×   ×   ×  
 
  愛とは、さわりたくなる衝動である。  
  往々にして皮膚は頭脳よりも多くを了解する。  
 
   カールハインツ・デシュナー『生きのいいやつだけが流れにさからって泳ぐ』より  
 
 
  やきもちやきの女の子くらい厄介なものはありません。(中略)  
  いつのまにか相手の男性を、じぶんだけの独占物だと思いこみ、  
  他人にとられまいとして必死になる。  
  でも、にんげんの心は鳥籠に入れておくわけにはゆかないものです。  
  ただ、じぶんが惨めになるだけのことですからね。  
 
   寺山修司『ぼくが狼だった頃』より  
 
     ×   ×   ×  
 
    
軽快な音色の小さなフーガ――フゲッタが部屋に響いている。  
大バッハの『ゴルトベルク変奏曲』だ。演奏は『平均律クラヴィーア曲集』と同様に、グレン・グールド。  
彼が弾いたこの練習曲は、1955年盤と1981年盤という二つのヴァージョンがある。今流れているのは81年盤の方だ。  
――ミクの素晴らしい歌の後、俺たちはベッドの上で、ゆったりと音楽を堪能していた。  
『平均律クラヴィーア曲集』を一通り流した後、俺は『ゴルトベルク変奏曲』もミクに聴かせてみた。  
彼女はこれも気に入っているようだ。俺の腕の中で小さく歌う彼女の声に、俺は透き通る水晶をイメージした。  
――そろそろ眠りが近いかもしれない。さっきの彼女の歌で興奮してしまったが、時刻はもう11時近くだ。  
『ゴルトベルク変奏曲』は、不眠症に悩む伯爵のために作曲されたという。その真偽はともかく、安心して眠れそうな楽曲だ。  
隣にいるミクが妙におとなしいので眠ったのかと思いきや…相変わらずニコニコとしながら俺に寄り添っている。  
――飽きないんだろうな。ここまで俺を慕ってくれるのは嬉しいが、何ていうかこう…節度ももう少しあればな。  
「…えへへ…いい曲だし、ベッドもふかふかだし…ん〜、タツキさんの匂いがするぅ♪」  
彼女は俺の首筋に鼻に近付けて言った。  
「いや、それはロンドンから取り寄せた、ペンハリガンのエンディミオンというオーデコロンの匂いだ。  
寝る時は必ずこれをつける。普段はいくつかの香りを使い分けて…」  
「…だからぁ。こういう時はそこまで具体的な話じゃなくって、もっとロマンティックな話し方がいいって言ったじゃないですかぁ」  
「…ロマンティックっていうか、歯の浮くようなセリフってことだろ?」  
「そうです♪じゃあ特別ですよ、もう一度だけ見本をやります!今の話題でカッコ良いセリフだと…よし、これです!  
『――そりゃそうさ。俺のものには俺の匂いがある。ミクも気付いているだろう?  
君のような世界一の超絶的かつ泣く子も黙る遼来来(リョウライライ)なパーフェクト美少女をついつい誘惑してしまう俺の薫りに。  
ガイアにもっと輝けと囁かれている罪作りな俺を許してくれ――』」  
 
