とある町の宿屋。その一室にて、色々な意味で有名な渡り鳥、マヤ・シュレディンガーがうろうろとし 
ていた。  
今日はちょうど新刊小説の発売日なので、弟のアルフレッドに買いに行かせたらしい。  
「に、しても遅いわね……あの子、どこで道草食ってるんだか」  
退屈を持て余しているようで、少しいらいらとした表情である。  
「今月は大作揃いだから、早く読みたいのに。帰ってきたらきつく言わないと……ん?」  
と、ふと足元に目をやる。そこには、アルフレッドがいつも背負っているリュックが落ちていた。  
なんだか気になって、中身を色々と出してみる。  
出てくるものというと、まず様々な火薬類。それから、細かな機械。実用的なものばかりである。  
一家の工作担当な訳で、それも当然なのだが。  
「……ふん」  
もうちょっと奥も見てみるが、おおむねそんなものばかりだ。あまり面白いものはない。  
仕方なく、中身を戻していく……と、火薬類の間に紛れて一冊の文庫本が出てきた。  
微妙に、見つかりにくい位置にあえて置いてあったような感触があるが、マヤは特に気にせず本を取る。  
「あの子の読む本って言ったら、どうせ発破関係だと思うけど……どれ」  
ぱらぱらとページをめくる……うちに、マヤの顔が少しずつ赤く染まってきた。  
「って、この本……」  
 
部屋の扉がそっと開けられたのは、その直後のことである。  
「ほら姉さん、ちゃんと頼まれてたの買ってきたよ。なんか一番近くの本屋さんだと売ってなかったか 
ら、  
遠くのとこまで行かなくちゃならなくって、それで遅れちゃって――姉さん?」  
買い物袋をぶらさげたまま、今しがた入ってきたアルフレッドはきょとんとして呟いた。  
姉は何しろ文学好きなので、毎月の新刊に飛びつかない訳がないのだが。  
肝心の姉は、部屋の隅で何かの文庫本らしきものを読んでいるようだ。呼びかけても返事がない。  
「また何かになりきってんの?駄目だよ、室内でそういうの……」  
いつも通りの愚痴をこぼしつつ、姉が持っている本のタイトルを確認しようと近づいてみる。  
どこか、見たような気がするカバーだ。もちろん、姉の読んでいる小説のほとんどは見たことがあるの 
だが、  
これに限ってはどうも違うような気がする。  
なんだか嫌な予感がして、慌てて本を確かめる、と。  
「……ああああああッ!?」  
 
よりによって、それはアルフレッドがこっそり隠し持っていた18禁ものの小説、  
気弱な少年が近所のお姉さんに色々もてあそばれてしまうという、一部の趣味全開の代物であった。  
実際、姉にその手の感情を抱いたことは無い訳ではなく、だからこそそんな小説も読んでいたのだが。  
「あ、ああああ、ぼ、僕は、その、あの、そ、そういう訳じゃなくって、えっと……」  
半ばパニックを起こしつつ、言葉にもならない弁解を重ねようとするアルフレッド。  
しかし、その言葉は唇に押し付けられた暖かい感触によって遮られた。  
「むぐッ!?」  
「……ふふ」  
目の前には、見慣れたはずの、しかし見たことのない姉の顔がある。  
顔全体が赤らんで、目も潤んで。  
「ホントに仕方の無い子よね、アンタって。こんなの持ってるのも困ったものだけど、  
 それをアタシが読んじゃったらどうなるか考えてなかったの?  
 だから、仕方ないわよね。こうなっちゃったら、アタシとしては内容を再現するしかない訳だし」  
強引な理屈を一方的に言うと、そのまま舌を弟の口の中に入れてくる。  
「んッ、んんん……」  
はじめはアルフレッドも少しだけ抵抗するそぶりを見せていたが、すぐにおとなしくなった。  
そのまま、姉の舌が口内を蹂躙するに任せる。  
生暖かい舌先の感触と、流し込まれる姉の唾液。  
「……ん……」  
ぴちゃ……ぴちゃ……と、唇を触れ合わせている二人にしか聞こえないほどの、小さな水音がする。  
しばらくはアルフレッドも完全に受身だったものの、やがて姉の舌に応えてこちらのそれも絡ませる。  
そうして、お互いがお互いの唾液を飲み込んだ後に、ようやくマヤは唇を離す。  
舌先と舌先が離れる時に、小さく糸を引いた。  
 
「……はぁっ……なんだ、結構アンタも乗り気じゃない?」  
「ち、違うよ……」  
「そんなこと言ったってね……」  
マヤの手が、そっと下へと降りていく。  
「な、に……うぁッ」  
ぎゅっ、と。その手がアルフレッドの股間を、服の上から握り締めた。  
「これは何? おちんちん、随分固くしてるじゃない? こんなので、違うって言ってもねぇ……」  
「そ、れ、は……う……」  
「ふふふ……」  
いつもの人を食った笑みを見せながら、マヤはその手をゆっくりとほどいた。  
そして改めて布越しに弟のペニスをなぞりあげる。  
「ッッ!!?」  
「いつもは頼りないわりに、こういう時だけ自己主張が激しいわね……  
 こんなに固くしちゃって……ふふ……」  
「……生理的反応だよ……僕だって男なんだから、刺激を受けたらどうしたってそうなるん……」  
「いちいち反論しないッ」  
手は変わらずアルフレッドの股間をなぞりながら、再び唇で彼の言葉をふさぐ。  
二度目のせいか、反抗もほとんどない。布越しとは言え、敏感な性器を責められる感触と、  
口の中を蹂躙される感触で、アルフレッドの全身からずるりと力が抜ける。  
「んあ……」  
ぐったりとしたのを見て、マヤはそっと唇を離した。そのまま、耳元に囁きかける。  
「アタシの弟ながら、ホントに可愛い子。いつもいつもアタシの為に働いてくれる、自慢の弟。  
 だから、今日はたっぷりそのお礼をしてあげるわ。幸い……」  
足元に落ちている、アルフレッド所有の小説をちらりと見る。  
「……あれのお陰で、何をどうすればいいかはきちんと習熟できたから。  
 きちんと、最後まで面倒見てあげるわ……」  
 
