チャラ系カイトと尻軽メイコ
「やーだぁ、このカイトちょースカした顔して笑っちゃう〜」
「ウルセーよ。姉さんだってなにこの表情。最早アヘ顔に近いんじゃね?」
胡座をかく俺の横でうつ伏せに寝そべって、そうかもーなんて笑う姉さんはかなりご機嫌だ。
俺たちはリビングに敷いたラグの上に陣取り、只今先日撮ったPVの観賞中だった。
トレーに載せてラグに直置きした酒とおつまみはもう大分減っていて、俺も姉さんも良い具合に酔いが回って気分がいい。
単独でも二人で共演した仕事でも仕上がったPVを一緒に見るのは習慣になっている。
今回は曲がアダルト仕様のためPVも同様に作成されていた。まぁぶっちゃけエロいんだこれが。
プロデューサーも監督もどんだけ欲求不満だっつーの。正に男の雄を刺激して止まない内容だ。
俺は楽しくオシゴト出来たけどね。まして相手はバインバインのたゆんたゆんで、おまけにノリのよい我が姉兼同僚だ。
普段は普通の歌唄ってることが多いけど、たまにこんな仕事も舞い込む。
「エロはいいんだけどさ。ランキング除外は勘弁だなぁ」
おっと、画面では俺が姉さんのドレスの裾に手を突っ込んでる。
我ながら手つきがいやらしいな。性根がでてら。
「あー、そうねぇ。監督たちは除外上等、それも勲章だーとか吠えてたけど、出演してる方は見て欲しいよね〜ガンバってんだからさ」
「歌も聴いて欲しいよなー……エロばっかじゃなくてな」
「ね」
歌唱的には割りと難易度高かったしさ。
しかし悲しいかな、人の目はどうしたってAV未満のPVに向かざる得ないだろう。
みんな好きだからね、エロ。もちろん俺含めてねー。
半裸で蕩けた顔してる姉さん半端なくエロい。そんで姉さんのドレスの胸元を剥いて、おっぱいの谷間に顔埋めてる俺の表情もヒジョーにヤバい。
このスカしたヤツ誰よ?
「カイトこの時ホントに揉んで舐めるんだもん。びっくりしたぁ」
部屋着代わりにしている俺のTシャツの裾から、剥き出しの脚をぷらぷらさせてスナック菓子を頬被る姉さん。
唇に付いた欠片を拭う赤い舌が色っぽい。
「ビクッってしてたよな。感じた?」
「だって、リハじゃおっぱいをそれっぽく触るだけじゃん。まさか本番で揉みしだいて舐めるとか、ねぇ?」
感じたのは否定しないわけね。
にやけて姉さんに向けば、頬杖を付いて俺を見てた。
「本当にホンバンかと思った?」
「ばぁか。大体そのせいでしょ、あんたが勃起してたの」
大きな瞳を細めてふふんと鼻で笑う。
「硬いの私の脚に押し付けてきてさ、ワザとでしょアレー」
「リハで、それっぽく触っただけじゃ雰囲気出ないなって思ってさ。
そんで、がっつり揉んで舐めたら勃っちゃった」
ころんと仰向けになった姉さんは気だるく身を起こし、自分の胸の膨らみに両手で触れた。
「好き放題揉んでくれちゃってさぁ。男ってほーんとおっぱい好きよね。コレってそんなにいいの?」
そう言って姉さんは左右からおっぱいを寄せて持ち上げた。
Tシャツが盛り上がっておっぱいの形になる。たゆんとしたその中心に小さな突起が布地を押し上げていた。
ダメだって姉さん、そんなことしたらさー……。
「俺、おっぱい星人だもん……っと」
「やん!」
尖るソレを抓んでやると、姉さんが竦めた肩が跳ねる。
「姉さんの感度のイイおっぱい大好きー。つーかさ、姉さんだってコーフンしたんだろ? 正直になれって」
抓んだまま軽く捻る。おっぱいから姉さんの手が離れ、甘く呻き俺の腕をすがるように掴んだ。
「俺も興奮して姉さんも気持ち良くなって、監督だってリハよりいいって喜んで、良い作品ができた。
結果オーライ。だろ?」
痛みを与えないよう気をつけながら、乳首を持ち上げる。そうすると膨らみもつられてちょっとだけ浮いた。
「んもぅ……屁理屈カイトっ――っきゃ!」
姉さんの肩を押し、ころんと背中から転がるその上にのしかかった。
「なに? 濡れちゃう?」
俺を見上げる瞳にイタズラっこみたいな光が宿って唇が弧を描いた。
「濡れてるかどうか、アンタが確かめてみたらー?」
「了解でーす」
お許しをもらった俺は、早速胸の上までTシャツの裾を捲り上げる。
お目にかかったおっぱいは、ぷよんと俺を誘って思わず手を伸ばしかけたけど、先ずは下から。
パンツに手をかけ、スルリと下ろしてやる。短い薄毛から透ける割れ目がすんげぇやらしい。