「…そんなセリフを言ったら、羞恥のあまり憤死しそうだ。三国志でそういう武将がいた気がするけど…」  
「恥ずかしがらないで下さい!これじゃミクが単なるイタイ子みたいじゃないですか!  
それと、その武将は于禁(うきん)ですよ!于文則(うぶんそく)、正史で魏の五将のうち最も剛毅と讃えられた名将です!  
ミクだけじゃなくてタツキさんもするんですよ?――こうやって、甘くてうっとりする笑顔で、ミクの顎をくいっと持ち上げて…」  
「大体、『罪作りな俺の匂い』って何だよ…。俺がつけてるのはオーデコロンで、俺の体臭じゃない。  
あと何故に張遼(ちょうりょう)とか于禁を知ってるんだ?魏晋南北朝時代の武将なんてよく覚えてるな…」  
「張文遠(ちょうぶんえん)と于文則はマニアックじゃないですよ、思いっきりメジャー武将じゃないですか!  
ミクは正史厨で蒼天厨だから、臧洪(そうこう)とか牽招(けんしょう)といった正史に列伝があるほどの名将は  
コー○ーにもっと評価されるべき、ていうか名前すら出ないなんて酷いお(#^ω^)ピキピキと常々より悲憤慷慨(ひふんこうがい)して…  
ん?改めて嗅いでみると…タツキさんのコロンって、ミクの服とは別の匂いが――」  
ミクは自分が着ているシャツの襟を掴んで匂いを確かめる。…そうやって襟を引っ張ると、ボタンの隙間から、む、胸が、乳首が見えてる…。  
「…そ、それはフィレンツェから取り寄せたサンタ・マリア・ノヴェッラのルシアン・コロンというオーデコロン…。  
コート類はサンクトペテルブルクで見つけた18世紀のクローゼットに、下着類は李朝時代のチェストに仕舞って、中に必ずそれを振り掛け…」  
「くんくん…う〜ん、いい匂いですね♪もっと直接楽しみたいなぁ…」  
彼女は俺のワイシャツのボタンを外し始め、手早く上半身を裸にされてしまう。  
俺の注意を聞かずに、首の根元に鼻を近付けてくんくんと嗅ぐ。まるで犬みたいだ。  
彼女の身体を密着され、首に鼻をぴたりとつけられている。唇から漏れる吐息がスースーして、さらにぞくぞくとしてしまう。  
「んん〜、いい匂いするぅ♪…ちょっと味見しちゃお」  
ミクは舌をペロっと小さく出して、首筋を舐め上げた。一瞬、背筋に電流のようなものが走った。  
「ひゃう!…らめぇ、いきなり舐めないでってばッ!」  
「お、新しい反応♪あはは、タツキさんがカワイイ声出してるぅ〜♪  
…んん〜、もしかしたら、ここがタツキさんの弱点だったりして?…はむ」  
「ふわぁッ!…く、口付けるな!…くぅ…う、動かすな、舌をッ!モゴモゴって…ッ!」  
「んっ…ちゅる…ぷぁ。…はむ…ちゅ…る」  
ミクは舌を出したまま俺の首を上へ向かって舐め、顎まで舐め上げると、今度は下へと戻る。  
それを何度か繰り返すと、唇で首の根元を吸い上げてきた。  
「くううぅッ!!…ぐッ…はぁ…はぁ」  
「はむはむ…ちゅぷ…ちゅう…ぷはぁ。やっぱりいい匂いですね〜。  
んん?…あは♪タツキさんの首に、ミクが舐めた痕…出来てますよぉ…」  
彼女はその細い指で俺の首筋をなぞる。唇で吸われた痕は俺にはよく見えないが、そこにあるのだろう。  
「…ねぇ、タツキさん」  
「…な、なんだ…?」  
――う、この目って…トロンとした瞳…まさか、『スイッチ』入ってしまったのかッ!?  
 
「…お風呂でしたこと…もう一度、しませんか?…今度は、ここで」  
 
「――え…あ、あのなぁ…って、うぁ…」  
ミクは俺の返事を待たず、既に限界まで張りつめた俺の怒張をズボンの上から右手で撫で回す。  
「…ね、いいですよね…タツキさんの『ココ』も、もう用意出来てるし」  
「用意っていうか、それはだな…」  
「…それに、ミク…ちょっと興味あるんですよ」  
彼女は俺の耳に唇を寄せてくる。  
――吐息は熱く、ミクの顔も赤い。それは恥ずかしさだけではなく、ミクの中にある、その、アレだ…『エロティックなスイッチ』で…。  
 
