エルゥの少女は、いつになくにこにこと微笑んでいた。  
一人でこのファルガイアに緑を蘇らせようと、花を育ててもう一千年にもなる。  
その道のりは険しく、心無い人間によって花も、彼女も傷つけられたこともあった。  
それでも、誰に恨みを言うでもなく、ただ静かに花を育ててきた彼女である。  
日々の中で、笑顔を浮かべることさえ忘れそうだった彼女が、今日はにこにこと、本当に嬉しそうに微 
笑んでいる。  
理由は――ほとんど、決まっているようなものでも、ある。  
育てているお花が綺麗に咲いただとか、そんな理由でも笑顔は浮かべるのだろうけれど、今日はそれで 
はない。  
今日彼女が微笑んでいる理由は一つ。  
タウン・ロゼッタの外れにある彼女の家に、『仲間』であるロディ、ザック、セシリアが訪ねてきたか 
らなのだ。  
 
メイプルシロップでひたひたのパンケーキと、自家製のハーブで入れたお茶を出す。  
三人は、ゆっくりとそれを味わってくれた。  
「…………」  
日ごろから無口なロディは、やはり何も言わない。それでも、その顔は満足そうにはにかんでいる。  
「いや、見事なもんだな、こりゃ。エルミナもこれくらい出来れば……いやま、なんでもないが」  
「こんないい香りのハーブを育てるのはマリエル以外には無理だと思うけどね」  
ザックと、その相棒の風ネズミのハンペンも、彼女のもてなしにすっかり上機嫌のようだ。  
それから、もうその二人と一匹は満足しているのに、まだぱくぱくとパンケーキを食べ続けているのが 
セシリア。  
「本当に美味しくて……あ、お茶……もう一杯いいですか?」  
「あ……は、はい」  
少しだけ慌てて、エルゥの少女ことマリエルはポットからお茶をセシリアのカップに注ぐ。  
「有難うございますね……」  
恐縮しながらも、セシリアはまたお茶をともにパンケーキをつつき始めた。  
三人は、たまたまこの町に立ち寄っただけらしく、マリエルにとってもこのささやかなパーティは予想 
外だったのだが。  
それでもセシリアがいるということで、慌ててパンケーキを30枚ほど焼き上げた。その結果は――  
「あ、まだパンケーキお代わりあるんですか? えっと……その……」  
「……すぐ、持ってきますね」  
後3枚程にまで減っているのがなんとも、である。  
ともあれ、楽しい宴に変わりはなく。  
物凄い勢いでセシリアがパンケーキとハーブティを消費していること以外は穏やかに場は和んだ。  
――と。セシリアが、40杯目のお茶のお代わりを申し出た時である。  
「……あ……」  
ハーブが底をついている。というより、もうお茶の葉も、パンケーキも底をついているのだが。  
「ごめんなさい、その……もう、終わり……です」  
心底申し訳なさそうにマリエルは呟いた。  
それを見て、セシリアもばつの悪そうな顔になるが、やや取り繕うように言う。  
「あ……い、いえ。本当に、美味しかったですから、ね?」  
褒められても、マリエルは恐縮したままだ。  
 
少しだけ気まずくなって、ザックが声を出した。  
「あー、まあ、なんだ。それはいいんだが……ところで、マリエル?」  
「……はい」  
「そのな……いいのか? お茶の葉とか、ハーブとか。全部消費しちまったんだろ?」  
「あ、はい……それは、また摘んでくれば」  
「外の花壇か? ならいいや、お礼がてら俺らで……」  
言いかけたのだが、マリエルは小さく首を振った。  
「いえ、聖森の塚の方で……育てているんです」  
「へえ……あっちで」  
「場所もちょっと分かりづらいと思います……し、そこまでしてもらわなくても……」  
けれど、ザックはふむと目を閉じて呟く。  
「いやいや。急にやってきて、そんな何もしなかったらそれは恩知らずだしな。  
 あれだけ美味しいもの食べさせてもらってとんずらってのも後味悪いし。  
 って訳でアレだ。ロディ」  
急に名前を呼ばれて、一人食後の幸福感に浸っていた少年は意識を呼び覚まされる。  
「……?」  
「マリエルに付き合って、そのお茶の葉だのハーブだの、摘んできたらどうだ」  
「……え?」  
ザックの言葉に、むしろマリエルが目を丸くして驚く。  
「ロディが?」  
「……ッ?」  
「ああ、ま、俺らでもいいが……何、大勢で行っても仕方ないだろ。  
 さあさあ、日が暮れる前にどうぞどうぞ」  
ロディが混乱した目をザックに向ける。セシリアも、どうしたのかと問うように視線を向けるが。  
ただ、マリエルは少しだけ考え込んだ後、  
「……あ、はい。その、ロディ……お願い、して、いい……ですか?」  
そう呟いた。少しロディも戸惑ったのだが、すぐに――  
「…………」  
こくんと頷く。元々人のいい少年である。  
 
