夢魔というモノは実にとらえがたい代物である。  
夢の中という、人にとって極めて無防備な世界を行き来し、その中で自由に行動する。  
夢魔からは自在に手出しができても、人の身では反撃することも覚束ないのだ。  
だから、今現在ジェットが置かれている状況も、彼の責任と糾弾できるものでもないだろう。  
 
確か、クライヴの家に泊まりに来て、床に入ったのが一時間ほど前のはずだ。  
なかなか寝付けなかったが、無理やり目を閉じて眠ろうとし、やがてうとうととし始め――  
ふと気づいたらこの真っ白な世界に座り込んでいた。  
若干、混濁する頭を振りながら、ジェットは今自分がどうなっているのか改めて観察してみる。  
とりあえず、五体満足なのは確かだ。傷を負っている様子もない。  
痛みなどもないが、多分この世界は夢の中なので元々痛みは感じないのではないか、とも思う。  
それから、どうも身動きが取れない。地面に座り込んだまま、足などもぴくりと動かないのだ。  
そして、何より厄介なことには、そんな状況を目の前で薄ら笑いを浮かべながら眺めている少女がいる、  
というのがある。  
「ベアトリーチェッ……手前、何しやがったッ……」  
「何って……くすくす。ここ、夢の中の世界にあなたが来てくれたから、ひとまず捕獲しただけなのだ 
けど?」  
眼前の黒衣の少女、夢魔ベアトリーチェはジェットのその問いに相変わらず薄ら笑いを浮かべたまま、 
応える。  
「捕獲だと……?」  
「ええ、この世界はわたしの領域。迷い込んだ哀れな贄に、こうやって枷を与えることなど造作もない 
話」  
彼女は夢魔、すなわち夢を自在に操る存在だ。  
他者の夢に潜り込み、悪夢を与えるのも自由なのだろう。  
つまり、今こうしてジェットが動けなくなっているのは、  
「……色々と試したいことが出来たの。だから、  
 あなたを捕獲し、わたしの為に利用させてもらおうと思ってね」  
という理由らしい。  
 
「離せ、って言っても離すつもりはねえんだろうな……試したいこと?」  
「そう。少しばかり、あなたの身体に興味があって――くすくす。  
 アダムカドモン……世界の雛形。考えてみれば、創星を行うのにこれを見過ごすのも不自然な話だっ 
たわ」  
その単語を聞き、ジェットはやや不快そうに眉をひそめた。  
彼は人工的に作り出された生命、ファルガイアの雛形、らしい。  
思い出してもあまり気分のいいものではないから、こうやって強調されるのも不愉快になる。  
「……それがなんだってんだよ」  
「端的に言えば、あなたの身体にはファルガイアを構成する想い出がほとんど無限に詰まっているとい 
うこと。  
 創星にはその想い出こそが重要となるから……奪うことが出来れば、計画にとって大いに利益となる 
わ」  
「……訳のわからんことを」  
不平をもらすジェットだが、ベアトリーチェは相変わらず薄ら笑いを浮かべたまま、そっと彼に近寄っ 
てくる。  
「な、何だッ!?」  
「あなたに理解される必要もないわ。わたしが必要としているのは、あなたではなく――  
 その身の想い出なのだから」  
更に彼女はにじりより、ジェットの足の上に腰掛ける。  
「……くすくす。遺伝子もまた想い出の一つ。  
 そして、生命が次代の生命を創るために、遺伝子という想い出を他の何より集める場所と言えば……」  
そう呟きながら、ベアトリーチェは右手をジェットの股の上に伸ばし。  
「……そう、子供を作るための場所……あなたの生殖器、ね。  
 ここから、わたしの欲しい想い出が詰まった液体が出てくるわ……くすくす」  
言葉の意味が一瞬呑み込めず、呆気に取られていたジェットだったが。理解しても、一瞬言葉が出なく 
なる。  
「て、て、てめッ、そ、そりゃつまりッ……」  
「……せいぜい気持ちよくはしてあげるわ。別に切り刻んで分解して取り出してもいいのだけれど、  
 あなたを解体する方が手間がかかりそうだし……何より、快楽には人は抗えないものだから。  
 さあ、素敵な舞踏を披露してもらうからね。くすくすくす……」  
「や、やめろッッ……!」  
抵抗しようにも身体は相変わらずぴくりとも動かない。そして。  
「……くすくすくす」  
ベアトリーチェは、そのまま動けないジェットの衣服をぱらりとほどき、彼のペニスを摘み出した。  
 
