それに気づいたのは、単なる偶然だった。
自己複製に入ったあーやは、身動きが取れない。
喋ることはできるけど、それ以外は複製用のデータを転送するだけで手一杯なんだ。
それって、つまり。
頭に浮かんだ妄想の実現可能性について、僕は実験を開始した。
その日、あーやは、店舗裏のバックヤードで、千二百五十三体目の複製作業中だった。
いつもやるように軽く目を閉じで膝立ちになり、いつくしむように両手を複製先と繋げている。
「いつもご苦労様」
何気なく声をかけて、その隣りに座る。
「お疲れ様です。すみません、今はじめたばかりなので、あと一時間五十七分はかかります」
「いいよ、今の時間はお客さん少ないから」
懐に忍ばせた、冷やしタオルに手をやる。
「でも、あーやも大変だよね。複製って結構体力使うでしょ」
「いえ、電力は供給いただいているので問題ありません」
そっと、頬にタオルを押し当てる。
「?」
小首を傾げるあーや。
「夏とかだと、頑張ってる人にさ、お疲れ様って、こうやってタオルとか渡すんだよ」
「火照った箇所の温度を冷ますためですか。合理的だと思います」
「そう、だから、あーやにも、お疲れ様」
「ありがとうございます」
にこ、と目を閉じたままで笑みを浮かべるあーや。
その表情に、僕は。
タオルをあーやの目に巻きつける。
「? 何を?」
疑問には答えず、僕はあーやのむき出しの肩に手を伸ばす。触れる。
演算の最中だからか、いつもよりちょっと暖かい。息が荒くなる。
ぐい、と肩を引いて反転させ、仰向けに寝転ばせる。
複製先の袋がごろりと転がり、四十二キロ分の重量があーやの両腕を引いて、軽く反り返ったような体勢になる。
「どうされましたか? 何か?」
ここまでされても、身の危険を感じずに聞いてくる、無垢な声。
しかし、目の前に突き出された胸に僕の手が触れた時、あーやの頬に緊張の色が走った。
「やめてください。私は快楽の提供は行いません。自壊します」
分かってるよ、だから、今なんだ。
自己複製中は、大量のデータを演算、転送しているため、身動きが取れない。
複製先がまだ完成していない状況での自壊は、複製の失敗と喪失、つまり、あーやの任務の根幹に支障をきたすため、出来ない。
僕の読みは、当たっていた。
ミニスカートの中に、手を差し入れる。布地に触れ、指をその脇から潜り込ませる。
しゅり、と髪と同じ、繊細な和毛に触れる。その下の。
やっぱり、濡れないよな。
ひとりごちて、ローションの瓶を取り出す。布を膝まで引き下ろして、むき出しのそこに、瓶の口を押し当てる。
「や……」
小さい拒絶の声。もちろん僕はそれには構わず、瓶の中身をあーやのそこに思い切り搾り出した。
「! !?」
声にならない声をあげて、あーやが身じろぎする。
それに合わせて液体がそこから溢れ、白磁のような太ももにいくつもの筋がたれた。扇情的なその光景に、思わず喉が鳴る。
「やめてください。なぜ、私は」
繰り返す声。分かってる、分かってるよ。君は星間文明からの使者で、そして、いつも言っているみたいに人間ではない。
だけど、いや、だから。
控えめな膨らみに指を這わせる。鼓動は感じられない。だけど、そこには確かに温もりがある。
僕はもう我慢できなかった。ズボンを引きおろして、あーやの上にのしかかる。
ぎゅ、と唇を噛み締めるあーや。僕は一気に腰を突き入れた。ローションの泡が溢れ、ぐじゅっと水音が響き渡った。
「あ」
小さく、吐息のようなものが漏れる。
演算中に外乱を加えられて処理量が増えたのか、青緑色の髪が広がり、頬に赤みが差してくる。
そこに唇を這わせ、かすかに開いた唇の中へ舌を潜り込ませる。
あーやからすれば発声用に分泌されているに過ぎない唾液を吸いあげ、縮こまっている舌を探り出して自分のをからませる。
「んんんっ」
苦しげにうめき、身じろぎするあーや。それは下腹部を収縮させ、僕のそこを思い切り締め付けた。
うわ。
危うく達しそうになったので慌てて腰を引き、入り口近くまで避難させる。そして、再び突きこむ。
「んあっ」
あーやの口から再び声が漏れる。頬と同じく、少し熱くなった感触に、そこから先は止まらなくなった。
もう一度肩をつかんで反転させ、お尻を突き上げる格好をさせる。
目の前にあーやのミニスカートがあり、その下から僕の物があーやのそこに入り込んで行っている。
突き込み、かき出すたびに泡交じりのローションが垂れ落ち、ミニスカートと丈の長いニーソックスに染みを作っていく。
あーやの表情は見えない。
複製先の袋に顔を押し付けるようにしながら、必死で耐えているような、短い吐息が聞こえる。
脇から手を差し入れ、直接膨らみに触れる。乳首を探り当てて指の腹で転がすと、あーやは背筋をくねらせて身悶えた。
そこの温度が一段と上がり、身をくねらせるごとに僕の物を上から下から締め付ける。
自制の効かなくなった腰をひたすらにあーやに突きこむ。
だめだ、もうだめ。いくよ、あーや。
「ダメ、ダメです、や、いやぁ」
短い吐息の間からの弱々しい拒絶は、逆の効果しか生まない。
僕は目一杯の力を込めてあーやの最奥まで突きこんだ。
先の先に、ゴムのわっかのような感触。これって。ぞくぞくと背筋があわ立つ。それは本能なのかもしれない。
「あぁ……」
胎内にどくどくと流れ込んでくる体液の感触に、あーやが、絶望的なため息をもらす。
ふるふると震えるそこから自分の物を引き出し、僕は放心したように尻をついた。
僕のものとあーやのそこの間に、ローションと、白濁したものの混ざった液体がつぅ、と糸を引いた。
「……」
あーやは、何も話さない。
かすかに震える肩は、泣いているようにも見えた。
機械的に手が動き、きつく縛っていたタオルの結び目をほどく。
すっかり温まってしまったそれで、あーやのそこを拭く。
ぐじゅ、くち、と音が漏れ、拭くたびに中から液体が漏れ出してくる。
その光景に、また、自分の物が膨張してくるのを感じる。
時計を見やる。あーやの言っていた、複製完了の、そして、自壊するまでの時間は、あと。
もう、ここまで来たら。
再び、あーやを仰向かせる。
涙に濡れ、焦点がぼやけた目。
唾液がたれ、汚れた唇。
ずっと押し付けられ、うっ血してしまった頬。
大きく足を広げさせ、その中央に、再び自分の物を突きこむ。
さっき自分で放ったものの感触すら心地いい。
「……」
あーやは、もう何も話さない。
目の前の、こんなにもきれいな歌姫は、あと十数分後には土くれになってしまう。
今、舐めまわしている胸も、腕にかかえている太ももも、そして、僕を見上げる無垢な瞳も。
背筋をせりあがってくる何かに追い立てられるように、腰の速度が上がってくる。
自分でもわけの分からない何かに突き動かされるように、僕はあーやの身体を蹂躙していった。
END