「レオさん……レオさん、しっかりして!」  
 懐かしささえ感じる声に名を呼ばれ、小さな手で体を揺すられて、レオは重たいまぶたをこじ開け、しばたたかせた。  
「レオさん」  
 少し霞んだ視界に、探し求めていた神の姿。  
 心底ほっとした表情で、大きな瞳は涙で潤んでいた。  
「……神……ッ!」  
 思わず彼女へ手を伸ばそうとして、レオは体に奔る鈍痛に顔を歪めた。  
「レオさん、まだ動かないで。先程、酷く全身を打たれたのですよ」  
 言われて記憶を辿ると、確かに外壁から神の元へと侵入を果たした際、  
人の形をした機械が発したビームに足許を撃たれて―――それ以降の記憶がない。  
「無様だな、気絶しちまったのか」  
「その通りだよ、元防人レオナルド・エディアール」  
 
 第三者の声に、痛む体は動かせなかったが目を向ける。口調でヨキかとも思ったが、声は男の物。  
 床から伸びてきた円筒形のエレベーターから降り立つ人物は初見であったが、声には聞き覚えがある。  
「テメェ……あの時の」  
 それは二千年分の願いを貯め込んだ護神像を、本来の肉体に取り込んだコトだった。  
 レオは機械的な音声とシルエットしか知らなかったが、コトが持つ卑しい唇の歪みは隠しようもない。  
「気分はいかがかな、黒き血のゴミよ」  
 コトはあの人の形をした機械・キクを伴い、王のように堂々と、動けぬレオのそばへ近付いてくる。  
 しかし彼が纏うそれは覇王の威厳というより、強い武器を手にした弱者の狂乱に近い。  
 無力な影のまま二千年、一人でこの蜘蛛の糸に引きこもっていたコトが、ついに最強の力を手にしたのだ。  
 はしゃいで当然かも知れないな、とレオは冷ややかな眼差しでコトを見た。  
 コトの姿形、そして感じる気配にアシャの存在を察し、レオは事の成り行きを何となくではあるが、理解した。  
 しかしいくら事情が飲み込めたところで、ろくに動けないレオがすべての護神像を吸収したコトに太刀打ちできるわけもない。  
 それでもレオは神を守るべく、必死で躰を起こそうとした。  
 
 レオの視界が、突然黒く塞がれる。  
「何をしようというのです?」  
「神…」  
 まだ躰の自由が利かないレオを庇い、神がコトとキクの間に割って入ったのだ。  
 レオの位置からは長い髪と広げられた両腕しか見えなかったが、優しかった彼女の声はあくまで冷たく、少なくともコトを敵と認識していることは明らか。  
 力の差は圧倒的であろうに、彼女は小さく震えさえしながら、コトへ向けてきっぱりとこう言った。  
「出ておゆきなさい。レオさんにこれ以上危害を加えることは許しません」  
「バカ、何やってんだ……!」  
 怒鳴ろうとすると、特に後頭部が痛む。どうやら頭を打ったらしいが、それよりも彼女を避難させる方が大事だ。  
 その為にここまで来たのだから。  
 言うことを聞かない躰は偏頭痛に悩まされていたときよりも厄介で、レオは必死になって神の前に出ようと藻掻き、ベッドから転げ落ちた。  
 
「レオさん! ……無理しないで」  
 すぐ後ろで床に這い蹲るレオに、神は心底心配そうな顔をする。  
 レオの手を取り、せめて仰向けにさせようとした彼女の手を押しとどめて、レオは低い視点からコトを睨め付けた。  
 動かぬ躰で神を守ろうとするレオ、そしてレオを庇おうとする神。互いを思いやる二人を睥睨して、コトは褐色の容をにやりと歪める。  
「よかろう。そやつはどうやら満足には動けぬようだし、彼の身の安全を保証する代わりに、お前が私の命令を聞くと言うことで、どうだ?」  
 歪んだその瞳に好色そうな色が宿るのを、レオは見た。  
 彼女が気付いているか否かはわからないが、コトの下そうとしている命令は、確実に彼女の自尊心を踏みにじるであろうコトは予想が付く。  
「ダメだ、神。こいつはどうせ、ロクなこと考えちゃいねぇ」  
 レオの肩に添えられた神の小さな手を掴んで懇願したが、彼女はコトを見上げたまま呟いた。  
「わかりました」  
「神!」  
 神が振り向いて若草色の髪がふわりと揺れる。振り返った彼女の面には、やわらかな笑みが湛えられていた。  
「ここで私が逃げてなんになりましょう。私は安全でも、レオさんの身に何かあれば、後悔しか残りませんわ」  
 