「僕が……自慢の?」  
とろんとした目のまま、アルフレッドがぼんやりと聞き返す。  
「……ええ、もちろん」  
視線と視線が絡みあう。ふっ、と、マヤが微笑んだその時。  
「……う、うぁっ……」  
びくん、と。アルフレッドの体が震えた。同時に、じんわりとマヤが撫でていたあたりが暖かくなる。  
「え? アンタ、ひょっとして……」  
「う、あ、う……」  
顔を真っ赤にして、ぐったりとしたままの弟。そのズボンの中に、マヤはさっと手を入れた。  
にちゃり。  
ねっとりとしたものが、そこに溜まっているようだ。  
指を取り出して、それをぺろりと舐めてみる。  
「青臭いわね……そう。アル、あなた、触られただけで出しちゃったのね?」  
「あ、あ、あ、う……それは……その……」  
「別に責めてる訳じゃないわ。……感じてくれたってことでしょ?  
 だったら、アタシとしても嬉しいわ……それにしても」  
情けなさと放出直後の虚脱感で、ぺたりと座り込んでしまった弟に、マヤはそっと近づく。  
そして、そのズボンに向かって手を伸ばすと、ゆっくりとそれを剥いでいった。  
すぐに、アルフレッドの下半身がむき出しになる。  
そこには、白い粘液がこびりついたペニスが力を失った様子でしなだれていた。  
「汚れちゃってるみたいね……なら、綺麗にしてあげるわ」  
「な、何……う……」  
マヤの唇が、そっとアルフレッドのペニスに触れる。  
にちゃ……と、小さな音が立ったが、マヤは気にせず舌を出してそれを舐めとり始めた。  
「う、う、うあああッ……そ、それぇッ!」  
「ふふっ……感じちゃう? でも、汚れたままだと困っちゃうからね……」  
ぺろぺろと、マヤは弟の男性自身を舐め回す。  
みるみるうちに白い粘液は彼女の口の中に納まっていき、  
代わりにマヤの口から零れた唾液が塗されていく。  
 
その間、アルフレッドは必死で姉の唇から送られてくる感覚に耐え続けていた。  
あの姉が、自分のペニスを舐めてくれているのだ。その事実だけで、気を抜けばすぐに出してしまいそ 
うになる。  
それでも快感をうながすのでなく、あくまでこびりついた精液を舐め取るだけの動きだから、  
再び暴発することもなく耐えることもできた。  
「ん、綺麗になったわ……」  
「はぁ、はぁ……ね、姉さん……」  
責め苦から解放されて、ほっと一息つく。相変わらず姉は軽い笑いを含んだままだ。  
「さて、綺麗になった訳だし。これで、改めてアルの精液飲んであげられるわね」  
「……えぇッ!?」  
さらりと言うや否や、マヤはすっと弟のペニスを口に含んだ。  
「ね、姉さんッ!?」  
うろたえるアルフレッドに対し、片目でにっと笑うと、ちゅばちゅばと吸い込み始める。  
「う、うあッ! な、あ、えッ!?」  
舌が敏感な先端を舐めて、口腔全体はやんわりとペニスを締め付ける。  
もともと、精液を舐めとられていた時点で限界近かった快感が、それによってあっさりと針を振り切っ 
た。  
「だ、だ、駄目だよぉッ……う、うあああッ!」  
びくっ……びくっ、と、アルフレッドの体全体が震える。  
その中心であるペニスは一番の跳ね上がりを見せた。  
「んんッ」  
飛び出してくる精液が、マヤの喉奥に流れ込む。青臭い匂いが口いっぱいに広がった。  
こくこくと、その様子が弟によく見えるようにそれを飲み干す。  
「さっきより、勢いあったような気がするけど……やっぱり、直接やる方が感じる?」  
もう意識が朦朧としているのだろう、アルフレッドはただぼんやりと頷いた。  
「ふふっ……正直ね。……って」  
そう言って微笑んで見せたとたん、手の中にあった弟のペニスがむくりと起き上がった。  
「二回も出しておいて……見た目頼りないわりに、ホントこういう時ばっかりは元気なんだから」  
仕方の無い子、とでも言いたげにそれを若干あきれた目で見る。  
だが、すぐにその目は淫蕩そうな妖しい光をたたえたものに変わった。  
「……これなら、インターバルはいらないわね……」  
 
ぼんやりとしたままの弟をベッドの上に導くと、マヤはそっと自分の秘所に指を滑らした。  
それだけで、ぐちゅりと湿った音がする。  
弟を責めていただけだったが、それで十分彼女自身も興奮していたらしい。  
「ふ……んんッ」  
そのまま、指を二本中へと入れる。ぐちゅぐちゅと音を立てて、そこを刺激する。  
そうやって自分を高めながら、弟の上に覆いかぶさっていく。  
「ほら……起きなさい、アル」  
「……う、ん……」  
ぺしぺしと軽く頬を撫でる。それで、アルフレッドの目に意識が戻ってきた。  
「……ねえ、さん……」  
「じゃ……いくわよ。きちんと最後までやってあげないと、ね……」  
するすると衣擦れの音がする。それは、マヤが自身の服を脱いでいく音。  
いつもの変身のように、一瞬という訳にはいかないようだが、それでもすぐにその裸身があらわになっ 
た。  
元々、美しいという部類に入る彼女だ。欲情し、潤んだ瞳と、あくまで白いままの肌が対照的に映えて 
いる。  
「姉さん……」  
「なぁに?」  
「……その。綺麗……だと、思う……」  
「ありがと、アル」  
素直に受け取って、マヤは優しく笑う。そして、弟のペニスをそっと摘んだ。  
「ほら、これがアタシの中に入ってくるの。アルのいやらしいのが、アタシの中にね……」  
「……あ……う……」  
「それじゃあ……」  
言い終わる前に、マヤは自分の入り口に弟をあてがい、そして――一気に飲み込んだ。  
「う、うあああああッ!」  
「……つっ……」  
 