割れ目につーっと指を滑らせたら、呆気なくソコは口を開いた。指先が埋まって温い粘膜が絡み付き、俺は口元が緩むのを堪えられない。
指の動きに合わせ、捻る腰。その動きに大きなおっぱいもふるっと小さく揺れ、俺の目を楽しませた。
「濡れてら。感じてんじゃん」
姉さんに顔を近づけて咽で笑うと、それに応えて姉さんも笑った。
「だってー。急に誰かさんが乳首抓んでくるし、あのPV見てたらさぁ」
「またコーフンした?」
「うん」
「俺もー」
本格的に指を動かそうとしたら、ダメーといきなり静止が入った。
「ちょw なにそれ」
ここでお預けはないっしょ。そう思ってたら姉さんの腕が俺の首に絡んで引き寄せた。
「ちゅーしてから。してよ」
「喜んで」
ぷっくりした赤い唇に自分のそれを重ねて、舌を差し込む。
口腔を味わえば、クチュクチュ脳内に響く音を鳴らして唾液を交わす。あー……イイわ。姉さんが俺の舌に吸い付いて扱いてくる。
中断していた指も動かして、クリトリスを捏ねたら腰が浮いた。
口を離してやると姉さんは苦しそうに喘ぐ。下肢からの刺激に充分感じているみたいだ。
気持ち良さそうにムチムチの身体を震わせる姉さんに、俺の気分も段々高揚していく。
俺たちが鑑賞していた映像はとうの昔に終わって、代わりに黒い画面にはラグの上で絡み合うリアルの俺たちが映し出されていた。
俺はメイコを姉と呼ぶが、ボカロだから勿論血なんて繋がっていない。
姉と呼んでいるのはメイコと同じマスターの元に購入されたとき、他のボカロが『MEIKO』を『姉』とカテゴライズしているのを知ってそう呼ぶようになったたけで、今ではあだ名に近かった。
本気で姉弟だなんて思ってないから、俺らの間でセックスしたって何の問題もない。
互いに恋人がいようが、俺らは気分次第で身体を重ねる間柄だった。
さすがにコレには問題あると思うが、別に恋人に不満がある訳でなく、セックスするのは俺らのスキンシップのようなものだっだ。
恋人とはいつか別れるが、俺と姉さんは離れる気がしない。姉さんは俺を嫌わないし、俺も同じだった。
打算もなく気兼ねがない。気楽に気持ちよくなれる存在が姉さんで、姉さんにとっては俺だったというだけ。
「姉さん、気持ちイイ?」
「……ん……」
ちなみに姉さんは名前で呼ぶより姉呼びされるほうが反応が良い。
俺にしても背徳的な気分になれて、結構なお得感だ。
「あ。今更だけど、マジでやっていーの? 今彼氏いるでしょ?」
ふと思い出して、愛撫の手を止め尋ねてみた。姉さんからのお誘いだし、互いに恋人がいても寝る関係とはいえ、一応確認しとかないと。
「ナニよぉ。それ、今訊くコト?」
不機嫌に尖らせた唇に軽くキスすると、渋々と姉さんは口を開いた。
「今のオトコさ……」
「うん」
「巧くないのよ」
「…………」
「カラダ、あんまり合わないみたいで」
「それって」
セックスだけが恋愛じゃないのは承知してるけど、コレだって男女にとっては重要事項だ。
「悪い人じゃないんだけどねぇ……」
あははと力なく笑う姉さん。あー……こりゃ、その内別れそうだ。
性の不一致は割と重要だもんな。
「じゃ、欲求不満なんだ。だからさっきあんな風に誘ったのか。ノーブラおっぱい持ち上げるなんて卑猥だった」
「バレた? そーなの欲求不満なの。だからいっぱい気持ち良くして」
にんまり期待に満ちた顔で俺を見上げてる。淫靡だね。
「役得。いただきます!」
愛撫再開。かぷりと乳首を口に含んで吸い立てると、ああんって嬉しそうな声。
尖った乳首をちゅうちゅう吸いながらおマタに挟んだ指も動かしてやる。ぬめりは更に増して、もう摩擦を感じない。
空いた手を身体のラインに這わせ、性感帯を擽れば上がる体温に肌が火照った。
「あんっ! それイイ」
乳首を舌で強めに弾くとナイスバディが跳ねた。
調子に乗って乳首とクリトリスを同時に弾いてやる。
「ひぃんっ!」
悶える様が楽しくてあちこちイタズラする。
姉さんは文字通り欲求不満だったようで、些細な刺激にも過剰に反応した。彼氏は残念なヤツだ。セックスの相性良ければ、こんなにカワイイ姉さん見ることができたのになぁ。
「クンニしてあげる。好きっしょ」
膝割って割れ目を指でくぱぁしたら、とろとろになったまんこがお目見え。やり過ぎると黒ずむって訊くけど、姉さんのはピンク色してて綺麗だ。
かなり使ってるはずなんだけど、ボカロにゃカンケーないのかね?