聖森の塚までは、少しだけ距離がある。  
タウン・ロゼッタの南方にあるその森は、綺麗な水と豊かな緑で実に綺麗なものだ。  
かといって木が密集している訳でもなく、適度に広がって空いている場所では小さな畑も作れるくらい。  
そんな美しい森を、ロディと二人で歩きながら、マリエルは言葉もなく俯いていた。  
別に具合や機嫌が悪い訳でもないのに、どうにも顔が赤いのだ。  
「……?」  
心配になってロディが顔を覗き込むと、余計に赤くして  
「な、何でもないです……」  
と否定するのだが。  
そんな、ロディにとっては微妙に居心地の悪い二人の歩みは、しばらくして止まった。  
なだらかな丘に、綺麗に手入れされた花壇らしきものが見えてくる。  
「……あそこで、ハーブなんかを……育てています」  
小さくそう言うと、ロディの先になってマリエルは歩き始めた。  
――と、不意に木陰から影が飛び出てくる。  
「ッ!?」  
影はマリエルに被さって、何事か行おうとしているようだ。  
ロディは咄嗟に剣を振るい、その影を叩き落す。  
マザーすら退ける力のあるロディの攻撃を受け、影はあっさりと崩れ落ちた。  
 
影の正体を見ると、それは随分と大きな蜂の化け物である。  
恐らくモンスターの一種なのだろうが、こんなところにまで出没するとはまだまだファルガイアも安全 
ではない。  
――などと、感慨にひたっている場合でもなかった。襲われたマリエルが、うずくまってしまっている。  
近寄って覗き込むと、彼女は右のふくらはぎのあたりを押さえて顔を歪めていた。  
心配そうにロディが肩に手を置くと、呼吸を少し早くしながらマリエルはこちらを向く。  
「その……毒にやられたみたいで……」  
押さえていた手を離すと、確かに赤く腫れている箇所がある。  
マリエルは、ひどく辛そうな顔だ。痛みはかなりのものなのだろう。  
「だ、大丈夫……です。アンチドウテ、ありますから……」  
心配させまいと、小さく笑顔を作って、毒消しの薬草を取り出す。  
ロディも咄嗟に取り出そうとしていたのだが、本人に先を越されてしまった。  
草花の扱いに関しては、彼女は誰よりも詳しい。蜂にさされた痛みを抱えながらも、すぐに自分に手当 
てを終えた。  
「……ごめんなさい、もう……大丈夫です、から」  
「…………」  
足取りが少しぎこちなくなったが、マリエルはまた花壇に向かって歩き始める。  
心配そうな顔は消せないが、ロディもそれについていった。  
 
だが、花壇のすぐそばにまで来たところで、ロディは前方のマリエルの様子がまたおかしいのに気づく。  
立ち止まったまま動こうとしないのだ。  
「……?」  
ぽんと肩に手を置くと、びくりと全身を震わせてから振り向いてくる。  
「……あッ……」  
振り向いたマリエルの顔は――赤い。息も荒く、少しだけ瞳も潤んでいるようだ。  
「ロディッ……そ、その、な、なんでも……ぅ……」  
そう言ってはいるが、その手はロディの腕をぎゅっと掴んで、体重さえももたれかけている。  
「……!?」  
掴まれて、ロディ本人も驚く。だが、マリエルははぁはぁと息を荒くしたまま立ちすくんでしまってい 
るのだ。  
どうしたのだろうと考えて、そこではっと気づく。先ほどのモンスター。  
場所が場所だけに少し遠慮しながら、そっとマリエルのふくらはぎを見てみると、傷跡はまだ赤々と腫 
れあがっていた。  
アンチドウテを使ったはずなのに、毒が抜けていないのだろうか。  
「くッ……はあ……」  
とうとう、マリエルはしゃがみこんでしまった。  
心配そうにロディも腰を低くして、彼女の様子を伺う。  
相変わらずはぁはぁと息は荒いままで、ぎゅっと閉じられた目も辛そうだ。  
「……ロディッ……」  
小さく名前を呼ばれて、そっとロディはマリエルの顔を覗き込む。  
――瞬間、マリエルはその唇を強引にロディのそれに押し付け、そのまま全身でロディに抱きついた。  
「ッ!?」  
バランスを崩し、地面に倒れこんでしまう。  
仰向けの形で転がされ、上にマリエルが乗った体勢になって。  
ようやく、ロディは彼女が痛みなどで苦しんでいた訳ではないことに気がついた。  
 