 レオはそのまま、コトの命令を受けたキクによってベッドに座らされ、機械の腕で戒められた。  
 アムルタートの根のような機械は先程のエレベーター同様、何もないはずの床から生えてきている。  
 今のレオの力では引きちぎることは、ほぼ不可能だ。  
 そしてレオのごく近く、左手に機械で作られた椅子にコトが掛け、神はレオとコトの前一メートルほどの場所に立っている。  
「キク。お前は向こうでヨキと小僧を監視していろ」  
「わかった」  
 赤き血の命令を忠実に守る機械は、僅かに眉根を寄せはしたものの、抗うことも出来ずに命令に従った。  
 知能を持つ機械というのならば、これから彼女が何をされるのかも予想が付くのだろう。  
 キクが床を通り抜けるようにして出ていくと、コトは早速口を開いた。  
 
「では彼の解放の条件として、お前の『大事なもの』を捧げて貰うというのは、どうかな」  
「大事な……?」  
 コトの真意を測りかねて、神は柳眉をひそめる。  
「そう、例えば……年頃の少女らしく、唇、などをね」  
「な……っ」  
 神の白い頬に、ぱっと朱が散る。ストイックな彼女のこと、性的な関係はおろか、異性と接吻したことすらないのだろう。  
 だが先の方まで赤く染まった彼女の耳に、コトの命令は容赦がない。  
「私は接吻せよと強制しているわけではないぞ? 嫌ならそれで構わぬ。ただ、このゴミが痛い思いをするだけでな」  
 コトの台詞に、神ははっと顔を上げた。  
 確かに、コトの要求はあくまで提案であり、彼女に拒否権が与えていた。  
 だがそれを行使すれば、そのままレオが何かしらの暴行を加えられる。黒い血の人間を憎んでいるコトならば、動けない彼を殺すかも知れない。  
 結局、それは罠の遥か向こうにあり、彼女は手を伸ばすことすら許されない。  
 
 拒絶することも出来ぬまま俯く神に代わり、激怒したのはレオだった。  
「テメェ! 阿呆な真似してんじゃねぇ!」  
 その顔が赤いのは神を侮辱される怒り故なのか、自分を道具として使われている屈辱故なのか彼自身にも分からない。  
「キサマは黙っていろ」  
「ぐ……!」  
 コトの手が持ち上げられると、床から何本物コードや金属片が折り重なって現れた。  
 じゃらじゃらと、きしきしと耳障りに擦れ合いながら、機械はレオの逆巻いた髪を鷲掴みにして持ち上げる。  
 毛髪どころか頭皮が剥がれそうな痛みに、レオは堪らず呻いた。  
「やめて!」  
 機械の手を緩めたのは、悲痛な神の叫び声。コトの言葉以上の影響力を発揮したのか、  
機械は毒を撃ち込まれた蛇のように、レオの髪を離してのたうった。  
 痛みに細めた目で彼女を見れば、レオが意識を取り戻した時以上に泣き出しそうな顔でこちらを見ている。  
「……やりますから、レオさんに乱暴……しないで」  
 コトが頷くのを見届けて、神は暫し目を閉じるとやがて意を決したように面を上げた。  
 
 愛らしい唇は真一文字に引き結ばれ、つぶらな瞳は怒りに潤んでいる。寄せられた眉根に刻まれた皺の深さが、彼女の怒りを表していた。  
「……っ」  
 椅子に座し、悠然と腕を組むコトの肩に神のたおやかな手が触れる。  
 真っ赤に染まった顔を思い切って近づけると、彼女はそのまま、掠めるようにコトの唇へおのがそれを重ねた。  
 ほんの一瞬だけやわらかな部位を重ねた後、髪は飛びすさるように身を離し、顔を背けて制服の袖で唇を拭った。  
 本意ではなくとも、自分の意志で汚してしまった純潔は、何度拭っても元には戻らない。  
 そして、屈辱に震える彼女に、コトは更に追い打ちをかけた。  
「それだけかね?」  
「だ、って……したら、レオさんを解放してくれると」  
 キスをすればレオが自由になると思っていた神は、どもりながらコトに反論した。  
 しかしコトは喉を鳴らし「それは提案だ。解放するかどうかは、お前次第だということを忘れるな」  
 やっぱりか、とレオは舌打ちする。  
 黒い血の人間を憎み、蔑み、彼女をエサに利用して自分の手を汚さず計画を練ってきた奴のことだ。子供だましの接吻などで敵を解放するわけがない。  
 コトの卑劣な計画に気付いた神は、レオやシオの前では決して見せなかった怒りも露わに、コトを糾弾した。  
「卑怯です、あなたは」  
「何とでも言うがいい」  
 絶対的な優位に立ったコトに、ひ弱な少女の言葉は脆くも崩れ去る。  
 結局、何もかも、コトが満足するまで彼の言いなりにならなければならないのだと、神は華奢な手を握りしめて声を絞り出した。  
 
