「神様の儀式」
神様は夜寝るとき、かならずあれをしてるっす。
あれはきっと、神様がもれたち黒い血の人間たちをしあわせにするための、
儀式みたいなんもんなんだともれは思うんす。そんなとき、もれはいつも寝たふりをするんす。
神様は寝ながら布団の中で、「…あぁっ…」とか「いやぁ」とか声を上げながら、もぞもぞしてるんす。
聞いていてちょっと、どきどきする声す。
神様は自分で自分の身体を触ってるんす。脚の間に手を入れて、くちゅくちゅって音をさせるんす。
だんだんと甘酸っぱい匂いがしてくるんす。
もれも、なんかもぞもぞしたくなるんす。
そしてそのうち脚を大きく開いて……も、もれは必死に寝ているふりをするんす!
……薄目を開けて、見てるんす。
脚の間に、ちょっとだけ毛が生えていて……そこから音と匂いがしてるんす。
上の服もまくりあげるんす。胸、神様の胸、……大きいす。
だんだん、神様は苦しそうになって、「いく」とか言うんす。
「いく、の、……イッちゃう……あ、ああ……ッ!」
どこへいくのかと最初は思ったす。でも、どこもいかないんす。いくっていうのは、儀式が終わる時の合図みたいなもんす。
……そして、神様は雨を降らすんす。脚の間から、雨がちょっとだけ降るんす。
雨が降ると、神様の儀式は終わるす。何事もなかったかのように、神様は眠るす。
もれはちょっとだけドキドキして、……とーちゃんに教えてもらった、「えっちなきぶん」ってのは、
こういうことかと思うんす……。
神様相手にこんなこと考えるなんて、もれは駄目な防人す……。
(END)