あるひのミクのにっき  
今日はカイトお兄ちゃんが制服を着てきました。めがねもとっても似合っててかっこよかったです。  
それで、折角だから私もブレザーを出してきて着てみました。  
おそろいっぽく見えると嬉しいなって思って  
 
「ミクちゃん。こっちおいで」  
 私はお兄ちゃんの言われるまま、腰を下ろします。お兄ちゃんの、膝の上。あったかくて、いいにおい。  
「ミクちゃんはいい匂いがするね」  
 ちょっとびっくりです。同じこと考えてたみたい。私のお腹に回された腕が、ぎゅうっと締め付けてきて。  
すごく近くにお兄ちゃんが居ます。胸が痛い。汗が出ちゃう。って、臭くないかな?  
お兄ちゃんは気にしてるのかいないのか、わかんない。何時もと変わらない、と思う。  
取り敢えず、落ち着かなきゃ。そうだ、顔が見えないから慌てちゃうんじゃないの?  
うん、そう。だから、振り返って、それから考えればいい。  
 
 思案を終えたミクが、早速カイトへ振り返った。なるべく平穏を保ったつもりで。  
「カイトく……」  
 だが言葉は遮られ、唇が重なった。浅い呼吸が、少女の唇から漏れる。  
「ん、ぁふ」  
「くち、開けて」  
「っは、……んむっ」  
 言われた通りに唇を開く。舌が絡む。  
「は……は、ふぅ……んん!」  
 上手く息が出来ず、もがく彼女を彼がしっかりと抱きこむ。  
 
「ふ、ぅっ」  
 長らく弄ばれてから、やっと開放される。  
荒く呼吸を繰り返すたびに、少女の口元から涎のようにふたり分の唾液が伝い落ちた。  
滑った感触に、緑のツインテールが揺れた。一房掬い、カイトが口付ける。  
それを見て、ミクは顔を赤らめ、誤魔化すように首を振った。  
「めがね、痛いよ」  
「ん?あ、ごめん」  
 
 本当は、キスの間、気にも留めなかった。でも、今顔を突き合わせていると気になるもので。  
ミクは彼の眼鏡姿は似合っているし、格好良いと思っている。同時に、彼の素顔を見ていたいとも考えてしまう。  
つまりは悩める乙女心。  
カイトは眼鏡を外し、それを視線で追って無防備になった彼女を、空いている手で引き寄せた。  
 
「や……ぁ、制服、汚れちゃうよ」  
 逃れようとするわけでもなく、ただ状況に流されてしまいそうだったから。  
思わず口にした理由も、彼を止めることは出来ないようだ。  
「大丈夫だよ」  
 根拠のない言葉と共に、腰に回した手が蠢く。制服越しのもどかしい感触を彼女に与える。  
「だいじょぶじゃ、ぁっ、ないよぉ。お兄ちゃんっ……」  
「ミクちゃん、また『お兄ちゃん』って呼んでる」  
「あぅ……」  
 揚げ足を取られる。何しろ、目前の彼とは『兄妹』として過ごしてきた時間の方が長い。  
名前を呼ぶようになったのは、本当に最近の話。  
 
 言い返そうと、同じネタを振ってみる。  
「おに……カイトくんも、ミクって呼んでって言ってるのに」  
「ミクちゃんが可愛いからいけないんだよ」  
 理由になっていない。でも、可愛いと言われると嬉しい。だからミクは困った顔で呟いた。  
「呼び捨てがいいのに……」  
 その呟きも、再び近付いてきた彼に塞がれてしまった。  
 
 それから何度もキスをして、抱きしめあって。そのあとはお決まりのコース。  
ベッドに優しく押し倒された彼女は、さながらまな板の上の魚状態。  
「あの、あんまり見ないで」  
 制服を焦らすように緩慢に脱がしていく彼の視線を、恥ずかしそうにミクが留める。  
「どうして?」  
「だって、あの。えっと……だから」  
 少女が胸の上に置いた手を、握り締める。何が言いたいかなんて、当然彼にはお見通し。  
でも。それを教えてやる義理はない。  
「何。ちゃんと言わないと、分からないよ?」  
 
