ヴェノマニア公と悪食娘  
 
「ふむ、メイリス・ベルゼニアを攫ってきたつもりだったのだが」  
「おなかへった」  
「なんか違う気がする」  
「はらぺこなう」  
「気品にあふれた賢い美女と聞いたが」  
「我空腹也」  
「思ってたのと違う」  
「I'm hungry」  
「…お茶の用意をして差し上げろ」  
 
 
「紅茶のワッフルを用意した」  
「わっふー!」  
「食べるの早ッ!」  
「なんていうか、普通の味ね」  
「(あ、初めてまともにしゃべった…)」  
「サルの生肉とかキリンの目玉とかじゃがいもの芽とか××の××××とかあればよかったのに」  
「(なんか凄いの連れてきちゃった…)」  
 
 
「ま、僕の魔力を以てすればその変わった食欲も抑えられるか。さあ、僕の胸へ飛び込んでごらん!」  
「はい」  
「ふふ、ちょろい。…お嬢さん、そのフォークは何かな?」  
「いただきます」  
「いただかないでください!」  
「先っぽだけ」  
「やめなさい淑女が昼間っから先っぽとか言うの!」  
白米10kgで手を打ちました。  
 
 
「アボガドが食べたいわね」  
「お嬢さん、発音はよく考えた方が良い」  
「なあに、いきなり」  
「"abogado"は、スペイン語で"弁護士"を意味する。一方あの食べ物は"Avocado"、語源はアステカ語で"睾丸"だ。  
 さぁ!それを踏まえた上でどっちが食べたい!?」  
「アボガドがいいわ」にっこり  
「(どういうことなの…!)」  
 
 
「結局魔法も効かなかった…しかし顔も体つきも悪くない。手放すには惜しい、か…」  
「ご、ろく、なな…ここは女性が多いのね」  
「そうとも、君もこの仲間に入るんだよ」  
「まるで天国ね」  
「…あ、ああ、そうだね(そっちの性癖なのか?)」  
「一人か二人貰っていいかしら。できれば肉が多い方が食べ応えが」  
「やめて。ナイフとフォーク鳴らすのやめて。あと涎拭いて」  
 
 

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