「タツキさん…ミク、お勉強したいんです。…タツキさんの『ココ』って…何て言うんですか?」  
 
「な、なななななにいいぃぃぃぃッ!!」  
おいおいおいおい、何てことを聞くんだ!?君は、現在齢(よわい)十六の『女の子』だろう?  
そんな、はしたないことに興味など――  
「…ねぇ、教えてくれないんですか?…酷いなぁ、ミクの『お願い』なのに」  
「…ぐっ…」  
「ミクが興味あることは、何でも教えてくれるんじゃなかったんですかぁ?  
…博識なタツキさんらしくないですよ?…それとも…タツキさんでも知らないことがあるんですか?」  
「し、知らないわけじゃ…ないが」  
「じゃあ知ってるんですよね?…知ってるのに、ミクに教えたく無い理由でもあるんですか?」  
「教えたくないんじゃないけど、その…俺から見ておとなしいミクにしては大胆過ぎないか?と思って…」  
「…大胆なミクじゃ、駄目ですか?…こうして…」  
彼女は俺の怒張を、その形が布地越しにはっきり分かるように、ぎゅっと掴む。  
きつめの刺激に大きく俺の分身は反応するが、ミクはそれを喜んだ。  
「あは♪凄いなぁ…こうして…タツキさんのを撫で回して喜んでるミクは…いけない女の子ですかぁ?」  
「いや…その…」  
「駄目なんでしょう?…じゃあ…やめようかなぁ…?」  
止めようなんて言っておきながら、彼女は反対にその手を休めるつもりはないらしい。  
膨れ上がった俺のを手の平で擦り上げつつ、人さし指で先端をくりくりとさすってくる。  
…シャレになってない。はっきりいって、我慢するだけで精一杯だ。気を抜いたら、そのままカルバンクラインのボクサーブリーフの中で…  
俺がそうして真剣に悩んでいると、いよいよ彼女が追いつめてくる。  
 
「…ねぇ、本当はタツキさんだって気持ちいいんじゃないですかぁ?  
だったら…さっきみたいに…ね?あんなに気持ちいいことなら…ミクはもっともっとやりたいなぁ。  
…タツキさんと…もっと気持ち良く、もっと激しく…ね?」  
 
――あぁ、もう駄目。そんなこと耳元で囁かれたら、どんな堅物だろうと君に負ける。  
 
「…うん、まぁ、その…」  
「はい?…聞こえませんよ〜、なんですかぁ?タ・ツ・キ・さん♪…はむ」  
「ひぁあッ!!いきなり首筋を噛むなぁッ!!…だ、だから、そのぅ…」  
「はいはい、聞いてますよぉ?…え、『耳を貸せ』って?」  
俺は恥ずかしさを抑えつつ、彼女に耳打ちする。ミクはそれを聞くと、にんまりと笑って――耳元で再び囁く。  
 
「――分かりました。タツキさんの固くなった『モノ』を楽にするために、ズボンをずり下げて、  
ボクサーブリーフの中から解放してあげて、外気にひんやりとこの固ぁいモノを晒しながら、お風呂で出してたあの白いネバネバが出るまで、  
ミクに直接しゅりしゅり擦ってもらって、優しく激しく擦られて、じらされて、気持ち良くなりたいんですね?」  
 
「だだだだだ誰がそこまで言えって言ったぁッ!!?俺はただ、『ボクサーブリーフの中で固まってきついから、脱がせて』って言っただけだぁッ!!」  
「まぁまぁ、そんなに怒らない怒らない♪…ちゃーんと、タツキさんのリクエストにお応えしちゃいますからね…んしょっと」  
ミクは俺のズボンをまず脱がせ、ボクサーブリーフにも手を掛ける。  
俺の剛直が下着から解放された瞬間、大きく震え、彼女は「おおうっ」とびっくりしていた。  
「…はぁ〜。お風呂じゃよく見えなかったけど、タツキさんのって…こうなってるんですね…。  
ミクの手じゃあ隠れないくらい大きいし、太いし、お腹につきそうなくらい反ってるし…。」  
彼女は俺にぴったりと身体を密着させながら、右手で俺の性器に直接触れる。彼女の手が触れた時にも俺の分身は反応した。  
「あはっ♪すごいすごい、なんかビクンビクンって動くんですね〜。わぁ、なんかちょっと熱あるっぽいし…痛くはないんですか?」  
「…痛くは無い。ただし、あまりぎゅっと掴まれると困るかな。…男にとっての急所の一つだし」  
「急所かぁ、タツキさんが弱々しくなるのもしょうがないですね〜。  
…んふふ、じゃあ今は、タツキさんの急所を握ってるミクの方が、立場的に強いってことですねぇ…」  
…嫌な予感。こういう不敵な笑みと猫のような口の形を浮かべるミクは特に可愛いんだが、それは罠だ。何かを企んでいる。  
「…じゃあ、タツキ先生。質問なんですが…」  
ミクは静かに俺の耳元で囁きつつ、緩慢に手を動かして剛直を擦る。  
 