何しろ状況が状況である。それは情けなくも垂れ下がっているのだが。  
「……まあ、いいわ」  
ふっ、と鼻で笑うと、ベアトリーチェはその小さな手でそっとしごき始める。  
見た目は少なくとも十代前半程度の少女が、自分のペニスを撫でさすっているというその光景。  
それが、取り分けおかしな趣味を持っていないはずのジェットにさえ、倒錯じみた感慨を与えてくる。  
「やめろッ……って、言ってるだろッ……」  
「あなたの事情などどうでもいいの。……それに」  
夢魔の手から伝わる感触は、背筋をぞっとさせるような痺れを伝えてくる。  
敏感な場所を責めたててくると思ったら、次には優しく全体を包み込んで。  
「くぁッ……」  
更に、彼女は軽く息を吹きかけてきた。それらの刺激と、そしてこちらを見つめる彼女の瞳を見るうち 
に、  
「……う、嘘だろッ!?」  
「……嘘もなにも。所詮、造られた命だとて、オトコには何も変わりないということよ」  
むくむくと、ジェットのペニスは鎌首を持ち上げてきた。  
それに冷たい笑みを向けながら、ベアトリーチェは手技を続ける。  
「ほら、どんどん大きくなってるわ。なんだかんだと強がっても、快楽の前には誰しも無防備。  
 それにここは夢の中の世界だもの、今のあなたは全ての感覚が剥き出しになっている。  
 もう、抗うことなど不可能よ……くすくすくす」  
 
嘲るような調子で、夢魔は言葉と手で責め立てる。  
その屈辱と、それにも勝る感触に、やがて少しずつジェットのそれからじわりと液体が漏れ始めた。  
「……事実、こうしてあなたは準備を整えようとしてくれているじゃない。  
 わたしなどに撫でられて、こんな先走りを出すのだから……先ほどの抵抗は、言葉だけみたいね?」  
「う、うるせッ……」  
反論しようにも、送られてくる感触がそれを許さない。  
くすくすと笑いながらペニスを弄られて、嫌でも高まっていくのが自分でもわかる。  
今や、ジェットのそれとベアトリーチェの右手は先走りでじとりと湿っていた。  
「じゃあ……そろそろ、採取させてもらいましょうか」  
「ッ!」  
その言葉を皮切りに、ベアトリーチェは手を動かすのを速めた。  
巧みに敏感な先端をしごき、根元を刺激し、時折それを和らげる。  
緩急の差で刺激は一層強調されて、もうジェットのペニスにはむずむずと熱いものが溜まってきていた。  
「……くそッ……」  
それでも暴発しないでいるのは、彼の意地なのだろうが、顔色からして真っ赤でとても平常ではない。  
「耐えても仕方ないのに……強情ね。まあ時間の問題なのだろうけど……くすくす」  
笑われても、もうジェットには反論する余裕すら無かった。  
「つっ、うぁっ……く、そ……」  
「……くすくす。ほら、受け止めてあげるから……」  
そっと左手がジェットの発射口に差し出される。  
「……出しなさい」  
「……く、そぉッ……!」  
その言葉と共に、限界が訪れた。  
 
