アーデルハイド公女、セシリア・アーデルハイド。  
守護獣の巫女、そして公女という重責を抱えつつも、  
信頼しあえる仲間とともにファルガイアを襲った未曾有の脅威を退けた勇気ある女性。  
その彼女が、自室にてなにやら物思いに耽っていた。  
(……ロディ)  
かつての仲間、ロディ・ラグナイトのこと。  
旅の間、ずっと共に戦い続けているうちに、仲間を超えた想いを彼女は育ててきていた。  
旅が終わっても、その想いは終わることもなく、こうして時折そのことだけを考えてしまう。  
いや、彼女の場合物思い、と言うより突発的に妄想に浸ってしまうのがいつもなのだが。  
腕をついて考え込むうちに、段々頬が赤く染まってきた。  
(だ、だめ……! ロディ、そんないきなりは……!)  
自分で自分を抱きしめつつ、ふるふると首を振ってみる。  
が、しばらくしてセシリアはふう、とため息をつき、ベッドの上に転がった。  
公女としての勤めをこなす毎日。渡り鳥のロディとはそうそう会う機会もない。  
今度会ったら想いを伝えようか、などと考えつつも、結局言い出せないまま時間ばかりが過ぎていく。  
そんなもやもやした想いを抱き続けているうちに、彼女には習慣になってしまったことがある。  
「……ん」  
横になったまま、服をたくしあげる。  
そっと下着も外すと、その手を自身の乳房に走らせた。  
「ぁ……」  
修道院にいた頃に、友達から聞くだけでやってはいなかったこと。  
公女として、そんなことをするのはあまりにはしたないと、軽蔑さえしていたはずなのに。  
(や……ロディ……んッ)  
いつしか、妄想の中のロディがそうしてくれることを願って、自分を慰めるのが習慣になってしまって 
いた。  
 
彼女の夢見るロディは、あくまで優しく触れてきてくれる。  
最初はゆっくりと、気遣うように胸の膨らみとその先端を撫でて来る。  
それを自分で再現しながら、セシリアはぽっと身体を熱くさせてきた。  
「はぁ……」  
ゆっくりと刺激していくうちに、乳首が少しずつ大きくなってくるのがわかる。  
そこを指で摘むと、  
「くぁッ……」  
ぴりっ、と、感電したかのような刺激が身体に走った。  
初めてその衝撃を味わった時、怖くなってやめてしまったのを覚えている。  
でも、回数を重ねるうち、セシリアにとっては癖になりつつあるような甘美な刺激となった。  
今でも、まだ恐る恐るだが自分の胸の先っぽを摘んで少しずつ揺さぶってみる。  
「あ、あ……ロディ……」  
たまらなくなってきて、左手を下半身へと持っていく。  
控えめな茂みに触れると、少しではあるがとろっとした感触が手に伝わった。  
その液体が流れ出す場所を目指して、手を進めていくと、すぐに元へとたどり着く。  
指を入れることはまだ怖くて出来ないけれど、入り口とその上にある小さな突起を撫でるのには慣れて 
きた。  
だから、今日もまた刺激を求めて入り口の周りを指でかき回す。  
「んんんんッ……はぁッ」  
伝わってくる快感に、閉じていた口から思わずため息がこぼれた。  
乳首を摘み、軽く刺激する右手と、ゆるゆるとした快感を伝える左手。  
両手で自分を慰めながら、セシリアの頭の中ではあくまでロディがそれを行っている情景が浮かんでい 
る。  
(ロディ、ロディ……そこ、もっと……)  
虚像のロディは優しく頷くと、ますます濡れた秘所を撫でる手を早めてくれる。  
セシリアの左手はそれを再現して、くちゅくちゅと開き始めたそこをかき回す。  
「あ、ロディ……ん、い、いい……です……」  
思わず言葉を漏らしてしまって、彼女ははっと周りを見渡した。  
 