ぺろぺろと、舌先でロディの唇を少し舐めた後、マリエルは顔をあげる。  
「おかしいんです……なんだか体が熱くって……」  
「……ッ?」  
「なんだかたまらなくって……ロディ、その……あのッ……」  
瞳を潤ませたまま、マリエルはじっと下になっているロディを見つめる。  
「私、ロディがッ……んッ……」  
少し息を切らせた後、深呼吸してまた少年を見る。  
「ロディのこと、欲しいんですッ……はぁ……」  
――欲しい。  
ある意味、ストレートすぎるこの告白に、ロディは音にならない言葉を二、三発してから、マリエルを 
戸惑った視線で見返した。  
マリエルは、そんな言葉を言っても後悔している様子はない。  
いや、恥ずかしいのは事実なのだろう。言ってしまった後に、彼女の口元は小さく不安そうに震えてい 
る。  
しかしそれ以上に、身体の中の何かが抑え切れないらしく、顔全体を紅潮させてロディの身体のあちこ 
ちをちらちらと見てもいるようだ。  
「お願いッ……はあ……し、しますッ……私に、ロディをッ……」  
そう言われても、ロディとしては答えようがない。  
とにかく、マリエルを落ち着かせようと上に乗っている彼女に手をかける。  
すると、その手の甲にマリエルは口付けてきた。  
「ッ!」  
「ふうッ……」  
そのまま、腕までぺろぺろと舐めてくる。  
暖かいマリエルの舌が腕を這って、ロディはぞくっと背筋を震わせた。  
「……ッ……」  
構わず、マリエルはロディの肌を舐めて、それからまた少年の顔に舌を這わせる。  
唇だけではなく、赤くなりかけている頬や鼻まで舐める。  
「ッ……!」  
硬直してしまったロディに、舌を離したマリエルはふっと微笑みを向けた。  
いつもの、小さな花を手渡してくれる時の笑みと同じはず――なのに、どこかロディは怖さを感じてし 
まう。  
 
「はぁ……ロディ、美味しいです……ふふ」  
ぺろりと舌なめずりした後、マリエルはそっとロディの耳元に口を寄せた。  
「私……ロディのこと、好きなんです……凄く」  
「………ッ」  
「看病だって、本当は全部自分でやりたかったくらい……でも……私……」  
にわかに、じわっと涙が浮かんだ。  
「言って、嫌われたらどうしようって……怖くて、言えなくて……でも、もう、我慢できないんですッ 
……!」  
ぽろりと、その頬に涙が伝う。  
軽くぬぐって、また小さく微笑むと、マリエルは身体を下に持っていった。  
ショックで動けないロディを尻目に、彼のズボンをかちゃかちゃとずり下げる。  
まだ滾りの少ないペニスを取り出すと、そっとそれに舌を這わせた。  
「ッッ!?」  
上目遣いでロディの顔を伺いながら、マリエルはぺろぺろと先を舐める。  
時折、鈴口をつんつんと刺激したり、くびれの部分をそっと舐め上げたり、随分巧みなものだ。  
むずむずと背中を走る快感に、抗おうとしていたロディの意志も少し弱まる。  
反比例するかのように、マリエルから与えられる快感でロディのペニスは段々とそそりたってきた。  
「元気になってきましたね……すくすくと立派に育って……」  
ふふっと微笑むと、口を開けてすっとそれを呑み込む。  
マリエルの口の中は、暖かく濡れていた。  
「ッ……!」  
立て続けに与えられる快感で動けなくなっていたロディは、かえってそこで我を取り戻す。  
まだ辛うじて残っている理性がどうにかマリエルを留めようと、上半身を起こして手を彼女に伸ばした。  
その手が彼女の被っている帽子に触れたところで、びくんと股間に熱い感触が走る。  
マリエルが、きゅっと口の中でペニスを締め付けてきたのだ。  
「……ッ!?」  
んッ、と小さく呻くと、締めながら舌先でまた刺激を始める。  
更に、ゆっくりと頭を上下させて、口の中のロディを愉しませようときゅうきゅうと締め付けを強めて 
きた。  
止めようと伸ばした手は、力を失ってそっとマリエルの帽子に被さる。  
ぱさ、と。  
そのまま、帽子ごとロディの手は力なく落ちた。  
 
