・ミク×レン  
・設定は2月の北海道札幌市。かつクリプトンボカロは市内在住の設定。(←重要)  
・視点はレン  
・レンはヘタレン  
・微表現あり  
 
 
ある寒い寒い夜、僕はミク姉の部屋で寝ていた。  
ミク姉は僕のことが好きみたいだが、正直僕は好意というのがわからない。  
 
ある日、僕は長い仕事の疲れでリビングにうとうとしていたがいつしか落ちていた。  
「ミクー、レンを自分の部屋に寝かせておきなさい。」  
メイコ姉がミク姉を呼び、  
「はーい」  
ミク姉が嬉々として僕をミク姉の部屋に連れていったのだ。  
暖房が効いた部屋で深い眠りに就いたのだ。  
 
−夢の中で僕は雪がしんしんと舞う札幌の街を歩いていた。手足が悴んで寒い。  
 
すると、大通公園には明日開催される雪まつりの準備が終わって閑散としていた。  
閑散としていたなかである雪像で見覚えのある結いだ緑色の髪の少女が白い着物を着て立っていた。  
 
辺りを見渡し、様子を確認している。  
僕は違う大きな雪像の影に潜めたが、その少女がどんどん迫っていく。  
 
凍えた手に息を吹き掛けながら、ただ過ぎるのを待っていたら  
「どうしたの?」  
見つかってしまった。  
緑色の髪の毛を結いだ少女は僕にこう告げた。  
「私、一緒に添い遂げる旦那様を待っているの」  
少女は少し困った顔をしながら、僕に話をかけた。  
「ぼ、僕が一緒に貴女のお婿さんの帰りを待ってあげるよ。」  
「ホント?」  
少女は少し安堵な表情を見せた。  
札幌のテレビ塔の時計は午前3時を表示していた。僕はその少女に見覚えがあった。  
それは昨年の6月末、僕らの産みの親とゲーム会社、フィギュア会社のインターネット配信でちょうど今頃に発売されるミク姉のフィギュアのデザインを決める会議が公開されていた。  
 
「わあ、いいなあ」  
アンケートでミク姉が一番気に入ったのは四番の白無垢だった。  
「こういう花嫁衣装を着て未来の旦那様と・・・」  
ミク姉がひしっと抱き締めた。  
「は、離してよ・・・」  
 
 
‐「しっかりして」  
少女は僕の身体を揺さぶった。  
「実はね、貴方にそっくりなの」  
僕は初めて少女の旦那様について聞かされた。  
「どんな方なんですか?」  
「ちょっと、頼りないけどその辺がかわいくて、黄色髪の年下の男性(ひと)なの」  
僕はドキッとした。まさかこの少女の旦那様が、まさかの・・・  
動揺が隠せなくなってしまい、少し不審な表情をする少女。  
 
すると、少女はさらにこう切り出す。  
「実はとても優しいひとなの、あなたみたいに。」  
遂に僕の頭が混乱し、訳も分からない状況になってしまった。  
そして何らかの拍子で、僕は足を滑らせて少女が纏っていた着物を剥いでしまった。  
 
転けた時には彼女は上半身がはだけて、僅かに膨らんだ乳房が露出した。  
 
「わぁ〜、ごめんなさいごめんなさい。」  
 
急いでその事態を認め謝る僕。  
すると、少女は目に涙を浮かべ・・・  
「ひどい・・・私はもう嫁入りするのよ。。。なんで他の男に。。。」  
 
すすり泣きをしながら少女が立ち去っていく。  
「待って!」  
僕は追いかけようとしたが、少女はまたひと言。  
「追い掛けないで」  
彼女は消えるかの如く立ち去ってしまった。  
僕はこの虚無な空間に襲われていた。  
 
漆黒な闇夜を照らす大通公園の街路灯。  
外側を走り去る自動車−  
 
》パー(車のクラクション)  
 
「わあー」(ガバッ)  
僕はそのあっけなく情けない夢を掻き消そうと叫んだ。  
ミク姉はそれでも隣ですやすや寝ていた。  
ホッと撫で下ろしたが、僕はミク姉を見て今まで感じたことのない特別な想いを感じた。  
友達とか兄弟とかそういう関係ではない本当に今までにないものだった。  
「ふわぁ・・・よく寝た」  
ミク姉が起きた。  
「レン君、よく寝れた?」  
僕は少しボサボサの寝癖で二度返事をした。  
 
「あの・・・ミク姉」  
「なぁに?レン君」  
「今日は一緒に雪まつりに行かないか?」  
「・・・うん、行こう!」  
僕は夢の中同様に抱き締められたが、今度は嬉しさのほうでいっぱいだった。  
 
‐人混みのなかで僕はミク姉の手を離さず歩く。  
夢の中で見たあの雪像の前に着くなり、僕はあることを切り出す。  
 
「ミク姉」  
「なぁに?レン君」  
 
「あの・・・僕は・・・」  
 
終わり  
 

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