城の自室である。以前は衛兵などもいたものの、今のアーデルハイドは復興のために人手が足りない。  
それに、彼女自身が今のファルガイアでは最強レベルのクレストソーサーでもある。  
わざわざ護衛などいらないと、自室の周りには人はいないはずだ。  
だから、今の声を聞かれたはずもない、のだが。  
(私……人がいないからって、こんなことしてる……)  
ロディのことを考えながら、自分のいやらしい場所を撫で回す。  
だらだらと愛液を垂れ流している。  
こんなはしたない真似を、人には秘密とは言っても公女たる自分が行うなどと。  
誰かに知られたら、恥ずかしくて生きていけないかもしれないくらいだ。  
でも、やめることだけは出来ない。  
(……ロディが、してくれたら……こんなこと、しなくてもいいのに……)  
言い訳に過ぎないことは自分でもよくわかっている。  
それでも、自分を無理やり納得させて、彼女は手の動きを休めようとはしない。  
「あ、あ……ロディ、ロディッ……」  
また言葉が漏れたが、もう気にするつもりはないらしい。  
むしろ、口にすることでますますロディが自分を責めてくれると錯覚して、動きは大胆になってきた。  
少しだけ足を開き、秘所を慰める手の動きを更に早くする。  
水音はもっと大きくなって、まるで部屋中に響いているかのような錯覚を彼女に伝えてくれる。  
「あ、あ、ああッ……もっと、もっとして、ロディッ……」  
言いながら、セシリアは膨らんだクリトリスを思い切って摘み上げてみる。  
 
「うぁぁッ!」  
まるでハイ・スパークでも受けたかのように、彼女は背筋を反らせてぴくぴくと震えた。  
つま先までがぴんと立ち、しばらく硬直する。  
「ん……ふぅ……」  
ようやく身体が弛緩すると、セシリアは左手を目の前に持ってきてみた。  
指の先がぐっちょりと濡れている。これでも自分から漏れている液のほんの一部でしかない。  
「……私、凄い……いやらしい娘、ですね……」  
とろんとしてそう呟くと、すぐに手を戻して自慰を再開した。  
開き直ったように、先ほどよりも随分と激しい勢いである。  
「あ、あ、あ、ロディ、ロディッ! いい、いいです、んあッ!」  
声をあげて、ますます彼女は乱れていく。  
ぐちゃぐちゃぐちゃと音を立てて、その指は自分のいやらしい場所を掻き回すのだ。  
ロディにしてもらってる、そう思い込むことで快感はどんどん増して、思い切って中指をその中へと突 
きこんだ、その瞬間。  
「あ、うぁぁぁぁッ……ロ、ロディッ!!」  
生じた快感に一瞬意識が飛ぶ。  
声も今までとは比べ物にならないくらい大きくなって、ぼんやりとした頭の中に一瞬危険だと警報が走 
った、が。  
その声が響いた途端、部屋の扉がばたんと開き、一人の少年が顔面から部屋の中に転んできた。  
「………ッッ!」  
「え……え?」  
指はまだ中に入ったままなのだが、セシリアはその少年をじっと見る。  
少年も顔をあげて、お互い目があった。  
「え、え……? あ……ろ、ロディッ!?」  
「……ッ」  
 
ロディにしてみれば、まったく何がなにやらわからない状態である。  
久しぶりにアーデルハイドの町を訪れて、最高の仲間だったセシリアの顔を見ようと城に来た。  
彼女は自室にいるみたいだ、と聞かされたのでやってきてみたら、  
何か部屋の中から声が聞こえてくる。  
誰か来客でもあったんだろうか、と思いながら扉の前で迷っているうちに、突然自分の名前が叫ばれた 
のだ。  
驚いて倒れこんだら、扉はあっさりと開き、そして――  
今まで見たことのないとんでもない姿のセシリアと目があってしまった。  
服はたくしあげられて、乳房には手が添えられ。  
その上、ヴァギナには指まで入れているという尋常ではない姿。  
もちろん、女性のそんな場所など今まで見たことがないロディにとって、このセシリアはあまりにも衝 
撃が強すぎた。  
「ッ……!」  
無口な彼でも、思わず声にならない叫びがあがる。  
が、それより何より、肝心のセシリアが顔を真っ赤にさせて、言葉にならない言葉を呟く。  
「あ、あ、あ、あ、あ、あああ……わ、わ、私、私は……」  
秘所から指を抜くのも忘れ、ぱくぱくと口を開閉させる。  
お互いどうすることもできず、しばらく見詰め合っている……と。  
何か覚悟でも決めたかのように、セシリアの目の焦点がびしっとあった。  
 