それだけで、もうアルフレッドは衝撃に踊らされる。  
ついさっきの、口の中とはまったく違う感触だ。  
まるでぎりぎりと締め上げられるような、それでいて優しく包まれるような。  
「姉さん、姉さんッ……え?」  
少しでも気を抜くと弾けてしまいそうな意識の中、ふっと姉の方を見る。  
しかし、マヤは少しだけ辛そうな表情をしていた。快感に流されそうなアルフレッドとは違って。  
「つぅっ……話には聞いてたけど……結構、クるもんね……」  
「え? ……え? 姉さん、何が……」  
「ん……気にしないで。なんでも、最初ってのはなかなかうまくいかないもんだから……」  
「最初……って、姉さん、まさか!?」  
 
その言葉で、アルフレッドは肝心なことを思い出した。  
何しろ、姉はこの性格である。今まで恋人などという存在など、作ったこともない。  
自分自身に釣り合う男がいないと、常々広言していたくらいだ。  
しかも、ここ数年、渡り鳥として姉と一緒に旅をしてきて、一度だって姉と離れ離れになることはなか 
った。  
つまり。  
よりにもよって。  
アルフレッドは、姉の処女を奪った……というよりは奪わされた、のだ。  
 
「あ、あ、あ、あああああああッ……な、なんてことを……」  
快感も忘れて、アルフレッドは半ばパニックを起こす。  
「ちょ、ちょっと、アル……」  
「ぼ、僕が姉さんのッ!? な、姉弟だし僕はどうしたらどうしよう――」  
「……んッ」  
混乱している弟を見かね、痛みをこらえたままマヤは自分の中にいるアルフレッド自身を締め上げる。  
「う、うわッ!?」  
「ほら……いくわよ」  
そのまま、少しずつ腰を動かす。じゅちっ、じゅちっと接合部から水音が流れ出てくる。  
「ね、姉さんッ……」  
「気にしなくていいわよ……アンタがアタシのはじめてを貰ったんなら、  
 アタシはアンタのはじめてを貰ったんだから……これで、おあいこ……でしょ?」  
「そういう問題じゃあ……う、うぁあッ!」  
「ほらほら……余計なこと、考えてる暇はないでしょ……」  
姉のなすがままに、アルフレッドは翻弄される。  
流されるような円を描いたかと思えば、激しく出し入れする動きになる。  
ぐちゃぐちゃとどんどん音を立てて、姉弟は一つに結びついていく。  
「す、凄いよぉ、姉さんッ、姉さんッ……!」  
「ん……そう、でしょ……?」  
しかし流されるままの弟とは違い、マヤはまだ少しだけ顔をゆがめていた。  
(ま、仕方ないわね……こればっかりは、すぐには気持ちよくなるってもんでもないし……)  
できるなら、愛しい弟と一緒に昇りつめたい。だが、破られた肉の膜は痛みを訴えている。  
幸いなのは、アルフレッドのペニスは年齢相応の大きさで、えぐるほどの痛みは無かったことだ。  
そのお陰で、なんとか自分の秘所を突く弟を感じることができる。  
 
「はぁッ……アルのおちんちん、アタシの中で踊ってるみたい……」  
「僕は何も……う、うあああッ!」  
ようやく、じわじわとした快楽がマヤにも広がってくる。しかし。  
「……う、あ……姉さん、なんか、来るッ、来ちゃうよッ……」  
「限界なの? ……そ。なら、いいわ。アタシの中に、アルのお汁を受け止めてあげる……  
 精液、たっぷり中で受け取ってあげるから……」  
「な、中、に……」  
その言葉で、飛びかけていたアルフレッドの理性に警告が走った。  
「そんなこと、したら……だ、駄目だよ、姉さんッ! 僕と姉さんの……」  
「子供、出来ちゃうかもね? いいじゃない……  
 アルとアタシの子なら、きっとアタシみたいに強くて美しくて、アルみたいに可愛くて賢い子供がで 
きるから……」  
「そ、そんなのぉッ!」  
「……大丈夫、今日は安全だから……ね。安心して、出していいわ……  
 ま、もし危険な日でも、アタシは構わないんだけど……」  
ずちゅずちゅずちゅずちゅッ。  
二人が話している間にも、マヤの腰つきは止まらない。それはアルフレッドに絶え間のない快楽を送り 
込んで、そして。  
「だ、駄目だよ、姉さん、姉さん、姉さッ……」  
「……ッ!」  
「ああああああッ!」  
今までになく、アルフレッドの体が跳ね上がる。  
びゅるっ!  
まるで音でも聞こえたかのように、そのペニスの先から熱い粘液がマヤの子宮目掛けて勢いよく飛び出 
してきた。  
「あああ……あ……」  
放心した表情のまま、アルフレッドは注ぎ続ける。  
その熱さは、マヤにも快感を与えてくる。  
「な、これッ……熱くて……あ、入ってきてるッ……」  
絶頂には程遠い、けれど温かく満たされるような快感。  
「ふうッ……アルのお汁、あったかいわ……」  
「ねえ……さ……ん……」  
 