「それで? 私にこれ以上、何をしろとおっしゃるのです?」  
「まぁそう目くじらを立てるな。折角の可愛い顔が……いや、怒った顔もなかなか良いがな」  
 凛と立ち、怒りを滲ませる神が逆らえぬのをよいことに、コトは彼女を手招きすると、自分の膝の前に跪かせた。  
「手を」  
 言われるがままに神は手を差し出す。  
 するとコトは彼女の手首を掴み、手のひらを膝の間へと押しつけた。  
「いっ……いやあっ!!」  
 一拍置いた後、一瞬にして彼女の貌は真っ赤に染まり、それからざあっと青ざめる。  
 ただでさえ白い容は紙のように真っ白になって、必死に手を引き剥がそうと彼女は藻掻く。  
 しかし世界で最強の力を手に入れたコトにとってその程度の抵抗などそよ風に等しい。  
「いや……嫌ですっ……!」  
 
 無理矢理触らせられた逸物への嫌悪感に、とうとう神は涙を零してかぶりを振る。  
 だがそれでもコトは容赦せず、脅迫という凶器を彼女に突きつけた。  
「そうか、嫌か。それ程までに私は汚らわしいと言いたいのだな? いたく傷ついたぞ、小娘」  
 わざとらしい三文芝居だ。  
 だがそれは、彼女を従わせるには充分な台詞であった。  
 神は血の気の引いた顔を上げ、叫ぶように否定した。  
「い、いいえ、そうではありません……!」  
「まことか?」  
「………………はい」  
 蚊の鳴くような、掠れた声。  
 レオのいる場所とは反対に背けられた顔に、どんな表情が浮かんでいるのか、レオに謀り知ることは出来ない。  
 射殺すような目で睨み続けるレオを無視して、コトは自らスーツの一部を操作する。  
 白い突起を捻ると、空気の抜けるような音がして神の手を触れさせていた部分がはらりと開いた。  
 既に硬く張り詰めていたモノが、勢いよく飛び出してくる。  
 
「では、証拠を見せて貰うとしよう。  
 ……舐めよ」  
 俯いたままの神の肩が、大きく跳ね上がった。  
 当然だ。間近で見たことすらない物を、触れるだけで嫌悪する物を、舌に乗せろと言うのだから。  
 しかしレオの命と自尊心を秤に掛ければ、その比重はあっさりと傾く。  
 神は一度目を閉じると、意を決して目を開く。  
 決意が崩れぬうちに、目の前にまろびだされた肉塊に指を這わせた。  
 
 ちろり……と震える舌の先が粘膜に触れる。  
 感じたことのない舌触りと熱さ、そして何より咽せるようなその臭いに一瞬舌を引いてしまったが、思い直したように再び舌先を伸ばす。  
 人間の一部であることを強調するかのように血管を浮き上がらせ反り返るソレの、砲身ばかりに舌を這わせていると神の頭上から居丈高なコトの声が落ちてくる。  
「一所ばかりを攻められても城は崩れぬぞ」  
 憎かった。  
 生まれて初めて、神は誰かを憎いと思った。今ならレオが機械を憎んでいた気持ちも、少し分かる。  
 しかし今はその怨敵のご機嫌取りをせねばならないのだ。  
(私が、我慢すればいいのだもの)  
 苦痛ではあったが、神は膝で立ち上がり、その肉塊を真上から覗き込む。さらりとした髪がコトの膝に落ちた。  
 
(見ないで……レオさん、お願い。目を閉じていて)  
 せめて彼がこの場にいなかったら、気を失っていてくれたら、こんなにも羞恥を感じることはなかっただろう。  
 神は少しでもレオの視界から恥ずべき行為を行う自分を隠そうと、長い髪と痩躯で顔を隠し、小さな唇を開いてコトの分身を咥え込んだ。  
 
「ん……うぅっ……」  
 咽頭を先端で小突かれ反射的にえづくが、吐き出しそうになるのを神は寸前で堪え、どうにか唇の内側でとどめる。  
 そしてもう一度ソレを奥まで押し込み、口腔に納めたまま舌で周囲を撫で回す。  
 その行為が男を喜ばせるのかどうか、彼女は知らなかったが、持てるだけの性知識で考えた結果であった。  
(真由、は、いつも……彼氏さんに、こういうこと……していたのかしら)  
 恋人が相手なら、きっと自分も進んでこれをしただろう。  
 そう思うと、もし相手がレオだったら、という思いが脳裏を掠めた。  
(レオさん……)  
 目を伏せて思考に没頭し、そのまま拙い前後運動を続ける。しかし彼女の頭の中では、既に相手はレオにすり替わっていた。  
(ここは……?)  
 先端を舌のざらついた部分ではしたないほど舐め回し、ねっとりとした液体を滲ませる割れ目を舌先で抉るように舐める。  
 