すぐに、ロディ目掛けて声をあげる。  
「ロディッ! いくら親しいからと言っても、女性の部屋にノック無しで入るのはマナー違反ですッ!」  
「……!」  
声に打たれたかのように、ロディは慌てて頭を下げる。  
しかし、セシリアは容赦をしない。  
「その上、こんな姿まで見るなんて……いいですかッ! こうなったら、責任取ってもらいますからッ!」  
「……ッ!?」  
責任、という言葉にロディは目を白黒させるが、構わず続ける。  
「せ、責任ですから……ロディ……あの、私をッ……私を、抱いてくださいねッ!?」  
「…………ッッ!!??」  
言葉の意味を理解するまでに、少しの時間を必要とする。その間、ロディは完全に停止していた。  
やがて止まっていた彼は、その意味をようやく理解して、慌ててふるふると頭を振る。  
激しく当惑と拒絶の意志を示しているようだが、ここで退いたら終わりとばかりにセシリアも半ば叫ぶ。  
「ロディは……その、私のことッ……嫌いなんですかッ!?」  
それには、さすがにロディもぶんぶんと首を振って違うという意志を表す。  
すると。  
「嫌いじゃないなら……お願い、ロディ……その証拠……下さい」  
「ッ……?」  
証拠、と言われても。  
戸惑っていると、また彼女はやけになったように言う。  
「だからッ……その、責任を取ってッ……わ、私としてくれればいいんですッ!」  
勢いにのまれ、ついに……ロディは、こくんと頷いてしまった。  
「わかればいいんですッ……ほら、早くこっちに来て……いえ、その、ふ、服も……脱いでくださいね 
ッ……」  
もう、こうなってしまっては素直に頷くほか無かった。  
 
 
お互い裸となって、ベッドの上で向き合う。  
勢いでそんなことを命令したものの、セシリア自身混乱しかけていた。  
(ど、どうしようどうしようどうしよう、今からそんなロディとッ……!?)  
それでも、もうこうなったら後には引けない。勢いのまま、ロディに言う。  
「と、とりあえず……わ、私の、ここ、見てください……」  
「…………」  
恥ずかしさのあまりに顔どころじゃなく全身が真っ赤になっているが、セシリアは少し足を開いて自分 
の濡れた場所を見せた。  
「ッ……」  
「さ、さあ、し、してくだ、さい……」  
命令されても動けないロディ。  
しかし、その目はとろとろと液体を出している秘所に嫌でも釘付けとなっている。  
それを感じることでますますセシリアは恥ずかしさを増すが、なんとか勇気を振り絞って言葉を発した。  
「は、早く……あ、あんまり見ないで……」  
「……ッ……」  
少し涙まで混じったその声に、ようやくロディは動き始めた。  
とはいっても、ひどく戸惑った様子で、ゆっくりとその指を濡れた場所に近づけるだけだ。  
セシリアの茂みのあたりで指は止まり、迷う様子でふらふらと踊り始める。  
「は、早くッ……」  
急かされて、ようやくその指が開いた秘唇にたどりついた。  
「……あ……」  
くちゃ……と、ロディとセシリアが触れ合う。  
相変わらずロディは戸惑ったままだが、今度はせかされずにゆっくりと指を動かし始める。  
くちゃ、くちゃ……  
あくまで、周りを撫でるだけの動きでしかない。  
 
ロディの顔からも恐る恐るといったものがはっきり残っている、のだが。  
「あ、あ、んあッ……ろ、ロディッ……」  
セシリアには、今までの手技がまるで遊びか何かだったかのような、そんな激しい快感が襲ってきてい 
た。  
「やだ、こんな、こんなの……す、凄いです、ロディッ……」  
ようやく妄想が本当になったからだろうか。とにかく、彼女には激しい快感が伝わる。  
びりびりと電撃が身体中に走って、恥ずかしさもどこかへ消えるほどだ。  
「……?」  
不安げな表情のまま、ロディはそんなセシリアの秘所を掻き回してみる。  
そのたびに、彼女は  
「あ、うあッ!」  
そう叫んで、ロディのことをじっと潤んだ瞳で見つめてくるのだ。  
彼女を見ているうちに、ロディの方でもようやく何かが固まりつつあった。  
「………ッ」  
思い切って、指を離す。  
「あ、ロディ……?」  
戸惑った様子でセシリアがこちらを見ている。  
構わず、ロディはその顔を今まで指で撫でていた場所に近づけていった。  
「ロディッ!? そ、それは……ッ」  
 
