ぴぴぴぴぴ、と目覚まし時計が鳴っている。
「…・んぅ、もう朝か……」
寝ぼけ眼でそうつぶやいた鏡音レンは、もぞもぞとベッドから手を伸ばし、けたたましく響くアラームを止めた。ううん、と
布団の中で伸びをして、むくりと上半身を起こす。
と。
「………あ?」
かけていた毛布を剥ぎ、何気なく見下ろした自分の下半身の様子がおかしいことに、ふと気付いた。
こんもりと盛り上がっている、股間のふくらみ。
それ自体は、健全な青少年であるレンにとって何ら特別なことではなく、以前はその現象に戸惑っていたレンも、最近は
ようやく自然なこととして受け入れられるようになってきたところだった。
が、しかし。
今日に限っては、そのふくらみがもこもこと伸びたりちぢんだり、挙句の果てには下着のあちらこちらを動いているとなれば
話は別だ。
「何だこりゃっ!?」
大あわてで下着の前部をぐいと引っ張り、中の様子を確かめるレン。果たしてそこには。
「――あっ! おはようございます、レン兄上殿!」
小さな体で大きな声を張り上げる、彼の妹――蒼姫ラピスの姿があった。
「………何してんだ、ラピ」
唖然とした表情のまま、たっぷり15秒は言葉を失ってから、レンはゆっくりとラピスに訊ねた。
「はっ! この蒼姫ラピス、不肖ながら、現況についてご報告をさせていただくであります! 本日0800、わたくしは
リン姉上様より、『レンの事起こしてきて』という任務を拝命したのであります! その命令を直ちにその場で復唱した後、
わたくしは全速力でレン兄上殿の下へとはせ参じ、任務の遂行にとりかかりました。 ところがその現場において、わたくしは
兄上殿の下半身に何やら異物が闖入しているのを発見したのであります! これは一大事とばかり、わたくしは大慌てで
その異物を除去すべく、悪戦苦闘していたところ、兄上殿がお目覚めになった、と、こういう次第であります!」
レンの問いかけに、はきはきとした口調で答えるラピス。びしっと指差すその先にあるのは、むくりと頭をもたげている、レンの
男性器であった。
「いや……ラピ、それはな……」
「しかしこの物体、いくら引き抜こうともびくともしないのであります……ああ、我が身の非力さが恨めしい!」
そう言ってラピスは、ソレを全身でがば、と抱きかかえ、うんうんと唸りながら上下に体を動かし始めた。ぎゅう、と締め付け
られる感覚は、しかし痛みではなく適度な刺激となって、レンに流れ込んでくる。
「うわっ! ちょ、ちょっと待てって! だ、大体何でお前ハダカなんだ!?」
「ああ、この格好のことでありますか?」
ラピスはぴたりと動きを止め、一糸まとわぬ状態の自分の体を見下ろした。その様子はあくまで平然としている。
「任務の遂行にあたり、かなりの重労働が想定されましたので……ミク姉上やルカ姉上から賜った、大事なだいじなお召し物を
万に一つも汚してはならないという判断によるものであります」
そう言って、その場でくるり、と一回転してみせるラピス。普段は透き通るように白い彼女の素肌は、先ほどからの『労働』の
せいか、ほんのり赤みを帯びており、ところどころに光る汗がキラキラと輝いていた。
「も、もう分かったから……こうやって、俺も起きたことだし、服着ろよ、な?」
いくら彼女がミニサイズであるとはいえ、何とも目にやり場に困る光景を持て余し、レンは顔を赤らめ、あさっての方向を
向きながら言う。
だがしかし、
「そうは行かないのでありますっ!」
「うわあっ!?」
ラピスは決然とした様子でその言葉を拒否すると、ふたたび、レンの肉棒に向かって思い切り抱きついてきた。
「一度下された任務を途中で放棄するなどという行為は、わたくしの電子頭脳にはインプットされておりません! この
