『…んっ、んッ!』  
 
美しい、整った顔をした女性が、長い黒髪を振り乱しながら、  
全身に甲冑を纏った『何か』の剛直に貫かれていた。  
 
『あぁ…ッ!やぁ、抜…ふぁあっ!』  
 
(…あぁ、また、この夢か)  
 
しなやかな肉体、腕や足はところどころ暗器に改造され、綺麗な肌とのギャップを産むも、  
適当なサイズの胸は甲冑のものの動きと同時にふるんふるんと揺れ、  
ピンク色の秘部も、太いモノをしっかりとくわえ込んでおり、『女性』という事実を浮き彫りにさせて 
いた  
 
『やぅっ、はぅ…だ、め…ぇっ!』  
 
(……夢、だ…これは)  
 
眼帯がないほうの紫色の瞳からは大粒の涙がこぼれ、凛々しい顔は  
頬を朱にそめ、口端からは唾をたらしながら、快楽に浮かされたように悦の表情を浮かべていた。  
言葉とはまったく逆に。  
 
『ぅ…ふぁ、あぁぁぁっ!』  
 
一際大きく女性が喘ぎをあげると、弓なりに肢体をそらし、体がもとの角度に戻ると、  
甲冑の者にうなだれ、体重を預けた。  
女性に深くうずまったものがびくん、びくんと脈動をはじめ、”なか”に何かを打ち付ける  
その脈動が終わり、こぽりと音をたてて秘部から白いものが溢れた…  
 
そこで、目が覚める  
 
うっすらと目を開くと、見慣れた天井が目に入った。ヴァレリアシャトーの、高級感ただよう白い天井。  
大きめの柔らかいベッドに横たわった黒髪の女性…カノンは、はぁはぁと荒い息を吐きながら上体を起 
こした。  
 
「また…か」  
 
ふう、と息をついた。実際では味わった事の無い『性交』という行為。  
ここ最近、よりにもよって自分が祓うべき存在とそれを行なう夢を毎夜見る。  
昨夜はいつもよりひどかった。嫌に鮮明だったのだ。ベッドから起き上がる気になれない。  
ARMSの任務が入っていないことに彼女にしては珍しく安堵した。  
 
先ほどから、下半身に違和感を感じる。  
寝るときにはショーツしか身につけない(ショーツといっても何の飾り気のないシンプルなもの)カノン。  
すっと黒い布に覆われた大事な部分に指を這わせてみた  
 
「んッ…」  
 
くち、と音を立てた。  
いつもなら、愛液を分泌するまでひどく夢は見ないのに…  
 
コツコツとシャトーの廊下を進んでいけば、当然のように、  
ここに昨晩から居る者とも会うわけだ。  
いつもなら当然のことだが、今回ばかりはちがったようだ  
 
「おはよう、カノン」  
「…アシュレー」  
 
嫌にけだるかった。あの夢のせいだ。  
この男が己の身に宿す災厄に自らが辱められる夢。  
気分のいいものではない。ただ、確かに夢の中の己は悦んでいたという事実。  
とたんに激しい頭痛が走る。  
 
「…大丈夫かッ?!」  
 
ゆらりと視界が揺らいだと思えば、床に倒れ伏す前に抱きかかえられていた。  
 
「あぁ…だから、離せ」  
 
心配そうに眼をしずめたアシュレーは、立ち上がるカノンを見ると己も体を起こす。  
マフラーにうずまった口からは、いつものように鋭い調子で言葉が続けられた。  
 
「お前の部屋は逆の棟のはずだが…」  
 
いつもなら、会うのはリルカかマリアベルだ。  
そのはず、この青年に会うのはおかしい。それに時間が時間だ。  
何をするにせよこんな時間にこの男が女性棟に来るとは思えない。  
 
「少し散歩でも、と思ったんだ」  
 
そんな言葉だった。  
しかし断る理由もない。丁度頭のもやを振り払いたいところだった。  
この青年自体に害はない。いつか取り払う禍とは言え、今は仲間だ。  
妙にうたがうのも気がひける。ついていってやることにした。  
 
どこの街にも近くない、人気のない荒野だった。  
アーヴィングは普通に外出を許可し、適当な場所におろしてくれた。  
見渡しても緑などない、荒野だけだ。  
砂嵐が起こるほど風はつよくなく、渇いた風が妙に懐かしい。  
 
「…それで、何か話したいことでも」  
「ないんだ」  
 
「…は?」  
 
聞こうとした言葉を短い言葉で返されて、思わず面食らう。  
 
「何か、わからない。ただここに来て欲しくなった…」  
「……意味がわからんな。疲れているのはお前のほうじゃないのか」  
 
くっと眼を見ると、どことなく虚ろげな瞳をしているアシュレーが居る。  
肩をすくめて、すぐにでもシャトーに戻ることを切り出そうとした。  
次の瞬間だった。  
 
「……ぅっ!」  
 
強い力が首に働いたと思うと足が地面から離れ、空中にとどまる。  
目の前の青年の、鍛えられた腕が自分の首を掴み挙げていた。  
どうってことはない、あの銃剣を自らの腕同然に扱うのだから、これだけの力はあって当然だ。  
 
「…こうしろ、って。僕の中の奴が言っている…」  
 
そう云った青年の瞳はいつもと違う。  
甲冑の中で光る真紅の光。それが青年の瞳にうつっていた。  
血の気が失せる。呼吸が難しくなり、力が入らない。  
 
「カノン…すまない…あまり抵抗はしないでくれ」  
 
あいた手を振るうと、その腕の先だけが黒い甲冑に包まれる。  
自分が払うべき禍が目の前にあるのに、体に力がはいってくれない。  
その指先から、五つの光の輪があらわれる。ガーディアンのものとは別の力。  
それがカノンの四肢を拘束し、もう一つは眼前に浮いていた。  
首から手がはなれると、一気に酸素が流れ込み、軽くむせる。  
 
「…き、さま…っ、操られて…ッ」  
「違うよ…そんなことはない。奴のせいで少し…」  
 
ぐっ、とその手が今度は胸の膨らみを掴んだ。  
カノンの体が震える。抵抗しようにも四肢がまるでなくなったかのように動かない。  
 
「…体が…熱いだけなんだよ」  
 
…そう云うと、普段の優しい笑顔を湛えていた顔が、邪悪に、歪んだ。  
 

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