 頭の上から落ちてくる呼吸が荒くなるのを感じて、神は責める位置を変えた。  
 歪な形で広がる嵩の下をくすぐるように、それから唾液に濡れた裏筋をそぞろに舐め回す。  
「おお……」  
 頭上から落ちてくる声に、神ははっとする。それは心の中で奉仕していたレオのそれではなく、コトの声であったからだ。  
「男を知らぬ風に見えたが、なかなかの手練れだな」  
 くっくっく、と笑う声に恥じ入って、神は心の中で弄んだレオに詫びた。  
(ごめんなさいレオさん……でも、そうとでも思わなければ、私……あれ以上はできなかった)  
 恥じらいながらも、止めて良しという言葉はまだ無かったため、神は懸命に舌で、唇で肉塊を刺激し続ける。  
 雄の性器に奉仕することに再度没頭していると、彼女はおのが身の内に染み出る異変に気が付いた。  
 足の間の、その奥の方が落ち着かない。何かが沸き出しているような違和感。  
 心当たりはあったが、彼女はそれを認めたくはなかった。  
 レオや、あるいはシオならばまだしも、何故この怨敵相手に『濡れ』なくてはならないのか、と。  
 
「どうだレオナルド。この上品ぶったお嬢さんが、お前の敵である私のモノにむしゃぶりついている様は?」  
 そう言ってコトは神の頭髪をさらりと持ち上げた。  
 露わになる、羞恥に染まった彼女の横顔。  
(いや、やめて……!! 見ないで、レオさん!)  
 こんな卑怯者相手に淫蕩な行為に耽り、あまつさえ性的興奮を覚えているなどとレオに知られたら。  
 考えただけでも恥ずかしくて死んでしまいそうだ。  
 しかし、己を羞じていたのは、何も神だけではなかった。  
「神……すまねぇ」  
 彼女が自尊心と引き替えにしてまでレオを案じてくれているのに、彼はその痴態に目を奪われてしまっていたのだ。  
 酷い罪悪感にかられたレオはいたたまれずに目を逸らし、神はコトの手に促されてようやく口から肉塊を抜き去り、そっとレオを見る。  
 すると。  
(レオさんも……興奮して、くれたの?)  
 廉潔な彼もまた人の子であったということか。  
 膝までを隠すスカート状の布地が、一点だけ高く持ち上げられているのだ。  
 あらぬ方向を向いた彼の頬が、神同様赤く染まっていることに、彼女は少し安堵した。  
 
「どうだ小娘、あやつにも同じ事をしてやっては。あのままではさぞ辛かろうて」  
「え……っ?」  
 機械の椅子に座したまま、レオを指さすコトを、神は思わず振り仰いだ。  
 神もレオも、一瞬何を言われたか分からず凍り付いていたが、先に金縛りから抜け出したのはレオだった。  
「……神。そんなゲス野郎、ほうっとけ」  
 眼の端でコトを見、唾棄してレオが言う。  
 しかしコトの言うとおり、レオは些か辛そうに見えた。  
「お前の好きにするがいい。そやつがどうなろうが、私には何の関係も無いからな……だが」  
 冷ややかに笑うコトの指が、空中をすっと滑る。  
 するとレオを戒める機械の一部ががしゃがしゃと外れて隊列を再編成し、布地越しに彼自身を根本から締め上げた。  
「ぐ……っう!」  
「レオさん! ……何をするのですか!?」  
 神は矢も楯もたまらず、苦痛に顔を歪めたレオに駆け寄ると、コトを糾弾する。  
 しかしコトは怯みもせず、屹立した醜悪な肉塊を晒したまま唇を歪めていた。  
「そうしておくと、いつまでも血流が治まらないのだよ。  
 なに、お前が楽にしてやると言うのなら、それを解いてやってもかまわんが?」  
 あくまで神が自発的に動くというのが狙いなのだ。再度確認させられて、神はコトを睨み付けたままで口を開く。  
「……解いてください」  
 それ以上コトと口を利くのも汚らわしいと思った。  
 
 射るような視線は一瞬でコトから外れ、哀しげに色を変えてレオを見る。  
 レオもいたたまれないのか、すぐに彼女から目を逸らしていたが、神は構わずレオの膝の上に跨る格好で膝立ちになった。  
「いいっつってんだろう……あっち行け」  
 彼女がそうしないであろうことは分かっていたが、それでも神にそのような行為をして欲しくはなかった。  
 それが強制された行為であるなら尚更。  
 しかし神は微笑んで、先刻コトにモノを触れさせられたのとは逆の手を伸べ、レオの唇を撫でた。  
「先程も申し上げましたけど、私にそのような真似は出来かねます。ですから……あまり、困らせないで?」  
 恥ずかしさを堪えた泣きそうな顔を赤く染めて微笑まれ、レオはそれ以上抵抗することが出来ずに押し黙る。  
 神の手がそろりとレオを締め付ける機械に触れると、金属の触手はするすると解け、もといた位置に収まった。  
 急いても浅ましいように思え、神はゆっくりとした動作で四肢をつき、レオの裾を持ち上げる。  
(………あ………)  
 だぶついたズボンごしに先端を手のひらで撫でると、じっとりと蒸れた熱が伝わってきた。  
 少しだけ見てみたいという欲求が高まり、ちらりとレオの表情を盗み見る。  
 切ないような目で彼女を見ていたレオの視線と、出逢う。  
「……ンだよ。やるなら……さ、さっさとしろ」  
「はい……」  
 気恥ずかしさに突き放したことを言うレオがなんだか可愛く思えて、神は純粋に、レオに悦んで欲しいと思うようになっていた。  
 