「…この大きくなった『モノ』って…なんていうんですかぁ?」  
 
俺の心臓がドクンと跳ね上がる。これほど魅了する声が他に有るだろうか?  
――彼女の美声で、これからはしたない言葉を連呼されるかと思うと…俺の我慢も限界を超えそうだ。  
「…男性器、または陰茎」  
「…男性器…?陰茎…?」  
だからそうやって甘ったるく囁くなって…。学術的には『コレ』は性器で間違いないが、今のミクが言うと途端にいやらしく思えてしまう。  
「男性器…男性の、性器って意味ですか?陰茎とも言うんですね…ふ〜ん…」  
「な、なにか…不満か?俺は嘘を教えてはいないが――」  
「嘘ではないと思いますけど…なんかこう…普通ですよね。タツキさんが好きそうな、学問的っていうか…教科書通りの言い方みたい」  
「それは…だって、そういう名称なんだからしょうがない。英語で言うとペニスだけど」  
「ペニス…う〜ん、なんかもっと…砕けた言い方で呼んでみたいなぁ」  
「…なんでそんなのを知りたがるんだ」  
「…ふふ…ミクの勘ですけど…おとなしいミクがあられもない言葉を使う方が、タツキさんがうろたえて面白いんじゃないかなぁって」  
――勘が良すぎる。そりゃうろたえるさ、俺はミクをおしとやかな子だと信じてるんだからな。そんな子が俺の前で『卑語』を使えば動揺する。  
「そこで…教えて下さい。男性器の…『別名』。できるだけ、そうですね…はしたなく思えるやつで」  
 
「…待て。それはやっぱり…って、いてててててて!!」  
「――言ったじゃないですか。『今はミクの方が立場が上』って。…こうやって急所を握られたくなかったら、教えてください」  
ミクの顔は笑っているが、作り笑いだ。唇を機械的に吊り上げただけで、目は笑ってない。瞳はめらめらと燃えた炎を思わせる。  
――こんなことに、情熱を燃やすなって。ヘンな知識ばかり蓄えてどうするんだ?  
「もちろん、タツキさんに喜んでもらうために決まってるじゃないですかぁ♪  
…で、もう一度聞きますよ?ペニスじゃなくて…なんていうんですか?」  
「…ッ…」  
俺は顔を真っ赤にしながら、ミクに小声で教えた。  
それでも耳聡い彼女はその単語を聞き取ると――俺の耳元で、今までで一番熱っぽく囁いた。  
 
「…オチンポ、ですね?」  
 
――わざわざ『オ』をつけるな。それと俺は語尾は『コ』と言ったはずだ。なぜそこまで絶妙な言い換えをするんだ。  
「オチンポかぁ…ふふ、面白いですね。最初に男性器をオチンポって呼び変えた人は偉いですね」  
「何が偉いんだ、何が」  
「だって…現にタツキさん…男性器ってミクが言った時より、オチンポって言った時の方が…興奮してるから。  
きっと女の人でしょうね。多分その人も、今のタツキさんとミクみたいにしながら…オチンポって呼んだんですよ。  
それに大きく反応して…その呼び名が定着したんです。オチンポって」  
はっきり言わせてもらおう。これは興味深い新説だ。だが、さすがに俺の名前で学会には報告出来ないな。匿名で論文を提出してやろうか。  
それにしても『チンコ』より『チンポ』の方がいやらしく聞こえるのは何故だ?言語学者はこの謎を今世紀中には解明するべきだ。  
…俺、順調に壊れてきたな…。論文とか学会とか、アホか?  
「ミクの手で分かりますよぉ?…タツキさんのオチンポ、ピクピクしてる…」  
「っく…」  
「ほらね?こうやってゆっくり擦る度に…オチンポが脈打つの」  
「くう…」  
「オチンポ、気持ちいいんですよね?…あはっ、面白い♪オチンポで返事したんですね?ビクンってしちゃって♪  
…かわいいなぁ…タツキさんも…オチンポも」  
そうやって連呼するな、わざと強調して言うな。もうすっかり卑語が板についてしまっている。  
しかもミクはただでさえ美声の持ち主だ。そんな銀の鈴が鳴るような声と卑語の組み合わせなんて…。  
「でも、タツキさんは普段からこうやってオチンポが立ってるわけじゃないですよね?  
…ミクといる時だけ、こうなっちゃうんですかぁ?」  
「…外部からの強い刺激、わけても性的興奮による精神的刺激によって、男性器が今のような…『勃起』と呼ばれる状態になる。  
通例ならば、女性による外的刺激もしくは肉体的接触に男性は最大の性的興奮を見出すので…」  
「…ちょっと待って下さい。じゃあ要するに…『ミク以外』の女の人がこうやって触ったとしても、  
タツキさんのオチンポは…勃起しちゃうってことですか?」  
――ミクは眉をひそめた。まるで、俺の発言が不愉快だとでも言わんばかりに。  
 
