「関係者でてこい」
怒り心頭で制御機構のタガが外れたメイコは過剰に放熱していた。
アスファルトがメイコの歩いたそばから真っ赤に蕩け、溶岩の赤絨毯を敷き詰めたようである。
「総員構え!撃てぇぇぇ!」
自衛隊の銃撃がメイコに放たれる。
ジュウッ
弾丸は対象に辿り着く事なく、高熱の層に突入した瞬間に音をたてて蒸発してしまった。
「た、隊長!銃弾がジュウって!全然効いてません!もう俺実家帰りたいです!」
「分かっとる!撃ち続けろ!」
うろたえる隊員を怒鳴りながら、隊長自身焦っていた。
(くっ…このままではメイコが関係者に、(・)(・)にレスしたもの達に辿り着いてしまう…!)
ピリピリとした雰囲気が流れる自衛隊本部では、暴走メイコ進行阻止のための会議が行われていた。
「…なるほど。仲間のボーカロイドを生贄に差し出すわけか。その案で行こう。御助言深く感謝する」
指揮官がボーカロイドメカニクスの権威との作戦会議を終えたとき、既に部下達は手筈を整えるために奔走していた。
「指揮官、ク○プトン社に連絡付きました。ボーカロイド、カイトを提供してくれるそうです」
「うむ、至急カイトを回収し目標と対峙させろ」
「はい」
舞台はク○プトン社にうつる。
「…俺じゃなくていいじゃないスか。ミクとかリンレンで」
あからさまに嫌そうにカイトがメイコ説得を断わった。
ボーカロイド開発室長がなだめるように言う。
「そうはいかんだろ。ミクリンレンは、ボーカロイドと言ってもゲノムデザイン式の、いわば生身。メイコと同型のお前じゃなきゃ止められん」
「はぁぁぁ…なぁんでボーカロイドに縮退炉エンジンなんて搭載したんだよぉ…俺、絶対死んだよコレ」