相変わらず液を流し続けるそこに口をつけると、そっとロディは吸い上げてみる。  
「み、見ないでくださッ……ああああッ!」  
彼の舌が軽く秘唇に触れてくる。  
それだけで、今までにない衝撃がセシリアの身体を走り抜けて、再び……  
「あ、あ……うぁッ……」  
ぴくぴくと震えて、背中が仰け反らされてしまう。  
イった余韻に浸ろうと、セシリアは身体を弛緩させようとする。が。  
「え、あ……ロディ、い、今は……あぅああッ!」  
気づいていないのか、ロディはまだ彼女の秘所をすすっていた。  
舌が少し大胆になって、そこかしこを舐め始めてきている。  
「ひぁッ……ロディ、まだ、まだ私ッ……うぁぁッ」  
イったばかりなのに、ロディの責めは変わらない。  
そのせいで、身体中の痺れはずっと取れないままいいようにされるばかりだ。  
「…………」  
ロディはロディで、初めて味わう女性の蜜、そしてその反応に夢中になってきていた。  
自分が何かすることで、セシリアは悦んでくれている。  
そうすることが彼女の幸せに繋がるなら、自分にとっても嬉しいことだ。  
だから、こうやってセシリアを舐めてあげている。  
「あ、あ、あああッ……ロディ、ロディッ……ま、まだ、また私ッ……」  
二人の間の距離はもうほとんど零に近い。  
そして、ロディがまたその舌を彼女の中に突き刺して、その時はむしろ距離はマイナスの域に差し掛か 
り、その結果――  
「ぁぁぁぁああッ!」  
今度こそ、セシリアはぴくぴくと震えたまま、ベッドに崩れ落ちた。  
 
「はぁ、はぁ……ん、ロディ……」  
目を開いて、セシリアは自分の股に顔を埋めている少年に声をかける。  
口を離して、顔をあげたロディとセシリアはまた目があった。  
「もう……その、いい、ですから……今度は、……ロディを、私に……ください」  
「…………ッ」  
お互いに覚悟は出来ていたのだろう。  
ロディの方も、小さくこくんと頷くと、そっとセシリアの上に覆いかぶさってきた。  
ちらりと、彼の股間にあるものを見てみる。と。  
「……嘘……そ、そんなに……? 話には聞いてましたけど……でも、そんな……」  
少年の身体には不似合いな、随分と立派なそれがいきりたっている。  
もっともロディにしてみれば誰と比べたこともないのだろう、戸惑った顔になっているのだが。  
「そんなのが、私の中に……いいえ、入るはず、なんですよね……」  
小さく息を飲み干す。それで覚悟を決めると、セシリアは目を閉じて呟いた。  
「お……お願い、します……」  
消えそうなほどの小さな声だったが、渡り鳥として磨かれたロディの耳はそれを聞き逃さず、彼も声と 
同じくらい小さくこくんと頷く。  
そして、手を彼の滾っているものに添えると、ゆっくりとセシリアの秘所へ近づけていった。  
「……ッ……?」  
その先端がとろとろになっている彼女の入り口付近に辿り着く、が、  
初めての経験のせいか、入るか入らないかのところでじりじりと揺れる。  
 
「ロディ……?」  
恥ずかしくてぎゅっと目を閉じていたセシリアだったが、敏感な場所をゆらゆらと刺激する感覚にもど 
かしくなって、恥ずかしさを振り切ってそっとそこを見てみた。  
自分の上に被さりかけて、繋がろうとしているロディ。だが、戸惑っているせいでなかなか肝心の場所 
に辿り着けない。  
「……あ、あの……お手伝い、しますね……」  
「……?」  
戸惑った顔のロディに軽く微笑むと、その手を彼のペニスに伸ばす。  
「ッ……!?」  
「わ、私なら、自分の場所ですから……よく、わかっています、し……」  
有無を言わせずそれを掴むと、やや強引に引っ張っていく。  
ロディは為すがままになり、そしてついにロディの先端とセシリアの入り口が触れ合った。  
「ぁ……」  
「……!」  
その状態になって、迷いが出てきたのか。セシリアの手が止まった。  
けれど、今度はロディの方が思い切った行動を取る。  
「………ッ」  
「あ、ロディッ……」  
白いセシリアの手をすり抜けて、ロディのものはちゅぷ……と小さな音を立て。  
「あ……うぁぁッ!」  
彼女の中に、そっと押し入っていった。  
 