どろどろと、ジェット自身から白い粘液が放たれていく。  
今までそれをしごいていたベアトリーチェの右手と、それから先端に伸ばされていた左手の両方に、  
その液体はこびりついていった。  
「なかなかの量ね……くすくす。さて、どうかしら……」  
両手を口元に戻すと、彼女は手のひらに溜まった精液を舐めとっていく。  
全て舐めた後、口の中でしばらく弄び、やがて飲み干した。  
「……んッ……」  
射精の衝動で呆然としているジェットを尻目に、ベアトリーチェは彼の足の上から立ち上がって考え込 
む。  
「分析結果は良好……やはり、狙い通りね……  
 この中には、素敵なくらいの星の想い出が納められている……  
 これなら、わたしの夢もきっとうまくいくわ」  
変わらない薄ら笑いに、少しだけ喜色が混ざる。  
「くっ……これで、満足か……?」  
虚脱感と屈辱感で顔をゆがめたジェットがそう問いかけるが、振り向いたベアトリーチェは軽く首を振 
った。  
それから、下腹部に軽く手をあて、少しだけ陶然とした表情で話し始める。  
「まさか。今のは、単に実行可能かどうかを調べただけ。本番はこれからよ。  
 そう……あなたの想い出を、わたしの裡に眠る星の種子に受胎させることで、より確実に創星が可能 
となる」  
「受胎、って……お、お前ッ!」  
「……くすくす。見当がついたかしら? さて……」  
 
動けないジェットを見下ろし、ベアトリーチェはふと思案げな表情になった。  
視線の先には、発射してやや力を失っているジェットのペニスがある。  
それの大きさを目測して、やや考え込んでいるようだ。  
「……この形態では、やや不都合があるな……  
 ……くすくす。  
 そうね。とりあえずあなたの想い出を貰えればそれで済む話なんだから、別に快感とかはどうでもい 
いんだけど……  
 さすがに、入らないとなったら困るから……こうしましょうか」  
すっ、と、ベアトリーチェは軽く腕を振った。  
次の瞬間、彼女の身体が一瞬で変貌を遂げる。  
黒一色だった服装や、病的なほど白い肌がたちどころに消えて失せ、  
紫の肌に虚ろな右目、そして薔薇のあしらわれた豪奢なドレスの少女へと生まれ変わったのだ。  
その手も細く小さかった指から、何もかもをも切り裂けるようなグロテスクな爪へと変化している。  
「……こちらなら、先ほどよりは多少は設定年齢が上になるから……  
 あなたのそれも、呑み込むことが可能になるわ」  
ジェットに向けて、夢魔は艶然とした微笑を向けた。  
 
ジェットに向き合い、ちょうど自分の秘所とジェットのペニスが重なるように、  
ベアトリーチェはゆっくりと腰を下ろしていく。  
ドレスは着たままで、すぐにその場所はスカートに覆われ見えなくなってしまうのだが、  
まるでそこに目でもついているかのように、  
1ミリのずれもなくジェットのそれはベアトリーチェの中へと吸い込まれる。  
ちょうど対面座位の形で、二人が向き合ったまま呑み込んでいく。  
「……んぁッ……ふう……」  
一番奥まで呑み込むと、さすがにベアトリーチェは一息ついた。  
ジェットの両肩に手をおいて、一見すると彼に甘えているかのような構図だ。  
結合している部分がスカートに隠れて見えないのも、それに拍車をかけている。  
が、なされるがままのジェットは、何も気にすることが出来ない程切羽詰っていた。  
とにかく、ベアトリーチェの中は狭いのだ。  
その上に、動いていなくてもやわやわとこちらを締め付けてくる。  
これでは、わずかでも動けばすぐに出してしまいかねない。  
ただ、いつのまにか彼女のそこを満たしていた愛液の助けで、辛うじて抵抗が和らいでいるのでなんと 
かなっている。  
しかし、彼女の方には何も刺激が与えられていないはずなのだが。  
と、その疑問に答えるように、夢魔はくすくすと笑う。  
「……まあ、わたしの方でも、多少は楽しめないと損だからね。  
 自分を欲情させるようにデータ改変するなど容易いこと……くすくす。  
 ……じゃあ、お喋りはこのへんにしましょう。  
 あなたとわたしとで、素敵な舞踏会を演じないとね……くすくすくす……」  
笑いつつ、彼女はゆっくりと腰を上下させはじめた。  
 