 レオのズボンをくつろげると、コトの時よりも力強く跳ね起きたモノが神の鼻先に現れた。  
(これが……レオさんの……)  
 比較できるモノがコトのそれしかないのだが、コトのモノとはまた違うそれを、神は暫し観察してしまう。  
「……そんなモン、じろじろ見んじゃねぇ」  
「あっ……ごめんなさい…………失礼します」  
 恥ずかしいのはレオも同じなのだ。そう自分に言い聞かせ、レオの膝の上で躰を伏せ、顔を近づけていく。  
 頬に掛かる髪を耳にかきあげ、そっと先端で唇を鳴らす。神の唇を、レオの透明な樹液が濡らした。  
「ぅ……」  
 小さく呻く声。  
 神の唇は側面を啄みながら根本へ向けて下降し、それから犬が飼い主の顔を舐めるように、舌を押し当てながら上昇する。  
「んっ……ふぅ……」  
 彼女の荒くなった呼吸が時折、小さな喘ぎとなって鼻を抜けていく。  
 下を向いていても分かる、レオの呼吸も上がっていて、神はレオの分身を咥えたままちら、と彼を見た。  
 きつく目を瞑って唇を噛んでいるのは、気持ちがいいからなのか。  
 神は咥えていた先端を吐き出すと、彼に「きもちいいですか」と尋ねようとした。  
「レオさ……っきゃ?!」  
 四つん這いになり、突き出す格好になっていた神の尻が、突然涼しくなる。  
 濡れた顎を拭いもせず、驚いて振り返ればそこには予想通りコトがおり、神のスカートを捲り上げていた。  
「何をするのです?!」  
 
「お前の尻がいやに落ち着き無かったのでな、どうしたものかと思ったのだ」  
 などと言い訳がましく言うコトの鼻の穴は膨らみ、浅黒い頬は血液が集まって上気している。  
「ここが濡れているようだが……?」  
「やっ……触らな…っ、ああ!」  
 神が自ら動き出すようにと策をひねり出すのに飽きたのか、それとも我慢が限界を迎えたのか。  
 どちらにせよコトは痺れを切らし、強引な手段に出ようとしているようだった。  
 パステルピンクのボーダーが入ったショーツ越しに、コトの野太い指が神の秘部を縦断し、神はびくりと痙攣して、レオに縋りつく。  
 秘部から溢れた蜜がショーツに染み入り、そこをコトの指で抉られ、クロッチが陰唇へぴったりと貼り付いた。  
「あっ……だめ……そんなところ、触らないで…」  
 いやらしく歪んだコトの表情は見えなかったが、欲望のままに少女を蹂躙する卑しさは感じられる。  
 同時に未開発の性感を刺激され、神はかつて感じたことのない感覚に戸惑った。  
「んんっ……あ、んっ?!」  
 下着越しながら肉芽を指の腹で擦られ、既に充血し凝り固まったそこは、甘い痺れを彼女に伝える。  
 若い肉を翻弄され、未だそれとは分からぬ快感にめまいすら感じ、レオの胸に額を預けた。  
 神が押し当てた額に感じるレオの心音は早く、レオもまた本能と理性の間で激しく揺れ動く。  
 神の乱れた姿を見たい、その声を聞きたいという欲求。  
 そしてコトの手から神を取り戻したいという理性と独占欲が、レオの口を引き結ばせていた。  
 
