「あぁー、癒されるー」  
そんな、少々年寄り臭い一言を呟きながら、俺は少し熱めの風呂に浸かっていた。  
今日は仕事が深夜まで及び、帰ってきた頃には既に家の電気は消えていた。  
皆を起こさないよう注意しながら、お風呂を沸かしなおして、今現在入浴中だ。  
MEIKO辺りにはガス代の無駄遣いだと怒られるかもしれないが、  
こればっかりは許して貰いたい。  
仕事疲れの体に、熱々のお風呂は中々に心地好いのだ。  
あと、途中で買ってきたアイスを風呂上がりに食べるのも楽しみだし。  
そんな事を考えながら、顔が半分ぐらい沈んでしまう程度まで、風呂に浸かる。  
ぶくぶくぶくぶく  
ぶくぶくぶくぶく  
ぶくぶくぶくぶくぶくぶくトントンットンットントン  
ぶくぶくぶくぶくぶくぶく  
ガサゴソ  
ぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶく  
バタンッ!!  
「KAITOさんって女性だったんですか!?」  
「ブハァッ!?」  
突如として浴室の扉が開き、意味不明な事を言いながら、MIKIちゃんが乱入してきた。  
全裸で、何故か右手にPSPを持って。  
「は、はぁ!?ちょっとMIKIちゃん、意味がわからないんだけど!?  
ていうか、服を着て!!」  
そんな俺の言葉を無視して、MIKIちゃんは右手のPSPをずいっ、と俺の目の前に突き付けてきた。  
そこには…  
『あなたののおっない、まさぐぅちゃうわ、お・で・この先まで〜』  
ネコサイバーでミクミク菌を踊る青い変態……もとい俺が写っていた。  
改めて見るとやっぱりキモいな、うん、黒歴史だな。  
ていうか、風呂場で全裸の女の子からこれを見せ付けられるとか、  
どんなシチュエーション?新手のイジメ?  
「……これがどうかしたの?」  
MIKIちゃんの意図が全く分からなかったので、とりあえずそう聞いておく。  
「女性にしか見えません」  
即答するMIKIちゃん。  
えーと、とりあえず今の状況を整理すると。  
「DIVAの俺が女にしか見えなかったから、風呂に強襲かけて確認しに来たと?」  
「大方当ってます」  
またしても即答するMIKIちゃん。  
「えーと、だったらMIKIちゃんまで服を脱ぐ必要は無かったんじゃ…」  
「お風呂では服を脱ぐものでしょう?」  
うん、普通はね。でも今は明らかに普通じゃない状況訳で…  
「俺がいるんだし、せめてタオルを…」  
「…?  
女性同士ですから問題無いでしょう?」  
本気で理解できないという顔をするMIKIちゃん。  
あれー?彼女の中では俺が女であること確定?  
うーむ、どうやら彼女に体を隠して貰うのはムリそうだ。  
そこでふと彼女の肘の部分に目がいく。  
そういえばMIKIちゃんはかなりロボ的なデザインになっているんだっけ?  
 
なら別に隠して貰う必要は無いのか?マネキンみたいなモノだと思えば…  
そう思えば確かにそう思えてくる、手足の関節部分にはいかにもロボっぽい  
ジョイントだし、アホ毛もアンテナに見えなくもない。  
髪の毛も非現実的な色(俺も人の事言えた義理じゃないが)だし、  
白い肌は蒸気にあてられたのかうっすら赤らんでいる。  
小さすぎず大きすぎず膨らんだ乳房には、薄いピンクの突起が自己主張しており、  
薄い毛が生えた秘所からは一本の筋が…  
って、無理だー!!  
なにじっくり観察してんだよ、俺!!  
ていうか、なんで女の子の部分だけやたら精巧に造られてるんだよ!!  
制作会社GJじゃねーか!!  
「KAITOさん?」  
俺の様子を不審に思ったのか、MIKIちゃんは不思議そうな顔をしながら首を傾げる。  
当然、体を隠す様子は無い。ていうか今の動作が可愛くて少しドキッとしてしまった。  
とりあえず、彼女に俺が男であることを証明するしか、この状況を  
どうにかする方法は無いという事は分かった。  
少し恥ずかしいけど仕方ない。  
俺は少しだけ体を起こし、上半身が彼女から見えるようにする。  
「ほ、ほら、体つきは男でしょ?」  
するとMIKIちゃんはおもむろに俺に近付いてきて、  
ピトッ  
何の躊躇いもなく俺の胸の部分に手を当てる。  
「うーん、確かに胸は無いですけど、ミクちゃんやユキちゃんもペタンコですし」  
「………それ、ミクには言わないでいてあげてね」  
小学生のユキちゃんと同列に語られるレベルなのか、ミク。  
ペタ、ペタペタッ  
「細身の割に、筋肉はしっかりついてますけど…」  
俺の体を触りながら、MIKIちゃんはぶつぶつ言っている。  
「MEIKOさんもこの間、割れた腹筋を自慢してましたし」  
なにやってんだよMEIKO!!ていうか鍛えてたのかよ!!  
どうやらMIKIちゃんは納得してくれないらしい。  
うーむ、しかしそうなると…  
「KAITOさん、もっとわかりやすく、男の象徴、ペニスを見せてくれませんか?」  
「ぶふっ!!」  
MIKIちゃんの身も蓋も無い言い方に、思わず吹き出してしまう。  
「い、いや!!流石にそれは!!」  
「でも私も見せてますし、別に問題無いかと」  
「なにその理屈」  
とは言え、確かにもうそれしか男だと証明するてが無いのは事実。  
「じ〜……」  
興味津々な表情で俺を、正確には少々下の方を見つめてくるMIKIちゃん。  
うう、腹をくくるか…  
「わ、分かったから」  
ざざーんっ  
そういって、俺は立ち上がる。  
「わっ」  
MIKIちゃんは少し驚いたような声をあげたが、視線は俺のイチモツに固定されたままだ。  
 