「…ミク以外の女性とのこうした性的接触経験が無いのでなんとも言えない。  
が…生理的反応として考えるならば、アブノーマルな性癖を持たない俺の場合、その可能性は十分あり得ると…って、いだだだだだだッ!!?」  
ミクは右手に力を込めた。俺の急所はダイレクトに痛みを感じる。  
さっきよりも強く握られている。いつのまにか俯いた彼女はブツブツと何かを呟いていた。  
「ぐああぁぁ、ゆ、緩めて!ちょ、ホントに痛いってばッ、ミッ、ミクッ!!」  
「――許さない」  
「…は、はぁ?」  
 
「――タツキさんはミクのモノ龍樹は全部ミクのモノミクだけを見て欲しいミクだけを抱いて欲しい  
ミク以外の女なんていらないミク以外は絶対抱かせない触れさせない浮気させない視界にすら入れさせたくない入れてはならない  
絶対絶対渡さない渡さない誰にも誰にも誰にも誰にもやっと見つけたヒトを失うものか失わない失いたくない失ってはいけない  
だからミクと龍樹の邪魔はさせない排除削除消去除去駆除そうだ許さない許せない許すものか誰だろうと誰が相手だろうと  
排除削除消去除去駆除許さない許さない許さないゆるさないゆるさないユルサナイユルサナイユルサ――」  
 
「ミク?…おいどうした、ミク?」  
彼女は弾かれたように顔を上げた。  
「あ。――あ、あはは。ごめんなさい、ミクってば、こんな時にちょっと考え事しちゃいました。  
…その、ミクもちょっと…タツキさんのオチンポ触ってると興奮しちゃって…浮かれてました。てへ♪」  
舌をペロっと出してウインクする彼女は、無邪気そのものだ。  
…取り憑かれたように何かを呟いていたさっきの表情は消えた。  
だが、早口でぶつぶつと呟き、光を失った瞳のまま思い詰めていた彼女は…正直、恐ろしかった。  
言い方が悪いかもしれないが…敵を排除することにためらいを感じない、冷血な機械のようだった。  
「…じゃあ、止めるか?」  
「そ、それは駄目ですッ!ここまで来たんだから、止めませんよ!ミクはもっと御勉強するんですから!  
…うん、そうですよ。このかわいい勃起チンポ、このままだとタツキさん苦しそうですし…。  
ちゃんと楽にさせてあげますからね?…ふふっ」  
慌てた彼女は、優しく愛おしげに俺の怒張を擦る。  
…もう、この流れは変えられないか。俺は観念したように頭を掻いた。  
 