「……ぅ…あぁぁ………」  
 レオの胸に押しつけていた額が支えきれず、ずるずると彼の腹を伝って、神はレオの膝に顔を埋める。  
 先程まで愛おしげに舐めしゃぶっていたレオのモノが、時折脈打って神の頬に触れた。  
「濡れて気持ち悪かろう?」  
 それまで亀裂を上下に撫でさすっていたコトは、そう言い放つと神のショーツを引きちぎる。  
 真新しく、そう脆いわけでもないはずなのに、薄い綿の布地は紙のように、いとも容易くボロ布と化した。  
 絡みつく布の残骸を右足へ押し退け、今度は直接、コトの指が神の秘所へ、そして菊座へ指を差し込む。  
「あ……ぃや……そんなところ、触らないで……!!」  
 胎内に指が潜らされ、掻き回された瞬間、電気を流されたように背中が仰け反る。  
 ブラの内側で小さな果実が擦れ、恥ずかしながらも、感じていることを見せつけられた気分だ。  
 そのままレオの肩に縋り付き、彼の首筋へ逃げ込む。  
「慎み深そうな顔をして、よくもこれだけ濡らしていられるものだ」  
 コトの手が白桃の割れ目に触れ、乱暴にそこを左右に開く。  
 くぱぁ…と広げられた肉裂はトロトロに潤んで、透明な蜜がたっぷりと糸を引いていた。  
「もう準備はよかろう? そろそろ女の悦びというモノを教えてやるとするか」  
 コトは暫く淫裂と菊座を交互に嬲っていたが、ひとりごちると、レオに縋っていた神を引き剥がし、膝を抱えて抱き上げる。  
 当然、隠すもののない秘部は、神のそのような姿を想像することすら憚られてきたレオの前に晒され、その瞬間に蜜がトロリと滴った。  
「あぁ………っ!」  
 恥ずかしさのあまり、神は両手で顔を覆う。  
「見ないで……見ないで、レオさん……お願い」  
 そこに集中するレオの視線を意識すると、自分のソコがひくひくと戦慄くのさえ感じられて、彼女は足を閉ざそうと必死に抵抗した。  
 しかし今までの抵抗がすべて無駄であったように、膝を閉じることすら適わず、恥じらうその仕草はかえって淫靡さを助長する。  
 
「さて小娘。お前に選ぶ権利をやろう」  
 コトは抱き上げた神の耳許で、優しく囁く。  
 その優しげな囁きは何か劣悪なモノに裏打ちされて居るであろうことを察し、彼女は怯えながら顔を上げた。  
「前と、後ろだ。どちらで私を、そしてどちらであやつを受け容れるか、選ばせてやる」  
 やや時間を要したが、現代での友人達から聞いた話を思いだし、それを理解する。  
 そして彼女はあっと小さく声をあげ、戸惑いと恥じらいの混じった表情で視線を床に落とした。  
(後ろって……そんな……でも、本来の場所でされてしまったら……だったら……)  
 行為そのものの経験がない彼女にとって、貫通するだけでも恐ろしいのに、選択権を与えられたことによって、余計に恐怖が増していく。  
 震える指先で口元を覆い、疼く躰を無意識に身じろぎさせて、きつく目を瞑った彼女は絞り出すように告げた。  
「こ…このままの姿勢で……前でレオさんを…後ろに、あなたを」  
 蚊の鳴くような声で、ようやく声を吐き出す。恥ずかしさで顔から火が出そうだ。  
「よかろう」  
 神の火照った耳朶にかかるコトの鼻息も荒く、不安定な姿勢で支えられた彼女の尻に、コトの先端がコツリと当たる。  
 コトが彼女を支えたままレオの前に進み出ると、レオを締め付けていた機械の腕が緩められ、彼はそのまま横たわる形になった。  
 レオの腰の上に下ろされ、レオの先端と肉の裂け目が浅く擦れる。  
「あ……っ」  
 レオの肩に片手を掛け、もう片方でスカートを押さえてじりじりと腰を落としていく。  
 先程唇で触れたときより、もっとずっと熱くなったレオのソレが、自分の中を割り進んでくるのが分かった。  
 不意に、コトの手が神の肩を掴む。  
「そんな調子では、折角濡れたところが乾いてしまうぞ」  
 言うや、コトの手が彼女の肩を垂直に押す。その力が一点に掛かり、残酷にも、一瞬で神は純潔を散らすこととなった。  
「あ、あぁぁぁー……っ!!」  
 最奥まで押し込められた肉槍の先が、神の子宮をノックする。その感覚に、痛みに、彼女はがくりとレオの胸にくずおれた。  
 
「っ…………きつ…………っ!」  
 肉の裂ける痛みに、知らずレオの肩を掻きむしる。  
 脳天へ突き抜けた激痛は余韻を残し、神はレオの分身を奥まで咥え込んだ姿勢のまま、動けずにいた。  
 同時にレオも加減を知らぬ締め付けによってだろう、かなり苦しそうな顔をした。  
 それでも彼は、苦しげな呼吸で神を案じる。  
「……神……痛ぇ、よな……」  
 大丈夫か、無理をするな、などはもう遅い。  
 案じる気持ちはあれどどうすることも出来ず、レオは精一杯首を伸ばして、神の頭にくちづけを落とした。  
「レオさんの、だから……へいき……です」  
 神はそう言ってレオを見上げ、微笑む。  
 肉槍によってもたらされた痛みに慣れようと震えていたが、コトの手は再び彼女を痛みに鳴かせる。  
「まだ終わっていないぞ、小娘」  
 ぐい、と神の尻肉に手が掛けられ、レオのソレとは別の肉槍が、屈辱の中ほぐされた菊座に押し当てられた。  
「あぁう!!」  
 それまでレオを映していた神の瞳から、一瞬光が消える。  
 ぎちぎちと無理矢理押し開かれていく菊座の痛みと、押し迫る圧迫感。  
 裂かれたばかりの淫裂が軋み、神は悲鳴を上げてレオの首に縋り付くばかり。  
「あ、あぁー……ッ!」  
 痛みの所為で生理的に涙が滲み、逃げ出そうと無意識に腰を浮かせると、真下に戸惑うレオの顔が見えた。  
(いけない……我慢しなくちゃ……レオさんも辛いんだもの)  
 
