とある休日の午後、股間の疼きに誘われて、俺はいつもの公園に向かった。  
到着するなり、俺の眼は野獣と化し、獲物を物色し始める。  
いた!池のほとりのベンチに腰掛け本を読んでいる、ピンク髪のボーカロイドを発見。  
……俺はそのボーカロイドの顔に見覚えがあった。  
先日、丁度この公園、このベンチで彼氏らしき男と待ち合わせをしていた奴だ。  
その男のせいで、俺はあの娘を取り逃がしてしまったんだ。  
彼氏持ちじゃしょうがないな、他を当たろうとも思った。  
しかし、あの全身(主に胸)から発せられる「淫乱フェロモン」には抗い難い。  
それに、昔からピンク髪の女は淫乱と相場は決まっている。  
誰もが言うんだから間違いない。よし、行くぜ!俺は一大決心をし、声を掛けた。  
「よ、よう。いい体してんな。お、お、俺と爽快なセックスでハメ狂わねえか?」  
初対面のボーカロイドに声を掛けるのは初めてで、不覚にも声が震えた。  
 
初対面のボーカロイドに声を掛けるのは初めてで、不覚にも声が震えた。  
「いいわよ。実は私結構激しいの。あなたのすごいアレでヒィヒィよがらせてくれる?」  
俺の妄想では、彼女はこう言う筈だった。しかし、現実は甘くない。  
「なんなのよあなた。気持ち悪い。警察呼ぶわよ。」  
やはり駄目だったか……。彼女は俺を睨みつけると、どこかへ行ってしまった。  
胸に広がる痛みと、もやもやした得体の知れない感情に耐えながら、俺は思った。  
そうか、俺はハメ狂える相手が欲しかったんじゃない。  
俺はあのボーカロイドに恋をしていた……そして失恋したんだ、と。  
まだ俺自身無垢な童貞ボーイだった頃を思い出し、俺の目から涙が溢れた。  
 

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