『リーマンなカイトとOLなメイコ』4 
 
一日の仕事を終え、会社を出ようとエレベーターへ向かう。  
扉の閉まり間際、見知った同僚が終業後で込み合う箱に滑り込んで来た。  
「カイト殿か。お主も今帰宅か」  
僕を認め、声をかけてきた同僚は神威だった。1Fのボタンを押しながら僕も返事を返す。  
「お疲れ。神威」  
「最近帰るのが早いな」  
「まあね。やりたいこと、あるし」  
神威の声が、少し低く意味ありげな物に変わった。僕だけに分かる符牒だ。  
「躾は順調なのか?」  
「ああ。最初は大分手を焼かせられたけどね。段々懐いてくるのが可愛いよ」  
神威の目が細まって、僕も微笑んだ。その時、いきなり僕らの会話に割り込む声がした。  
「始音さん、ペット飼ってるんですか?」  
声の方を向けば、同じ部署の女子社員がこちらを見ている。黄色のロングヘアを揺らして小首を傾げるのは、確かリリィさんだ。  
今の僕らの会話を聞いていたみたいだ。確かに今の僕らの会話は、傍から見れば飼い始めたペットについて語っているようにしか聞こえない。  
「そうだよ」  
僕がリリィさんにそう答えると、神威は口元に手をやって顔を逸らした。多分、笑っている。  
「そうなんですか。何を飼ってるんですか? 始音さんならネコちゃんかなぁ?」  
リリィさんは無邪気に笑っている。僕はちょっと考え込んだ。  
焦げ茶色のショートボブ。躾ける度に睨んだ薄茶の瞳。怯えながらも吠えるように僕を罵った声。  
「小型犬。茶色の毛並みが綺麗で、可愛いんだ」  
神威の肩が揺れたと同時にエレベーターが軽い音を立て振動し、一階に到着した。  
 
 
駅へと繋がる人が増え始めた道を、僕は足早に進む。  
僕のペットに会うためだ。僕のペットは昼は会社に勤めていて、お互い会社帰りに待ち合わせホテルでご休憩がいつものコースになっている。  
……僕に獣姦の趣味は無い。ペットは犬でも動物でも無く、一般企業に勤める女性だ。  
名を咲音メイコという。一見勝気に見える整った顔と、見事な身体を持つ女。  
駅について時間を確かめると、早足が効いたみたいでいつも乗る時間の電車より数本前に到着したようだ。これでは待ち合わせ場所に、中途半端に早い時間に着いてしまう。  
………………。  
メイコの会社に行ってみようか。拝借した名刺からメイコの会社の所在地は知っている。幸い僕の勤める会社から電車でほんの数駅だ。  
メイコの困った顔が目に浮かぶ。僕は楽しくなって路線図を見上げた。  
 
行動を起こしてから、もしかしたらすれ違うかもしれない。と危惧したが、それは杞憂に終わった。  
会社に辿りつく前に、メイコを呆気なく見つけることが出来たからだ。  
しかし……メイコの腕に絡みついている、アレは……。  
メイコは腕に長い髪をツインテールにしたソレを引き摺る形で歩いているから、歩みが遅い。だから僕はメイコに会えたともいえる。  
後ろに回り近づくと、メイコと腕にぶら下げている女の子の会話が聞こえた。  
「もおー! たまには後輩に付き合ってゴハン食べに行くのもいいじゃないですか〜!」  
「だからっ、また今度って言ってるでしょミク!」  
「それ何回目だと思ってるんですか〜? ミク、メイコさんに振られっぱなしなんですよっ」  
「分かった、次は絶対、ね?」  
「んもー……そんなに彼氏との約束が大事なんですかぁ? その彼氏に嫉妬しそう。メイコさんを束縛しすぎ!」  
つい軽く吹き出してしまった。メイコが僕との約束を優先するのは、僕の折檻が怖いからだ。  
僕が吹き出した音に気がついた目の前の二人が足を止め、くるっと振り向く。メイコの顔が一瞬にして凍りついた。まだメイコにひっついている女の子はきょとんとしている。  
「やあ。それと、そっちのコは初めまして」  
メイコのグロスに彩られた艶やかな唇が、細かく震えていた。  
 
 
「まさか、メイコさんの彼氏さんがお迎えに来るなんて!」  
僕ら三人は駅に程近い居酒屋に入った。メイコの同僚の初音ミクちゃんがビールの入ったグラスを片手に、ニコニコ笑う。その隣でメイコは借りてきたネコみたいに大人しい。  
「待ちきれなくてね」  
僕は初音ちゃんに合わせて微笑んだ。  
初音ちゃんは長い緑髪をツインテールにした、健康的で可愛い女の子だ。  
男からしたらぱっと見、守ってあげたくなるタイプなんだろうけど、さっきメイコに絡んでいた姿を見ているのでなんとなくだが彼女の本性が垣間見えた。  
メイコを独占している僕の値踏みをしたいのだろう。  
メイコは俯いたまま、汗をかくグラスを持つ指に力を入れている。緊張している様子だ。メイコにしてみれば、自分の近しい人間と僕が顔を合わせるのが好ましく思えないのが、手に取るように分かった。  
初音ちゃんは僕に興味津々で、そんなメイコに気付かない。  
「メイコさんに彼氏が出来たのは分かってたんです。メイコさんてば仕事終わると一目散に帰っちゃうし、飲み会全然顔出さないし。会社の皆も、『アレは男だね〜』って。  
 でも全然口を割らないから、相手はどんな人なのかなって皆ウワサしてたんですよ!」  
「あはは、ごめんね。メイコは会社でどんな感じなの」  
初音ちゃんは社内での、僕の知らないメイコの話を話し出した。隣のメイコ本人がが口を挟めない程に。  
仕事はきっちりこなして、上司の信頼も厚く後輩の面倒見も良い。次々と初音ちゃんの口から語られるメイコは、話しだけ訊いていると自立し、周囲も認める優秀な社会人そのものだった。  
初音ちゃんはやたらと『カッコイイ!』を連発し、メイコは少々ぐったりしている。  
果てはセクハラ同僚に困っていた女子社員を集めて、リーダーになり追求した武勇伝まで訊かされた。なにをやっているんだか。自分は痴女のクセに呆れてしまう。  
含みのある僕の視線に気がついて、メイコはきまり悪そうに俯いた。  
初音ちゃんは相当メイコを慕っているようで、まるで自分の手柄のように話す。  
メイコに関する情報を拾いながら適当に聞き流し、いい情報源が出来たとほくそ笑んだ。もちろん顔には出さない。  
彼女はメイコに傾倒しているみたいだし、味方につけておけば便利な存在になりそうだった。  
 
