互いに衣服はほぼそのままで、私のショーツだけが脱がされる。  
ALさんのひんやりした手が、内腿を伝って、私の大事な部分に触れた。  
 
「GUMIサンのここは、暖かいデスねえ。」  
「そんなところで暖をとらないでくださいっ!」  
「ソシテなかなかに潤ってらっしゃ……。」  
「言 わ な く て い い で す っ !」  
「GUMIサン、身体の方は素直なんデスけどねえ。」  
 
やれやれ、という体でALさんは言う。  
 
「デモ、良かったデス。」  
「え……?」  
「だって、こうなってるのが僕ダケだったら恥ずかしいじゃないデスか。」  
「え?あー……。」  
 
ALさんの服はぴったりタイトで遊びが無いし、上着の丈も短いから。  
その、張りつめてる部分が、わりと、こう、判りやすいわけで。  
 
「ねえ、GUMIサン。」  
「ん……。」  
「駄目デスか?」  
「ん……。」  
「良いデスよね?」  
「……………………ん……。」  
 
恥ずかしいやら後ろめたいやらで、私はもう頷くことしかできず。  
ぎゅっと目を閉じて待っていると、  
カチャカチャとベルトを外す音がやけに大きく聞こえた気がした。  
 
「あ……。」  
 
ぐっと押し広げられるような圧迫感。だけど、それ以上に。  
 
「っ……た……。」  
「えっと、痛い、デスか?」  
「や……、じゃなくて……。した、畳、固くて……、背中と腰が……。」  
「ア、成る程、気付きまセンで。」  
 
ALさんはふむ、と何やら頷いて、  
 
「デハ、これではどうデスか?」  
 
そう言って、腰と背中をがっちりホールドしつつ、繋がったまま、私の身体をぐっと抱き起こした。  
体育座りのALさんの上に、私が向かい合ってまたがるような感じになる。  
ていうか。この体勢って……自分の重みでこう、深くまで届くというか……。  
 
そして。あともう一つ気付いたことがあって。  
 
いつもは身長差のせいで、ALさんが上に居ると顔が見えないのだけれど。  
この体勢だと、顔がけっこうしっかり見えて。  
うわあ、そうかあ。ALさん、こういう時、こういう表情してたのかあ、と。  
 
そういえばALさん、ご飯の時もお茶する時も、すごく美味しそうに食べたり飲んだりしてて、  
喜怒哀楽がはっきりしてていいなあ、と思ってたんだよなあ。  
それは、こういうときも同じなんだなあ、と。  
思いを巡らせながらALさんの表情に見惚れていたら、ALさんとはたと目があった。  
 
「何を見てるんデスか?」  
「い、いや、何でもっ。」  
 
「しかし、このアングルはなかなか新鮮デスねえ。」  
 
あ、なんだ、ALさんも同じ事考えてたんだ。  
 
「こういうコトも、できマスしね。」  
 
ALさんはそう言うと、片方の手で服の上から私の胸を触りつつ、  
もう片方の手で私の耳を弄びはじめた。  
うわ、二箇所、とか、これ、反則……。  
 
さらに。耳を触るのを止めたかと思ったら、  
今度は耳の穴の入り口のあたりをちろちろと舐めてきた。  
ちょ、なにこの生暖かい感触。ていうか、舌が、しーたーがー!  
 
「ん……、はぁっ……!」  
「いい反応しマスねえ。上も下も。」  
「……っ! ALさん、やらしいっ……!」  
「だカラ、やらしくしてるんデスよ。何ヲ今更。」  
 
なんだろう、こう、結構ものすごいことを言われてるはずなのに、  
口調がいつものほのぼのですます調だから、なんだか調子が狂ってしまう。  
 
「ALさんは、余裕、ですねえ。」  
「そんなこと無いデスよ。」  
 
やられっぱなしでは女がすたる。  
一方的になされるがままになってるのがなんだか悔しかったので、  
私も意を決して反撃を試みることにした。  
さっきまでALさんにされたことを、そのまま真似てみる。  
胸を触りながら耳をさわさわしたり、甘噛みしたり、舌を這わせてみたり。  
 
「ちょ、ぐ、GUMIサン、あのデスね。」  
「はい?」  
「僕はネ、いいんデスよ、そういうことハ。」  
「いや、そういう訳には。」  
 
形勢逆転とは行かないまでも、ALさんを慌てさせたことが  
してやったり、という感じでちょっと嬉しい。  
 
「GUMIサン、アノ。」  
「はい?」  
「アノ、動けマスか?」  
「え?えっと?」  
「んー……、判りマシタ。GUMIサン、ちょっと倒れマスよ?」  
 
そう言ってALさんは、私の背中に手を回しながらどさ、と上半身を倒し、  
畳の上に仰向けになった。  
こんどは最初とは逆に、私がALさんを組み敷いているような体勢になる。  
組み敷いてるというか、ALさんの胸の上にちょこんと乗っている、という方が  
正しい感じなのだけれど。  
 
「ALさん、重くないですか?てゆか、背中とか痛くないですか?」  
「大丈夫デスよ。何のこれシキ。」  
 
ALさんは答えると、私の腰をぐっと掴んで、ゆっくりと抜き挿しを始めた。  
 
この体勢でも、ALさんの顔を視界に入れることができて。  
ローアングルから見るALさんの顔は、  
苦しそうな、切なそうな、なんとも言えない表情をしている。  
 
「GUMIサン……。」  
 
私を呼ぶ声のトーンが変わった。かすれてうわずった声。  
動きもだんだん早く、強くなる。私はそれについていこうと必死で。  
 
「……ッ!」  
 
瞬間、ALさんはひときわ大きく眉を寄せながら、目をかたく閉じて。  
腰に回された手に、ぐっと力が込められたのが判った。  
 
私はその表情と声に、すごく、ぞくぞくした。  
 
乱れた呼吸が整うまで、少々の間そのまま抱き合いつつ。  
身体を離して、さっきまで私たちが居た場所を見ると、畳の一部分が少し濡れていた。  
たぶんその、さっき受け止めきれなかった分とか、私の方のとか。  
そんなのだと思うのだけれど。  
 
とりあえず、手近に置いてたティッシュでとんとんと拭き取ってみる。  
 
「畳、大丈夫デスか?染みトカ。」  
「んー、たぶん大丈夫だと思いますけど……。」  
 
「おぉ!」  
「どうしました?」  
「そう言えバ、座布団がありマシタ。これを下に敷ケバ良かったんデスね。」  
「……今更ですね。」  
「そうデスね。すみまセン。」  
 
言いながら、おのおの、身体に残った行為の痕跡をティッシュで拭い去る。  
 
「そしてアノ、もうひとつ。すみまセン。」  
「何ですか?」  
「なんだか途中カラ、見境いが無くなりマシタ。」  
「え?あー……。  
 いやあの、それは、こちらこそというか、お互い様というか……。私もすみません。」  
 
乱れた衣服を整えながら、互いに謝りあう。  
いつもながら、終わった後というのは、冷静になった分、なんとなく気恥ずかしい。  
 
 
 
 
 
 
 
……それ以来、ガチャ君とかに耳掃除してあげるたびに、  
ついあの時のことを思い出してもやもやしてしまうとか。  
 
そんな事、とても人には言えない。  
 
 

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