 荒い呼吸を繰り返し、くちびるを噛み締めている神を見ていると、レオは申し訳なさでいっぱいになる。  
 初めてであるにも関わらず、こんな細い体に二本も受け容れて、さぞ辛いだろうに、彼女はそれをおくびにも出さず微笑む。  
 指の先まで機械に侵蝕され、彼女を抱きしめることも出来ないのが腹立たしい。  
 逃げることも抵抗することも出来なくていいから、せめてこの腕さえ自由になれば。  
 レオは動かぬ躰を精一杯動かして、どうにか触れられる場所に、宥めるようにキスをした。  
 それに安堵を覚えるのか、胎内を掻き回される苦痛の中、神は嬉しそうに笑んで彼の方を見上げる。  
 せがむように神のまぶたが落とされていき、レオは吸い込まれるように唇を重ねた。  
 神の、いや女性の唇に触れるのは初めてで、その柔らかさに驚く。  
 強く吸ったら壊れてしまうのではないかと心配になるほど柔らかいそれが、積極的にレオの唇に吸い付いてきた。  
「んっ……レオ…さ……」  
 背後から前後へ揺さぶられる動きにつられ、神の華奢な躰は上下にも動かされる。  
 唇を啄み合っていた二人の邪魔をするように、コトの手がセーラー服の裾から忍び込み、するりと上着をめくり上げた。  
 
「……あ……っ」  
 胸の上まで素肌をさらけ出され、彼女は戸惑う。  
 しかし今されている行為以上の屈辱は無いと思い、ちらりと背後を見遣っただけで目を伏せる。  
 胸の前にコトの手が回り、フロントホックのブラが外されても、彼女はレオとくちづけに専念し、コトに対して無視を決め込んだ。  
 解放されたなだらかな双乳の頂きはレオの胸に掠められ、じん、と切なく痺れる。  
「……んッ…ふ……あ…」  
 気が付けば貫かれた痛みもだいぶ治まり、触れるだけ、啄むだけだったレオとのキスは舌を絡め合わせるほど激しいものへと変化していた。  
 胎内で擦れ合う異物の感触に苦痛と圧迫感以外の別物が割り込んできて、次第に頭の芯が霞んでいき、  
やがては霞んだ思考の中、本能的に刺激を求め出す自分に気付く。  
 まるで獣のように四肢をつき、支え切れぬ上体をレオに縋らせて舌をねだると、  
熱に浮かされたレオの視線が自分へと絡みついてくるのがわかる。  
 飽きることなく繰り返されたキスと呼吸の間を縫って、レオが小さく囁きかけてきた。  
「神さん……イイ、のか?」  
 
「え……あ、っ」  
 レオの言葉はけして責めるものではなかったが、彼の碧い瞳に映り込んだ自分の表情に、神は気付かされる。  
 上気した頬、とろんと潤んだ瞳。しどけなく開かれた唇からは唾液の線がつうと落ちて煌めいている。  
 自分のことで手一杯で、レオを気遣う余裕が無くなっていたことにも気づき、  
「ごめんなさい、レオさん……」  
「ば……っ、謝るとこじゃ、ね……っ」  
 真上から見下ろすレオの顔が、急にしかめられる。  
 そういえば、と神は少し思い返し、レオが苦しがる理由に気が付いた。  
「あの……レオさん、動いて……ください」  
 コトの動きは相変わらず続いていたが、レオはほとんど動こうとしていなかったのだ。  
 神の中に収められ、後ろから突き上げられる彼女のソコが擦れる、その動きに刺激されるだけ。  
 おそらくレオは事の言いなりになるのが許せなかったのだろう。  
 神はレオの耳朶を食むふりをして、そっと囁いた。  
「あなたが苦しいのは、私も苦しいですから……どうか、おねがい」  
 戸惑いの色を浮かべるレオと暫し見つめ合い、微笑むと、神は自ら動き出す。  
 痛みは疾うに消え失せ、苦痛に歪められていた容はレオと繋がりあった悦びに悦楽に溶けていく。  
 