「二人とも、どこで知り合ったんですか?」  
まあ、当然すぎる質問にうろたえたのはもちろんメイコだった。派手な音を立てグラスをテーブルに置いた。  
「ミ、ミク。ほら、ネギマ食べない? ほら、私のあげるっ」  
と、メイコは串からネギと焼き鳥を外し、何故かネギの方を初音ちゃんの取り皿に乗せた。  
「わーい! ありがとでっす!! あれ? なんかメイコさん汗かいてますよ?」  
「いやだ〜ちょっと酔ったのかも? あははは……は……」  
メイコの引き攣り笑いが虚しく卓上に響くが、初音ちゃんは気が付いていない。この子も酔ってるな。  
メイコは絶対に本当の事など言えやしない。初音ちゃんの興味を逸らそうと必死だ。  
「電車だよ」  
僕は笑顔でメイコの努力をふいにした。メイコが表情が途端に凍りつく。  
「電車ですか? いがーい」  
初音ちゃんは興味津々で、大きな目をキラキラさせた。女の子は恋愛話しが好きだなあ。この子も例外ではないようだ。  
対して、メイコは青褪めて僕から目を逸らしていた。それはそうだ。僕はメイコに信用されていない。  
何を口走られるか戦々恐々といったところか。馬鹿だなあ。本当にメイコは馬鹿だ。だが、そこが可愛い。  
「先月頭、僕が使う路線にメイコが乗り合わせてね。それがきっかけかな」  
「そういえばメイコさん、その頃ちょうど他社に出向してましたもんね。あの時かぁ。でも、電車で恋に落ちるなんてロマンチック! アプローチはカイトさんから?」  
見る間にメイコの表情が強張ってくる。面白いけど、あんまり問い詰められると僕も面倒だから煙に巻くことにした。  
「それは僕とメイコの秘密」  
笑顔で言い放つと、初音ちゃんがえぇ〜と不満そうに口を尖らせた。  
「そこが肝心なのに!」  
「ごめんね。メイコが恥ずかしがるし。ここの勘定は僕が持つから勘弁して」  
ぱ! と初音ちゃんの顔が輝く。ゴチでっすと僕に敬礼した。  
メイコはほっと溜息をつきながら複雑そうな顔をしていた。その心中が手に取るように分かる。そっと笑いながら僕はビールに口を付けた。  
 
 
それでは、後は若いもの同士でゆっくりと! と、言い残し、僕らより若いハズの初音ちゃんは手を振って駅へと向かっていった。  
見送りながら、メイコが化粧直しに席を立った時に初音ちゃんが口にした台詞を思い出す。  
 
――カイトさんって、なーんか掴みどころないですね。本音言わないってカンジ。  
 
……あのコ、見た目より馬鹿じゃないな。会話の中で僕個人について色々探ってはきたけど、適当にあしらっていたのバレてたみたいだ。  
そこは人生経験の差というか社会人経験の差というか、必要以上のことは悟らせるヘマはしない。のらりくらりはぐらかして肝心なことを口にしない僕に、初音ちゃんは次第に胡散臭さを感じたようだった。  
 
――でも、そのくらい慎重な人の方が、お人好しで流されやすいメイコさんにはちょうどいいかも。  
 
思い出して、咽の奥で笑った。確かに初音ちゃんの言う通り、メイコはしっかりしているようでどこかヌケている。あの子の観察力は正しい。  
ただ、本音を上手に隠すフィルターの向こうまでは見えないようだ。  
僕はメイコにとって有益な存在ではない。むしろ有害なものに違いないのに。  
薄く笑った僕に、メイコが怪訝な目を向けてくる。初音ちゃんと呑んでいた時とは違う、怯えながらも期待を滲ませたそれを受けて、僕は彼女の形のよい尻を鷲掴んだ。  
びくっと跳ねた肩。指が柔らかな臀部に埋まり、メイコが小さく呻く。  
「じゃあ、いこっか」  
囁くと、細い顎が項垂れるようにかくんと落ちて肯定の意を示し、僕は満足して笑みを深くした。  
 
始める時と終わる時、僕はメイコの身体を綺麗に洗ってあげる。  
飼い主なんだから、ペットの世話をするのは当然だ。湯を弾く肌も、曲線を描く肢体を流れ落ちる泡を見るのも好きだ。  
度重なる折檻に最近はメイコも大人しくなって、僕に怖々と身体を任せてくる。逆らわなければ怖ろしいことはないと、ようやく学習したのだ。しかし、全てを委ねながらも信じ切れずに不安げに揺れる眼差しが、愛らしくて仕方がなかった。  
初めて犯した夜、反抗心も露わに僕を睨んでいた瞳は連日の調教で徐々に強さを失い、今では飼い主の顔色を窺うそれになった。  
綺麗に身体を洗い終え、火照る身体を後ろから抱き締めながらシャワーのコックを止めた。  
抵抗しないとはいえ、メイコはペットだから拘束は欠かさない。今夜も手錠はかけているが、後ろ手ではなく身体の前で手首を繋いでいた。  
何時もならば身体を洗った後抱き上げてベッドへ連れていくのに、きゅっと抱き締めたまま動かない僕を、メイコは疑問に思ったようだ。落ち着かず、腕の中で身動ぎをする。  
「ねぇメイコ。今日は変わったことをしようか」  
「え……」  
前々から考えていたこと。初めて神威の『玩具』を見た時から、ずっとメイコにもしてあげようと考えていたことだ。  
その為に持ち込んだアレを、シャンプーボトルの陰に隠していた。  
僕はメイコの下肢にそっと手を伸ばす。脚の間、僕が一番可愛がってあげている場所。その亀裂をそっと指の腹で撫でると、腕の中の柔らかな存在が強張った。  
「ん……!」  
「メイコは淫乱だからさ、ココにおちんちんを挿れるの、大好きだよねー」  
襞の重なる膣口を擽っていると、早々にぬかるんでくる。洗ったばっかりなのに、はしたないなあ。  
「ふふ。もう濡れてきた。気持ちイイと、メイコは誰にでも股を開いちゃうの?」  
「んっ……そんな、こと……っ」  
「信用できないよ。こんなんじゃ。だからさ」  
指にしっとりと水分を含んだ陰毛が絡らみ、それをくいくいと軽く引っ張る。軽い抵抗感がして、数本が抜け濡れた床に流れた。  
「コレ、剃っちゃうから」  
鏡に映るメイコの瞳が見開かれ、一拍置いてふるふると横に首が振られた。  
「そうすれば、流石のメイコも恥ずかしいだろ? 僕以外の男に股を開けなくなるよね?」  
なんて言ってみる。仮にメイコが他の男と寝たってそれを口実に苛め倒すだけ。要は剃毛する理由のこじつけだった。  
「や……嫌……あぐっ」  
今度は陰毛を掴んで乱暴に引き抜く。痛みに悲鳴を上げるメイコを、予め敷いておいたバスマットの上に押し倒した。  
「止めて! お、お願い……そんなことされたら、友達に見られたら……」  
「ああ、温泉とかスパとか、そういう時は生やしていいから。予定が急に決まった時は、諦めて」  
「イヤ! 他の男と寝たりしないから、許して……!」  
「淫乱の言うことは信じられないなぁ」  
開こうとする脚が抵抗を見せ、いらっとする。強引に割開かせ身体を入れ、身動ぎにたぷんと揺れるおっぱいの頂点を思いっきり抓み上げた。  
「いた……っ! やぁっ、それ嫌ぁ! 痛いの、や……っ!」  
「僕はお願いしているんじゃないんだ。分かってる?」  
強めに引っ張ると、メイコの背中が反ってくる。あ、あ、と口の端から苦痛の声が転がり落ち、目尻に涙が浮かんだところで離してやった。  
白い肢体が、大きく息を吐いて弛緩する。左の乳首が可哀想なくらい赤くなっていた。  
ボディーソープを手で泡立て、大人しくなった脚を左右に割り茶色の陰毛に泡を絡める。  
短い毛並みを梳くように指で更に泡立てて上から見下ろせば、見えちゃいけない部分を泡で隠してる安っぽいエログラビアみたいな格好になって、ちょっと滑稽だ。  
隠していた剃刀を手にした僕を目の当たりにし、メイコの豊かな胸の間で手錠をかけられた手が震え、細かい金属音が浴室に響く。  
「暴れて手間をかけさせないでよ。怪我はさせたくないんだ」  
君は僕の大事なペットなんだから。  
そう続けると、怯えた茶色の光彩が一瞬揺らいで、メイコは覚悟を決めたように固く瞳を閉じた。  
「そう、動かないで……」  
従順な姿に満足した僕は、股ぐらに顔を埋めると注意深くソコに剃刀の刃を当てた。  
 
神威の家で『玩具』の巡音さんに引き合わされ、その股間が剃毛されていたのを見てから、ずっと気になってた。  
メイコの躾が進んで服従を示したらこれをしてやろうと思っていたが、その時は存外早くやって来た。  
僕がS気味だったことと、なによりメイコに被虐の気があったのが大きかっただろう。  
調教が始まって直ぐに、メイコはその素質を露呈した。  
打たれ、あられもない格好で淫らな言葉を強要されて犯されるメイコは、嫌だ止めてと泣きながらもアソコをぐっしょり濡らし性感で全身を震えさせる。  
虐げられ凌辱される度に恍惚とした表情し、またそんな自分に混乱している姿が愛しい。  
強制的に引き摺りだされた被虐体質を否定していたメイコも、今やその性癖を認めているようだ。ただ、完全に受け入れはしていないが。  
仕方ないことだと思う。長い間知らなかった自分の本当の姿がマゾ女だなんて、信じたくないだろう。  
実生活では上司に信頼され、後輩があれだけ慕うぐらいのしっかりした社会人をしているのなら尚更。  
しかし、受け入れ難くもこの姿が本来のメイコなのが現実だった。  
身体を貪られ苛まれて性感に悶える最中に、メイコの中で理性がフラッシュバックのように浮かび上がる。  
その理性を打ち消す程の凌辱を与えれば、彼女は簡単に溺れてまた喘ぐのだ。  
あと少しでメイコは完全に堕ちる。自分の性癖を受け入れられない故に、こちら側と向こう側の境目の淵に片手で爪を立て、必死で自分を支えているメイコ。  
その指を踏みにじって快楽の奈落へ堕としたい。貶めて、凛とした顔が恥辱に蕩ける様子が見たい。メイコだって、決して僕を嫌っていないはずだ。  
その証拠にたっぷり苛めて可愛がった後は、抱き締めたり髪を撫でてやると甘えて擦り寄ってくる。  
手酷く扱う程に、後にとびきり優しく扱ってやる。そうすれば、次の呼び出しにメイコは待ち合わせ場所へやってくるのだ。  
僕の折檻が怖いクセに、その折檻を受けるために。何て矛盾だ。  
飴と鞭とはよく言ったものだ。メイコは本当に可愛くて可哀想で愛らしい、僕だけのメス犬だった。  
 
 
バスルームからベッドに場を移し、全裸の肢体を飾ってあげた後に壁の一面を占める鏡にメイコを映した。同時に鏡は傍らに散らばる、僕が持ちこんだ淫具も反映させる。  
「ほら見てメイコ。すごくよく似合ってるよ」  
今日のコーディネイトは、先日通販で購入したくすんだ赤いレザーの首輪と手枷。乳首にニップクリップ。  
首輪は僕が気に入るものがなかなかなくて、探すのに苦労した。しかしその甲斐はあったようで、焦げ茶の髪と細く白い首筋に赤くて太い首輪はよく似合った。  
ちゃんとリードも付けられる仕様で、今は銀色の鎖が繋がっている。  
手枷は首輪とお揃いで、身体の前で両手首を一つに纏めて固定した。手錠の時とあまり変わらないが、無骨な鉄よりは全然マシだった。  
乳首を抓むクリップは尻に細い鎖がついていて、双方を繋いでいる。挟むところが革で覆われて力もそれ程強くはないが、身体を揺らした所でピンと勃つ乳首からは簡単に離れない。  
成熟した身体に本当にお似合いだ。  
ベッドの上で座り込み、僕に背中から抱えられているメイコは自分の卑猥な姿に視線を逸らした。  
「さ、脚開いて。キレイにしたココを見せて」  
「……っ」  
さっきまで薄毛のあった恥丘を指で辿る。僕を見上げる瞳にはもう潤んで、抗うように身体が固くなっているのが、腕に伝わった。  
「……メイコ。言うこと聴けない? だったらアレ使おうか。М字開脚用の拘束バンド」  
アレもよく似合ってたよねと耳元で囁けば、ひっと怯えた肩が震えた。  
この前はアレを使用して、強制的に脚を開かせたくさん可愛がってやった。  
丸出しにした性器に、バイブを突っ込んでクリトリスを玩び、泣かせて悲鳴を上げさせ、インターバルを置かず続けざまに何度も何度もイカせてよがり狂うメイコを言葉で責めまくった。  
脚を閉じられず、秘部を隠せないメイコは上からも下からも涎を垂らす。綺麗な顔を歪め羞恥と快感で感じまくって、その様子に僕は興奮した。  
ご主人様のおちんちんが欲しいと哀願しても、バイブを膣に挿したまま口で奉仕させた。  
結局あの日は、顔に出した所でメイコが中イキして失神したんだっけ。  
「僕はどっちでも構わないよ。自分で開く? それとも無理矢理開かされる方が好き?」  
乳首のクリップ同士を繋ぐ鎖を軽く引っ張る。おっぱいとメイコが小さく揺れた。  
数秒の逡巡の後、メイコはおずおずと自ら脚を開いた。  
 
「あっはっは、随分すっきりしたね。元々薄いから、あんま変わりないかなって思ってたけど全然そんなことないねぇ」  
僕はおかしくて笑いを止められない。  
メイコの性器はつるつるで、そこだけみたらまるで幼い女の子の性器だった。  
しかし身体全体を眺め、大人の女の股間に在るはずの陰毛がないのは、改めて淫靡だと感心してしまう。  
大いに笑われて、メイコは面伏せて悔しそうに唇を噛みしめていた。  
ぷにぷにの大陰唇に指を這わせると、ちょっとだけ皮膚に引っかかりを感じた。視認し辛い毛が少し残っているようだ。  
あんなに丁寧に刃をを当てたのに。今度は毛抜きも使わないとな。  
下方の襞は既にぬかるんで、指を中に入れると膣がくぷくぷ鳴りとろりと粘膜が流れ出す。  
「М字拘束の話しをしたから思い出しちゃった? ぐちょぐちょだよ。それともおっぱいで感じてるの?」  
「ひ……ぅく……」  
ぬるぬるを万遍なく性器に塗りこめるよう指をゆっくり動かし、ついでにクリトリスも押し潰す。はぁんと声が上がったが頓着せずに刺激を与えた。  
広げられた性器は見る間に艶を帯び、陰毛のなくなったソコが淫靡に光る。  
桃色の肉は飾りが無くなったことで一層映え、男の劣情を煽りまくって下腹部に力を与えた。  
「あんなに薄かった陰毛がないだけで、指の通りが全然違うよ。襞がぱくぱくしてお口を開いているのが良く見える」  
「あ……あぁん……やだ……」  
「大人の女なのに毛の生えてない、恥ずかしいマンコだ。さっきのコ、初音ちゃんだっけ? 先輩がこんなマンコしてるだなんて、思いもしないよね」  
「えっ……」  
一瞬、日常に戻されたようにメイコは鏡の中の僕を見つめた。  
「それだけじゃないよ。こんなSМグッズを身体につけて僕に鳴かされているなんて、想像すらできないね。きっと」  
後ろから優しく囁いて、メイコの身体の前から下へと手を伸ばす。襞の下のさらに奥、小さな窄まりを指で叩く。  
特に念入りに洗ってあげた、可愛い孔を。  
「やぁっ!」  
「初音ちゃん、君をかなり慕ってるみたいだもんね。教えたら面白そうだな」  
無論、嘘だけど。こんな姿のメイコを知っているのは僕だけでいい。  
メイコに信用の無い僕の言葉は、そのまま真実と聴こえてしまう。言葉なく頭を振って、こげ茶の頭がいやいやと揺れる。  
大体、初音ちゃんはちょっと危険な匂いがする。慕うという範囲を超えた好意を、メイコへ向けている気がした。本人たちは全然気がついていないけど。  
気がつかないように仕向けるけどね。ヘタをしたらメイコを取られかねない。  
指の腹で窄まりを揉んでいたら、眉を寄せながらもメイコは何とも言い難い視線を投げかけてきていた。  
「ん? どうかした?」  
「……っあ……、ミクに、興味があるの……?」  
後輩の身を案じるというより、別の感情を持った言葉だった。僕は瞬時にそれを理解し、吹いた。  
「ちょ、いきなりなに? 生憎僕は、貧乳に興味はないんだ」  
確かに可愛いコだったけど、接した時に感じた性格では多分メイコのような従順さも内に眠る被虐趣味もないだろう。どっちかといえば、あのコは僕寄りの人間だと思う。  
空いた左手でおっぱいを揉みしだき、胸の飾りが揺れてメイコは喘いだ。  
「こういうのが好きなんだよ……それに」  
手中のたわわなおっぱいの柔らかさを堪能しつつ、耳元に唇を寄せる。  
「僕のペットは君だけでいい」  
答えの代わりか、お尻の孔のほんの少しヒクつく。  
指にその動きを感じ、僕はそっとほくそ笑んだ。  
 
枕を重ね、なだらかな斜面にした上にメイコの背中を乗せて、僕は彼女の前に腰を据えた。  
首輪のリードをベッドヘッドに繋ぎ、手首も手枷に鎖をかけ伸ばした先をベッドの支柱に括りつける。首も手も、鎖にちょっとだけ遊びを持たせておいた。  
メイコは上半身を少し起こしてバンザイをする格好になる。  
脚を開かせ、新しい装いと剃毛した性器が良く写るようメイコを記念撮影してやると、抵抗のつもりか僅かに身を捩った。  
ゴムの指サックを付け、後ろの孔に指を添わせる。まだ乾いているソコへ、無遠慮にゴムに包まれた指を捻じ込んでみた。  
「っ、あ! や、そっちは……っ、痛っ……待って、痛いの! やぁっ」  
当たり前だが本当に苦痛のようで、叫ぶ声は涙混じりだ。  
「ああ、ゴメンゴメン。濡らしてなかったね。ローション付けるから」  
溝に垂らしたローションの冷たさに白い尻が震える。塗り込めるように指に力を入れていくと、爪の先が孔へと埋まっていく。  
「どう? もう痛くない?」  
孔を拡張するように入り口を穿る。既に開発の進んでいるこの孔に、メイコはちゃんと快感を覚えている。  
「……は……い……んっ……」  
アナル責めが最近の僕のお気に入りだ。膣は言うまでもないが、この孔もなかなかだ。  
メイコの後孔は処女だった。ここを弄り倒して、自ら求めるように仕向けた。  
普通のセックスでは使用しないココを辱めると、メイコはより屈辱感が増すのか、助けてと言いながら啜り泣いてしまう。それでも腿を伝う程、膣から粘膜を流しつつ感じていた。  
綺麗に整っている勝気な顔が歪む。それは僕の嗜虐心を大いに煽り、可愛くってしょうがなかった。  
「あ……うっ……うぅ」  
快感の喘ぎか苦悶の呻きか判別のつかない声。苦しそうに顰められた眉。  
でも紅潮する頬が、彼女が感じているのを正直に表している。  
「指、全部入っちゃったよ。ほら、こんなにスムーズに動くようになった」  
埋めた指を少々曲げ、腸壁を掻きながら抜き差ししてやる。ゆっくりとした速度で、ちゃんと異物を確認できるようにね。  
最初の頃より大分解れたのか、ローションの助けを借りて滑らかに出入りする指。時々ちゅぽんと音がするのは御愛嬌だ。  
「うぁ……ひ……ぅ」  
「後ろの孔、僕の指を嬉しそうに飲んでる。マンコも一気に濡れてきたよ。どれ」  
後ろを刺激しながら桃色にぬかるむ場所を舐めた。内腿が引き攣れるように振れ、柔肉の間に舌を差し入れて舌を動かす。  
存分に味わってから顔を離し、指は後ろを解すのを続けながらあんあん鳴くメイコの唇を、自分のそれで塞いだ。  
噛みつきを怖れて今までしなかったキスをするようになったのは、つい最近の事だ。  
メイコが従順な姿勢を見せ始めてもキスやフェラは控えていたが、躾が行き届いた今は怖れることはなくなった。  
「ふ……んん……」  
舌を入れ誘えば、おずおずと差し出される舌先。絡め、口腔を余す所なく犯し、最後に下唇を甘咬みして離す。  
「……自分の味はどう?」  
なんともいえない味だったのだろう。メイコは嫌そうな顔をしている。  
その口元を拭ってやり、僕はまた脚の間へ戻った。  
 
「そろそろ頃合いかな」  
尻を弄っていた指を抜き、傍らの淫具の中から卵型のローターを取り出してメイコの眼前に掲げる。  
「今日はこれを前に挿れようね」  
「……あ、ぅく……」  
びくりとしたメイコを尻目に僕は無毛の性器にそれを埋め込んだ。最奥に置いて指だけ引き抜くと、襞の間からコードが垂れさがる。その有様に僕は目を細めた。  
後ろにも新たにローションを足そうとした時、不意にメイコが泣きだした。  
「やだ……もう、いやぁ……」  
「……なに? どういう事?」  
昂ぶっていた気分が少しだけ冷めた。後ろの孔を散々弄ってたんだから、今夜なにをされるのかメイコにも予測できていたはず。  
どうやらなけなしの理性が、危険を察知して働いたみたいだ。  
「や……おかしく、なる。こんなの、私じゃない……っ」  
瞳から大粒の涙が溢れ、こめかみを伝っていった。しゃくり上げ、メイコは咽を震わせる。  
「痛いのも、辛いのもいやなの……それなのに……。もう、やだ……」  
許して。メイコは力なく懇願した。  
脱力してベッドに沈む拘束された肢体。豊満な身体をイヤらしく飾られ、こんなにも似合っているのに。  
僕は口元を歪ませ、笑った。こちら側とあちら側の淵で、自己を保とうとしがみ付いている指を踏みにじるのは今なのかもしれない。  
「驚いたよ。まだそんな理性が残っていたんだね」  
白々しくそう言って、ぴったりと揃えたメイコの脚を、脹脛を掴み脚を高く上げさせた。腰が浮き、性器と丸い尻が突き出される格好になる。  
「ひゃっ!」  
「今更何言ってるんだよ。この間撮った映像見せただろ? あの中のメイコは僕にお尻をぶたれて、精液を顔に受けながらバイブでよがってたじゃないか」  
「いや! 言わな……ああっ!」  
ぱん、と部屋の空気を乾いた音が振動する。僕がメイコの尻を打ったからだ。  
続け様に何度も叩く痛みに、メイコが甲高い悲鳴を上げた。乳首の飾りが打撃に金属の音を立てて跳ねる。  
「口では嫌だと言いながら、喘いで濡らしてさ。あんなイヤらしい女、AVでだって見た事ないよ」  
「あうっ、あっ、痛い!」  
「尻をぶたれて、苛められて悦ぶ自分の姿を見てどう思った? メイコがいくら違うと言い張っても、あの映像を見た人間は誰だってメイコをドМ女だって言うよ!」  
最後に一際強く打って、手を離した。僕の息も打撃と興奮に乱れる。  
「あひっ……!」  
「……ほら、こんなに感じてる」  
埋め込んだローターのコードが伸びる膣を弄ると、滴る粘膜が零れてくる。嫌だ止めてと言ったところで打たれてこのザマでは、感じていなくてなんだというのだ。  
静かに涙を流すメイコに覆い被さり、その雫を指で拭った。  
「メイコは苦しいの?」  
見上げる瞳は涙に覆われ、きっと歪んだ僕が網膜に映っているのだろう。  
鬩ぎ合う理性と異常性癖はメイコを縛ってがんじがらめにし、身も心も縛り上げる。メイコを苦しめる戒めを解く方法は、ただ一つだけ。  
「楽になる方法を教えてあげようか」  
メイコの脚の間に身体を戻し、括れた腰を引く。うぐっ、と苦しげな声に顔を向けると、僕へ身体を寄せさせたせいでメイコの首が首輪に締まっていた。  
「ああ、鎖が短かったか」  
身体の位置を調整して首を緩めてやると、メイコは咳き込んで酸素を取り込んでいる。その様子を見つめ、僕は動きを再開した。  
「メイコが苦しいのは、本当の自分を認めようとしないからだ」  
後ろの孔を指で一撫でしてから、興奮に昂ぶる肉棒の先をぐりぐりと押し当てた。メイコの瞳が恐怖に見開かれる。  
「ひぃっ……! いや! いやぁっ」  
僕から逃れようと跳ねる腰を両手で固定し、もがく腕の動きに鎖が耳障りな音を立てた。  
馬鹿なメイコ。そんなことをしたって、僕から逃げられたことなんて一度もないじゃないか。直ぐ流されて、結局僕に犯されていい声で鳴くくせに。  
正常位で先端が後ろの孔の中へ潜り込む。孔の広がる感覚に恐怖する硬直した身体は、細かく震えて可愛そう。  
「認めなよ。快感に流された口先だけの言葉じゃなく、理解して。  
 君は変態で、淫乱のどうしようもないマゾ女ってこと。そうしたら」  
「あ……ぐ……っ……苦し……」  
抜き差ししながら中へと徐々に進めていく。開発が進んだせいか、孔はスムーズに僕を受け入れた。  
「そうしたら、ずっと僕の傍で飼ってあげるよ」  
半分ほど入った後、一気に根元まで埋める。孔が異物に無理矢理拡張され、薄茶の透明な瞳はこれ以上ない位に見開かれた。  
「うぁ……! ああっ…………あ――っ」  
鎖を鳴らし、メイコは絶望に悲鳴を上げた。  
慣らしながらの突き上げに孔の入り口がきつく締まる。  
 
僕はメイコの胎内に埋めたローターのスイッチを入れた。  
後ろの締まり具合でも射精は可能だが、やはり膣ほどの快感は得られない。  
それでも後ろを執拗に責めるのは、メイコに屈辱と恥辱を与えるためだ。  
普通のセックスでは使わない部分で感じさせ、悶える自分を自覚させるためだった。  
ローターは足りない性感を補うための小道具に過ぎない。体感的にはこれで十分だ。  
緩い抽送を繰り返しながら、優しく囁いた。  
「孔が、びっくりするぐらい広がってるよ。ほら、分かる?」  
肉棒が貫くその入り口の淵に添い、広がる円周を指でなぞり辿る。引く時にぷっくり膨れる孔の淵が愛らしい。  
「あぅ……や……いや……」  
「どうして? 嫌じゃないだろ。乱暴にされるのがいいんだろ?」  
こもったモーターの音が胎内から響く。  
「違っ……わたし、そんなんじゃない……っ!」  
揺すりながら膣へ続くコードを軽く引っ張る。メイコが喘ぎを殺そうとして失敗し、膣はローターを食んで離さない。  
「そうかなー? じゃあ、お尻をめちゃくちゃに犯されて喘いでいるメイコは、一体なんだろうね」  
ローターのメモリをぐっと上げると、いやあと叫ぶ泣き声が僕の鼓膜を心地よく震わせた。  
「う……うぅ……あ……っ」  
自我を保とうとする姿はいじらしいけど、下肢の刺激に腰はくねって我慢が効かないようだ。  
「……ねえメイコ。考えてみなよ。普通の男が君の本当の性癖知ったら、先ず逃げると思わない?  
 自分の女が他所の男に痴女じみたことをしたり、ぶたれて感じるなんてさ。冗談じゃないよね」  
ゆっくりと出し入れし後ろの孔で繋がる僕らを、さっきまでイヤらしいメイコの姿を見せていた鏡壁が余すところなく映していた。  
僕に苛められて、犯されて、悦ぶその姿。どんなに否定したって、これがメイコの現実だ。  
「マゾ女の君を否定せずに、満足させて躾まできるのは、僕ぐらいだよ?」  
肉棒を突っ込ませてぐりぐり抉る。きゅ、と入り口が嬉しそうに締まるのに、メイコは引き攣れた声を出した。  
「ひぃ……!」  
「まだ分からない? 君は変態で淫乱のドМ女。  
 認めてしまえば、辛くも苦しくもなくなる。だって事実だからね」  
「わ、わたし、わたしは……」  
涙に濡れた瞳は虚ろで、僕すら映っていないように思えた。しかし刺激を与えれば身体は敏感に反応を返してくる。  
「……わたしは……」  
悲鳴と泣き声で掠れるメイコのアルトが呟く。  
「何度でも言うよ。君は陰毛を剃られ尻を引っ叩かれて悦んで、犯されながら感じるどうしようもない被虐趣味のメス犬だ。  
 そういう自分を受け入れれば、全部が楽になるよ。きっとね」  
焦れるメス犬の身体は、気まぐれに強く突き上げれば嬉しそうに嬌声を上げた。  
決してイかないよう、でも性感に悶えるように、僕は細心の注意を払う。  
ローションを足した結合部はぐちぐちと粘着質な音をさせ、浅い吐息が走り時折漏れる喘ぎが室内を漂った。  
「わ、たし……あ、あ……っ、も……ぅ」  
「安心して。君がどれだけ変態でも、僕が飼い主としてちゃんと可愛がってあげるから」  
謳うようにいうと、僕に応えるようにメイコの身体が大きく震えた。  
「あ……ふ……っ、あっ、お、お願い、っあぁ!」  
弾かれたようにメイコが鳴く。僕は口元が緩むのを抑えられない。  
「もっと! もっと激しく……っ、んっ!」  
「激しく? なに?」  
求められても相変わらずの中途半端なテンポで、メイコの官能の火種を燻らせる。  
箍が外れた彼女はイヤイヤをして、身体をくねらせながら更なる刺激を僕に乞い願った。  
「あっ、もっとしてっ、激しく、してぇ……!  
 へ、変態で淫乱の、私をっ、犯して下さい……っ」  
 
もっと、苛めて。  
 
吐息交じりの囁きを僕は確かに拾って、ローターのメモリをMAXまで一気に上げた。ひぃんと鳴く声が愉しい。  
それでいい。大笑いしてしまいそうだ。  
堕ちたメイコに追い討ちをかけ僕から離れなくさせるために、思いっきり腰をぶつけ始めた。  
勢いよくメイコを突き上げると、ベッドに繋いだ鎖が金属独特の音を律動に合わせて鳴る。  
たわわなおっぱいがぶるぶる揺れて、乳首を挟んだニップクリップも一緒に跳ねた。  
どうやらニップクリップの重みが、揺らす度に乳首を刺激しているようだ。  
膣の中に潜るローターはMAXにしたせいか、広げた無毛の股からモーター音を響かせ、潤み切って涎を垂らすアソコが卑猥さを増した。  
「あ――っ、あぁ――っ、もっと、もっ――あ、ひゃぁ……っ」  
さっきまで自分の性癖を必死に拒絶していたのが嘘のように、メイコはよがり狂う。  
とろんとした瞳。上気した頬。赤く濡れた唇は半開きになって、小さな舌が垣間見えた。  
凌辱をされているというのに恍惚とした表情を浮かべて鳴くメイコは、自分の体質を曝け出し、自分を忘れ感じまくっている。  
その姿は正真正銘、発情した獣だった。  
「ね、認めたらラクでしょ? 君は、いたぶられて犯されるのが大好きな変態だよ。この万年発情期」  
「あぅ……ふ……わた、し、は、へん、た、い……」  
「そうだよ。こんなに感じちゃって。可愛いね、メイコ。  
 きっと初音ちゃんがメイコの今の姿を見たら、驚くどころじゃないよねえ? 軽蔑されるかも?」  
「あぁんっ」  
おっぱいを鷲掴んで指の跡がつく程揉み上げる。悦ぶメイコに、僕の愉悦も深くなる一方だ。  
締め上げる孔の入り口は僕を求め、絶頂が近いことを悟る。  
苛められ、胎内も犯されて敏感な乳首も責められている状態じゃ、もう持たないようだ。  
「ひぅ……あっ、あっ、はぁん……!」  
登り詰めるメイコに合わせて腰を振ってやる。締め付けと堕ちて快楽に溶ける姿にぞくりとし、僕の射精感も高まった。  
「も、イクっ、ああんっ、ご主人さまぁ……っ」  
うわ言みたいに、自分からご主人様と何度も繰り返し僕を呼ぶ。  
伸びた爪先が空を掻き、熱くて切望する声音に加虐心が擽られてどうしようもなく興奮した。  
互いにもう少しで絶頂を掴む。その直前、僕はニップクリップに手を伸ばし、チェーンに指をかけて力一杯引っ張った。  
「ひぃっ! イっ……あっ、あぁああ――――っ」  
乳首を食んでいたニップクリップが彼方に飛び、その強い刺激と下肢の責めに負け、メイコがびくびくと肢体を跳ねさせながら、イった。  
「…………っ、うっ……!」  
僕も腰を振り、中で扱きながら爆ぜる。  
全て放出し、ずるりと引き抜くと萎えかけた肉棒と共に精液も垂れた。  
イった後も中の刺激で落ち着くことができないメイコはもう限界で、肢体が痙攣じみた動きをしていた。様子を見ながらローターも止めてやる。  
快楽に堕ちるのは歓迎だが、おかしくなってはつまらない。僕はまだまだペットと一緒に遊びたいのだ。  
放心してベッドに深く沈む身体に被さり、赤く染まった頬に唇を落とそうと顔を寄せる。  
僕を認めたメイコは、緩慢な動作で僕の首に腕を絡め引き寄せた。自分から唇を重ね温く柔らかい舌で、僕の唇をぺろぺろと舐める。  
まるで本物の犬のような仕草が似合いで、僕は目をて細め堕ちたメイコに言いようのない満足感を感じた。  
 
汗と体液で汚れたメイコの全身をバスルームで再びぴかぴかにして、僕らはベッドの上にいた。  
メイコの身体から殆どの飾りを外し、首輪のみだけ残した。彼女は枕に背を傾ける僕の、右膝の上に尻を乗せて身体を預けている。  
ぴったりと僕の胸に自分の胸を凭れかけて、大人しい。その頬は、激しく犯された余韻に未だ赤みが残っていた。  
腰に添えた手を下げ、痛々しい手形の痕の残る尻を撫でれば、僕の脚の間に揃えて折った膝、その爪先がシーツに小さな波を作った。  
尻を犯した後、前の孔も同様に凌辱し快楽に泣いていたメイコの身体は力ない。しかし、自分の性癖を認めた解放感からか、まるで憑き物が落ちたような安らかな表情をしていた。  
あれほどドМの自分を、認めようとしなかったのにね。  
メイコは信じないかもしれないが、僕は今まで付き合った女にこれ程酷い仕打ちをしたことはなかった。  
自分に嗜虐心なんてあるなんて知りもしなかった。  
僕の女性との付き合い方は割と淡白だ。なんとなく付き合って、やることやって、別れる時も惜しいなと思うことはあっても、執着することはない。  
会社でだって、僕個人の為人の評価は「穏やか」、「人当たりの良い」といったものが多かった。DVばりに女を罵り尻を打つ僕など、誰が想像できるだろう。  
しかし僕の好みドストライクの女の弱味を握り思うままに犯す行為は、僕の中に言いしれない愉悦を生んだ。  
メイコの綺麗な顔が屈辱に歪む表情が、苦しみながら溺れていく様が、僕の中から眠っていた感情を引き出し、突き動かしていく。  
僕に犯されて悶えるメイコの媚態が、心中深く埋もれていた暴力性や加虐性を強く揺すぶるのだ。  
メイコの被虐性癖を引き出したのが僕なら、僕を変えたのもまたメイコだった。  
「ん……」  
メイコが不意に抜けるような吐息を漏らし、僕は視線を彼女へ向ける。  
腰から尻を撫でていた手を下方へ伸ばし、割れた肉の間へ忍ばせた。指先に生温かい粘膜が纏わりつき、尻が揺れる。  
ほんの少しの愛撫でこの有様じゃ、この身体はどれだけ敏感で猥らなのか。  
メイコは甘えるように素肌を擦り寄せてきた。戯れに首の後ろに手を回し、項と耳の辺りを撫でれば、擽ったそうに更に身を寄せてくる。  
その手をスライドさせ親指で紅色の唇をなぞると、舌先でぺろりと舐められた。若干の媚びを含む上目遣いで僕の親指を甘く食むメイコに、あの凛とした面影はもうない。  
甘ったれの、正に淫乱のメス犬だった。もの言いたげな目で主人の顔色を窺っている。  
あれだけ否定していた自分の性癖を認めた途端、こうも変貌するものかと失笑してしまう。――それだけメイコの中で「理性」が手枷足枷となって、苦しめていたのか。  
しかし本能が解放された今は、従順な獣になり下がった。可愛い可愛い、僕だけのメス犬。  
「……メイコ、まだ遊び足りないの?」  
茶色の瞳が期待を込めて僕を見上げた。  
「君は犬だからね。なにをして欲しいのか行動で示してくれないと、飼い主の僕には分からないよ」  
諭すように言うとメイコは僕の膝から降り、尻をこちらへ向けて四つん這いになった。腰を高々と上げ、滲み始めた無毛の割れ目を指で開く。何時にない積極的な姿に、僕はちょっと驚いた。  
さっきの折檻が相当効いているようだ。  
ぬらぬら光る桃色のソコに指先を沈めながら、甘えを含んだ声でメイコの行動を見ていた僕を呼んだ。  
「ココに、ご主人さまの……おちんちんを下さい」  
「どこだって?」  
「……っ、私の、ヨダレを垂らす、お、おまんこに……」  
「言葉が足りないよ」  
差し出されたぺしんと尻を叩くと、嬉しそうな悲鳴を上げてメイコは更に哀願した。  
「おちんちんが大好きな私のまんこに、ご主人さまの大きいのを……挿れて。もっと、いっぱい、ココを可愛がって……」  
赤味を帯びた後孔の下、指を咥え込んでヒクつく襞を眺めて僕は口角を上げた。  
「せっかくきれいにしたのに、これじゃ台無しだね」  
「だって……弄る、から……あぅ……」  
他人から見たら、酷く残酷な笑い顔だろう。でも、愉しくて面白くて仕方がなかった。あんあん鳴き始めた愛玩犬は尻尾の代わりにむっちりした尻を振って、淫靡に誘いかけてくる。  
「本当にそれだけ? ま、いっか……ご褒美だよ」  
打った痕が良く映える白い尻に顔を近づけ、その滑らかで柔らかな肉を歯形が付くほどの強さで齧った。  
一際高く上がった嬌声が次第に部屋の空気を甘く濁らせ、澱ませていくのを感じた。  
 
 
おしまい  
 
 

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