※ヤンデレLily の主(あるじ)足る者
(Lilyの相手の明言、及び…オリキャラ、亜種の偏りにつき厳重注意)
「よぉ、神威!…モテモテだな♪」
其処には、右手にリオ(Lily♂)、左手に楽姫(がくこ)を連れたマスターが。
張り巡らされた布糸の海を、いとも簡単に…大して殊も無げな様子で払いながら、かなり御機嫌な様子で現れ、立って居た。
「どうやら無事に対面を果たしたみたいだな」
呆気に取られた神威と、微笑みを浮かべるLilyとハリィの元へと歩み寄って来る。
「此れは、奏主(そうしゅ)殿…如何なる、要件か」
愛しき者との邂逅を邪魔され、些か不機嫌な貌(かお)付きで、神威が応じる。
「何って…Lilyとの間に生まれた子と『感動の対面』を遂げるのを待ってから、改めて、お祝いをする為に来たんだけど?」
何処か観て来た様な強調の入った説明に、顔には出さず胸中で深く溜め息を吐くが、主(あるじ)には見透かされて居り…。
「お誕生日は、みんなで祝わなければ…ね」
移ろう口調と声音と喋り方で、彼らのマスターは、穏やかに微笑みながらも、有無を謂わさぬ物言いで、静かに命を下す。
部屋の入り口には、待つ様にと云われたのか、他の者達が声を潜めて控えて居た。
可愛いらしい幼子を迎え入れる為の祝宴が、華やかな刻を越え終わりを告げた後。
速やかに後片付けを済ませる者、場に居残り…または各々の部屋と戻り、寛ぐ者、
そして、マスターの『言外に印す令』を感じ、沿うべく行動を共にする者も居る。
(何故か、ネコ耳やウサギ耳が視界を横切って行く点については、言及すまい…)
恐らくは、此れから…神威はLilyやハリィらと、ひと組みの括りで結ばれる事となるのだろう。
更けゆく夜に、天に浮かぶ月を見上げ。
傍らに寄り添う、愛しき花と愛らしいミツバチが手を伸べる様へ感じる温もりに、神威は、得難き倖せを獲たのだと想った。