くちゅ……くちゅ……と、ドレスを超えて接合部から小さな水音が響き始める。  
「……っ!くぁッ……」  
それだけで、ジェットはすぐに達しそうになる。刺激が強すぎるのだ。  
(……けど、ここでこいつの言いなりになるのも……な……)  
これまであまりに相手の都合のいい様にされすぎた。  
こんな子供に弄ばれる、それだけで彼のプライドを刺激するし、しかも今の相手は完全に夢魔、魔族の 
姿を現している。  
(ふざけんなよッ……好き放題されてたまるかってんだ……)  
ぐちゃぐちゃと、段々ベアトリーチェの上下動は早さを増してくる。  
ますます締め付けは厳しくなり、ジェットの頭の中には早くも限界を告げる信号が駆け巡る。  
だが、それでも彼は必死で耐えていた。  
「んッ……あ、相変わらず……強情ね……耐えたって、どうにかなる訳でも……くぁ、無い、のに」  
余裕を崩さない表情だが、それでもややベアトリーチェの方にも快楽は来ているようだ。  
少しだけ、薄ら笑いが消えかけている。  
「生憎だけどな……俺は、んな魔族に弄ばれる趣味はないんでね……」  
「……生意気、を……ん……」  
ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ。  
スカートの外にもはっきり聞こえるほどに、接合音は激しくなってきた。  
もうジェットのそれは痛いほどに弾けようとするのだが、それでも彼は耐える。  
「うぁッ……つ、本当に……無駄な抵抗をッ……!」  
薄ら笑いが、ここに来て消えた。  
 
虚ろな右目を包む羽飾りが揺れて、しゃらしゃらと音を立てる。  
落ち窪んだ眼窩に、ぼんやりとした光が灯るその右目が、何より彼女を魔族と証明しているものだ。  
その右目は変わらないが、左目がとろんとしてきている。  
「動けないくせに……抵抗して、何になるという……の?」  
計算と違ってきたせいか、少し余裕がない。  
「……知るか」  
もうこっちも意地だろう。  
その姿勢のせいか、二人の目があう。  
双方ともに快感でとろんとしてきているものの、相手の思うようにさせるかという意志だけは強い。  
……先に音をあげたのは、結局ジェットの方となった。  
こちらも意地のように激しく腰を揺らすベアトリーチェの膣内が、一際強くジェットのペニスを締め上 
げたのだ。  
「ッ……ちッ……くしょうッ……」  
「こ、れで……んッ!」  
びくんッ!  
ベアトリーチェの中で弄ばれていたそれが、細かく震え、跳ね上がる。  
「ダメだッ……出ちまうッ……!」  
「んあ……やっとッ……」  
少しだけ感極まった様子で、ベアトリーチェも小さく叫んだ。  
直後に、体内に熱い粘液が放出されてくるのを感じる。  
びゅるびゅる……と、かなり激しい勢いだ。  
「……くす……凄いわ……これ、な、ら……」  
自分の胎内に熱いものが満たされていく。  
ようやく望んだものが得られて、彼女はジェットの肩に手を置いたまま満足そうに微笑んだ。  
 
だが。  
その時、ふとジェットは自分の身体に異変を感じ取った。  
今まで指の先すら動かず、両手は身体を支えるように脇についていたのだが、  
気づいたらベアトリーチェの腰を掴んでいるのだ。  
どうやら、今しがたの接戦の際、無意識のうちに相手の動きを抑えようと手が動いていたらしい。  
満足げに目を閉じているベアトリーチェは気づいていないようだが。  
(こいつ……ひょっとして、夢中になった挙句俺への金縛りを解いちまった……のか?)  
気づかれないように、足なども動かしてみて、それは確信へと変わった。  
(……なんだ、案外抜けてるな、こいつも……)  
なんだか呆れてしまう。  
それと同時に、自分の目の前で満足そうにしている夢魔に、何かふつふつとしたものが沸いてきた。  
自分をこうも好きに弄んだ挙句、勝手に満足している。  
散々足掻いてみたものの、本音を言えば気持ちよかったのは確かだ。  
だからといって、利用されるだけというのは性に合わない。  
(だったら、いっそ――)  
それこそ、少し前までのベアトリーチェのように、ジェットはにやりと口元に笑みを浮かべた。  
 