「あ、あァ……あンッ、あっ!」  
 内壁をふたつの雄で擦りあげられる感覚、また規則的な動きに連動して擦れる胸の先からもたらされるそれも、  
彼女は快感だと認識し始めていた。  
 神に促されたレオもまた、不自由な姿勢ながらも彼女と悦楽を共有すべく動き始めたところで、  
彼女の花の唇から零れる嬌声は例えようもなく甘い。  
 神の背中でコトがクク、と嗤う。  
「随分素直になったものだな……そろそろ済ませてしまうとしようか」  
 神は聞こえていないフリをしたが、コトの台詞にああやっと解放される、と胸の内で安堵した。  
 レオまで巻き込んだ陵辱劇が終わるのだと思うと、胸がすっと軽くなった気がする。  
「そら、良い声で啼いてみせるがいい」  
「ふ、ぅあっ……は、ん!」  
 急にスピードを上げたコトのソレが神の奥を絶え間なく擦り、レオを感じている場所とは違う感覚が一気に増幅して彼女を襲った。  
「やっ、あんっ、あぁっ、あ、あ、あぁ!」  
 声はとどめようとしてもとどまらず、神は堪りかねて何度目だろう、レオの胸に縋り付いて唾液すら零しながら間断なく喘ぎ続ける。  
 コトに激しく突かれている所為もあるだろうが、迫りつつある絶頂に神の腰も淫らに、激しく揺れ動く。  
 それは彼女の中に咥え込まれたレオにも伝わり、彼もまた否応なく絶頂へ押し上げられていった。  
 
「ちょ、待っ……出ッ……!」  
 神の腹に精を注いでしまうことを懸念したレオが、必死の思いで制止するが、その声はもはや神には届かない。  
 既に彼女は悦楽の波に取り込まれていて、誰かの言葉を理解できないほどによがり狂っていた。  
 防人の腹の上で快感に溺れる女神の姿は淫靡な美しさで彼の瞳に映り、視覚に取り込まれたその姿がレオの高ぶりを限界へと連れて行く。  
「レオさん、レオさ、ぁんっ、あ、いっ、い、いっちゃいます、レオさん…レオさ……!」  
 神の甲高い声が、彼女の身体が痙攣するのと同時に途切れると共に、背後のコトは鼻を鳴らすように息を吐く。  
 そして反射的に締め上げられる膣壁に、レオも時を同じくして達すると、その上へ彼女の躰が倒れ込んだ。  
 ずるりと抜き取られたコトのソレがびくびくと跳ね、力を失った神のやわらかな尻へ黄ばんだ精をかけて萎れていくのと平行して、彼女の奥へレオの精が注ぎ込まれていく。  
「……レオ…さ……」  
 腹の奥底に注ぎ込まれる熱に神は顔を上げ、戒められたままのレオの手に自らの指を絡み合わせた。  
 指先を絡ませる彼女の髪を、レオは撫でてやりたいと思ったが、戒められたままではそれも叶わない。  
 繋がり会ったまま言葉もなく見つめ合っていると、疲れ切ったのか神のまぶたがゆるゆると落とされていく。  
 やがてまぶたが落ちきると、それを見計らっていたかのように身繕いを終えたコトが視界の端へ侵入してきた。  
 
 
「いかがだったかな、赤き血の娘の具合は?」  
 見下ろされるのも嘲笑されるのも、今はどうでも良い。彼女と繋がった部位が熱いのは、彼女が血を流したから。  
 額に貼り付く金髪で切り取られた窓からコトを睨み、絞り出すような声で宣言する。  
「…………ぬっ殺してやる。必ずな」  
「威勢だけはいいな。こちらもお前を殺すのは後回しにしておいてやる」  
 何もない床から伸びてきた移動装置に乗り込むコトはそう言い置き、  
「これから貴様らの村を破壊し尽くしてやる。せいぜい絶望の時間を味わうがいい」  
 下卑た高笑いと共に下の階層へと潜っていった。  
「……くそっ」  
 後に残されたレオは歯がみし、視線を天井に戻す。と、眠っていたのではなかったのか、上体を起こす神が居た。  
 レオと視線を合わせると、彼女はまた最初のように恥じらって目を逸らしたが、  
レオと繋いでいない方の手でレオを戒める機械に触れると、赤い血に反応して、機械はするりとレオを解放した。  
「……ん、っ」  
 小さな呻き声と共に神は腰を上げ、レオのソレを抜き取る。どろりとそこから垂れ下がる液体の様子は、  
一瞬の後に制服のスカートで隠されてしまった。  
「……ごめんなさいレオさん……こんな事になってしまって」  
 レオの上から降り、背中を向けて身繕いを始めた神はそのまま項垂れる。  
「いや……俺の方こそ…その、中に……」  
 中程からもごもごと口ごもったが、彼女はレオが言わんとしていることに気付いて、振り返り、微笑む。  
 
「……いいんです。レオさんだから」  
 

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