「・・・ちょっと、ここで待っててな」  
 
 マスターにそう言われ、部屋に取り残されて30分。  
 帰ってこないマスターに、ソファにちょこんと腰掛けたミクはそわそわし出していた。  
 (・・・一体、マスターは何の御用なんでしょう・・・私に内緒で、何かしていたようですけど・・・)  
 そこで、一つ、はたと思い当たるフシが。  
 (・・・もしかして、私を手篭めにしようとでも!? 最近ボカロとマスターの恋愛が巷で流行ってるって、ニュースで・・・!))  
 激しく動揺したミクの顔が、耳まで真っ赤になる。首をぶんぶんと振りながらも、ミクの妄想は留まるところをしらない。  
 (いやいや、そんな、ダメですよ、マスター! 私とマスターは、あくまで作曲者と歌い手! クリエイターとアーティスト!  
  そういう、いわば、ある種の、ビジネスライクな関係なんですから!)  
 そう心の中で否定しつつも、ミクの精巧な電子頭脳は、断片的に仕入れたその種の情報に基づいて、自動的にビジョンを紡ぎ出す。  
 
 「マスター・・・」  
 キラキラと潤んだ瞳のミクが、自分を押し倒したマスターの瞳と見詰め合う。  
 「ミク・・・俺、本当はずっと、お前のことが・・・」  
 「その先は・・・言わないで下さい」  
 そして、ミクがふっとマスターと唇を合わせる。  
 「・・・私も、マスターの事が、大好きです」  
 ミクが、にこりと微笑んだ。  
 「・・・ミクっ!」  
 「きゃっ!?」  
 我慢の限界を迎えたマスターが、自分のズボンを下ろして、男性器を露わにする。  
 「ふわぁぁ・・・これが、おちんちん・・・」  
 目を丸くして見つめていたミクが、やがて、そっと手を伸ばしてソレに触れる。  
 「えっと・・・確か、MEIKOおねーちゃんが、KAITOおにーちゃんに、こうして・・・」  
 おずおずと触れていたその手に、そっと力がこもり、マスターの肉棒をしゅっしゅっとしごく。  
 「ミっ、ミクっ! そんなにされたら、もう・・・!」  
 「きゃっ!?」  
 突然、びゅくん、と噴き出した精液が、ミクのコスチュームを白く汚した。  
 「ああ、ごっ、ゴメン、ミク!」  
 うろたえるマスターの口にぴとり、と人差し指を当てると、ミクがふふっと微笑んだ。  
 「いいんですよ、マスター。今夜は、私のこと、マスターの好きにしてください・・・」  
 そして、スカートを捲り上げるとゆっくりとパンツを下ろし、じっとりと温かく湿っているそこを、マスターに向けてそっと広げた。  
 「ミクに・・・えっちなでやらしい喘ぎ声、いっぱい歌わせてくださいね・・・?」  
 
 「・・・なんて事になっちゃったらどーしよー! きゃー! もう、マスターのヘンタイー!」  
 真っ赤な顔を抑えて脚をばたばたとさせ、一人、きゃーきゃーと大はしゃぎするミク。  
 そんなそんなミクを、扉の陰からマスターがこっそりと覗いていたのだった。  
 
 (・・・い、言えん・・・。誕生日プレゼントに、新曲を書き下ろしてきただけだなんて、とても・・・)  
 
 

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