「はぁ……これで、行程は終了したわ。あなたの役目もこれでお終い。  
 この場で引き裂いてあげてもいいけど……いいわ、見逃してあげる。  
 さて、後始末はしておかな……」  
余韻から覚めたベアトリーチェは、あくまで優位を保ったままそう話しかけ、繋がったままのペニスを 
引き抜こうと立ち上がる。  
つもりが。  
「……え?」  
どさり。  
一瞬の浮遊感の直後、自分の身体が仰向けに寝かせられているのに気づく。  
 
「……なッ!?」  
「散々好き放題してくれやがって……けど、こうなるのは予測できなかったみたいだな?」  
ジェットが、自分に折り重なるようにしてこちらを見ている。  
相変わらず、彼とは生殖器で繋がったままで、どうやら体勢が変わってしまっているようなのだ。  
「……ッ!? まさか、枷が……!?」  
「やっぱり……気づいてなかったのか? まあ当然だと思うが……」  
「く、だがもう一度……うぁッ!」  
再びジェットを拘束しようと手を伸ばしたベアトリーチェだったが、突如として身体の奥を襲った衝動 
に中断させられる。  
今の衝撃は、ジェットが深くベアトリーチェの膣内へペニスを打ち込んだもののようだ。  
「なッ……な、何を……」  
「お返しってやつだな……こうなりゃ、お前が音を上げるまでやってやるさ……」  
「そ、そんなの必要としていな……うああッ!?」  
ずんッ、ずん、とジェットは腰を打ち込む。  
不意をつかれたせいか、ベアトリーチェは反論も行動も何も出来ずなすがままにされている。  
仰向けに倒れたせいで、スカートはめくれあがり、彼女の秘所にジェットのペニスが突き刺さっている 
のが露出してしまっているが、それさえも彼女はどうすることもできない。  
「や、だ……こんなはずじゃッ……」  
「……なんだ? お前……この程度で?」  
余裕がまったく無くなっている。  
疑問に思いながら、正常位の形でジェットはベアトリーチェを責めていく。  
小柄な彼女は、一突きするたびに身体がずれ、少しずつ遠ざかっていくが、離れる前に肩を掴んでそれ 
を止める。  
そして、更にぐちゅぐちゅと突きを重ねていくと。  
「な、なんでッ……こ、こんなの……あ、ああああッ!」  
「……お前、ひょっとして……」  
とうとう、悲鳴のようにあえぎ声を流し始めたベアトリーチェ。  
反対に、ジェットの頭は段々冷静になっていく。  
「普段は自分から責めているからいいが、いざ自分が責められると……なんだ、弱い……ってのか?」  
「ち、ちが……うあッ!」  
否定しようにも、その叫び声が全てを物語っている。  
「……そういうモンなのか……?」  
少しだけ釈然としないまま、ジェットは腰を進めていった。  
 
実際、ベアトリーチェの膣内は恐ろしいまでの快楽をもたらしてくる。  
電気信号で構成された彼女だから、そのあたりもデータ変換で自由にできるのかもしれない。  
とにかく、異様に狭いはずなのに、滑りは奇妙なほど滑らかなのだ。  
その上、中の肉壁は挿れる時には少しの抵抗で迎え入れ、抜こうとすればぎゅっと締め付けてくる。  
強気に出てはみたものの、ジェットの方もすぐに限界へと近づいてきた。  
が、先ほどとは違い、今度は相手がやたらと感じまくっている。  
「こんなはずじゃないッ……のにッ……あ、あああああッ……うあぁ……」  
彼女の右手は、自分の口元であえぐように彷徨っている。  
怪物じみた爪なのだが、困ったように中空を彷徨う光景は、少しだけ微笑ましい。  
と、そんなことを考える余裕もなくなってきた。  
「……ダメだ、こっちも出ちまう……」  
「あ、うぁ、あ……わたし……こんなのッ……」  
既に意地も何も無いし、もうベアトリーチェの方もすぐに限界を超えそうなのだが、なんとなしにジェ 
ットは右手を彼女の肩から外し、繋がっている部分へとのばしてみた。  
そして、性器同士が擦れあっている部分のすぐ近く、小さな突起をそっと撫でてみる。  
その瞬間、まるで電気でも走ったかのようにベアトリーチェがびくりと震えた。  
「や、だ……だめ、だめぇッ!」  
薔薇の飾りが、一つぱさりと地面に落ちる。  
同時に、ベアトリーチェの中のペニスに、最大級の衝撃が襲ってきた。  
ぎゅっと、強く握り締められたかのように全体を締め付けてくる。  
「くッ!」  
あまりに急だったため、その瞬間に抜けてしまう。  
引き抜かれたペニスは、白い液を撒き散らしながら、ぶるんと反り返った。  
 