「あ、あ、あぁ……」  
「…………」  
お互い、声も出せずに荒い息だけを吐いている。  
セシリアはその圧迫感と異物感に。ロディはその締め付ける肉の感触に。  
とはいえ、まだそれは入り口を過ぎて少しなのだが。  
それだけでも、お互いに味わったショックは大きかったらしい。  
「う、くッ……な、こんなぁッ……」  
「………ッ…」  
先に収まったのはロディの方だった。  
まだ何も言えないでいるセシリアに対し、ゆっくりと腰を進めていく。  
「ろ、ロディッ……んくッ!」  
みちみちと膣肉を分け入ってロディは押し入る。  
元々力強い彼のこと、多少の抵抗は何の意味ももたない。  
しかし、肉壁の抵抗よりも初めて味わう女性の膣内が、何より激しい抵抗となって彼を襲った。  
「ッッ!」  
挿入れていくだけで、信じられない快感が頭へと響いていく。  
本当に夢中になって、ぐいぐいと進めた挙句、ついにこつんと限界の場所へと辿り着いた。  
そこでようやく一息ついて、下のセシリアを眺める、と。  
「あ、ひぁッ……い、痛ッ……く、つぅッ……」  
「………ッ」  
歯をぎゅっと食いしばって、目元には涙を浮かべて、耐えている表情だ。  
「ッ、……!」  
自分の快感を考えるあまり、セシリアのことはすっかり頭から抜け落ちてしまっていた。  
そのことに思い至り、慌ててロディは腰を退こうとする。  
「ぁ……ま、待って……ぬ、抜いたら……だ、駄目です……」  
しかし、彼女の方からそれを拒否される。  
何より耐え難い痛みを味わっているはずなのに、それでもロディと離れるのを拒んでいるのだ。  
「だ、大丈夫……これくらいなら、よほどジークフリードの魔槍の方が辛かったですから……」  
「……?」  
少しとんちんかんな例えではある。  
 
しかし、ただでさえ破瓜の痛みがあるうえに、ロディのペニスは随分と立派な代物。  
慣れない、というより初めてのセシリアにはあまりに辛いものがあるのだが。  
「う、くぅ……大丈夫ですから……」  
「…………」  
いくら大丈夫と言われても、ロディにとっては心配でなんとも出来ない。  
そんな彼の迷いを見て取って、セシリアは少し考える。  
「そうです、あの、ロディ……ちょっと、机の上のクレストグラフを取ってくれませんか……?」  
「…………?」  
ベッドから少し離れた場所にある、彼女の机。  
その上には確かに、冒険の間愛用していた紋章魔術の媒体、クレストグラフの束が置いてある。  
「…………」  
戸惑いながらも、ロディは彼女の中から抜け出て、その言葉に従おうとする。  
だが、またしてもセシリアの一言でそれを止められた。  
「い、一緒に……いってくださいッ……」  
つまり、繋がったまま連れて行って、ということらしい。  
その意味するところを理解して、ロディはかぁっと顔を染める。  
元々昂奮して随分赤くなっていたが、ますますそれがひどくなった。  
ともかく、そこまで恥ずかしい真似はできないとロディはふるふると激しく首を振るのだが、  
「お願いです……」  
懇願されて、やむなくこくんと頷いた。  
 
「う、うぁぁッ……ん、だ、大丈夫……」  
セシリアを抱きかかえ、繋がったまま立ち上がる。  
それだけで、ずんっと彼女のより奥へとロディのものが突き刺さるが、どうにか彼女は堪えたらしい。  
「…………」  
心配そうな顔のロディに、大丈夫と目で伝え、クレストグラフの場所へと行くようにしむける。  
素直に従って、ゆっくりと彼は机に向かって歩き始めた。  
ぐちゃ……ぐちゃッ……と、一歩歩くたびに繋がった場所からは音が漏れてくる。  
同時に、ロディに抱えられたセシリアも、痛みのせいか  
「んッ……あッ……つッ……」  
と呻くのだが、それでも止めて、とだけは言わない。  
やがて机の傍に辿り着くと、ロディとセシリアは同時に息をついた。  
「はぁ……あ、有難うございます……それじゃ……」  
「……?」  
クレストグラフの束から一つだけ取り出すと、なにやら念じ始める。  
「ッ……ハイ・ヒールッ……」  
呪文によって、紋章に込められた力が、セシリアを包み込む。  
輝く癒しの力。激しい戦いでは、何度も仲間を救ってきた力だ。  
その癒しの輝きは、今現在セシリアの中でもっとも痛みと出血を伴っている場所へと向かう。  
「……?」  
「あ……う……ふぅ……」  
同時に、辛そうだったセシリアの顔が少しずつ和らいでいった。  
 
