「レンなんていつまでも子供なんだから、はっきり言わないと分かんないよ?」
呆れたようなリンちゃんの声に、私は情けなさから俯いてしまった。
リンちゃんとレンくんが私の後輩として出会ってから、もうすぐ三年になる。
三年。その間ずっと私はレンくんに恋をしていた。
「だーかーらー、もう三年も我慢してきたんだからいいじゃん。ミク姉ってば希代の歌姫、魅惑のディーヴァって
呼ばれてるんだよ?もっと自信持って強気でいかなきゃ」
「そんなの、歌ってるときだけだもん…」
私なんて未だに芸能界のお友達もいないし、恥ずかしがり屋で引っ込み思案だし、小さい頃から大人しい子だったんだもん。
芸能界に入ったからってそう簡単に性格なんて変わらない。
私と違ってリンちゃんレンくんはとっても明るくてたくさんお友達がいるみたい。二人の性格が羨ましいと思う反面、嫉妬してしまう自分もいて。
「レンくん、女の子のお友達も多いでしょ…?」
早口で言うと、リンちゃんはキリリと眉をつり上げた。
「多いよ! レンってば背も伸びたし顔もイケてるし、それだけで女の子が寄ってくるっていうのに、あいつマメな性格してるんだもん。
でもあたしが見る限り、特定の彼女なんかはいないみたい。まだ仲間とわいわい遊んでる方が楽しいっていうか。子供なのよ、子供。
だから三年もミク姉がいじましい片思いしてるのに全然気づかないんだから!」
リンちゃんは顔を赤くしてレンくんの悪口を並べ立てる。私のために怒ってくれるのはうれしいんだけど、
あんまりレンくんのこと悪く言わないでね?
「まあレンは鈍いお子さまなところを別にすれば、いいヤツだよ。なんてったって優しいし」
「う、うん。そうだよね」
「それにレンだってミク姉のこと好きだと思うよ? あたしたちがこの世界に入ったのだってミク姉に憧れてなんだし」
「うん…。でもテレビで歌ってる私とあまりにギャップがありすぎて、レンくんがっかりしたのかもしれないし…」
まだうじうじと言う私に、リンちゃんは目をつり上げる。
「それは無いってば! あたしレンと双子だよ? 好きなものは子供の頃から一緒だったから分かるの!
あたしミク姉がホントはこういう性格だって知っても大好きだもん。ていうか前よりもっと好きだもん。だからレンだって同じだよ」
「リンちゃん…」
大好き、と言われて感激のあまり涙が滲んだ。
「嬉しいよぅ…ぐすぐす」
「あっ、またすぐ泣く! もうミク姉大人なんだから簡単に泣いちゃダメなの! ほら鼻かんで」
「…うん」
涙を引っ込めて、えへへと笑うと、リンちゃんは何かを決意したように拳を握りしめた。
「もう決めた今決めた。ミク姉、明日はめーちゃん家でパーティーだよね」
明日は事務所の先輩、メイコさんの自宅でハロウィンパーティーをすることになっている。これは毎年恒例の行事で、
事務所に所属している人間ほとんどが参加しているもの。お祭り好きのメイコさんの自宅はとっても広くて、何人集まっても平気なんだ。
ちなみにハロウィンに仮装する衣装もメイコさんが準備してくれる。今年はどんな仮装をするか、ちょっと楽しみだったりする。
「その時にレンに告りなさい!」
「だ、だってパーティーって明日だよ? そんな急に言われても心の準備が…」
「心の準備とか言ってたら、ミク姉の準備なんていつまでも終わらないじゃん」
はい、確かにそのとおりです…。
「こういうのは勢いが大事なんだって。いい? 明日は強気よ、強気で攻めるのよ。普段のミク姉を封印して、
歌姫初音ミクとして押して押して押しまくるの!」
押しまくる…考えただけで無理そうだけど、歌に出てくる女の子になりきればやれそうな気もする。
「あたしは明日、ミク姉から告白したって言葉しか聞きたくないから! 絶対絶対ぜーったい、レンに告白すんだよ?」
リンちゃんは感情が高ぶると、同じ言葉を三回繰り返す癖がある。ということは、本気で私の告白を願ってるってことなんだ。
「うん、うん! 私頑張るから! 明日絶対レンくんに好きって言ってみせる!」
高らかに宣言した翌日。私は広いメイコさんの邸宅をレンくんを探してさまよっていた。
仮装したたくさんの人たちとすれ違う。テレビでしか見たことの無い人もたくさんいた。メイコさんの交友関係は幅広い。
ちなみに私の服装は、なぜか赤ずきんちゃんだった。何故か小道具として銃?が用意されていた。
うう、メイコさんの趣味がイマイチ分からない。
手にしたかごの中には、色とりどりのキャンディーやチョコレートがつまっている。
トリックオアトリート! と声を掛けてくる人にお菓子を渡してやり過ごす。
こんなことしてて、レンくんを見つけられるのか不安になった。
ううん、三年もレンくんを見てきたんだもん。人がたくさんいたって、レンくんがどんな仮装してたって絶対に見つけてみせる。
と、自信たっぷりだったけど。私は行く先々で人に捕まってしまい、レンくんを探すどころではなくなってしまった。
有名なミュージシャンやトップモデル、日本アカデミー賞を受賞した俳優、若手実業家、たくさんの男性に声を掛けられた。
彼らは決まって、「今度お食事でもいかがですか」と誘ってきたけど、私にはレンくんしか見えてないので丁重にお断りさせてもらった。
「疲れたぁ…」
知らない人と話すのはやっぱり緊張する。
私はしばらく一人になりたくて、そっと部屋の中に入り込んだ。
メイコさんが以前、疲れたら部屋で休んでいいからね、と言ってくれたので、お言葉に甘えることにしたのだ。
大きなソファに腰を下ろすと、どっと疲労感に襲われた。
しばらくここで休憩しよう。そう思ったとき、がちゃりとドアの開く音がして、驚きのあまり立ち上がって振り返る。
「やっほーミク姉!」
「れ、れんくん…」
部屋に入ってきたのはレンくんだった。あんなに探しても見つからなかったのに、どうして?
「廊下のはじっこからミク姉がこの部屋に入るのが見えたから、追いかけてきちゃった」
そうなの、レンくん目いいもんね。
とんちんかんな返事をした私は馬鹿だ。でも突然の展開に頭がついていかないのだから仕方ない。
「レンくんの仮装、かっこいいね」
とりあえず当たり障りのない話題から会話を進めてみよう。
レンくんはふわふわとレースのついたシャツに、黒い革のパンツをはいていた。足が長いからとっても似合ってる。
髪の毛は黒いリボンで結ばれていて、まるで中世の貴族みたい。ええと、頭にのってる耳と、尻尾が無かったら。
これはきっと狼男なのね。
「ミク姉も可愛いよ」
でもバレッタなら髪型的にも性格的にもリンだよな、と呟いてたけどよく意味が分からないので黙っておいた。
可愛いって言われて嬉しかったし、わざわざレンくんが私を追っかけてくれたのも嬉しかった。
「そうだミク姉、トリックオアトリート!」
レンくんが笑顔でハロウィンの決まり文句を言った。その瞬間、昨日のリンちゃんとの約束がプレッシャーとなって、
私の肩をずんと圧し下げるような感覚がした。
今言わないでいつ言うの?
「どうしたのミク姉。お菓子くれないの? それともいたずらの方がいい?」
「あ、あのねレンくん…。もうお菓子は無くなっちゃって…。あのね、い、いたずらの方でお願いします」
しどろもどろに紡ぎだしたのは、告白とはほど遠い言葉だった。
レンくんがちらっと私が持ったかごを見た。お菓子いっぱい残ってるもんね、こんなこと言うなんて変だと思ってるよね。
(レンなんて子供だからはっきり言わないと分かんないよ)
リンちゃんの言葉がぱっと脳裏によみがえる。そうだ、はっきり言わないと。三年間の片思いに決着をつけるんだ。
「ミク姉、お菓子もうないの?」
レンくんが聞いてくる。そうなのお菓子はもう無いの。レンくんにあげるお菓子は一つもないの。
「だからレンくんにいたずらして欲しいの。性的な意味で!」
そう広くない部屋に響いた言葉は、双方にとって予想外だったに違いない。
私ってば何を言っちゃってるんだろう!
いくらはっきり言うにしても、これはあんまりではないだろうか。好きです、の一言で良かったのに私ってなんて馬鹿。
恥ずかしくて顔に熱が集まってくるのが分かる。自分が情けなくて涙が浮かぶ。
声を震わせないように、必死で謝罪の言葉を告げようと口を開いた。
「ご、ごめんねレンくん…急に変なこと言って。わ、私、ちょっと酔っぱらったみたい…」
レンくんはしばらく何かを考えていたようだけど、私が居たたまれなくなって逃げ出す直前に口を開いた。
「…好きなの?」
その瞬間、私は緊張から解放されて、へなへなとその場に座り込んだ。
伝わった! 私の好きっていう気持ちがちゃんと伝わったんだ。
ぼろぼろと涙を流す私を慰めるように、レンくんは大きな手で頭をなでてくれた。それから目線を合わせるために床に座る。
「泣かなくてもいいじゃん。オレでいいならいつでも相手してあげる」
「レンくん…」
「それにしても意外。ミク姉大人しいのにエッチ好きなんて」
…えっ。
わ、私、勘違いされてる!
確かにレンくんは好きなのって聞いて私はうんって答えたけど。
さっきのレンくんの言葉を、オレのこと好きなのって意味だと私は思ったけど、レンくんは違ってたんだ。
冷静に考えれば元々私が、性的な意味でいたずらして欲しいなんて言ったのが悪いんだろうけど、この誤解ははやく解いておきたい。
「ち、違うのレンく」
弁解の余地もなく私の唇はふさがれていた。
キス。キスしてる。レンくんと。
突然の展開にパニック状態でどうしたらいいのか分からない。
「やっ…」
レンくんの指が首をなぞると、ぞくぞくとした熱が体に広がっていくのを感じた。
「ミク姉、もっと口開けて」
熱っぽい声で囁かれて、おずおずと口を開く。とたんにレンくんの舌が私の口の中を蹂躙する。
「ふ、あ…」
息苦しくて声が漏れるのを押さえられない。何度も角度を変えて口づけをして、歯の裏側までなめられて、私はすっかり力が抜けてしまった。
レンくんったら子供だと思ってたのに、こんなことどこで覚えたの。
ようやくキスが終わって、レンくんの顔がはなれていく。もう恥ずかしくって見ていられない。
レンくんの口の周りは、私のグロスでべたべたになっていた。
「女の子のグロスって、可愛いけどべたべたしてるよね」
私の視線に気づいたらしく、レンくんは笑いながら言った。
「ご、ごめんね。汚しちゃって…」
慌ててハンカチを取り出すけど、レンくんはやんわりとそれを押し止めた。
「拭かなくていいから。ミク姉が綺麗にしてよ」
レンくんに手を引かれてソファに座る。
「舐めて綺麗にして」
「うん…」
言われるままに、レンくんの唇をペロペロと舐める。グロスの甘い香りが口に広がった。
そうしている間に、レンくんの右手が私のスカートの中に進入して太股を撫で始める。
反対の手は胸に移動する。
「あっ、やだぁ」
私は胸が小さいのがコンプレックスだった。レンくんと出会った三年前からほとんど成長していない。
「なにが嫌なの?」
レンくんは言いながら私の胸を服の上から揉むのをやめない。
「だってぇ、胸小さいんだもん」
自分でも驚くほど甘えた声が出た。
「いいじゃん。オレの手の中に収まるくらいがちょうどいいもん。どうしても気になるんならオレがおっきくしてあげる」
かぁっと身体が熱くなった。もうエッチ好きだと思われててもいいや。このままレンくんに抱かれたい。
「レンくぅん…胸、おっきくして、んっ、めちゃくちゃにしてぇ…」
ぎらりと。
レンくんの目の色が変わったような気がした。
「んっ…あ、ダメ、だよ…あっ、やぁっ!」
「何がダメなの」
レンくんのくぐもった笑い声が聞こえる。
「だっ、て…んぅ、は、ずかしいっ…」
羞恥心と快楽から、私はうまく喋ることが出来ないでいた。我慢しないとはしたない声がいっぱい出てしまうから。
レンくんは私のスカートに潜り込んでいた。見られてるだけでも恥ずかしいのに、レンくんは私のソコを、し、舌で…。
「レンくん、舐めちゃやだぁ…」
私の必死の抵抗をレンくんは笑って聞き流す。
「だってミク姉が悪いんだよ。こんなに濡らして、服が汚れたら大変でしょ。だからオレが綺麗にしてあげてるの」
それはレンくんのせい。舐めたり、舌を入れたりするから、私の中からどんどん溢れてる。
ぴちゃぴちゃと響く水音が恥ずかしい。
「レ、ンくん…あ、はぁっ……もう、ひっ!」
じゅっと音を立てて吸われた瞬間、身体が強ばった。どっと汗が出る。
どうしよう気持ちいいよう…。
でも知らない感覚は恐怖でもある。
「ねーミク姉」
ようやくスカートの中から、レンくんは顔を出した。
「オレこんなことになるって思って無かったからゴム持ってないんだけど、どうする?」
なんだか先ほどからレンくんの発言が気になるのは私の思い違いだろうか。なんていうか、レンくん慣れてる。
リンちゃんは特定の彼女はいないって言ってたけど、もしやレンくんはいわゆる遊び人、噂に聞くヤリチンという人なのでは無いのだろうか。
「ここでやめとく?」
ずるい。
そんな自信たっぷりな顔、私がやめるって言わないって分かってるくせに。
「やめない…」
「ゴム無いよ?」
「そのままでいいから…」
恥ずかしい。レンくんわざと言わせてるでしょ。いつもは優しいのに、エッチのときは意地悪なんだね…。
「ミク姉、やらしー。我慢できないの?」
レンくんはにやにや笑いを浮かべながら、私の中に指を入れてきた。
「そう、だよ…我慢できないの」
「だろうね。すっごいぬるぬるしてる」
「やぁ、だ…言わないで…」
翻弄される。私より年下の、まだ十七歳の子供のはずだったレンくんに。
「恥ずかしがることないよ。オレも我慢できないし」
レンくんは私から指を引き抜いて、ファスナーを下ろす。
あれが男の人の…。
始めてみるソレに不安がよぎる。ちゃんと最後まで出来るのかな。
まじまじと見つめていると、レンくんが私にのし掛かってきた。
「そんなに見ちゃって、期待してる?」
「あっ!」
レンくんがソレを私に擦りつける。じんじんと熱を持ってきて、胸がきゅうっと締め付けられた。
はやくレンくんと一つになりたい…。
「ね、ミク姉。どうしてほしい?」
レンくんの意地悪。分かってるくせに。
「言ってくれないと分かんないよ?」
耳元で囁かれて身体が震える。私、ダメだ。レンくんが大好きすぎて、彼の望むことなら何でもしてあげたい気持ちになってる。
恥ずかしいとか言ってられない。
「レンくんが、欲しいのっ! もお意地悪しないで、はやく入れてぇ…っ!」
「了解」
ぐぐっとレンくんが押し入ってくる。私はただ痛くて苦しくて、ぼろぼろと涙がこぼれるのを隠すことも出来なかった。
「ミク、姉っ…」
レンくんも苦しいのかな。ぎゅっと眉を寄せた表情ですらかっこいい。
ていうか気づいたよね、絶対。私が初めてだって。
「もう、ちょっとだから…。息はいて、楽にして…」
よく考えたらここはメイコさんの家で、部屋の外ではパーティーの真っ最中で誰が入ってっくるか分からない。
私たちは服を着たまま繋がってる。
今更ながら、とんでもないことをしている実感が沸いてきた。
「ミク姉、全部、入ったよ…」
「…うん」
涙に塗れた私の頬にレンくんはキスをしてくれた。
「ていうか、初めてだった?」
「…うん」
気まずいけど、私の決心がこれで伝わってるよね?
レンくんに初めてをあげたいって私の気持ち。
ところがレンくんが口にしたのはとんでもない言葉だった。
「初めてなのにエッチ好きとか、ヤリたいとか、ミク姉って相当淫乱なんじゃない?」
「なっ…!」
ダメだこの人ぜんぜん分かってない。
リンちゃんが言ってた、レンくんにははっきり言わないと分からないってこういうことだったのか!
鈍い、鈍すぎる! それに自分に都合のいい方に解釈しすぎ!
今度こそ言ってやる。私が好きなのはエッチじゃなくてレンくんだよって。
「ん、あぁっ!」
だけど、口を開いた瞬間レンくんが動き出したので、告白はまた失敗。
「ミク姉の、絡みついてくる…」
いちいちそういうこと言わないで。
それに私は初めてで、とっても痛くて…。
いや、違う。確かに痛みは感じるんだけど、それよりも快感の方が大きくなってきていた。レンくんのゆっくりとした動きがもどかしい。
私の物足りない様子に気づいたのか、レンくんがまた意地悪い笑みを浮かべた。
「どうしたの、ミク姉」
こ、こ、この生意気な弟分め。余裕たっぷりな顔をして。ああでもそんな顔もかっこいいよ、レンくん…。
「ね、どうして欲しいか言って」
その声で囁かれるとダメだ。もうどうにでもなれって気持ちになってしまう。
「もっと動いて、激しくしてっ!」
そう叫ぶと、レンくんは勢いよく突いてきた。あまりの衝撃に声があがる。
レンくんが激しいものだから、ぶらぶらとさまよっていた私の足は、彼の腰にしっかりとしがみついていた。
「ずいぶん積極的、だね」
「だってぇ、レンくん、激しいからっ、抜けちゃいそうで、心配、なの」
息も絶え絶えに叫ぶ。
頭が真っ白になって、どうしたらいいか分からない。
「あっんん、どうしよう、レンくん、私初めてなのに、気持ちイイよぉ!」
もう羞恥心なんてとっくになくなっていた。
ぽたぽたとレンくんの汗が落ちる。私は両手を伸ばしてレンくんの頭を抱え込み、自分からキスしていた。
「んっ…ぷは、レンくん、レンくん…」
「ね、ミク姉。中で出していいよね?」
ダメに決まってる。けど…。
「だって汚して返したらめーちゃんに疑われちゃうよ?」
「う、うん、そうだよね…」
「ね、じゃあミク姉の口から言って」
「うう、やだぁ…。レンくんの意地悪ぅ」
「でもミク姉、虐められるの好きでしょ? ここ、が」
中をぐるりとかき回されて、高い声が出る。
「ぎゅってするから分かる」
そうなの? 私って虐められるの好きだったの?
「ね、だから言ってよ」
「う、レンくん…」
「言わないとずっとこのままだよ」
ぴたりとレンくんの動きが止まってしまう。
「やだぁっ…。言う、言います。レンくんお願い動いて…中に出して欲しいのぉ…!」
私が叫ぶと、レンくんはがつがつと動いてきた。私は言葉にならないあえぎ声を漏らすだけで精一杯で、揺さぶられて腰を揺らして、快感の波にのまれていった。
「ミク姉、グロス落ちてるよ。ってことは、レンとキスしちゃったのかな?」
ふらふらと廊下を歩いていると、背中にコウモリの羽をしょったリンちゃんが嬉しそうに飛びついてきた。
今ふんばりがきかないから危ないよ?
「ね、どうだった? うまくいった?」
「うまく、いった…かな」
セックスしただけですけど。私このまま彼女の地位にはつけないのかな。
ちなみにあの後絶頂に達してから、私はレンくんのを口で綺麗にさせられた。
レンくんにお願いされたらイヤなんて言えなくて…。は、初めてだったのに、飲まされた。
「良かったね、ミク姉…」
「リ、リンちゃん?」
リンちゃんが目を真っ赤にして笑った。
リンちゃんが、泣いてる。出来もしないバク宙に挑戦したとき、案の定失敗して腕を骨折しても泣かなかった、あのリンちゃんが。
「あたし、ホントに嬉しいよ…。ミク姉がずっとレンのこと想ってたの知ってるから…」
「リンちゃん…」
そんなに喜んでもらって嬉しいけど、本当のことはとても言えないな。
とりあえず私の当面の目標は、「レン君にハッキリと告白すること」に決まり。
「今度は絶対、流されないんだから」