「レン!久しぶりだねー!!」  
「そーだな。1ヶ月ぶりくらいか?」  
 
今日は久しぶりにリンが来ていた、実はリンとレンのマスターは別々の人。とはいえ、たいした複雑な事情はなく、単純に友達と割り勘で買っただけらしい。  
 
「メイちゃんは収録中?」  
 
メイちゃんとはレンのマスターがレンを買う以前から所有していた咲音メイコのことを指す。  
 
「そうだよ。相変わらずマスターは咲音さん命だから」  
「へー」  
「な、なんだよ…」  
 
リンがニヤニヤとした笑みでレンを見る。嫌な予感しかしない。  
 
「ん〜?いやぁ〜。メイちゃん命なのは誰かさんも同じじゃないかな〜ってね〜ww」  
「っっ////」  
 
カアァァァと顔が熱くなる。リンは心底楽しそうに白々しく「あれ〜w別にレンな事なんて言ってないのにな〜ww」と更にニヤニヤした。  
 
くそっ!完璧に遊ばれてる!!  
 
「その様子じゃまだ、告白してないみたいだね〜。」  
「う゛っ」  
 
リンがふぅと溜め息をわざとらしく吐く  
 
「本当にヘタレンなんだから」  
「ヘタレって言うなっ!告白なんて…そんな簡単にできるかよ…」  
「メイちゃんの前じゃイケレンぶってる癖に」  
「…できたら否定したい。」  
 
正直、咲音の前では無意識にカッコつけてしまっている。レンは男として咲音に頼ってもらいたいのだ。  
 
「はぁ〜。男の見栄ってくだらなぁ」  
「しょうがないだろ。…好きな人には自然そうなっちゃうんだよ」  
 
好きな女の子に頼られたい。守りたい。カッコよく見られたい。でも恥ずかしいから照れ隠しに少しクールぶる。思春期の男は尚更そうだ。  
 
「ま、少し分かるけど。」  
「え…?」  
 
いやいや、リンは女の子だろ。  
 
「メイちゃん可愛いもんね。生まれながらのアイドル!!って感じで」  
「え…え…」  
 
そこまで言うとリンは目を細め口に薄く笑みを浮かべ心地よい低音で言った  
 
「守ってあげたい。…よね。」  
「り、リン!!?」  
 
突然のイケリンに戸惑う。じ、冗談だよな??  
え?イケレンで対抗しろ?ムリムリ無理!!勝てない。イケリンってめちゃめちゃカッコイイんだぞ??男より男前なんだぞ??って俺誰に言い訳してんだよ…。  
 
「冗談…だよな?」  
「当たり前じゃん。何冷や汗かいてんの?バカなの?」  
「よ、良かった…」  
 
ホッとした。馬鹿にされてもいい。マジで安心した。イケリンに勝つなんて出来ねーもん。  
 
「まぁ、レンはリンに勝てないよね。だってレンだしね。」  
 
わけが分からなく感じるが実際にそうだ。レンはリンに勝てない。まるでそう決まっているかの様に勝てない。  
 
「まぁ?そんなヘタレで不甲斐ないレンのため?にリン先生がイイ勉強させてあげようと思ってるんだ〜」  
「イイ勉強?」  
「そ、これが教科書」  
 
リンが教科書と言い、出したのは男女が絡み合い、まぁ、その…あれな事をする電子コミック。  
 
「ぅえええ!?なな何コレ!??ちょ、ま、俺らまだ14歳だっよ!???」  
 
「落ち着け。音程も発音もグチャグチャだ。そしてこれは一応、女子中高生むけの少女コミックね」  
 
リンは混乱しまくるレンを冷めた目でみてサラッと言ってのけた。  
 
「レンに足りないのは肉食要素だと思うんだ。アンタ、メイちゃんの笑顔を隣で見られるだけで満足してない?」  
「う゛っ、だってその…」  
「はぁ〜〜。駄目だな〜…イイ?それじゃ一生可愛い弟止まり。メイちゃんはただでさえポワポワな天然アイドルなんだから!レンが男度上げるしかないの!!」  
 
「男度って」「言っとくけど、実際にそのコミックみたいな事しろって意味じゃ無いからね?つか、メイちゃんにいきなりそんな事したら三途の川に直行させるから。」「…はい。」  
 
リン様。目がマジですね。  
 
“いい??レンは草食すぎるの!それはレンの長所だけど、それじゃ駄目駄目だから、少し男らしくなるためにイメトレしろ。”  
 