 追い詰められる。視線を逸らそうとしたって、両手で顔を挟まれて動かせない。  
あー、とかうー、とか唸り、そして蚊の鳴くような声で彼女は言った。  
「だ、だから……おっきくないから……胸」  
「そうだね」  
 まな板の上のまな板。肯定されると、事実とは言え素直に受け止められないのは当然だ。  
「うぐっ」  
 
 落ち込む彼女の頭を撫でながら、カイトはひとつ、豆知識を繰り出す。  
「ねぇ知ってる?胸ってね、揉むと大きくなるんだって」  
「え、ほんとう?」  
「試してみようね」  
「ひゃっ……」  
 青年の手が、少女のまな板に伸びる。イッツソフトタッチ。  
「痛い?」  
「うぅん、痛くは、ない……けど、変な感じ……っ」  
 
 この体勢が恥ずかしくて、ミクは言葉を濁す。けれど、追っかけられて捕まえられてしまう。  
「なら、気持ちいい?」  
「ぇえ?えっと、それは……ふぁっ!」  
「良くなるまで続けるから」  
 ぼうっとしているうちに、素肌が晒されていた。冷たい指が吸い付く。  
そして、攻撃手段は手だけではない。  
「っひあ、やぁん……!んぁ、だめぇ、吸っちゃやだッ……あっ」  
 舌が乳首を舐める。それだけでは飽き足らず、歯を立てられ、じわんと痛みが広がる。  
けれど、彼女にとって奇妙なことに。それは痛覚だけではなく、他の感覚も刺激していた。  
 
「んんッ、ふう、あっ。だめ、変なのぉ、……ひぅうっ」  
 身を捩り、逃れようとする彼女を押さえる。更に攻め立ててやれば、可愛らしい唇から甘く悲鳴が零れていく。  
「ふぁ!ァっ、……んん、おにぃ、ちゃぁんッ」  
「気持ちいい?」  
 再度同じ質問を投げられる。それを素直に肯定するのは気恥ずかしさが勝ってできない。  
ぶんぶん首を横に振った少女の、予想通りのリアクションに口角を上げるカイトだった。  
「じゃぁ、もっと。だね」  
 指先に力が篭った。  
「ちが、や……はずかし……っあん、やだよぅ……っ」  
 
 途切れ途切れに許しを乞うても、全く聞き入れられない。  
彼の指、口、舌。滑る汗、唾液。生温かく粘つくそれらが、彼女を襲いたてる。  
「ぅあ……っ、や。……っぅあ?や、何か来るのぉ……やめてやだ、やぁ……!」  
 触れられていない場所まで、刺激が伝わって、身体が震える。  
緑のツインテールが跳ねた。  
 
「ぁ……っく、ひぁああんん!」  
「胸だけでイッちゃうんだ。随分いやらしくなっちゃったねぇ、ミクちゃん」  
「ひ、ぁ……はぅ、おにいちゃん……はぁ、はっ……」  
 呆然と荒い息を繰り返すミクの乱れた前髪を直してやり、ついでに額に口付ける。  
――これにて、下準備は完了。これから調理に入る。  
 
 カイトは視線を彼女の下腹部に移した。  
既に充分に濡れたそこに、顔を埋める。下着越しに唇を付けた。僅かな刺激も、彼女には良く効いたらしい。  
びくっと震え、彼の行いを咎めるように呻いた。  
「っくあ、や、汚いから、そんなとこ」  
「どうして?分からないなぁ」  
「どして、ってだって」  
 スカートを引っ張る少女の手を絡め取って、口付ける。  
そんなささやかな行為にもミクは照れて頬を赤らめ、意識がそちらへ向く。  
 
「俺のは随分美味しそうに頬張ってくれたよね?」  
「ちが、だってあれは」  
「違わない。それに」  
 舌を張り付いた下着に沿わせた。彼女の身体から零れる分泌液と自分の唾液を混ぜ合わせて、擦り付ける。  
「ぁっ、くう……っんん」  
「こんなに嬉しそうにしてるしね。続けるよ」  
「や、だめ……っや……!」  
 ぴちゃり、と舐められてミクの身体が弓形にしなった。  
 
 そこで彼は、口元にこびり付いた液体を拭い、顔を上げた。当然、彼女は刺激をなくす。  
突然のことに、またも混乱する彼女に、カイトは問いかける。  
「ミクちゃん……、ミク?どうして欲しいか、教えて」  
「ひっ……あ?え。あ……おに……いちゃん?」  
「これだけじゃ、足りないだろ?違う?」  
「え、あ……」  
 
 何が足りないのか。そんなの、言わなくたって分かってるし、伝わってる。ただ、ミクに言わせたい。  
だから、それが出来ない限り『お預け』。  
ミクが、唇を開きかけ、閉じる。何度か繰り返しているうちに、カイトの空いた手がオイタを始めていた。  
「ん……、おにい、ちゃん……が、ぁっ」  
「何?」  
「ひっ、あ、やぁ……だ、そこ、違うよぉ……」  
 太股を撫で回し、その奥に滑り込んだところで押し留める。そしてまた遠ざかって。  
焦らされて、羞恥心が切り崩されてしまう。  
 
「あ……わた、私……っ」  
 縋りつく。ギリギリ残った理性が、顔を隠したいと働いた。  
「おにーちゃん、おにいちゃぁん。お兄ちゃんがぁ、欲しいの……ぉ」  
「俺の何が、ミクの何に欲しいの?」  
「……んっ、や……ぅう」  
 指が、望む場所へ近付く。ご褒美が欲しいなら、ってことだ。  
「まだ恥ずかしいの?こんなに見っとも無い格好晒してるのに」  
「は、う……」  
「いいけどね。ミクも疲れただろ、じゃあお休み」  
 
 やんわり腕を解かれそうになる。  
嫌だ。ミクは、必死で彼を呼ぶ。  
「うぁ……やー……お兄ちゃん」  
 涙が熱い。少女は、喘ぎながら彼に応えた。  
「おにいちゃ、んの、ミクに……いれ、て……ほしいの」  
 
「は……ぁ、あ……」  
 既に意味を成さないミクの下着を剥ぎ取って、カイトは腰を落とす。  
しっかり慣らされていたおかげで、挿入は実にスムーズだった。  
 
 カイトは、羞恥に肌を赤らめた彼女を抱きしめる。唇で、彼女の首筋に痣を付けながら。  
 
「ミク。俺の名前、呼んで?」  
「あん、ぁっ、おにい、やぁ、カイトぉっ」  
「もっと呼んで、ミク。君の声が好きだよ」  
「か、カイトぉ……私も、すき……っ」  
「ミク、……」  
 彼の唇に、柔らかい何かが押し付けられる。直ぐに離れ、ミクがうわ言のように囁く。  
「あ、カイトっ、好き!カイトがすき、一番すき……!」  
 
「……知ってる。今だって、こんなに俺に食いついてきてるよ」  
 彼女のなかは、温かい。ひだが絡みつき、彼に縋りつく。  
「んっ。あ、き、きもち、いい?」  
「うん。すごくいい」  
「よか、ったぁ……うあ、あんっ」  
「ミクも気持ちよくしてあげるからね」  
 
 一度引き抜いてから、勢いを付けて落とし込む。彼女が悲鳴に近い声を上げた。  
「ひ、っああ!そんなに、っう、だめぇ、こわれちゃうぅっ」  
「いいよ別に。っ、ほら、楽になっちゃいなよ」  
 限界が近い。もともと今日は随分焦らしてしまったから、相当ペースが早まっているのだろう。  
だから、何時もより強引に。彼女を犯して、啼かせる。  
「カイト、カイト……っ!う、ああ、ぁ――!」  
 
 弛緩したミクの、柔らかい髪に頭を埋めて、カイトも目を閉じた。  
「俺も、ずっとミクがいちばんだよ」  
 
 

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