「クリ舐めてぇ……」
熱く吐息をついて、姉さんは腰を揺らめかせアソコを見せつける。ねだる潤い切ったイヤらしいまんこを焦らせず、俺は舌で一舐めした。
「はぁんっ」
電流でも走ったみたいに身体が反応した。
硬くした舌先でクリトリスを押し潰し、唇で食んで吸う。
皮を被ってたクリトリスが姿を現し、更に敏感になるソレをクリクリしてやれば泣きそうな声で喘いだ。
「随分反応イイね。彼氏、舐めてくんないのー?」
「アイツ、直ぐ挿れたがって、あ、んっ! キモチ……」
れろれろ舌を動かす刺激に、びくっと震える肢体。舌に乗る粘膜を啜ると、面白いぐらい姉さんは鳴く。
内腿が張り詰めて早々に絶頂を求める身体に、あと一押しとばかりに剥き出しのクリトリスを強く吸った。
「ひゃぁん! あ、はひぃ……んぁっ!」
姉さんは全身で快感を受け入れ、その様を俺に見せた。とろけた顔、全身でひくついて揺れるおっぱい。
気持ちイイことが好きな姉さんは羞じらいなんかで自分を隠さないヒトだ。そういう所も、俺は好き。
「旨かったよ。彼氏はもったいないね、この味慣れると興奮すんのにな」
「……気持ちイイの久しぶり」
はぁって姉さんは悩ましく身体を捩る。上気して染まった頬に口付けたら、感じたのか小さく震えた。
「ねぇ」
「分かってるよ。でも解してから」
性器の花びらの狭間に指を二本突っ込む。
「はう……んっ」
「ん。いい締まり具合」
桃色のまんこはくぷりと音を立てて俺の指を飲み込んだ。膣が蠢いてるのが指先に伝わる。くの字に曲げたそれで内壁を撫で上げ、溢れたぬるぬるの露が小さな泡を作った。
「あ、あっ、ひぃ……」
「すっごい。ぐちょぐちょ」
「あぁん……」
指の動きに我慢できずうねる腰。
イイ所を掠める度にきゅんと締まる膣が素直な反応を返す。
ちょっとしたイタズラ心で、差し込んだ指をV字に開いてみた。
「んっ」
「おお! まんこが大口開いた」
「ナニすんのよぉ」
「奥まで見えそー♪ ぬるぬるが垂れてくるし。つか、どんくらいココ広がるのかな?」
「バーカっ。大バカー」
昔、似たようなことを別の女にやったら、振られたことあったけな。こんなアホなことして笑ってくれんの、姉さんぐらいだ。
可笑しそうにケラケラ笑う姉さんの脚が、すっと動いて俺の股間に触れた。
「遊んでないでちょうだいよ。もう硬くなってるじゃん」
赤く彩られた足の指を上手に使って俺の愚息を刺激してきた。その足使いは巧みで握るように揉んだり擦り上げたり、自由自在だ。
「うお、ダメだって」
「だぁってぇー」
「暴発したら挿れらんないじゃん。俺だって中で出したいし」
脚の間に身体入れてボトムを下ろし、花びらの真ん中にカチコチに膨れた肉棒の先っぽでつついた。
ぬかるんだソコは先っぽを引き込もうとして、姉さんの欲求そのままの動きをする。
俺もそろそろ気持ちよくなりたいし、ついさっきまで文字通り味わっていた、卑猥な性器をめちゃくちゃにしたくて気分が昂って仕方なかった。
「失礼しまーす」
挨拶だけはお行儀よく、俺は姉さんの中にお邪魔した。
肉棒を完全に納めた熱く潤う膣は、悦んで奥へと引き込もうと蠕動する。
「あっ、やぁんっ」
「んー? ヤなの?」
姉さんは自分から股を大きく開き、俺を誘う。
膝頭を掴み脚を固定して慣らしながら腰を進めると、尻を浮かせてよがった。
ぎゅっと締め付ける膣がヤバい。いつもより強くてつい出しそうになる。
いくらなんでも早すぎるっしょ! 姉さんだってこんなんじゃ満足しないし、せっかく俺をご指名してくれたのに申し訳ないよね。ここは男の見せどころか。
「どう?」
射精感をどうにかやり過ごし、余裕ぶって奥を細かく小突く。
姉さんは一番奥は特に弱くて、途端に身体を捩ってもっととおねだりしてきた。
「い……ぁあっ、イイよぉ……」
「感じる?」
「すごぉい……おっきくって、あひ……」
「ちんこ、好きだもんねー」
強めに数度腰を打つ。肉棒に擦れる膣壁が引き連れるみたいに動いて、俺を刺激した。
「あん……カイトのが好きよ」
好きぃと感じ過ぎて呂律もアヤシイ姉さんは、瞳を潤ませて喘いだ。
「俺も姉さんの中、一番イイよ」
褒め合うのもおかしな話だが、実際そうなんだから仕方がない。
恋人がいても結構な頻度でイタしてしまうのは、俺らの相性が抜群にいいのも理由の一つだった。
さっきからたゆんと揺れる、魅惑のおっぱいだってそうだ。デカくて美乳で、服を着てたって目につくコレにはつい触りたくなる。
薄く色付く乳首なんて、しつこーく弄るとそれだけでイってしまう感度の良さだ。
そのデカパイを掬ってモミモミしながらゆったり肉棒を出し入れする。むっちりした肉が手のひらに心地よい。柔らかさの中でぷっちり勃ってる乳首を感じる。
くちゅんと音が鳴るアソコは、姉さんと俺がどれだけ興奮しているか如実に表現していた。
「あー……ちょっとマズい。出したくなってきた」
「えぇ〜……もうちょっと、頑張ろーよぉー」
そんな残念そうな顔しないでよ。可愛いなぁ。
「舐めてくれたら直ぐ復活するし。二回戦やろーよ。はい決まり……っと」
返事なんか訊かないで脚を肩に担いで一気に突き刺した。
濡れまくった性器が派手に湿った音を立て、抱えた脚が跳ね上がる。
「あひぃんっ!」
がっついた俺は姉さんの性器にガンガン腰を打ちつけ、まるで壊す勢いだ。いっそ壊してしまいたい。
感じまくってる姉さんは完璧にスイッチ入って、俺の攻めを受けながら身悶えた。
「あぁんっ、ダメぇ! そんなに、あっ、イっちゃう……」
「俺も……っ」
姉さんの脚がうねり、俺の手から外れた。そして腰へ巻き付き、離れないでと淫らに絡みつく。
それに応え、俺も腰を掴んで乱暴に引き寄せ搾る膣を抉った。
「ひっ、イイ! あっ……イクっ、んひぃ……あ―っ、ああ――……!」
びくびくっと総身が震える。絶頂に締まる膣で肉棒を扱きながら、俺も我慢を解き放つ。
「く……は……ぁっ!」
爆ぜた俺は惰性で動く腰を止めて姉さんの身体に重なり、ぷよんと揺れるデカパイに顔を埋めた。
荒く息を吐く肺の動きと、走る動力の音を感じる。
「……は〜。スゴかった……アリガト、ね。カイト……」
顔を上げると、まだ興奮冷めやらぬ姉さんの笑顔。
「舐めてくれるんだよね?」
「ふふ。今度はカイトが脚を開くのよー」
赤くぷっくりした唇をぺろりと舐める仕草に、否が応にも高まる期待。
身体を起こして大きく脚を開いた俺の股間に、姉さんの頭が埋まるのにそう時間はかからなかった。
「アンタにもカノジョいたよね、確か」
姉さんが気だるく呟いた。今更過ぎない? さては忘れてたな。
調子に乗って二回戦どころか三回戦まで行われたリビングのラグの上で、俺と姉さんはくたくたになって寝転んでいた。俺は仰向け。姉さんはうつぶせ。服を着るのも億劫でお互いすっぽんぽんの有り様だった。
さすがにもう無理だ。勃起は出来るけど腰が痛い。
「まあ、ね」
「そのコには悪いコトしちゃったなー」
バツが悪そうな声音に、俺はあー……と生返事を返す。少し考えて口を開いた。
「や、いいよ。俺も溜まってたから」
実際、俺も欲求不満だったから姉さんのお誘いは渡りに船だった。
「へ? なに、ヤってないの? まさかプラトニックとか?」
ぐりんと首を回して姉さんが驚いた顔で見上げてくる。ん……ま、普段の俺を知ってればそーなるよね。
「そんな良いもんじゃないよ。相手が処女なだけ」
「えぇ? いーじゃん、処女! 男は処女好きっしょ。こう、俺色に染めてやるゼ☆みたいな」
「発想がおっさんくせーなーぁ」
「大事にしてるんだ! いーなー、私も男に大切にされたーい」
なんかボヤき始めた姉さんには悪いけど、そういう理由で手を出してないワケじゃないんだなコレが。歯切れの悪い俺に、姉さんは訝かんでる。
「んー……なんか罪悪感があってさ。俺みたいなチャラいのが初めての男とか。ぶっちゃけ、重いっつーか……」
「なにそれ。前半はともかく、ヒドイよ後半は」
姉さんは会ったことのない俺の彼女の支援を始めたようだ。
「面倒なんだよ。気ぃ使うしさ。ヤらずに終わりそうだ」
「それは処女が悪いんじゃなくて、カイトに問題があるんじゃん。サイテー。ドン引きだわ」
心底呆れた口調だが、その中に俺への嫌悪はない。
「彼氏に満足出来なくて、弟とヤるヒトに言われたくありませーん」
それもそうねーと姉さんは笑った。
大変残念なことに、俺は本当の意味で女に本気になれない。
外で出会うヒトは、いつか必ず別れがくると分かってるから。
どういうワケか、姉さんもあんまり男と長続きしない方だ。俺ほど頻繁ではないが、いつの間にか彼氏が替わっていることが多い。
俺が付き合って別れることを繰り返しても全く不都合がないのは、姉さんがいるからだ。
姉さんだけは何したって俺を嫌わないし、見捨てない。根拠なんて一つもないのに、この確信だけはどうしてなのか一向に揺るがなかった。
多分姉さんも同じだ。俺が姉さんを嫌うことなんてないと思ってる。
そして俺も、姉さんを嫌いになることなんか永久にない。
お互いを信じるてると言うより、これってもう絶対条件だ。
「……私もあんたのコト言えないだらしない女だけどさ。一途になれる相手って憧れるのよね」
枕替わりにしている自分の腕に頬を乗せて、姉さんが呟いた。
「そりゃー俺だってそうだよ」
「あ〜あ、どっかに居ないかな〜。本気になれるオトコ。
私のことすごく好きでー、ずっと一緒にいても飽きなくてー、居心地よくってー、楽しくてー」
「セックス巧くて?」
指を折って、めちゃくちゃ自分本位な願望を垂れ流し始めた姉さんをまぜっかえす。すると、意外に真面目な声で答えが返ってきた。
「巧くなくても相性が合えばいいー。この際、贅沢言わないし」
「だからそこが一番の贅沢なんだってば」
姉さんに続けて、ついでに自分の要求も混ぜてみた。
「あと、アホなことしても怒られなくてー」
「私とのセックスも許してくれて?」
「う……本気の相手なら自重するよ、俺?」
「私だってできるし! つか、するもん」
まあ、今の条件満たすお相手なんて、そうそう見つからない。いたら奇跡だ。それこそ運命。
願望は所詮願望で、本気でそんな人物が実在するとは思っていないけどさ。
それは差し置いても、俺らはたった一人の愛する人をこんなにも求めているというのに、なんで巡り会えないんだろう?
吐息混じりの苦笑が聴こえて、姉さんへ顔を向ける。姉さんも俺を見てて、穏やかに微笑んでいた。
「……でもさ、ホント言うと今だって結構楽しいの。アンタがいるからね」
柔らかく細められた瞳に、俺の頬もつられて緩む。
「俺も」
姉さんがいてくれるから、暮らしも仕事も日々それなりに楽しいよ。もちろん、セックスもね。
運命の相手に出会えるまで、俺らはきっとこのまま面白楽しく一緒にいるんだろうな。
俺たちはお互いがいて本当に運がいい。
……そんで、俺らが「灯台下暗し」という言葉をしみじみ実感するのは、もうちょっと月日が経ってからの話だった。
おしまい