そう言い放ってリンはレンの反論を聞く前にサッサッと帰った。なんと格好いい去り姿だろう。イケリンでマセリン恐るべし。勝てない、絶対に勝てない。  
 
「でも…イメトレって…そんな…」  
 
咲音さんをネタに…こんな…  
 
「…レン君どうしたの?」  
「あ…咲音さん…って!うああああぁぁああああああ゛あ゛!?/////」「きゃ!?れ、レン君!?大丈夫!!?」  
 
いつの間にか収録から帰ってきた咲音に声を掛けられレンは叫び光の速さでアレなコミックを隠した。  
咲音はレンの叫びに驚き、コミックには気付いていないようだ。  
 
「レン君?大丈夫??どっか痛いの??」  
 
心が痛いです。良心が大怪我です。なんて言えるはずはなく、レンは無理に微笑み、咲音を安心させるよう言う  
 
「大丈夫、大丈夫。いきなり声掛けられてビックリしただけだから!///」  
「え、あ、…ゴメンねビックリさせちゃって」  
 
自分のせいだと思った咲音がしゅんっとして謝ってきたのでレンの良心はさらにダメージをうけた。  
 
咲音さんは何も悪くないのに!!俺の馬鹿。大馬鹿!!!  
 
 
その日はなんとか咲音といつもどうり過ごせた。  
 
そう思っていた。  
 
 
だが、その夜レンはとんでもない夢を見てしまった…  
 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜  
「レン君…見て…/////」  
 
咲音は自分の服にゆっくりと手をかける。自らの行為への羞恥に、その顔は愛らしく頬を染め、上目づかいにレンにを見つめる瞳にはうっすら涙が溜まっていた…。  
 
「咲音さん…?」  
 
咲音の露出の高い衣装はどんなにゆっくりと脱いでも直ぐに脱ぎ終わってしまう。アッという間に咲音の肌を隠す物はフリルとリボンを贅沢にあしらった薄く頼りない下着のみになっていた  
 
「レン君…」  
 
恥ずかしそうに身を縮ませ、不安げに泣きそうな顔で見つめる咲音。  
純粋で可憐な彼女、子供っぽく幼さなさのある顔立ちだがその身体は女として十分すぎる程だ…思わずレンは生唾を飲み呟く  
 
「綺麗だ…」  
 
カァァっと咲音は更に頬を染める  
 
「お、お願い…さ触って…//」  
「いいの?」  
「レン君に…触ってほしい…の…////」  
 
恥じらいながら言う姿はレンの男を更に刺激する。もう、体中が熱いうるさいくらいエンジンが高速回転しているのが分かる。オーバーヒートしてしまいそうだ。  
 
レンは咲音の白い肌に手を伸ばし  
 
「ぁっ///」  
 
触れた。その感覚に敏感に反応した咲音の口からいつも以上に甘く、艶のある声が零れると、レンの理性は簡単にとかされてしまった。彼女が…咲音が欲しい。  
 
「きゃっ!…レン君?////」  
「咲音さんが…お願いしたんだからね?」  
「あ…んん」  
 
レンは欲望のままに咲音を押し倒し、淡い桜色の唇に自分の唇を重ね、強引にこじ開け中にある赤い舌と舌を絡ませた。  
 
「んん…ん…////」  
 
クラクラするような甘さ…彼女は熟れた苺を毎日食べているからかな…でも咲音の口腔は苺よりも、もっと甘く依存症がある  
 
「はっ…ん…れ、んくん…くるし…ぃよぉ///」  
「ん…」  
 
咲音の訴えに唇を離す。咲音の唇は艶めかしく濡れ荒い呼吸を繰り返し、その呼吸と一緒に咲音の豊かな胸も上下していた。  
 
「可愛い…もっと見せてよ」  
「あっ///ま、待ってっ」  
「俺に触れて欲しいんでしょ?いっぱい触ってあげる」  
 
背中に手を回し、咲音の乳房をフリルとリボンで飾る可愛らしいブラを外しす。真っ白な乳房の頂は綺麗なピンク色をしていた。  
 
「やぁ…恥ずかしぃ///」  
「何で?凄く綺麗だよ。あ、もうココ、立ってるね?おいしそう…」  
「あぁん//くわえちゃ、やぁ///」  
 
そのまま乳首を唇でくわえ吸ったり甘咬みして反応を楽しむ。無垢な咲音が乱れるさまはレンの興奮をあおぐ。  
 
「ふぇ…おかしくなちゃうぅ…///」  
「なってよ。もっと、かんじちゃいな。」  
「ぅん…いじわるぅ…あっ///」  
 
レンの手は咲音の体を伝い今、唯一咲音を守っている小さなショーツに手をかけ………  
〜〜〜〜〜〜〜〜〜  
るトコロで目が覚めた。  
もちろん寝具は大惨事である。いつ洗濯しよう…こんな物を咲音に見せる訳にはいかないとそこまで考えたところで、レンは咲音にあわす顔がないと思い出した。  
 