「……はぁ、はぁ……」  
ドレスを白く汚されても、ベアトリーチェは呆然としていた。  
その姿を見て、変わらない硬度を保っているペニスを持て余しつつ、ジェットは彼女を抱き起こしてみ 
る。  
ようやくそれで彼女の目の焦点があったが、身体の方はぐったりとしたままだ。  
「……な、何をするつもり?」  
「言っただろ……音を上げるまで、って」  
「い、嫌ッ……ああッ!」  
再び、お互いが向かい合った形で、ジェットとベアトリーチェは繋がった。  
今度は接合部分に彼女の重みの全てがかかるため、子宮口にまで亀頭が届く。  
「う、うあああッ!」  
それだけで軽くベアトリーチェは達したらしい。びくん、と身体が震える。  
同時に、中の締め付けも少しだけ厳しくなり、それによって尿道に残っていた精液がぴゅる、と押し出 
された。  
「……いいな? じゃ、三度目だ……」  
「い、いいはずないッ……うああああッ!」  
両手を彼女の背に回し、以前とは逆にジェットの方から激しく突き上げる。  
もう三度目だし、一切の遠慮もない。  
 
「な、なんでこんなにッ……い、あああああああああッ!」  
ベアトリーチェも大分敏感になっているようだ。それだけで、彼女は頂点を越えてしまう。  
「……早いな……」  
それではつまらないとばかりに、回した両手をほどき、右手を戻してぽりぽりと頬を掻く。  
と、今度はジェットの背中にベアトリーチェが手を伸ばしてきた。  
……考えてみれば、その手は怪物じみた巨大な爪である。  
切り裂こうとして、できない相談ではないだろう……  
(……まさかッ!?)  
……が、その心配はすぐに消えた。  
ベアトリーチェの表情は、イった衝動でまだぼんやりとしたままだ。  
それに、自分の背中に回された爪は、ジェットに必死でしがみつくようにぎゅっと抱きついてきたのである。  
意識が軽く飛んでいるらしく、相手を認識できていないのだろう。  
「驚かせるなよ……しかし、ホントに責められると弱いんだな……」  
呟きつつ、ふと彼女のドレスに目をとめる。  
胸元が大きく開いたデザインのドレスだ。  
ついさっき、そこに出した精液は、大きく開いた胸元にも及んでいる。  
 
魔族らしい紫の肌に、点々と飛び散っている白いもの。  
それを見ているうち、ちょっとした悪戯心が芽生えてくる。  
必死でしがみついている彼女を少しだけ離すと、ジェットはその胸元へと手を伸ばし。  
「……何を……? ッ……」  
ドレスの中へと侵入させていった。  
それでも彼女はしがみついている手が離せないままだが、  
それをいいことに乳房やその先端をいじりはじめる。  
「あ、うあ……」  
戸惑っていたベアトリーチェから、すぐ甘い吐息が漏れ始めた。  
突き上げる激しい快感とは違う、少しだけゆっくりなその刺激で、またとろりとしてきたらしい。  
時折、その乳首をつまんでみたりすると、  
「んッ!」  
ぴくんと全身が反応する。  
同時に繋がったままのペニスにも刺激が伝わり、こちらへも快感が伝わってくる。  
そのまましばらく弄んでいたが、ジェットは思い立ったようにその手を胸元から引き抜いた。  
 
「んはぁッ……」  
それで、ベアトリーチェは一息つく。  
「……じゃ、三度目の本番、だな」  
「……えッ!?」  
気を抜いたベアトリーチェに、ジェットは容赦なくペニスを突き上げた。  
「や、やああッ!」  
また不意をつかれたせいか、呆気なく彼女は頂点を迎える。  
だが、今度はジェットも許さず、激しく腰を突き上げていく。  
「も、もう、駄目……駄目に……うぁぁぁぁぁぁッ……」  
もはや、ベアトリーチェはその目の焦点すらあっていない。  
完全に受身となって、ジェットの責めを甘受するだけだ。  
出来ることといえば、落ちないように、必死になって彼にしがみつくしかない。  
と、それによって今しがた弄られていた乳房が押し付けられる。  
上下動によってドレス越しにそこも刺激され、新しい快感がジェットとベアトリーチェ双方に伝えられ 
てきた。  
「あ、ああああ……」  
それら全てを受け止めることが出来ず、だらしなく口を開いて、ベアトリーチェはうめきを漏らすだけ。  
「……くッ!」  
そうして、また。  
「ッ……また、入って……くるッ……」  
ぴゅる、ぴゅる、と、三度目など関係ないかのように、白い粘液は注がれていく。  
「やだ……もう、一杯、なのに……」  
中が満たされ、それでも更に埋め尽くされる感触に、ベアトリーチェがぼそりと呟いた。  
 
 
それから、どれほどの時間が経過したのだろう。  
夢の中ゆえに現実感が乏しく、また精力の終りも来ないためか、  
ずっとジェットはベアトリーチェを責め立てていた。  
今は四つんばいになったベアトリーチェを後ろから責めている形だが、  
もう彼女のドレスはあちこちが白に塗れている。  
薔薇の飾りのほとんどが落ち、虚ろな右目を飾っていた羽飾りもあちこちが白く汚れている。  
スカートなどは完全にめくれあがり、なんとも無残な姿である。  
お互いに汚れきっているが、それでもなおジェットは彼女を責め続けていた。  
「……もう、もう……本当に、駄目に……なる……ッ……」  
「……なればいいだろ……く、また出るッ……」  
どくん、どくんと、もう何度目になるのか、二人とも覚えていない回数の精液が注がれた。  
「やっ、うあ、ああぁぁぁぁぁ……」  
その一撃で、ベアトリーチェはかくんと崩れ落ちた。  
体中の力が抜けており、まるで糸の切れた操り人形のようである。  
「お、おい?」  
その反応は初めてだ。今まで、倒れるにしろ、なんとか自分を支えようとはしていたのだが。  
 
不安になる、というのも奇妙な話ながら、虚ろな目つきの彼女の顔を覗き込むと。  
「……不正な処理が……」  
聞きなれない単語を口走っている。  
「……とうとう完全に壊れたのか? やりすぎちまったかもな……」  
やや反省していると、突然ベアトリーチェは立ち上がった。  
「おわッ!?」  
「……くッ……!」  
忌々しげな顔をしている。更に、瞬時に身を翻すと、そこには。  
「リブート完了……だけど、こんなことになるなんて。少し甘く見すぎてたみたいね……」  
ジェットから十分距離を取った場所に、再び黒衣の少女の姿で立っていたのだ。  
もう身体に染み付いていたはずの白い汚れもない。一瞬の早業である。  
「……今更取り繕ってもな。あれだけ叫んでたくせに」  
ぼそりとそう呟くジェット。おかげでベアトリーチェはますます苛立たしげに声を荒げる。  
「黙れッ……! システムが不調でなければ、この場で引き裂くところだわッ……」  
「そう言われてもな……今さっきがあれだと、こっちも反応しようが」  
「うるさい……ッ! 今日は偶然……失敗しただけよッ!」  
これ以上ここにいても墓穴を掘るだけと悟ったのだろう。  
それだけ言い残して、ベアトリーチェはノイズと化して消えていった。  
後には、虚脱したジェットだけが残される。  
「……本当に、うんざりだぜ……」  
 
「……ット、ジェット。ほら、起きなさいッ」  
ぱちりと目が開く。  
「……ん?」  
目の前には、見慣れた三つ編みの少女が怒った様子で立っていた。  
「いつまで寝てるのッ。もう朝ごはん、とっくに出来てるんだよ?  
 キャスリンさん、冷めるといけないからって温めなおしてくれたし、いつまでも寝てちゃダメッ!」  
「ん……ヴァージニア?」  
「それ以外の誰かに見える?」  
「いや……なんだ、ありゃ……夢か。いや、夢なのは当たり前なんだが……悪夢、か?  
 一応悪夢なんだろな、あれだし……まあ勝ったみたいだからいいとしても」  
「って、何ぶつぶつ言ってるの?」  
「……お前にゃわかんねえよ」  
「何、その態度」  
ヴァージニアの目が細められる。  
「……ッ、ああもういいッ、さっさと飯にするぞッ」  
「だから、もうとっくに準備できてるってばッ! それより、その態度はなんなのッ?」  
「関係ないだろ」  
「関係あるよ! もしかして、怖い夢見たとか? だったら、相談してよ」  
「……子供じゃねえんだぞ」  
「まだ十分子供じゃないッ!」  
いつもと変わらない、取るに足らないやりとりである。  
ぎゃーぎゃーと口げんかしつつ、ジェットはぼんやりと思っていた。  
(……なんか、尋常じゃなく疲れてるな……朝っぱらから……)  
「……ったく、本気でうんざりだぜ……」  
そう呟くことで、ますますヴァージニアに糾弾されるだろうな、とも思いつつ。  
 
 
数日後。  
街道を馬で走っていた一行は、前方に立っている一人の少女を見て慌てて馬を止めた。  
そこには、薄ら笑いを浮かべた黒尽くめの少女……夢魔ベアトリーチェが待ち構えるようにいたのであ 
る。  
「ベアトリーチェッ!」  
それだけで、すぐにヴァージニアは二挺銃を構える。  
だが、ベアトリーチェは変わらぬ笑みを浮かべたまま、静かに口を開いた。  
「別に、今日はいさかいに来た訳じゃないの。むしろ、お礼を言いに来たんだけどね……」  
「お礼……?」  
その視線は、ヴァージニアの後ろに控えていたジェットに向けられている。  
「……ジェットが?」  
「……若干のトラブルはあったけど……」  
言いながら、ベアトリーチェは右手をそっと自分の下腹部へと持っていった。  
そして、いとおしむようにそこを撫でさする。  
その仕草を見て、なぜかクライヴがごほんと咳き込んだが、ともかく。  
「……くすくす。受胎には成功したみたいね。結果がこれなら、いいわ……許してあげる。  
 これなら、あるいはファルガイアの生命から想い出を奪う必要も……くすくす。  
 まあ、細かいところはまだまだ未定とはいえ、ジェット。あなたのお陰で、うまくいきそう。  
 新しいファルガイアのマザーにしてくれたこと……これは、お礼を言わないと、ね?」  
「……どういうことなの、ベアトリーチェッ!」  
 
「言葉どおりの意味よ。……ジェットはね。わたしのファルガイアの……くすくす。  
 お父さんになってもらった、そういうことよ」  
「!」  
「!」  
「!」  
「!」  
場が完全に凍りついた。  
「じぇ、じぇ、ジェット……」  
「まッ……待て、そりゃなんの冗談だってんだッ、おいッ!」  
「じゃあ、わたしはこれで失礼するわ。……素敵な夢がみれそうね、これからは」  
再び彼女はノイズと消えた。  
「おい待てって……」  
「……ジェット?」  
ヴァージニアの声が異様に冷たい。  
「……な、何だよ……」  
「こ・の……エロガキッ! あんな小さい子に手出して、妊娠させたのッ!?」  
「だ、だから違うって言ってるだろッ!」  
「どういうことなのか……今夜は徹底的に解明するからねッ!」  
助けを求めてクライヴやギャロウズの方を見ても、にやにやとしているばかりだ。  
「いやあ、僕も早い方だとは思っていましたが、あなたには敵いませんね」  
「いよ、家庭持ちッ! 応援するぜ!」  
「……だぁぁぁぁッッッ! ほんっっっきで、うんざりだぜッッッ……!」  
彼の嘆きは、荒野に響き渡ったとか響かなかったとか。  

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