「えーと、これは勃起してるんですか?」  
「………う、うん」  
MIKIちゃんの言う通り、俺のイチモツはこれでもかというぐらいに勃起していた。  
しょうがないじゃん!!MIKIちゃんみたいな可愛い娘がずっと全裸で  
目の前に立ってるんだから、しょうがないじゃん!!  
「これが………データにはあるんですが、実物は初めて見ました」  
そう言ってMIKIちゃんはイチモツに顔を近付け、マジマジと観察を始める。  
「こ、これで俺が男だって分かったで」  
むぎゅっ  
俺の言葉を全く聞いていないのか、MIKIちゃんがいきなり俺のイチモツを握ってきた。  
「これ、骨は通って無いんですよね?」  
「う?う、うん」  
「へぇー、思ってたよりも固いですね」  
もう彼女は俺が男どうこうはどうでもよくなっているらしい、  
完全に初めて見るイチモツに興味津々な目を向けている。  
ぎゅぎゅっ  
「い、いてっ!!」  
「あ、す、すみません」  
MIKIちゃんが急に強く握って来たため、激痛が走り、悲鳴をあげてしまう。  
MIKIちゃんも驚いて、力を緩めてくれた。  
「そ、その、デリケートな部分だから、あんまり乱暴に扱わないで…」  
「は、はい」  
頷いてはくれたものの、それでもイチモツを離してはくれない。  
ていうか、  
にぎにぎ  
無意識にやっているのか力加減を見極めているのか、彼女は力を緩めては  
強めに握るという動作を繰り返している。  
にぎにぎ、にぎにぎ、にぎにぎ、にぎにぎにぎにぎ  
「うっ」  
その一連の動作が妙に気持ち良く、段々と射精感が高まってくる。  
「あ、アレ!?これなんですか?」  
イチモツを握ったMIKIちゃんが驚いた表情を浮かべながら声を上げる。  
視線を移すと、どうやら彼女は先走り汁に驚いているようだ。  
「えっと、それは先走り汁って言って、こ、興奮すると出てくるものなんだ」  
なにしっかり説明してるんだろうか、俺は。  
なんというか、快楽と混乱のせいで冷静な判断が出来なくなっている気がする。  
「つ、つまり私のせいなんですか?」  
「そ、そうなるのかな?」  
「わ、わかりました」  
ペロッ  
「う、うわっ」  
頷くと、MIKIちゃんはいきなり舌先で俺のイチモツの先端を嘗めはじめる。  
「ペロッ、レロッ、…どんどん溢れてきて、なかなか綺麗にならない…」  
どうやら彼女は俺のイチモツを綺麗にしてくれようとしてくれているらしい。  
「う、うわぁ」  
俺はそんな彼女を制止するのを忘れ、彼女から与えられる快楽に  
身を任せてしまっていた。  
「レロッ……ん、んはぁ…レロ」  
MIKIちゃんの声になぜか艶が混じり始めてきたので、様子を確認するため、  
ちらっと彼女の方に視線を落とす。  
「んんっ……レロペロッ…あぁ」  
くちゅくちゅ  
MIKIちゃんは右手に持ったPSPを股間に押し当て、腰を悩ましげにくねらせていた。  
『えっちな〜のはや〜めてよ〜』  
 
その妖艶な光景が俺に更なる興奮を与えてくる。  
「あ……チュパッ……レロレロ…んんっ」  
にぎにぎ  
それに加えて、イチモツを握るMIKIちゃんの掌と、ぎこちない動きの  
舌先が、俺の射精感を最大限に高める。  
「う、うわっミ、MIKIちゃんっ!!も、もうっ」  
「レロ……ん、わ、私も、なんか変なっ!!」  
ドピュッ、ドピュッドピュドピュッ  
「ふっ、ふや!?あ、あついぃっ」  
たまらずMIKIちゃんの顔に射精してしまう。  
精液をかけられたMIKIちゃんも、その熱を感じたのが最後の一押しと  
なったのか、ビクンビクンッと体をのけ反らせる。  
互いに果てた俺とMIKIちゃんの間には、心地好い疲労感と、  
なんかやっちまった感が漂っていた……  
 
 
 
「ほ、ホントに今日の事は内緒にしておいてよ?」  
しばらくして、俺達はなぜか一緒に湯舟に浸かっていた。  
MIKIちゃんがあのあとすぐにシャワーを浴びだしてしまい、  
出るタイミングを完全に逸した所に、彼女が何の躊躇いも無く  
湯舟に入って来たためだ。  
「はい、分かってますよ、元はと言えば私が原因ですし」  
ニコニコと笑いながら、そう約束してくれる彼女。  
よかった、本当によかった、彼女がいい子で。  
「あ、でもちょっと条件があります」  
「え!?」  
ここにきて交換条件!?MIKIちゃんは実は悪女か!?  
「じょ、条件?」  
「はい」  
人差し指をピンッと立て、彼女はやはりニコニコ顔のまま言った。  
「お風呂上がりのアイス、私にも一口下さいね?」  
 
 
 
 
 
翌日  
「ア゛〜〜、生き返る〜」  
仕事から帰っての夕食後、俺はやっぱり熱めの風呂に浸かっていた。  
MIKIちゃんも納得していたし、昨日のような事は起こらないだろう。  
ブクブクブクブク  
タッタタンッタタッ  
ブクブクブクブクブクブク  
バタンッ  
「お、お兄ちゃんって実はお姉ちゃんだったの!?」  
………  
勘弁してくれ!!妹よ!!  
 
 

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