「俺…夢の中とは言え咲音さんを汚して…うああああぁぁぁ」  
 
レンは頭を抱え、恐らく昨日のコミックのせいで見たであろう自分の汚れた妄想が生み出した夢に絶望した。  
レンにとって咲音は大切な大切な存在。  
もちろん年頃の男子であるレンは何度か咲音を邪な目で見そうな時があった。  
しかし、レンにとって、純粋な咲音を汚すことは例え妄想であっても禁忌にかんじていた。  
 
「咲音さんを汚した…最低だ…俺は咲音さんを守る資格なんてない…  
いや、生きる資格も剥奪されるべき大悪人だ…。  
もうリンにフルぼっこにされて三途の川直行便に乗り地獄へ叩き落とされるべきだ…」  
 
存分に自己嫌悪し悩んだレンはとりあえず悲惨な状態のシーツやパジャマ、下着を隠し、着替えた。  
ちょうど着替え終えたところにコンコンと控えめなノックが聞こえた。  
 
「レーンーくーん。朝ご飯できたよぉー!!」  
 
勿論、この家にいるもう1人のボーカロイド、咲音メイコの声がドアの外から聞こえる。  
レンの背筋が伸び冷や汗が吹き出る…  
 
「わ、わかった…あ、あと少ししたら行くから…先に食べててっ」  
「待ってるから、一緒に食べましょ!その方が楽しいよ!」  
 
あぁ、駄目だ…今は咲音の顔をまともに見れない。  
だが、レンが断ったことで咲音の笑顔を曇らせてしまったら…そう思うと断れなかった。  
レンは咲音の泣き顔に弱い、レンの咲音に対する答えはYESのみなのだ。  
 
「じゃあ、後で行くから先にリビングにいて。」  
「うん!!」  
 
パタパタと咲音が階段を降りたのを音で確認し、レンは大きなため息を吐く。  
その表情は先程よりも罪悪感に沈んだ物だったが、何とか気分を落ち着かせ、咲音が作った朝食が冷めてしまう前にリビングに向かうことにした。  
 
「レン君おはよう!今日はトーストとベーコンとスクランブルエッグと野菜スープ作ったのよ!」  
 
「咲音さん、おはよう。おいしそうだね、いただきます」  
 
リビングについてすぐに待ち構えていた咲音がニコニコと笑い今日のメニューを教えてくる。  
その無邪気な様子に更に罪悪感が深まったレンは目をそらしてしまった。  
いつもより受け答えま素っ気なく早口になっている。  
 
「レン君…?」  
 
咲音がいつもと違うレンの態度に不安そうに小さな声で呟く。  
だがそれをあえて聞こえないフリをしと黙々と朝食を胃へ流しこんだ。  
いつもなら世界一美味しく感じる咲音の手料理すら味を感じない。  
 
