不意に襲いかかる息苦しさに、レオは眠りから覚めた。
部屋はまだ暗く、ほとんど円上の月の光も高い位置から差し込んでいる。
「まだ夜か…」ぽつり呟く。
「夜明けまで、まだ時間がありますわ。」
「!」
彼の身体に馬乗りになっているその細い影。暗がりながらも差し込む光で
その容貌が浮き上がる。
「ちょ…神…!?」
「また、来てしまいましたわ。」
神と呼ばれた少女は小首をかしげ、ふんわりと微笑む。
”また”…?
「あれは夢ではなかったのか…?」訝しがるレオ。
彼女は両手を伸ばし、少年の両方の頬を覆い
暗がりのせいかいつも以上に煌めくように見える瞳で、レオの瞳を覗き込む。
「そう、これは夢なんです。すぐに醒めてしまう、夢…」
「…そうか、夢か」
今夜の月の光のようだ、とレオは思う。
「きゃっ…?!」
その瞬間、神の身体が翻った。彼のブランケットの中に引きずり込まれ、
気が付けばベッドに沈められ、馬乗りになっていたはずの男から組み敷かれている。
深い蒼い瞳が覗き込む。
「イイ…のか?」
返事のかわりに、少女の瞳の輝きがその瞼によってゆっくりと遮られていく。
意を解したレオが、彼女の唇を己のそれと重ねていく。
「ん…」
誘うように、彼女の舌が彼の唇に割り込んでいくと、その動きにあわせて
彼の舌も絡まっていく。
ぴちゃ…くちゃ…卑猥な水音がその部屋に響く。
舌を絡ませながらも、レオの片手は、神の上着の中に侵入し、その滑らかな肌を堪能する。
「あ…」
お互いの舌が離れる。その瞬間レオは、やりすぎたかと後悔したが、
ブランケットの中で神はもぞもぞとその着衣を脱ぎ捨てる。レオへとその手を伸ばすと、
「レオさんも脱いで下さいね…?」
はにかむように微笑んだが、誘う女の顔にレオは引き込まれるしかなかった。
2人とも生まれたままの姿で、抱き合い、直接触れ合う肌の心地よさにうっとりとする。
が、不意にその間を割り込んだモノがあった。神の手だった。
「もう…こんなに、なっていますわ。」
細い指先が、硬くなったソレに触れ、なで上げる。
「うぁ…」
また喘がされそうになるのを耐えながら、彼もまた彼女のソコに手を伸ばす。
「アンタこそ、もう、こんなに…」
ぬめったソコを辿りながら、温かいその中に指を差し入れていく。
「あ……っ、あん…」
内壁を撫でるように指を蠢かせると、甘く、甲高く、彼女が声を上げる。
そうしながらも、その手はレオのソレをしごき上げている。
声を漏らさぬよう、堪えながら、向かい合った彼女の中をほぐしていく。
「レオさ…、もう……来て」
潤んだ瞳で懇願する神だったが、レオもまた限界寸前だった。
果ててしまいそうな自身を抑えながら、被さるようにゆっくりと神と繋がっていく。
「あぁ…奥まで…」
ほうっとお互い安堵に似た吐息をはく。
レオが神に口づけを落とすと、答えるように、彼の背中に細い両腕を回していく。
温かく湿った彼女の中で、快感のあまり、彼は彼女に尋ねる猶予もなく、動き出す。
彼女もまた、彼の身体にしがみつきながらも、淫らにその腰を動かしていく。
「っふ……ぁ……ぅん」
快楽に溺れるあまり、情欲に濡れる表情は互いの目には映らなかった。
絶頂が近い。それは、彼女の中で膨らんでいく彼のソレと、締め付けがきつくなっている
彼女のソコが物語っている。
「レオ…さん、一緒に…イきましょう、ね?」
ぐっと神の指先に力が入る。
そんな彼女の甘い囁きを拒めるはずも、拒むはずもなく、神の細い身体をぎゅっと抱き寄せる。
「神……、神……うわぁ…!」
彼女の中に、彼の熱が吐き出されると、その熱を耐えるかのように、彼の背中の肉に
食い込ませるよう、爪を立てる。
「神、…どうして…?」
神はこの現状とは似つかわしくない清らかな微笑みで、彼の耳もとで囁く。
ふと、レオは高い位置から差し込む太陽の光で目が覚めた。
ベッドも着衣も、乱れていない。どうやら、また、淫らな夢を見てしまったらしい。
欲求不満か…いや、修行が足りない。そう自問自答を繰り返す。
今度は背中がじんじんと痛む。その状態を確認しようと、上着を脱ぎ捨て、浴室へ向かう。
「今日は、女の子から告白する日なんです。」どこかでそんな声が聞こえたような気がした。