「じゃあオチンポは分かったから…次はですね…もっと細かく教えてもらおうかな。  
…このオチンポの…先っぽ。赤く膨れ上がったところは?」  
「…亀頭」  
「亀頭、ですね?…じゃあ、この亀頭とチンポの境目…張り出したところは?」  
「…カ、カリ?」  
「カリ?…うんうん、それっぽい言い方ですね。カリ首って感じ」  
「なぜそこで首という単語が出てくる…ぐっ…また、いきなり掴んで…!」  
「ほらほら、質問するのはミクですよ?タツキさんは答える側ですよ…ふふふふ。  
…なら、ここは?亀頭から下に伸びた線のようなところ…」  
「…裏筋、で合ってると思う」  
「あれ、意外に自信が無いんですね?  
…まぁいいですよ、タツキさんは根が真面目な人ですから、その方面の知識はそれほどでなくても不思議じゃないかな。  
…あぁ、あとオチンポって…皮みたいのがついてるんですね。これは?」  
「ひ、引っぱるな!…それは包皮で、幼少時は陰茎を保護し、長ずるにつれて剥けてきて…」  
「じゃあ今のタツキさんのは…『ズル剥けオチンポ』ってところですかぁ?  
…あはっ♪凄ぉい、また大きく動いたぁ♪…ミクがズル剥けオチンポって言ったのが効いてますね?  
――まったく、タツキさんって素直だなぁ。あ、それともオチンポの方が素直なのかな?あははは♪」  
ミクに卑語を連発されるこの状況に、俺の理解と良識が追い付きそうもない。  
…ミクに対する認識が変わってしまう。あまりそういうことは口走らないように、これから倫理観を――  
「…ふふっ。タツキさんの今考えてること…当ててあげましょうか。  
『ミクがこれ以上はしたないことを口走らないように、これから倫理観を学ばせなければならない』って思ってるんでしょ?」  
「…なんでそんなに勘がいいんだか。そうだよ、ミク。…あまりふざけ過ぎるのも考えものだ」  
「…タツキさんが喜ぶからやってるんですよ?心配しなくても、ミクは普段からこんな女の子じゃなかったと思いますよ。  
…記憶が無いから、多分ね。でも、いいじゃないですか…」  
「何がいいんだ、何が…」  
――その時のミクのにんまりとした顔に――俺は少し寒気を感じた。  
 
「――タツキさんの前だから、ミクはいくらでもはしたなくなれちゃうんですよ?  
タツキさんが望むなら、ミクは『何でも』しちゃいます。  
恥ずかしいことも言えるし、はしたなく乱れることも構いません。タツキさんに喜んでもらえるなら…。  
…ミクはタツキさんのモノ、タツキさんもミクのモノです。他の誰のモノでもなく。二人は一つだから。  
――龍樹と私の邪魔はさせませんよ、そう――『誰だろうと』、ね。ふふっ」  
 
…今、ここにいるのは『彼女』か?いや…『ミク』がこうまで過激な思想に目覚めつつあるのか?  
さっき見せた顔と言葉も含めて――ミクが、変化してきているとしたら?  
――思い詰めるのは良く無い。ミクが言ったことは、究極的には自己の絶対的な肯定。独善的なあまり、他者を排除することを厭わないようになる。  
「…あまり、そういうことは言わない方がいい」  
「…何故ですか?タツキさんと気持ち良く、幸せになろうとするのがいけないことですか?」  
「いや…『目的』と『手段』は違うというか、目指す方向を間違えるといけないというか」  
「ん〜?はっきりしないですねぇ。まぁいいじゃないですかぁ。今は二人で気持ち良くなれればいいんですよ♪」  
いや、そういうことじゃなくて…と言いかけて、ミクは再び怒張を掴んでいる手を動かした。しかも、今度は上下に激しく。  
「ぐっ…うう、いきなりやるなって…ッ!は、はげし…」  
「ふふっ、激しいですかぁ?…だって、そろそろ次の授業に移りたいなぁって思ったから♪」  
「つ、次の授業…くっ」  
「あは♪出てきた出てきた…。じゃあですね、次は『コレ』がなんなのか教えて下さい」  
彼女は人さし指で尿道から漏れ出したそれを掬い取り、そのまま亀頭全体に塗りたくる。  
「えへへ、ぬるぬる〜♪亀頭がテカテカ光ってますよぉ?…本当に不思議ですね。これって何ですか?」  
「…尿道球腺液。発見者の名前からカウパー腺液とも言う」  
「カウパー液、ですね?それもいいけど、もっと言い易くて…ふふ、タツキさんが興奮する呼び方にしようかな。  
…決めました。オチンポの先っちょから出てるから…『先走り汁』なんてどうです?  
それとも…『我慢汁』かな。タツキさんが必死に我慢してるから…あはは、眉間にシワ寄せて堪えるその顔…たまらないなぁ♪」  
…ここまでミクがサディスティックだとは思いもよらなかった。俺を翻弄するのを完全に楽しんでいるな。  
「だって、理知的で冷静なタツキさんがこんなにうろたえるなんて…普段とのギャップが激しくて、面白いんです♪」  
「そういう新しい玩具を手に入れた子供のような顔は止めてくれ。…正直、俺をこうやっていじめるのが楽しいんだろ?」  
「…『そうです』って言ったらどうします?」  
「…いつか見てろよ」  
「おっ、反抗的ですね?ふっふっふ…で・す・が♪」  
ミクはいよいよ、俺の剛直を高速でしごき上げてきた。  
さっき彼女が塗りたくったカウパー腺液が潤滑油のように、滑りを良くする。  
――はっきりいって。…ヤバイ。これは気持ち良すぎて…!  
「うぁ…ああぁッ!!」  
「あはは♪どうですかぁ?ミクのテクニック。お風呂の時より上達してるでしょ?  
…指の腹が裏筋に当たるようにして、右手全体でオチンポ全体を包み込みつつ、上下に素早く擦り上げて、扱き上げるんです。  
溢れてくる我慢汁を人さし指で掬い取って、カリ首の裏側に…ほら、こうやって塗ると…いいでしょ?  
…返事しなくてもいいですよ。歯をくいしばって耐えてるその表情で分かりますから。  
ミクにもっともっとシて欲しいんでしょ?ミクにこうやって辱められながら気持ち良くなりたいんでしょ?ふふふっ…ははは、あはははは!」  
ミクの加虐心も、手の動きも止まらない。俺の制御を離れ、暴走しつつある。  
彼女を止めるどころではなくなってきた。いよいよ俺の方が限界を迎えそうだ――  
「は…あああぁッ!!…もう、出る…って!!」  
「あははは、『出る』って?何が出るんですかぁ?ふふっ…じゃあタツキさんの身体のお勉強、これで最後ですね。  
…ミクに教えて下さい。お風呂でもオチンポから出してた『アレ』…何て言うんですか?」  
「せ、精液だッ!!…っぐ、うあぁ、もう…!」  
「精液ですね〜?ミク、覚えました!…じゃあ、いいですよ?我慢しないで…」  
彼女は俺の耳元で、止めとなる言葉を囁いた。  
 