「はぁッ……これで、なんとか……痛みは収まりました……」  
輝きが消える頃には、すっかりその顔に笑顔が戻っている。  
それでもまだ痛みの余韻は残っているらしく、セシリアはじっとロディにしがみつく。  
顔を上げると、ちょうどロディと同じ高さで見つめあうことになる。  
そこで思い出したように、  
「あの、ロディ……」  
「?」  
きょとんとしたロディに向かって、その唇を近づける。  
「ッ!」  
そのまま二人の唇がくちゅ、とくっついた。  
しばらくは唇だけを触れ合わせていたのだが、セシリアから軽く舌先でロディをつつく。  
それに応えてロディも舌を絡ませ、お互いの口内を舐めあってみる。  
舌と舌が絡み合い、お互いがお互いの唾液を嚥下する。  
セシリアのショックが収まるまでそれは続いて、彼女の痛みが完全に収まった頃に口を離す。  
二人の唇の間に光る糸が引き、すぐに消えた。  
「考えてみたら……これが最初のキス、なんて……順番、違っちゃいましたね……」  
苦笑とでもいうべきか。少し困ったような笑顔をセシリアはロディに呟いた。  
少年の方はそれを聞いてもなんとも返事が出来ずに困っていたのだが、  
「……あ、そろそろ……もう、痛くなくなったみたいです……」  
この言葉でようやく安心して、ほっと一息つく。いや、つこうとしたのだが。  
「ぁ……な、なんだか……痛みが無くなったら……」  
ぼそぼそと、随分恥ずかしそうにセシリアが呟き始めて、  
「ろ、ロディの……形まで、わかって……や、やだッ……」  
ロディの方までどきりとさせられた。  
 
ベッドに戻ると、ようやく痛みのない自然な状態での繋がりを確かめることが出来る。  
「ふう……ッ」  
「…………」  
なんだか気が抜けてしまって、しばらくそのままぼんやりと過ごす。  
そのうち、セシリアの方がもぞもぞとし始めた。  
「あ、あの……」  
「?」  
「い、痛くありません、から……その……」  
「……ッ」  
「う、う、う、うご、動いて……くだ、さ、いッ……」  
消え入りそうな声で懇願する。  
ロディの方も、そろそろ欲求が再燃し始めていた頃だったから、その申し出にこくんと頷いて、素直に 
応じた。  
「……ッ」  
「んッ……」  
最初はゆっくりと動き始める。  
癒しの魔力のお陰で、痛みはすっかり無くなった。  
だからロディの動きも感じ取ることが出来るし、初めてなのに、  
「……あ、ん……な、なんだか……ぅあッ……」  
少しずつ、少しずつではあるがセシリアの中に快感が生まれ始めていた。  
「も、もっと……もっとしても、大丈夫です……」  
ロディもそれに応えて、だんだんと動きを速めていく。  
ず……ちゅ、ずちゅ、ずちゅッ……  
お互いに慣れ始め、快感を引き出すためにリズムをつけて動く。  
 
「あ、あ、うぁッ……こ、これ、す、凄いッ……」  
「………ッ……!」  
セシリアが両手をロディの背中に回す。  
より深く密着しようと、彼をぎゅっと抱きしめる。  
「ひぁッ……ろ、ロディ……」  
「ッ……」  
そうすることでますます中へと誘い込まれ、お互いを昂ぶらせていく。  
「あ、い、ぃ……ああぁッ……」  
ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ。  
リズムは更に激しさを増し、一つの頂きを目指して二人とも息を合わせて抱きしめあう。  
「ロディッ……あ、んあぁッ!」  
「ッッ……」  
やがてロディの腰のあたりに、甘い痺れが淀み始める。  
同時に、彼の男性自身も、ぷわりと膨らんでそれに備える。  
「あッ……ロディ、中でッ……あ、うぁッ……」  
敏感に感じ取り、セシリアもまたそこへと向かっていく。  
「…………ッッッ!」  
「あ、く、来るッ……来ますッ……何か、凄いのッ……」  
「ッッッ!!!」  
そうして、最後にこつんとロディがセシリアの奥の奥を突いた時に――  
ロディは腰を止めてぶるりと震え、セシリアは背筋をぴんと反らせて全身を痙攣させ、二人とも、達し 
た。  
 
余韻が冷めた頃に、ロディはそっとセシリアの中から抜け出る。  
こぽ、と音を立てて、やや力を失った彼そのものが、セシリアの快感の証をどろりとまとわりつかせて 
外気に触れる。  
「……はぁ……」  
彼女もそれで息をつく。  
その横に並んでロディも身を横たえると、セシリアはその顔をちらりと見た後さっとそむけてしまった。  
事が終わり、覚めてきた頭で考えると、  
(……な、なんだか勢いに任せて……とんでもないことしちゃった……ッ)  
ロディもまた、同様に頭を抱えかけているようだが。  
お互い相手の顔が見られず、同じベッドにいながら反対の方向を向いて背中合わせになっている。  
……しばし、無言の時を過ごして。  
それでも勇気を振り絞って――顔は相変わらずロディの方を向いていないが、セシリアは小さく声を出 
した。  
「ロディ……あの、怒って……ます?」  
「?」  
きょとんとした顔でロディはぶんぶんと首を振る。  
が、考えてみればセシリアがこっちを見ていないのでジェスチャーでは伝わらない。  
 
かといって声を出すのも躊躇われる、と、常人にとってはどうでもいいことで悩んでいると。  
「……やっぱり、怒ってるんですね……?」  
不安になったセシリアがとうとうこっちを向いた。  
これ幸いと、ぶんぶんと激しく首を振ってみせる。  
「あ、そうですか……良かった。あの……私、こんないやらしいことして……幻滅、しちゃいましたよ 
ね……?」  
その問いにはしばらく考えた後、またふるふると首を振る。  
「……良かった。……で、でも、これは、その、ロディが悪いんですッ……ほら、その、ノックしなか 
ったからッ……」  
「…………」  
照れ隠しだろうか、今の問いにはそれほど深刻さはない。  
が、ここで否定するのもロディには出来ないので、結局こくんと頷く。  
「で、あの……その、ロディ……こ、これからなんですけど……」  
これから。  
そういえば、ロディがここへ来たのはちょっとセシリアに挨拶するだけのつもりでもあった。  
それが、こんなややこしい事態へと発展したのは思い切り予想外だったが。  
「……?」  
「ちょっと……提案なんですけど……」  
ベッドの上から立ち上がって、セシリアは机に向かう。  
 
どういうことかと、ロディはじっとそれを眺めていると、彼女はそこから一枚のクレストグラフを取り 
出してきた。  
それをかざして、何事か唱える。  
「……マイトボディッ!」  
「ッ!?」  
今度はロディに奇妙な光が降りかかる。  
その光はロディの身体全体を満たし、活力を与えていくのだ。  
しかし、その代わりに彼の心から理性や歯止めを失わせてしまう。  
「ッ、……ッッ……!」  
こういう状況でそんな魔法がかけられた、ということは。  
「……もう、いっそのこと、既成事実作ってしまおうか、と思いました……」  
どこかさばさばした表情でセシリアは微笑む。  
女になったことで、何か吹っ切れたらしい。  
しばらく、ロディは抵抗しようともがいていたが。  
すぐに、魔法の力で彼のそのもの自体がむくりと持ち上がってくる。  
「とりあえず……今晩は一緒にいてくださいね。その……ぜったいのぜったいに……です」  
満足そうに微笑んで、セシリアはこちらへ向かってくるロディに身を任せた。  
 
 
 
「あの野郎……何やってんだ?」  
「オイラの推測では……そりゃ、きっとセシリアとの世間話に花を咲かせてるんだろうね。我ながら無 
理あると思うけど」  
城下町の宿屋では、数時間に及んでじっと待っているザックとハンペンの姿があるにはあったのだが。  
「……どうかな。あいつらも若いし……いや、ロディがそうなるってな意外だったが……」  
くっくっく、とザックは笑う。  
「なんか嫌らしい笑い方だね。親父臭くなってきたんじゃないの」  
「んだとッ!? 俺だってまだまだ……エルミナとだってな……」  
「はいはい。それはそれとして……でも、ロディが帰ってきたらさ」  
風ネズミと剣士は揃ってにやりと笑った。  
「しばらくは退屈しなさそうだな、おい」  
「だね」  
どうにも、今日のロディはつくづく不運だったようである。  
 

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