《アンダーワールド》  
 
私は、セーラー服の襟元から、自分で中を覗き込みました。  
着ているのは、ベビードールっぽいデザインがお気に入りのキャミソールと揃いのブラ。  
スカートの下も、セットのデザイン。  
かわいいランジェリーは大好きです。  
本当のベビードールと違って、フリルも控えめで制服の下に着込めるけれど、その代わりに刺繍やリボン使いがかわいいし、何よりシフォン風の生地の色が淡いピンク……むしろ桜色って言いたいような色で、これは一番のお気に入り。  
さみしいなあ……。  
体育の授業前に更衣室で、女の子同士かわいい下着を見せ合うのは、ちょっと恥ずかしいけど楽しい儀式でした。  
けれど今は男の子しかまわりにいないし、服に対する美意識ってきっと違うと思います。  
それでも、最初の村で会ったヨキさんという方のゆったりした服は綺麗だな、と思ったし、レオさんの服も似合っていてかっこいいな、と思います。シオ君も、似合っていてかわいいです。  
でも、私がこの世界の美意識を理解できるからといって、この下着を褒めてくれる人がいるかと言うと……謎です。  
つまらない……。せっかくかわいいのに。  
ふと、私はある可能性に気がつきました。これだけ生活が違う世界だったら、下着姿になっても、下着姿だとは気付かれないかもしれません。  
さいわいなことに、今シオ君たちは食料をいただきに近くの村に行っていて、そばには機会のプラちゃんしかいません。  
脱ぐなら……今。  
 
私としましては、学校指定のこのセーラー服もかわいくて気に入ってるけど、でも、せっかくのかわいい下着がもったいないから。  
リボンを解いて、上着を脱ぎ、スカートのファスナーとホックを外します。  
足元に、パサリとスカートが落ちました。  
薄いシフォンがゆるく風になびき、刺繍の糸が日差しにきらきら輝きます。  
私は、胸元の細いサテンのリボンを結びなおしました。  
シオ君、レオさん、早く帰って来ないでしょうか?  
美意識が違っても、きっとこのかわいさは分かってもらえるはずです。  
村のほうから、人影がふたつ、こちらにやって来るのが見えました。  
「シオくーん!レオさーん!」  
私は待ちきれなくて、二人に大きく手をふりました。  
二人の反応が、とても楽しみです。  
 
おわり  
 
 

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