って喘がせた。  
こんな場所で感じて快楽を追う私は、カイトの言う通りもう淫乱な女でしかないのだ。  
「ぅは……っ、や、あ……っ」  
『……もうイキそうみたいだね。今人が入ってきたら、メイコは会社に行けなくなっちゃうのかな?』  
一番考えたくないことを、あっさりとカイトは口にする。まるでそうだったら面白いのにと言わんばかりだ。  
「い、言わな、いで……っ」  
「ああ、変態の君はバレたって普通の顔して出社するんだろうね。それで、周りの人間に嗤われながらアソコを濡らすんだ」  
剥けて硬くしこる尖りが指の下でコリコリと押し潰す。体液で滑る度に身体を痺れさせ、胎内で動くオモチャの与える刺激を増幅した。  
粘ついた水音を立てて動く指が止まらない。段々荒くなっていく呼吸が苦しい。身体のどの部分より、アソコが感じて仕方なかった。  
こんな時に、本当に人が来たら、私……っ。  
「あ、あっ……んぁ……」  
『ふふ。メイコ、気持ちイイ?』  
「ん、っ」  
『素直だね。いいコだよ。メイコはイヤらしいことをしている時が、一番カワイイ』  
鼓膜に響くカイトの声に夢中になっていたら、粘膜まみれの指が滑ってクリトリスを強く弾いた。  
「っ、ひゃぁん」  
『しー。そんな大きな声出したら、トイレの外にだって聴こえるよ?』  
はあはあ息を乱し必死に喘ぎを殺す私とは対照的に、カイトはどこまでも余裕綽々で。  
絶頂の兆しを身体が察知し、内股がぴくりと震える。  
「あぁ……は、ぅ……も、イっちゃう……」  
『……イキたい?』  
「は……い……っ」  
しばらく沈黙があった。焦れる私を余所に、カイトはゆっくり溜息をつく。  
『仕方ないね。いいよ』  
まるで、手のかかる子供へ向ける教師のような物言いだった。  
許しを得て、私は夢中で指を動かした。中と、外からの刺激に耐えられるはずもなく、簡単に快楽の階段を駆け上る。  
「っ、あ! ひぃん……っ、あっ――! ん、ん……」  
膨らんだ快感が弾け、独特のぞくぞくした感覚が全身を走る。  
制御できず、携帯を片手に大股を開きながらびくびくと私は身体を震わせ、果てた。  
脱力し乱れる息に乳房を弾ませ、特有の倦怠感に浸る私に「ご苦労さま」と笑いながらカイトが労う。  
『楽しませてもらったよ、メイコ。今日の帰りもいつもの場所で待ってるからね。ご褒美に、うんと可愛がってあげる』  
一方的に通話が切られ、私は携帯を畳んで脚の間の奥深くで振動するオモチャのスイッチを切った。  
コードを引っ張ると、余韻に締まる膣壁を押し分けながらローターが粘膜と共に出て便座のフタを濡らした。  
 
――うんと可愛がってあげるよ。  
切り際のその言葉に、身体が熱くなる。  
今日もあの声で意地悪を言われて、大きな手のひらが私のお尻を打つんだ。――そして犯される。じんじんと熱を持つアソコを押し開き、手加減なしに何度も何度も穿たれ屈辱と苦痛と凌辱が私を狂わせていく。  
どれも軽蔑していた行為のはずだった。  
女を力ずくで捻じ伏せるなんて、恥ずべき行為だと憤ってた。  
頭では嫌悪を持っている程なのに、身体はぶつけられる辱めにこれ以上なく感じて獣が悦ぶ。  
自分でも存在すら知らなかったイヤらしい獣を無理矢理引き摺りだされ、これを戻す方法を私は見つけられない。  
手に負えない淫乱の獣に手を焼くなけなしの理性が、私の中で苦しいぐらいに鬩ぎ合う。イヤなのにイイ。辛いのも苦しいのも、全てが私を蕩けさせた。  
否定してもするほどに、私はカイトに、自分の性癖に、どんどん追い詰められていく。  
そんな自分を忘れたくて、昼間の時間は平然な顔をし真面目に仕事をこなすけど、カイトが私の目の前に立てばそれすら夜の乱れ方を際立たせる原因になった。  
そして元の自分でいられる会社の中でさえ、全裸になって自慰に耽るまでになり、もう逃げ場なんて何処にもありはしなかった。  
囁かれる毒のような声と、日常の中の非日常の状況に興奮し、それを自覚しているのに止めることができない指。なんて嫌らしく、性質が悪い。  
本当に、どうしてこんなことになったのだろう。  
あの電車で、どうして私はあんなことをしてしまったんだろう。あの時、私は確かに捕食者だった。しかし今は、彼の命令に背けない従順な獣だ。  
自尊心も矜持も粉々に砕かれ、身体の中では淫獣が悶え狂う。こんなの、こんなの私じゃない……!  
 
痛くて、辛くて……でも気持ちがいい。屈辱すら性器を濡らす。  
私を淫乱のメス犬と呼ぶ、あの声。  
胸の奥を締める苦しさに、快楽に流される情けなさに涙が浮かんだ。  
 
私は、私は――。  
 
打たれる記憶に、お尻が熱くひりつく痛みを思い出し、疼くアソコがまた濡れるのを感じた。  
 
 
おしまい  
 
 

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