蒼姫ラピス、自らの誇りにかけて、この異物を排除してみせます! そこで見ていてください、レン兄上殿!」
男性器に体を寄り添わせながら、自信に満ちた表情でレンの顔を見上げるラピス。だが当のレンはそれどころではなく、
「はっ……くっ…!」
寝起きで敏感になっているその部分を弄り回され、快感とも痛痒ともつかない感覚が全身をかけめぐり、声にならない吐息を
もらすのが精一杯のありさまだった。
「あ、兄上殿!? どうなさったのでありますか!? ……まさか! この異物によって、体内に何か怪しいウイルスが注入
されてしまったのでは……! 待っていて下さい! 一刻も早くこいつを退治し、兄上殿を救ってみせるであります!」
レンのその様子を目の当たりにしたラピスは息を飲み、さらに必死な面持ちとなって男性器と対峙した。両腕をうんと伸ばし、
輪を作るようにして抱え込み、足も外側に広げるようにして、根元の部分に絡みつかせる。ぴったりと密着した全身からは、
柔らかな温かみと汗による滑りがレンの側へと伝わってきた。
「だっ、ダメだって、ラピ……! そんなにしたらっ……!」
レンの必死の制止にも耳を貸さず、ラピスはその体勢のまま、全身を上下に揺らせ始めた。
「ええいっ! このっ……! 兄上殿の体からっ、出て行くで、ありますっ!」
全身全霊をこめて、目の前の巨大な肉棒を引き抜こうとするラピス。しかし、彼女が努力すればするほど、その異物はより硬く、
より熱さを増していくのだった。
「もっ、もう……!」
成す術もなく、レンが押し寄せる快感の波に身を任せようとした、その瞬間。
「くっ……いくらやっても埒が空かないのであります……。かくなる上は、この、てっぺんの部分から思い切り……」
ラピスがひょい、と頭を持ち上げ、亀頭の正面へと顔をのぞかせたため、レンは大いにあわてた。
「うわっ! ラっ、ラピ、危な――!」
「ふえ?」
突然のことに、ラピスをそこからどかせる余裕も、また、下半身に自制をきかせる余裕もなく、レンはラピスの小さな顔へと
向けて、勢いよく精液を発射してしまった。
「ああっ! ごご、ごめん、ラピ! 大丈夫か!?」
あまりの出来事に気が動転してしまい、射精の余韻もそこそこに、ラピスの事を気にかけるレン。
しかし。
「………えへぇ……」
顔中を、べっとりと精液で汚したままのラピスは、それをぬぐおうとするでもなく、ただぼんやりと呆けていたかと思うと、
突然、緩んだような笑顔になった。
「ラ、ラピ……?」
「……わたくし、なんだかぁ……とっても、気持ちいいのでありますぅ……。あにうえどののお汁、あったかくて、ねばねばで、
ヘンな気分になってしまうですぅ……」
夢見るような口調でそう言ったかと思うと、ラピスは突然、レンの男性器の先端にぺたり、と頭を預け、小さな舌を伸ばすと、
鈴口の淵に沿って、ちろちろと舐め回し始めた。
「うぅっ!」
「もっとぉ……兄上殿のおいしいミルク、ラピスに飲ませてほしいのでありますぅ……」
妖しい輝きをその目にたたえ、レンに向けて、上目遣いの視線を送るラピス。小さな指でくりくりと亀頭を刺激し、空いた手で
自らの陰唇をくちゅくちゅとこね回すその姿に、レンは思わず吐息が荒くなるのを感じる。
「お、おい、しっかりしろって……あうっ!」
それでも何とか理性を保ち、なおもラピスに呼びかけようとしたが、その言葉は、突如くちゅり、と押し付けられた何かによって
遮られた。
見れば、ラピスが片足を差し上げ、露わになった肉丘を、レンのそそり立つ陰茎に向けて一心不乱にこすりつけているのだった。
「はっ、はぅっ、これっ、気持ちいいでありますぅっ……」