「ごちそうさまでしたっ」  
 
「レン君、あのね「ごめん、俺、歌の練習してくる」…あ、うん」  
 
レンは逃げる様に自室に戻った。  
罪悪感が積み重なり潰れそうだ…いや、いっそ潰れてしまいたい…  
 
「咲音さん…ごめん…。俺は世界一最低なボーカロイドだ…。」  
 
レンはそのまま自分を責め続けた。  
彼は自分が思っているよりも責任感が強く愚直で一途。  
更にあまりにも咲音を大切にしている。  
 
しかし、その思いのせいで現実の咲音が大きな不安を感じている事に気が付かなかった。  
 
 
コンコンっ小さなノックの音にレンは現実に戻された。  
昼食の時間。レンはいつの間にか五時間も自分を追い詰めいたらしい  
 
レンは朝食と同じように会話もなくずっと下を向き黙々と食事をした。  
 
 
「ごちそうさまでした」  
「レン君、待って!!」  
 
そのまま自室に戻ろうとしたレンの腕に咲音がしがみついて来た。  
あまりのことにレンは一瞬フリーズしかけたが直ぐに正気を戻し慌てた  
 
「さ、咲音さん!?う、う腕はなして!!」  
 
「ヤダ!!ヤダヤダ嫌だ!!!」  
 
「咲音さんっ……!!?」  
 
咲音の大きな瞳からは止めどなく涙が零れ落ちていた、体も震えている。  
あんな態度をとれば咲音が不安がる事を決して失念していた訳ではなかったのに…  
 
「やだぁ…」  
 
「泣かないでっ…」  
「ぅ…ヒック…レン君、私のこと…嫌いになっちゃ、やだぁ…」  
 
「違うよ。悪いのは俺なんだっ、だから、俺は咲音さんに近付く資格なんてないから…俺は酷くて最低だからっ」  
 
レンがそこまで言うと泣きながら咲音はレンに抱きつき「違う!」と叫んだ  
 
 
「違う。違うもん。レン君は最低じゃない、…優しぃもん…」  
 
「っ…そんな事」  
 
「ぅう…悪い子なのは私…なのぉ…」  
 
咲音はそう言い更に大粒の涙を零した  
 
「私が悪い子なのぉ…」  
 
「何で?そんな事ない…咲音さんは悪くない」  
 
 
レンがそう言うと咲音は首を横に振り、涙声でつっかえながら話し出す  
 
 
「私が良いお姉ちゃんになれなかった…からっ…私が悪いの…」  
 
「そんな事っ」  
 
咲音がお姉さんぶるのを拒否してきたのはレンだ、だから、咲音のせいではない。  
そう言うとした声は咲音の意外な言葉に消された  
 
「私がレン君を…好きになっちゃったからっ…」  
「え!?」  
 
「最初、レン君のお姉ちゃんになるって…決めてたけど…全然駄目でっ、レン君にお姉ちゃんって呼ばれないの…悲しかったのに、  
いつの間にか…お姉ちゃんって呼ばれないのに安心…してて…レン君に優しくされるの嬉しくて…」  
「咲音さん、待って、どういう」  
 
「レン君がっ…優しいから、甘えちゃって…お姉ちゃんなのに、レン君が好き…で、だから、そばにいたくてっ…  
ずっと言えなかったのっ…でも、レン君、気付いちゃったんだっ…狡い事した、私に呆れて、嫌いになっちゃったんだっ…」  
 
「そんな事ないっ!嫌いになんて、なってないっ!!」  
 
レンはそう怒鳴るように叫び咲音の震える背中をしっかりと抱き返した。  
自分を責めるばかりで、レンは何も分かってなかったんだ  
 
「俺も好き。咲音さんのこと大好き」  
 
「うそ…よ、だって、レン君…私のこと、避けてた、もの…」  
 
 
咲音の目は泣きすぎて赤くなり、体は震え、見ていて可哀想になるくらいだった。  
レンは咲音の泣き顔に弱い。泣き止んでほしい。  
 
 
「好きだから、近づけなかった。  
大切な人だから汚したくなかったんだ。俺は咲音さんが思ってるより、欲深い奴だから…」  
 
咲音を泣き止ませるには、自分を責めて事も意味がない。  
咲音を神聖視して崇めることでもない。  
自分勝手な妄想のせいで勝手に避けて、不安にさせて…  
 
やはり自分は大バカだ。  
 
 
「俺は、咲音さんが大好きで、愛してるから…だからこそ、咲音さんを純粋なままでいさせられないかもしれない…そんな最低な俺でも、  
好きでいてくれますか?」  
 
「うん、好き。大好き。レン君なら何でも大丈夫。」  
 
「ありがとう…」  
 
 
思いが通じあった喜びに、レンは思わず咲音にキスをした。  
すると、咲音はボン!と赤くなりそのまま倒れてしまった。  
 
 
 
 
「って、ええぇ!?ちょ、咲音さん!?」  
 
 
キスは咲音にとって想定しきれない範囲だったらしい。  
咲音はレンの想像していた以上に純粋で無知だった。レンの妄想は当分叶わないし、咲音の純真さも当分失われないだろう。  
そして…  
 
 
「え…マジで…??キスだけで…???」  
 
 
一人、オーバーヒートで気絶した咲音を抱きかかえ呆然としているレンが残された。道のりは長い。頑張れ少年。  
 
 
 
終了  
 
 

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