「…ミクの手に、遠慮なく『チンポ汁』をぶちまけていいですよ?  
白くて濁ってて栗の花の匂いがする『ザーメン』で、ミクの手をドロドロのネバネバにしちゃって下さい。  
『キンタマ』が空っぽになるくらい存分に『スペルマ』出して、気持ち良くなって下さいね?  
…ミクがしっかり見ててあげますから。龍樹がだらしなく、はしたなく、イクところを――」  
 
「うあああ…あああぁッ!!!」  
 
――信じられないほどの量が噴き出した。  
俺の胸板まで精液がかかり、その一部はミクの顔にまで到達した。  
「キャッ…!凄い、こんなに…!…あは…」  
彼女は頬にかかった精液に驚きながらも、未だに手の動きを緩めない。  
二回、三回と発射された俺の精液は、間欠泉のような噴き上がりの後にようやく収まった。  
「…はぁ…はあ…っぐ…あ…」  
「あはは…お、おしまいですよね?コレで…。びっくりです、こんなに出るなんて」  
俺も驚いてるよ…こんなに精液を吐き出した経験なんて、未だかつてない。  
彼女はようやく手を離し、その手についた精液の粘度を確かめていた。  
――白濁液は糸を引き、手の平はおろか、手の甲やシャツの袖口まで汚してしまった。  
「…うわぁ…お風呂じゃあまり分からなかったけど、精液ってこんなにドロドロなんですね…。…な、なんか臭いも…独特って感じ…。  
…これ、まさか飲めたりとかしませんよね?」  
「…無理するなって。精液のみならず人間の体液は飲用などになるはずは…あッ!!」  
――彼女は俺の説明も聞かず、指をくわえて精液をごくりと飲み下してしまった。  
「んぐっ、んぐ。…ぷぁ。…はぁ…う〜ん…独特だけど…不味くは無い、かな。  
慣れたらクセになりそうな美味しさ…かも♪」  
「…マジ?」  
「マジですよ?なんか最初は苦いんですけど、ツンときてその後デレッとした味に変化して、むわっと口の中に広がる香りが  
あたかも霧深い森林を散歩中に見つけた広葉樹の一葉に残った朝露の雫のように消えゆく儚さを感じさせるというか…」  
「…分からない。広葉樹がなんだって?」  
「と、とにかく!イヤじゃないですよ?…そうですよ、タツキさんの出したモノが汚いはずありませんから!  
…もうちょい、飲んでも良いですか?」  
「っと、待てって!…うはぁ!ひゃははは、胸が、腹がくすぐったいって!」  
「じゅる。ちゅぅ…ぷは。はい、綺麗に舐めとりましたから♪」  
ミクは俺の胸から腹にかけてかかっていた精液を、全て飲んでしまった。  
…その貪欲さに恐れ入った。精液を「美味しい」などと言ったのも凄いが。  
 