とろんと目を蕩かせ、なかば無意識に腰をぐりぐりと押し付けてくるラピス。どうやら皮膚の下の血管の、微細な起伏が絶妙な
刺激を得られるらしく、そこを中心にして上下左右に何度も、自らの未熟な肉の花弁で撫で回し続ける。
「ラピ……っ……! そっ、そんな動き方……っ!」
それはレンにとっても、今までに体験したことのない、未知の快感であった。
「ああっ……わたくし、壊れてしまうでありますっ……!」
ますます腰の動きを激しくさせながら、ラピスがうわごとのように呟く。ちゅぱっ、ちゅぱっと陰茎に何度もキスの雨を降らせ
ながら、すでに沁み出している先走りをまみれさせた両手で、ねっとりと陰茎全体をなでまわし、レンを責め立てる。
「くっ……俺っ、もうっ……!」
詰まったような声で、レンが呻く。それを受けて、ラピスがさらに各所の動きのペースを速めていく。
「あっ、兄上殿っ! 出してっ! 出してくださいでありますっ! このわたくしが、全て受け止めきってみせます! だから……」
そう叫ぶや否や、ラピスはレンの尿道にちゅぅぅっと吸い付いた。
「くぁぁっ!!」
その強烈な口淫に耐え切れず、レンはびゅううっ、と勢いよく射精した。
「ひゃあっ!」
先端から迸った白濁液が、ラピスの頭上から降りそそぐ。その髪も、顔も、身体も、全てを汚しながら。
やがて、レンの射精が収まった頃、ラピスはその場にぺたん、と座りこんでしまい、発射してなお硬さを保っている陰茎に背中を
預けた。
「はぁ…はぁぁ……兄上殿の、特製ミルク……たくさん、たくさんご馳走になってしまったのであります……」
激しい疲れと興奮のせいでか、急に眠たそうな様子になってそう呟きながら、自らの身体中を眺めまわすラピス。伸ばした両腕も
投げ出した両脚も、糸を引くほどに濃厚な精液で一面コーティングされてしまっていた。
それらをしばし、幸せそうな表情で見つめてから、くるり、とレンの方を向き直るラピス。恥ずかしさと気持ちよさ、その他
もろもろの感情により真っ赤になってしまっているレンに向かって、にっこりと微笑むと、
「ありがとうございます、レン兄上殿♪」
そう言って、こてん、と眠り込んでしまったのだった。
「……ったく、一体何だったんだか……」
ようやく落ち着きを取り戻したレンは、後始末をする気力もなく、ただ、ラピスの顔だけはそのままではかわいそうなので、
手元のティッシュできれいに拭いてやると、少しの間、ぼんやりとその寝顔を眺めていた。
――兄の大きな体に身を預け、何の不安も心配事もなさそうに寝息を立てている、安らかな顔。
そんな妹を見ているうちに、レンは「ふっ」と口元に笑みがこぼれてくるのを止められず、そっと、人差し指でラピスの頭を
なでてやった。
「――ま、こういう一生懸命なトコがかわいいんだけどな」
その時である。
「レーン! いい加減起きなさーい! ラピスも起こしに行ったまま何やって………って」
部屋のドアが勢いよく開いたかと思うと、そこに現れたのはレンの双子の妹、鏡音リンだった。
「………あ」
「………え?」
彼女はレンに向かって怒鳴ったかと思うと、次の瞬間、そこに展開されている光景を見て、言葉を失った。
自分の双子の弟が下半身を露出し、そこに妹の頭をもたれかからせている。
どこからどう見ても、アブノーマル以外の何物でもないシチュエーションである。
「い……いや……リン、あのな? これは俺じゃなくてその、ラピが……」
だらだらと、顔面からイヤな汗をしたたらせながら、レンが抗弁を試みる。
――が、それはすでに、リンの耳には届いていなかったらしく、
「―――こぉん……のっ……ド変態ぃぃぃっ!!」
というリンの怒号とほぼ同時に響いた、レンの頬が張り飛ばされる大きな打音と共に、ボカロ家は今日も、平和な朝を
迎えるのであった。