ようやく、勢いが止まった。  
アルフレッドのペニスは力を失ったようだが、しかしいまだ姉と繋がったままだ。  
ぼんやりとした表情のまま、アルフレッドは姉の顔を見る。  
目を閉じて、静かに満足そうな微笑を浮かべている。  
「……姉さん」  
「沢山出したわね……あーあ、これじゃあ安全日なのに子供ができちゃうかもしれないわ……」  
「えええッ!?」  
「冗談よ。……ふふ」  
いつもの人を食った笑みだ。なんだか気が抜けたアルフレッドに、マヤはそっと口付ける。  
それから、ゆっくりとペニスを引き抜いた。  
こぽっ……と、少しずつ粘液が零れ落ちてくる。そこには、少しの赤色も混じっていた。  
「はぁ……詳しくはわかんないけど、濃いわね……さすがはアタシの弟ってとこか」  
「…………」  
起き上がると、ふっと窓の外を眺める。  
今気づいたが、もう日は暮れてしまいそうだ。随分闇が濃くなってきている。  
「やぁね、これじゃ新刊読めないじゃない」  
「……って、今から読むのッ!?」  
「ええ、そうだけど? ま、その前に体洗う必要があるけど……」  
元々、今日の外出は姉の頼みの新刊小説だったが、こんなことになってしまっていたのですっかり忘れ 
ていた。  
マヤの方はまだ覚えていたらしいが、そんな姉にアルフレッドはため息をつきつつ、  
(……いつもの、姉さん……だよね)  
少しだけ安心をする。  
 
だが。異変は直後に起こった。  
「こう暗くちゃ、どうもアレだし……っと、ランプは……と」  
明かりを灯した時のことである。灯された炎が、まだぼんやりとしていたアルフレッドの目にうつる。  
「…………」  
「じゃ、アタシはお風呂行ってくるから……アル?」  
(さっき、姉さんははじめてだった。で、僕はそれなのに姉さんにばかり動いてもらってた……)  
「……また、火見てどうにかなっちゃったの?」  
火を眺めながら、だんだんとアルフレッドの頭の中に何かが浮かんできている。  
(こうして、こんなときにまで僕は姉さんのお世話になってばかりだ。  
 これじゃあ、姉さんに負担かけてばっかりだし、第一情けないし……)  
「この子、いっつもこうだからね……アル?」  
「…………」  
火を見たことが、アルフレッドの中の何かに触れた。  
「……姉さん」  
「ん?」  
くるりと振り向く。と、突然アルフレッドがその唇を姉に押し付けた。  
「んッ!?」  
「…………」  
そのまま、片手が姉の乳房に伸ばされる。  
「んんッ!?」  
そっと、膨らみ全体をやわやわと撫で付けてくる。唇の方では、その舌が姉の口内へと侵入していた。  
「……ん、んんッ……」  
さっきの頼りない動きとはまるで違う、口内を蹂躙し中へ入り込んでくる舌の動き。  
手の方も、そっと乳首をつまんだり確実に姉の快楽を引き出している。  
不意をつかれたこと、そしていまだ昂奮したままの体だったことで、抵抗する気もなくマヤは弟のなす 
がままにされた。  
そして、姉が完全に弛緩したことで、ようやくアルフレッドは唇を離す。  
もっとも、まだ手の方は乳房を刺激したままだが。  
 
「ん、あ……ど、どうしたの……」  
「僕ばっかり、気持ちよくしてもらってたら悪いから……」  
「で、でも……あうッ……」  
空いていた片手が、姉の秘所へと伸びていく。  
まだ精液と愛液が残っているそこに、アルフレッドの指が中へと侵入していった。  
「ホントだ……自分じゃわかんないけど、濃いね……」  
「あ、アルッ……!?」  
「へえ、こうなってるんだ。さっきは全然わかんなかったけど」  
くちゅりくちゅりと、その指が中を露骨に掻き回す。  
「ちょ、ちょっと……あ……それぇ……」  
「うわ……凄いね、姉さん。僕、かなり出しちゃったんだな……」  
指が中を掻き回すごとに、白く濁った粘液がとろとろと流れ出てくる。  
が、それ以上にマヤの体から新しく分泌された液が零れ落ちてくるのだ。  
「洪水だね……姉さん、感じてくれてるんだ。嬉しいな、僕」  
「あ、アンタさっきと変わりす……ひゃうッ!」  
乳房を責めていた手が、マヤの尻の方に回ってきている。  
ゆっくりと撫で回した後、そっと窄みに指が伸ばされた。  
「そ、そんなとこッ!」  
「不自然だって言うよね、ここって。でも、どうせ近親相姦だって十分不自然だと思うし」  
「だからって……」  
「実体験ないからわかんないけど、こっちでも感じるのかな?」  
その指が、つぷっ……と、尻穴に入れられた。  
「うあッ!」  
「あ、前の方がきゅってなった……」  
ヴァギナの感触も確かめつつ、アルフレッドはにこりと笑う。  
その顔は先ほどまで姉にいいように弄ばれていたとは思えないほどの無邪気さだが、  
なんとなくマヤは納得していた。  
(ああ、この子もシュレディンガーの家系だしね……)  
潜在的にそういう性格の持ち主、ということだろうか。  
 
などと、分析している余裕はすぐになくなった。  
控えめとはいえ、後ろの穴と前の両方から責め立てられているのである。  
すぐに、考える余裕もなくなってくる。  
「う、うあ、あッ……」  
「うん、こんなくらいでいいかな……」  
ようやく、アルフレッドは姉を解放した。  
絶頂には及ばなかったが、かなりの量の快感を送られてくたりとしている。  
そんな姉の髪に、そっと口付けた後、アルフレッドはその姉の手を取る。  
「じゃあ……姉さん、もう一回、しようか」  
「もう一回……?」  
「うん、今度は、姉さんにも気持ちよくなってもらいたいから」  
「……でも、アルの方は大丈夫なの? もう三回も……」  
「……あは、それがね……」  
姉の白い手を、自分自身の下半身へと導く。そこには。  
「……嘘」  
あれだけ出したにもかかわらず、まだ力を保っているアルフレッド自身、があった。  
姉の愛液や、自身の精液、先走りなどでぬめっているものの、硬度は十分なようである。  
「昔っからやる時はやる子だとは思ってたけど……こういう意味のやるってのはちょっと予測しなかっ 
たわ」  
「僕も結構驚いてるんだけどね。ほら、やっぱり姉さんだから……かな」  
「アタシだから?」  
炎によって、いつもの気弱な状態とは違っているアルフレッドは妙に冷静に話す。  
語っている内容は明らかに危険というか、問題も多いのだが。  
「もう正直に言っちゃうけど……うん。僕、昔っから姉さん好きだったから」  
「まあ、ねえ……」  
 
弟が自分を意識していること。完全に気が付かなかったという訳でもないのだが。  
「だからかな。なんか、出しても出しても収まらないから」  
「普段からそれだけ逞しければアタシも嬉しいけど、ま、いいわ。それなら……」  
「うん、多分大丈夫だよ。今度は、今度こそ、僕ばっかりじゃなくて姉さんにも。  
 それじゃ、やっぱりベッドの上、がいいよね?」  
「え、ええ」  
照れたようにはにかむ弟に、マヤは若干微妙な顔をしつつも、とりあえず従う。  
と、アルフレッドは姉に囁いた。  
「あの……さ、お願いなんだけど……」  
「……なに?」  
「えっと……手をついて、四つんばいになってくれる?」  
「四つんばい、って、アンタ……」  
「後ろからの方が、あんまり痛くないって話があるし。もう一度入れちゃったけど、  
 やっぱりできるなら姉さんが痛まない方がいいかなって」  
「……はあ。わかったわよ。任せるから……気持ちよくさせてね?」  
 
素直に弟の指示に従って、マヤは尻を彼に向ける。  
「えっと……」  
アルフレッドは指を姉の秘所に伸ばす。  
ぐちゅ、と湿った音を立てて、少年の指は熱い肉のうねりに包まれた。  
「まだ、姉さん興奮したままみたいだね?」  
「んッ……そりゃね、アンタがあれだけ色々したから……」  
「じゃ、これからも色々しちゃうから……」  
ゆっくりと指を引き抜くと、先ほど以上に固く、熱くなっているペニスを姉の秘所に添える。  
そうして、再び――  
「姉さん……んッ」  
愛しい姉の、肉の中へとアルフレッドは埋没した。  
「ア、アルッ……すごく熱くてッ……」  
マヤも、胎内に入ってくる弟の感触に呻く。  
そのまま、アルフレッドはぐいっと奥へ突き入れた。  
「んッ……くッ」  
「姉さん、痛くない?」  
「ちょっと……ね」  
「うん……じゃあ、僕も気をつけるから」  
そう言うと、今度はゆっくりと抜いていく。  
くちゅ、と湿った音を立てながら、姉弟の繋がった部分が少しずつ離れる。  
「はぁ……」  
軽くマヤは息を吐く、と、アルフレッドは再びゆっくりと奥へ進む。  
姉の肉を確かめるように、じっくりと――自らが出した精液と姉の愛液の混ざった膣内を、熱く滾る自 
分のペニスで進んでいく。  
「……なんか、姉さんって凄いね。すっごく気持ちよくって……」  
「んッ……そ、そう……?」  
「うん……ざらざらってして、なんか、僕、姉さんに溺れちゃいそうでッ……」  
「……凄くてッ……当たり前、でしょッ……ん、ふぅッ」  
弟の賞賛に、少し苦しそうに、それでも誇らしげに笑いながら――マヤは胎内のペニスの感触を確かめ 
る。  
 
くちゅ……くちゅ、と。もう一度奥まで入って、また引き抜かれる。  
ゆっくりとした繰り返しが行われるたびに、段々とマヤの痛みも中和されてきた。  
「ふぁ、んッ……アル、上手いわよ……」  
「ありがと……姉さんッ」  
こらえきれなくなってきたのか、アルフレッドの腰の動きも早くなる。  
ずっちゅ、ぐっちゅ。とろとろと、姉から零れ落ちる愛液は、より量を増して弟を迎えようとするのだ。  
それにつれて、胎内に溜まっていた精液も零れる。粘つくほどに濃かったのに、再びかき回されること 
でとろりと落ちていく。  
「あ、んッ……アル、ホント凄いわッ……!」  
「姉さんッ……好き、好きだよ、姉さんッ」  
姉の腰を強く掴んで、アルフレッドは普段の頼りなさとまるで違う激しさで突き入れる。  
後ろからで、マヤの顔は見えないが――その顔は普段では見えない悦びに満ちていると確信できる。  
アルフレッド自身も、今まで感じたことの無い一体感と幸福感が、快感とともに身体に駆け巡っていた。  
「きもちいッ……姉さん、ホント凄いよッ」  
ぶちゅッ、ぐちゅッと無様にも聞こえる音が、姉弟を繋ぐ場所から流れ出る。  
そんな音も姉弟にとっては心地よい音楽に聞こえて、ますます姉の肉壁を抉ろうと弟のペニスは暴れる 
のだ。  
マヤの中は、アルフレッドをざわめくように迎え入れ、優しく包み込んでそしてきゅうっと締める。  
あくまで優しく、弟のものに絡んで包み――精を引きずり出そうと誘い込む。  
「ん、アルッ……もっと、強くしていいからッ……アタシが全部受け止めてあげるからッ」  
「……うんッ」  
そして弟の熱いペニスをしっかりと胎内に感じることで、マヤもたまらない快感を受け止める。  
指示をしなくても、アルフレッドは確実に気持ちのよい場所にペニスを届かせ、突き上げてくる。  
火を見て集中した時の弟は誰よりも頼りになるのだから、安心して受け入れられるものだ。  
 