「――あ、忘れてた。肝心な――」  
俺が変な所で感心していると、ミクは真顔になって一か所に目線を集中させた。  
「…タツキさんの『ココ』…まだ精液でドロドロだし…それに…」  
「…う」  
「…元気ですねぇ。あんなに出したばっかりなのに、もうビンビンのバッキバキ〜♪」  
彼女は指でツンツンと、俺の萎えない怒張を小突く。  
「節操が無いとか思わないでくれ。…これは生理的現象なんだ。抗えない肉体的反応なんだ。認めたく無いものだな、若さ故の…」  
「別にミクは困りませんよ〜?…あは♪やっぱり不思議だなぁ。オチンポって…ふふっ」  
ミクは再び俺の性器を掴むと、残っていた精液を掬い取って口に運ぶ。  
わざと見せつけるように、手を上に持っていき、口を開けてそこに精液を垂らす。糸引く精液に舌を伸ばすその姿に、俺は魅入ってしまった。  
「はぁ…タツキさんの…とろとろっ…んんっ…ぷはぁ」  
――ごくりと喉を鳴らしたのは、彼女か、俺か。ミクの痴態は、今まで以上に激しく俺を欲情させた。  
「…ふふっ…じゃあですね…タツキさん」  
ミクは俺の手を取って、妖しく微笑んだ。  
「今度はタツキさんが、お勉強する番です」  
「は?…」  
「次の教材はタツキさんじゃなくて、ミクですよ♪…じゃ、まずはベッドに寝転がって下さい」  
「え?…こ、こうか?」  
「そうです。…そのままにしてて下さいね…んしょ、っと」  
彼女は俺の上に四つん這いになった。ただし、頭を俺の股間の上にして彼女の股間は…俺の、目の前に――  
「ふふ、タツキさんの目の前に…何が見えます?正直に言って欲しいなぁ…」  
「…め、目の前に…ミ、ミクの…」  
「ミクの…何ですか?…分かりませんか?あ、それとも…見えづらいとか?」  
「いや、それは無い、が――」  
見えづらいものか、彼女の『それ』ははっきりと、シャツの裾の隙間から見えている。  
でも、これは…『これ』は…。  
「――見えてても、言えない――ですか?駄目ですよ、ちゃぁんと言ってくれなきゃ…ほら…」  
彼女は左手を俺の性器に添えつつ、右手を彼女自身の『それ』に持っていき、ぴっちりと閉じられている『そこ』を――  
 
 
「んんっ…」  
 
くぐもった声を出しながら、ゆっくりと開いていった。  
その中から、一滴の雫が滴り落ち――  
 
「…ね?…タツキさんのオチンポを扱きながら、ミクの『ココ』…こうなってたんですよ?…はしたない女の子ですよね、ミクって。  
だから…『お仕置き』しちゃって下さい、タツキ先生♪…ふふふ」  
 
俺は彼女の『それ』に釘付けになっていた。  
――ツンとした臭いがあった。だが、何よりも『ココ』を、ミクの『コレ』を――  
 
「…初めてでしょう?女の人の…ミクの『オマンコ』を見るのって。  
ふふふふ…♪いっぱいいっぱい、ミクを気持ち良くして下さいね。  
舐めたり口付けたり吸い付いたり撫でたり擦ったり舌を入れたり指を突っ込んだり…好きなようにしていいですよ?  
…勝負しましょうか。ミクと龍樹…どっちが先にイッちゃうか…ちゅっ♪」  
 
――『彼女』が俺のチンポに口付けた瞬間。俺もまた、目の前の『オマンコ』にむしゃぶりついていた――。  
 
 
     ×   ×   ×  
 

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル