―――ピンポーン  
呼び鈴の音に気付き、スリッパの音をパタパタと軽やかに響かせながら、玄関に向かう。  
ドアを開けると―――、誰もいない。  
 
「……いたずら……?」  
ドアを閉めようとした所で、  
もしかしたら、と思いあたる事があったので外に出て  
玄関からは死角になっているドアの裏側を見てみると、  
ドアの影で緊張しているのかいつもより3割増で顔を強張らせているレオの姿があった。  
「…やっぱりレオさんだったんですね。いたずらかと思ったじゃないですか」  
「今日家に行く約束をしているんだ、とシオに話してついてきてもらったんだが、  
押すか押すまいか悩んでいるうちに、じれったいすよ!!』とシオが押して、その……」  
くすくすと笑いながら声をかけると、基本的に無口で、もし話したとしても必要最小限にしか  
しゃべらない彼にしては多弁な、そしてしどろもどろな返事が返ってくる。  
 
「ここで話すのも何ですから、上がってください」  
玄関脇に置いてある来客用スリッパを出し、家の中に招き入れる。  
「お邪魔します」  
 
「少し座って待っててください。今パウンドケーキ焼いてるんです」  
ソファに座って座って待つように言われて大人しく待っているものの、  
ふかふかした感触の気持ちよさとか、キッチンから聞こえてくる鼻歌とか、  
……落ち着かない。  
 
――数分後。  
鼻歌は途切れることなくずっと続いている。  
あれからレオは、気分を落ち着かせようと腕を組んでみたり、足を組んでみたり、  
その組んだ足を組み替えてみたり、背もたれに寄りかかったり、  
少し横になって目を閉じてみたり……と、  
気を紛らわすために思いつく限りの行動をしてみたが、効果は無い。  
むしろ落ち着かなさは増すばかりでどうしようもない。  
 
それにさらに拍車をかけるのが、歌声とこのシチュエーションだ。  
微かに聞こえてくるあの高い声は行為の時の嬌声を連想させ、さらに家には家族も誰もいず、2人きり。  
我慢強いレオにも限界というものはある。  
 
レオは立ち上がるとキッチンへ向かった。  
 
「神」  
「どうしたんですかレオさん」  
「落ち着かないんだ」  
「だったらお茶でもいれましょうか?」  
薬缶に水を入れようとした手はレオに包まれ、その動きを止められる。  
 
「いれなくていい」  
そのまま抱きしめられた。  
「…レオさん?」  
「落ち着かない」  
「……え?」  
「神がそばにいないと、落ち着かない」  
ぎゅう、と力を込めて抱きしめられる。  
軽く混乱しつつもそっとレオの背中に腕をまわす。  
 
「…私もレオさんがそばにいないと、落ち着かないです」  
レオの胸によりかかるように耳を寄せると聞こえてくるレオの鼓動。  
――そばにいると落ち着く、と言っている割に鼓動は速い。  
それはつまり彼が落ち着いていない、という事を遠回しに示している。  
 
「神のそばにいるとすごく落ち着く。だが、違う意味では落ち着かなくなる」  
「…え?」  
レオはエプロンの紐を解くと、紐を解いた手を肩にかけそのまま下へ下ろす。  
ピンクの格子柄の布は音も無く床へ落ちた。  
 
肩へとかけた手を更に下へと、身体のラインを確かめるように滑らせていく。  
腰まで下ろした所で、遠慮がちに服の中に手を差し入れる。  
なめらかな肌の感触を楽しみながら、下着の金具に手をかける。  
 
「あの、レオさん…」  
自分の腕の中で、戸惑ったような声で問いかけてくる神。  
「何だ」  
「その………する、んですか?」  
「そのつもりだが何か問題でもあるのか」  
下着を外そうとしていた手を止めずに尋ねると、  
「…いえ、その、構わないんですけど流石に台所では……」  
「俺は別にここでも構わない」  
金具が外れた所で、下着ごと服を上に持ち上げ、大きさは控えめだが形の良い胸を露出させる。  
「…私はここじゃ……んっ」  
ここじゃ、の後に続くであろう「嫌だ」いう言葉を無視して神の胸に触れる。  
柔らかい感触を手だけで感じるのは勿体無いと触れた後をなぞるように唇で触れる。  
薄い桃色をした胸の飾りの片方を指で愛撫し、もう片方は唇で吸う様にして愛撫する。  
 
「んぅ…ぁ…っ…あ…レオ、さ」  
微かに潤んだ目で見つめられ、レオのなけなしの理性は吹き飛んでしまいそうだった。  
 
「何だ」  
「あのっ…」  
胸に触れていた手と唇の動きを止めて、尋ねる。  
「やっぱり…台所では…」  
先刻から何故神が台所でこのまま行為に及ぶのを嫌がるのかがレオにはわからない。  
「焦らしているつもりなのか?」  
短い時間で思いついた答えをそのまま言葉にする。  
「…!!ち、違います!!」  
頬を真っ赤に染め、必死な様子で言い返される。  
「だったら何故だ」  
「台所でなんて…ムードが無いじゃないですか…」  
しぶしぶ、と言った様子でレオから目を反らしながら理由を告げる。  
「…そういうものなのか」  
「…そういうものなんです」  
 
「そうか、わかった」  
レオはおもむろに立ち上がると神を腕に抱え、2階へと向かった。  
部屋のドアを足で蹴飛ばすように開き、ベッドに神の身体を横たえると同時に覆いかぶさる。  
「ここなら、いいんだな」  
顔にかかった髪を払いながら、神にそう尋ねる。  
「……はい」  
小さく頷くと、神はレオの身体を引き寄せた。  
 
「ぁっ……」  
スカートをめくり上げ、下着の上から秘所に触れる。  
そこは既に湿っていて、下着越しにも関わらずレオの指を濡らす程だった。  
「神」  
「…何、ですか…?」  
レオは神の手を取ると、今自分が触っていた場所に導いた。  
「これだけ濡れていれば、大丈夫か?」  
「え…?…あっ、レオさ…」  
神の手を、愛液が溢れ出ている場所に導き指を這わせる。  
「まだ、足りないか?」  
自分と神の指を中にすべりこませ動かすと、  
くちゅくちゅ、という水音が静かな部屋の中に響く。  
「…あぁっ……んっ…」  
指を動かす度に、わずかに弓形になる神の身体。  
快感によって通常よりもわずかに熱い身体。  
赤く色づいた頬に、荒い息。  
「…まだ駄目か?」  
台所にいた時からレオの分身はとっくに臨戦態勢準備完了で、  
今にも下着を突き破れそうな勢いで張り詰めていた。  
「レオ、さん?」  
「我慢できないんだ、…もういいだろう?」  
 
レオは神の服をひきはがすように脱がすと、自分も服を脱いだ。  
一糸まとわぬ神の身体を一瞥すると、神の足を掴み、大きく開かせる。  
「い、いやっ…」  
必死で足を閉じようとする神の足をしっかりと抱え込み、  
腰を引き寄せ、猛る分身を熱い内側へと押し進めた。  
 
「・・・んっ・・・あ…レオ、っ…」  
半ば無理矢理挿入したにも関わらず、  
神のそこはレオの分身に吸い付いて離そうとしないかのように感じられる。  
「神…動いても、大丈夫か…?」  
そう聞いておきながら、返事を待たずに腰を引き、中へと何度も押し入る。  
「あ、ぁ…あぁっ…!!ちょ、待って…」  
「何をだ」  
「も、もう…」  
「もう、何だっ…?」  
 
まさかもうイクとか言うんじゃないだろうな?  
ちょっと待ってくれ俺はまだ無理だ。  
 
「した…」  
「した?」  
した?下?舌?  
下はイヤって事か?俺に下になれって事か?  
それとも舌がイイって事か?それとも神が俺のを舐めてくれると?  
 
「わかった」  
神と繋がったまま、レオは身体を起こした。  
「やぁっ…あっ…ちが…っ」  
神の身体を持ち上げては、下へ下ろす。  
「あ、あ、あっ…わた…し、た…あぁんっ!!」  
「『した』でこうして欲しいのか?」  
レオは目の前にある神の胸の飾りを咥え、先端を舌で転がしはじめる。  
 

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