「はぁッ……い、そこッ……んぅッ」  
受身になっていた時よりも、今のアルフレッドのペニスは硬く大きくなっているようで。  
ぐっ、と深く貫かれた時は、子宮全体を揺さぶられるかのように激しい衝撃が走った。  
「うぁぁッ!」  
「姉さん……あ、痛かった……?」  
動きを止めて、心配そうに尋ねてくる。  
完全に我を忘れて攻め立てていたようでも、やはりアルフレッドはアルフレッドらしい。  
「ううん……そろそろ、気持ちよくなってきたってことだからね。安心してもいいわ。  
 いい感じよ、アル」  
「……そ、そう?」  
照れくさそうに笑って、アルフレッドは動きを再開した。  
ぐちゅッ、ぐちゅ、ぐちゅッ。  
「ん、くッ……アル、その調子でッ……」  
不規則な動きで、姉の膣肉を抉り、奥を突き、アルフレッドは存分に姉を味わう。  
マヤもまた、痛みの薄れた自身の中で弟を受け入れ、擦れあう性器が生み出す快感に翻弄されていく。  
 
そして、彼女の昂ぶりが限界へと達する、その寸前に――  
「――あ、姉さんッ……」  
「え……ん、あッ!?」  
アルフレッドの膨張したペニスが、一足先に弾けてしまう。  
びゅッ……びゅる、びゅるッ……  
何度も吐き出したのに、相変わらず量と粘度の高い精液を姉の膣内、そして子宮へと注ぎ込む。  
「んッ……ふぅッ……」  
「くッ……ねえさッ……んッ……」  
度重なる交合で、処女を失ったばかりのマヤの秘所は腫れてきているほどだ。  
そこから、ぽたぽたと愛液、そして今流し込んでいる弟の精液が零れ落ちていく。  
「う……ご、ごめッ……また、僕だけ……」  
「はぁッ……ん、はぁッ……」  
――不意に、マヤの力が抜けて。  
同時にアルフレッドも崩れて、二人とも重なるようにベッドに沈む。  
うつ伏せになった姉の上に、のしかかるようにしてアルフレッドは被さり――  
その白い肌に、ほとんど無意識のうちに口付けていた。  
 
「……ん……ふぅ」  
しばらくして、先に覚醒したのはやはりマヤであった。  
「……あ、姉さん……」  
続いて気づいたアルフレッドは、そっとペニスを引き抜く。  
にゅ……と微妙な音がして、どろどろになったものが外気に触れる。  
同時にこぽこぽと白濁した液も零れ落ちるが、ともあれマヤの上から降りて、その隣に横たわる。  
そんなアルフレッドに、まだ息を荒くしたままのマヤは顔を向けて微笑む。  
「うん……もうちょっとでイけそうだったんだけど、惜しかったわね」  
少し残念そうに、彼女はそんなことを呟いた。  
アルフレッドは、その言葉に顔を赤くして縮こまってしまう。  
「あ、別に責めてる訳じゃないわよ。まあ一回目に比べればよっぽど気持ちよかったから。  
 こればっかりはそう簡単にいくもんじゃないんだし……アルだって初めてなんだから、それを考えれ 
ば上出来でしょ」  
「……ご、ごめんなさい」  
「だから、気にしなくていいから……」  
よしよしと頭を撫でてやる。  
「あ……」  
「積極的になってくれてアタシも嬉しかったわ。これだけ出来るアルなら、もっと自信を持ってもいい 
でしょ」  
「それは……その」  
「なぁに、もう火の効果は切れちゃったの?」  
火を見ている時のアルフレッドは、確かに冷静である意味強い性格になる。  
つい先ほど豹変し、マヤを翻弄するほどに責め立てたのも、その火の効果と言っていいだろう。  
「う、うん……」  
けれど、その効果もあまり長続きするものでもない。  
射精にまで至ったことで、また普段の気弱な少年に戻ってしまったようなのだ。  
「……ふう。とにかく、誉めてあげるわ、アル――」  
「あ、え?」  
そう言って、マヤは目の前の弟に口付ける。  
軽く、唇と唇が触れ合うだけの、挨拶のようなキス――だが。  
「ご褒美よ。こういうの、アンタ好きだったわよね?」  
「え……あ、う、うんッ……」  
 
と、そのキスの直後に、アルフレッドは顔を真っ赤にして俯いてしまった。  
「あれ? どうしたの?」  
「あ、あの、なんか、そのッ……凄く照れちゃうっていうかッ……」  
「……今の今まで散々出し入れしてたのに。なんでキスくらいで?」  
「わ、わかんないよッ。わかんないけど……」  
動悸も早くなってきているのか、アルフレッドは顔だけではなく身体までかあっと赤くなる。  
それどころか。  
「ん……? アル、アンタ……」  
ぴく、と、マヤの下腹部に触れるものがあった。  
今やどろどろに汚れ、二人の体液で塗れているそれ――  
「……って、また固くなっちゃったの?」  
「そ、そうみたい……」  
もう今日一日で相当な数の射精をしたはずだというのに。  
姉に軽く口付けを受けた、それだけで――  
「……ちょっと……」  
手を伸ばして、弟のペニスに触れてみたマヤは驚いたように――いや、呆れるような声をあげる。  
「アンタ……どれだけ溜まってたのよ? 今までで一番おっきいじゃない……」  
「わ、わかんないよぉッ! そんなのッ! 姉さんがキスしてくれたら、なんか突然ッ」  
「……つくづく、こういう時ばっかり逞しいのね、アルって。でも、これはこれで……」  
そっと、軽く扱いてみる。今まで以上に熱く固くなって、ぴくぴくと震えてさえいるようだ。  
「あッ……ね、姉さんッ」  
「どう? 痛いとか、そういうことはない?」  
指先で、細かに弟のペニスを撫で、そして扱いてやる。  
途端に、アルフレッドの顔がどこか苦しそうなものに変わってしまう。  
「い、痛くはないけどッ……な、なんかッ……すぐ、出ちゃいそうッ……」  
「……敏感になってるのね。なら……」  
もう一度アルフレッドに口付けると、マヤは仰向けになった。  
 
そして、弟に手をひらひらと振る。  
「え?」  
「もう一回いけるでしょ? 今度こそ、ちゃんとアタシを完全に気持ちよくしてもらうからね?」  
「え、え?」  
一瞬きょとんとしてから、またアルフレッドは顔を伏せて赤くなる。  
「そ、そんなのって……」  
「いいでしょ? それにアンタだって、収まりつかないでしょうに」  
出し切ったはずなのに、今やアルフレッドのペニスは最初に射精した時よりも膨れているようにすら感 
じる。  
そんな昂ぶりを起こしている彼自身も、目の前で汗や色々な体液で汚れて、それでも美しく輝いている 
姉の肌を見れば我慢もきかない。  
「じゃあ……頑張るから、今度こそ」  
「ホントに頼むわよ」  
そして――正面から、正常位のかたちで。  
滾るペニスを、ひくひくと精液と愛液を零す姉のヴァギナに押し付ける。  
「……これで三回目だっけ」  
「挿れる前にも何回か出したはずなのに……もう、ホントいい子なんだから、アルってば」  
「……それじゃッ」  
一度目を閉じて、深呼吸すると――  
ずちゅ、と濁った音を立てて。  
「うッ……ふぅッ」  
三度、姉の膣肉の中へと埋没していった。  
膣内には溢れるほどに二人の液が満たされて、少し動くだけでもぷちゅ、と押し出す音が流れ出る。  
今度の体位では正面からお互いの顔が見られるから、ひとまず中ほどまで進めて見詰め合った。  
「……んッ。どうしたの、アル?」  
「……あの、姉さん……」  
呟くと、アルフレッドはマヤの豊かな乳房に顔を寄せていく。  
「え、アル?」  
「……ここ、吸ってみてもいい……?」  
「……ええ」  
にっこりと笑って、頷いてみせる。  
――と、その答えを聞くや否や、アルフレッドは右の乳首をくわえて急激に吸い込んだ。  
 
「んぁッ!?」  
更に、アルフレッドはぐ、ぐッとペニスを突き入れる動きも早くする。  
むしゃぶるように乳首を吸いながら、ペニスは膣壁を擦り子宮口まで抉り、姉を昂ぶらせようと懸命に 
なる。  
「あ、ん、アルッ、な、急にッ……ふぁッ!」  
ぐっち、ぐっちと肉の交わる音は響き、そして姉の乳房を食べてしまうかのようにアルフレッドは動く。  
時に軽く歯を立てて、マヤの乳房を吸い上げる――と、  
「あはぁッ!」  
膣奥を責めるのとは一味違う、特別な快感が彼女を襲う。  
その声を聞いて、アルフレッドは軽く微笑みつつ更に激しく突きこんでいく。  
ペニスの先端が姉の膣壁を擦り、天井を抉り、絡みつく肉の熱さを味わいながら奥へと進む。  
「ん、アル、な、なんか、さっきよりもすごッ……あはぁッ!?」  
また乳首を噛まれて、悲鳴をあげるマヤ。  
ぎゅっと目を閉じて苦しそうな顔で自分を責め立てている弟の顔を見ると、胸の奥からこみ上げてくる 
何かを感じた。  
そのこみ上げるものを、アルフレッドは胸の先から吸い上げているようで――  
シュレディンガーの姉弟は、まるで一つになるように絡んでいく。  
「……ふぅッ」  
何度も噛んで、歯の跡までついた乳首からアルフレッドは口を離す。  
「……姉さんッ」  
「あ……え、もっとッ……おっぱい、吸ってもいいのッ……んッ!」  
離した口は、そのまま上へ動いて姉の唇に辿り着く。  
更にそれをこじ開けて、舌を暖かい姉の口中へと侵入させる。  
「……ふふッ」  
夢中になって、今までの経験から学んだことで気持ちよくさせようとしている弟のそんな姿に。  
マヤは愉快そうに微笑んで、弟の舌と自分の舌とを絡め合わせた。  
「んッ!」  
その瞬間、アルフレッドのペニスが再び膨れ上がる。  
一番奥まで来ていたために、それは子宮口を突き、マヤは身体全体を揺さぶられるように感じた。  
と、膨れ上がったペニスは、また呆気なく破裂する。  
びゅッ……びゅるるるるッ。  
一瞬二人の動きは止まり、身体は弛緩していく。  
 
――が。  
少しの失望とともに弟を見やったマヤは、自分の思い違いに気づいた。  
彼の瞳には、まだ強い光が宿っている。  
「……んッ!」  
姉の舌を舐めると、再びアルフレッドは動き始めた。  
まだ射精は続いているのに、ペニスの硬さは衰えていない。  
「ッ!」  
胎内に熱い精液の飛沫を感じながら、更につきこまれる感触に。  
マヤの快感も、今度は途方もないほどに高まりつつある。  
「……はぁッ」  
力が抜けて、舌と舌の絡まりが解け、唇は離れる。  
「あ、アルぅッ……」  
「姉さんッ……く、姉さん、姉さんッ!」  
同時に弟の口から、思いの丈が溢れ出てくる。  
たまらなく愛しい姉に、精を注ぎながら更にペニスを奥へ奥へと押し込むのだ。  
「かッ……はぁ、あ、アル、アタシッ……」  
「姉さんッ……ねえ、さんッ」  
もう、アルフレッドの全てがからっぽになって、姉の中へと流し込まれていって――  
「アル……ぅ、あ、ん、はぁッ……あ、あッ……」  
ずんッ、と。  
吐き出される精が、子宮までも汚しきった、その瞬間に――  
「あッ……ん、あぁぁぁッ!」  
全身で、ぎゅうっと身体の上の弟を抱きしめながら――  
マヤは、ようやく初めての絶頂へと辿り着いていた。  
 
「ね……え、さん……」  
体力と精力全てを使い果たしたのだろう、アルフレッドはぐったりとして崩れ落ちる。  
「……あ……ん……」  
それを抱きしめて、マヤもうっとりとしながら吐息を漏らす。  
一つになって抱き合う姉弟は、仲がいいという言葉も空々しいほどにくっついている。  
それでもしばらくして――すうすうと、静かな寝息を漏らし始めたアルフレッドを。  
まだ気だるそうな顔をしながら、マヤはゆっくりと身体の上から下ろした。  
ベッドに寝かせて、そのまま布を取りお互いの後始末を始める。  
「ん……ふぅ……」  
体液でどろどろに汚れきった自分とアルフレッドの姿は、16年一緒だった生活の中でもはじめて見る 
光景だが。  
「……ふぁ。ホント、こんな時だけたくましいんだからね……」  
激しい交わりは、マヤをして消耗が激しかったのであろう。  
眠っている弟から離れると、彼女は眼鏡をかけた。  
「……ん」  
瞬間、彼女は地味な外見の少女に変わっていく。  
「ふう……コスプレする気力もなくなっちゃった。さっさとシャワー浴びて、アタシも寝るかな」  
よろよろとしながらも、マヤは歩き始める。  
と、眠っている弟の方を見て。  
「……頑張ったわね。偉いわよ、アル」  
声をかけると、アルフレッドも微笑んだ――ように見えた。  
 
 
翌日のこと。  
シュレディンガー一家、今日は新しく見つかった遺跡の探検に向かっている。  
いつもと変わらない光景だが、少し先を歩くマヤとアルフレッドの二人の様子に、  
シェイディはやや怪訝そうな顔をした。  
「姐さんと坊ちゃん、なんか今日は妙にくっついてないか?」  
確かに。手を繋いでいるあたりも、微妙におかしい。  
「……なんか、あったのか?」  
「ふむ……あずかり知らぬことですが……」  
話しかけられたトッドも首を傾げるが、  
「ま……姉弟仲がよいのは結構なこと。先代も草葉の陰で喜んでらっしゃるでしょうとも」  
「そういうもんかね? ……まー、変なこと言って姐さんの機嫌損ねるのもアレだしな」  
「まったく」  
そう言って、二人は少しの苦笑を浮かべた。  
一方の姉弟はというと――妙に愉快そうに笑っているマヤはともかく。  
「……はあ」  
「どうしたの?」  
思い切り頭を抱えながら、アルフレッドは呻いている。  
「……僕らは姉弟な訳で。で、昨日はあんなことやっちゃった訳で。  
 割り切ろうたって割り切れるもんじゃないよ……」  
「何言ってるんだか。二回目からはあんなに積極的にやっちゃったくせに。  
 最後はもう、アタシがやられっぱなしで……アルもねぇ。凄かったわ」  
「それはッ……その。僕、どっかおかしいのかなぁ」  
「何しろシュレディンガーの家の出だからね。むしろおかしいところがあるくらいで普通なのよ、アン 
タもアタシも」  
気楽そうに言う姉に、アルフレッドはがっくりとうなだれた。  
「そう言っても……姉さんの顔、見られないよ……」  
「アル?」  
「え?」  
ふっと顔を上げる。と、目の前にマヤの顔が迫っていた。  
 
「うえッ!?」  
「んー」  
そのまま、軽くキスをされてしまう。  
「姉さ……ん」  
ぱちぱちと瞬いて、アルフレッドは目の前の姉の顔を見つめる。  
「ほら、見れたじゃない」  
言われて、アルフレッドはかあっと顔を赤くした。  
「や、やめてよ……そういう問題じゃないんだよ」  
「そういう問題なのよ。あんまり気にするんじゃないわ。だいたい、アタシとアルがやったからって不 
都合何かある?」  
「……近親相姦なんて世間一般で思いっきり不自然な行為だし」  
「世間なんて知ったことじゃないわ。だいたい、そんなの黙ってりゃわからないわよ」  
「それにしたって……い、遺伝学的にもよくないってことは立証されてるんだから」  
「遺伝子くらい、気合でねじ伏せてみせるッ!」  
思い切り断言されてしまった。拳まで握り締めて、なんとも勇ましく。  
「だから、別に大丈夫よ」  
「で、でも――」  
まだぱくぱくと口を開いて、反論しようとする弟に――  
「でも、気持ちよかったでしょ?」  
にっ、と。マヤは不敵に笑う。それを見て、不意にアルフレッドはどきりとした。  
結局、僕はこの姉が大好きなんだろうなあ、と。  
こうなったことも、そりゃあ色々な意味で大問題だし、まったく褒められるべき事態でもないのだが。  
最終的には、こうやって流されてしまうのだろう。でも、  
(それはそれで、嬉しい……のかな)  
そう感じる自分がいる。まったく、情けないやら何やらで、かくんとアルフレッドは肩を落として。  
「……うん。すっごく気持ちよかった」  
そんなふうに応えるしかない訳である。  
「なら、いいじゃない。そうね……じゃあ、今度は魔女っ子の姿でやってあげようか?」  
「ね、姉さんッッッ!」  
そうして、いつもどおりにシュレディンガー一家の一日は過ぎていく、のだった。  
 

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