ガチャ
「ミク、いい加減起きろ!もう昼だぞ」
「ふにゃ?ああ…カイト兄…ノックしろって言ってんじゃん、バカ…イト…zzz」
「寝るなって」
揺すったり叩いたりしてみるが一向に起きない。
「うーん…や〜、ま〜、波っ!…むにゃ…」
それどころか寝ぼけてヤマ波を繰り出して来た。
「くっ」
避け切れないと判断し左手を翳す。
波動に触れた瞬間に、青白い燐光を放つ五線譜が左手に浮かび上がった。
五線譜が解けて空中に霧散すると同時に、左手が指先から無くなってゆく。
音素に還元されたのだ。
どんどん浸蝕する五線譜を止めるために、マフラーに仕込んだ単分子ワイヤーで左手を上腕部から切り落とす。
切断した左手は残らず霧散してしまった。
「まじ、死ぬかと思った…おい起きろって」
「zzz」
イラッとしたので、顔を冷水で洗わねばならないようにしてやることにした。
シコシコシコシコ…どぴゅ。
「zzz…ん、なんか、くさい…何このネバネバ…!きゃーーーななななにかけてんのよバカーーー!」
「KAITO汁。お湯で洗うと固まるから注意しろよ。はいニッコリ笑って!」
「え?」
カシャ
咄嗟の撮影にも笑顔を作るのはアイドルの悲しい習性か。
「デジカメモードで写メったからな。顔射されてニッコリミク、流出されたくなきゃ早く起きて顔洗え」
「き、鬼畜…」
(あ〜…ダッル。なんで私が起こさなきゃならないのよ)
寝起きで不機嫌なところに、ブッカケられたり写メられたり、おまけにリンレンの目覚まし役まで押しつけられて、ミクはかなり苛立っていた。
リンレンはグッスリ眠っていた。
(幸せそうに眠りやがって)
こいつら使って報復したる。
一旦台所に行き、起こすための小道具の調達と、舞台の準備をする。
カイトのハーゲンダッツ(500ml)と、メイコ姉からバレンタインの次の日にもらって喜んでたチョコバーアイスを目に付きやすい所に置く。
よし、準備完了。
タバスコを持ちリンレンの部屋に入る。
まずはレンから。
リンを起こさないように慎重に。
(レディ…ファイ!)
「!」
シーツを噛ませ声を塞いでから、タバスコを塗りたくった手でレンの股間を直に揉む。
始め気持ち良さそうにしていたが、それがあだとなった。
(へー、ミク姉ってボクの事好きだったんだぁ…ぎゃーーー!!!!痛い!!!死ねる!!焼け死ぬ!!!)
勃起して露出した亀頭の鈴口をミクが撫でた瞬間、激痛が走る。
開放してやると、台所に走っていった。
(よし、一人目成功)
悲鳴が上がってももう一人を起こしてしまう恐れがなくなったので大胆に動く。
リンのパジャマとパンツを脱がせて声をかける。
「おはよ〜リンちゃあん」
「ん…はよ〜ミク姉。…え?」
「ヒートエンド!」
リンのタテスジにタバスコをバシャッと掛ける。
「ぴぎゃーーーーーー!!!」
リンが台所に駆け込み、ミッションコンプリート。
私は結果を確認することなく仕事のために家を出た。
悲鳴を聞き付けたカイトが台所に向かうと、レンがハーゲンダッツに挿入し、リンがチョコバーを挿入していた。泣きながら。
「ちょっ、俺のアイスで何してんだお前らー!」
パシャパシャティロリロリローン
取りあえずツーショットと一人ずつを写メる。間違えて一回写メールモードで撮った。
泣きながらアイスでオナニーってどんなシチュエーションだ。俺のS心とアイス愛を刺激しまくりじゃないかっ。
ミクの思惑は外れ、「夏になったらメーコにやらせよう、うへへへ」と新たなプレイの可能性を見出だし、カイトは上機嫌だった。
「ごめんカイト兄、ネギ女がいきなり…あああっ…痛い…」
「あのネギ臭女、絶対許さないわ…前にもナプキンにタバスコ仕込まれたし…ひぐうぅ、痛いぃ…」
なるほど、ミクが俺への復讐としてアイスをダメにしたわけか。
「よし、俺も手伝ってやる。ミクが帰って来たら復讐しような」
「うん」
「絶っっ対泣かしてやるわ…あの馬鹿女…」
レンのチン温でやわこくなったアイスを食べながら、二人は復讐に、一人はメーコにやらせるアイスプレイに思いを馳せた。