※ハリィup (亜種偏りにつき、注意)
「ぅあぁ、ゃ、ん〜」
ベッドの中で、布団をはだけ、か弱い声でリンの悲鳴が上がっていた。
「く…くすぐった…よ、ぁうん」
胸元には、ミツバチの着ぐるみ姿の幼児が、チュクチュクと吸い付いてる所だ。
うっとりと眼を閉じているハリィの様子は、とても愛らしいのだが、これは明らかに寝ぼけて相手を間違えているのだろう。
(※ヤンデレLily からの親子ネタ参照)
むげに引き剥がして、大泣きでもされては厄介な為に、ひたすらガマンするしかないのが現状ではあるが。
徐々に、艶めいた色合いを帯びて来る声に、リンは泪目になりながらも、
こらえるしか無いのが、そろそろ限界に近かった。
と、不図…部屋の外が、騒がしいのに気が付き、何事かと耳を澄ますと。
ハリィの名を呼ぶ…どうやら姿を探しているらしき少年の声がする。
一瞬、助けを呼ぼうかと考えたが、イマのこの状態を見られるワケにも行かず…。
リンは声を押し殺しながら、どうにかして、やり過ごそうと必死に耐えていた。
「ハリィ〜、何処だ〜」
自分の姉であるLilyの生んだ子供が『特殊な能力』を持つだろう事実は、マスターのクチから訊かされてはいたが。
こんなに早く発動をするだなんて、予想外だ。
今日は、あらかたの住人が出払っており、恐らく…イマは数人の者しか残って居ないのが、せめてもの救いか。
焦りながら、リオ(Lily♂)は廊下を走って、幼子の姿を探していた。
「ンん〜ぅ」
背中を這い廻る感覚に、のぼせる様な熱が頭に湧き上がって、全身を支配して行く。「ふぅう…くっ」
もう唇から洩れ出そうとする声を、押し留めるのは無理だと思った…その瞬間。
「此処かっ!」
肩からぶつかり、勢いよくドアを開け放ったリオ(Lily♂)が、部屋の中へ。
背中や腕に下げた網の中へと、数十人ものハリィを抱え込んだ姿で現れた。
先ほどのショックで、ぐすぐすと泣きながらもリンは、気を取り直し。
ようやく回収をし切ったハリィを、本体が眠るベッドの中へと放り込んで行く、リオ(Lily♂)の横顔を見詰めて居た。
今回の件は、ハリィの暴走現象で類い希な能力のひとつなのだから、見守って行くしか無いのだし、自分はお姉さんだ。
目の前に居る少年は、レンと似ている様で居て、かなり違う…。
そう言えば、昨日は、十三夜の夜だった。