エルゥの特徴のふさふさとした耳を晒しながら、マリエルは口に含んだロディ自身をくちゅくちゅと愛 
しむ。  
いよいよ大きくなって、小さな口に収まりきらなくなってきたところで、ふうっ、と解き放った。  
すっかり唾液と先走りでとろとろになったペニスに、一度口付けてからマリエルは身体を起こす。  
「ロディは横になってて下さいね……全部、私がしてあげます……から……」  
いつもは上目遣いでこちらを見ているマリエルが、今はこっちを見下ろしている。  
やはり、いつもの控えめな笑顔を向けているのだが。どこか、いつもより遥かに大人びた印象を受けて 
しまう。  
そんなマリエルはするするとスカートの中から脱いだ下着を取り出して、そのまま腰をロディのペニス 
の上に持ってきた。  
「実践するのは……初めてなんです、けど……色々、勉強……しましたから」  
目を合わせずにそう呟くと、その細い指でいきりたったペニスをそっと掴む。  
位置を合わせて、ゆっくりと腰を下ろしていった。  
「……ッ!」  
ぐちゅり――と、熱い液体にロディは包まれる。  
いや、その直後から液体だけではなく、熱い肉の中へと吸い込まれていくようだ。  
「あッ……う……」  
腰を落としているマリエルは、少しだけ口元を歪める。  
それでも勢いは落とさず、ロディのペニスは段々と身体の中に刺さっていった。  
千年以上生きていると言っても、身体の大きさはまだ人間の少女程でしかないマリエルの膣内は、相当 
のきつさがある。  
まだ入り口を越したばかりだと言うのに、もうロディは食いつけるような締め付けを味わっていた。  
「ッ……」  
と、途中でマリエルの動きが止まった。  
まだまだ奥には届かないのだが、やや躊躇っているように見える。  
「ッ……あ、ごめんなさい……でも、大丈夫です、すぐ……」  
「……ッ?」  
言っていることがわからず、きょとんとしていると。  
マリエルは――思い切ったように、一気に腰を落とした。  
ぐちッ。  
「ッ……うあッ……」  
何か、柔らかいものに当たって、そして突き抜けた感触を味わう。  
同時に、ロディのペニス全体がマリエルの中に入り込んだ。  
二人の間に、一切のしきりが無くなる。  
 
「ん……」  
ロディの胸に手を置いて、マリエルは荒く息をつく。  
その顔には、少しの苦痛の色がある。  
「…………?」  
「……その、気にしないで下さい……これくらい、大丈夫ですから……」  
言いながら、マリエルはゆっくりと腰を動かし始める。  
「痛ッ……いえ、なんでもッ……んッ……」  
時折顔を歪めながらも、腰の動きは止まらない。  
ぎゅっと締め付けてくる膣肉の味に意識がどうになりそうなロディも、その顔には不思議な気持ちにな 
る。  
――が、少し考えてすぐその意味に思い当たった。  
「……ッ!?」  
「……あ、いえ……初めて、でも……頑張って……気持ちよく、します……ん……」  
マリエルの初めて。それを、奪ってしまったということ。  
受身だったと言っても、そんなことは――  
「私が望んだことだからッ……んんッ……」  
くちゅ、と少しだけ腰を上下させる。  
狭いマリエルがもたらす快感に、簡単にロディの心配を持っていってしまった。  
「………ッ」  
むしろ、耐えるマリエルの顔を見るうちに、少しだけいけない気持ちが湧き上がってくる。  
積極的な、いつもと違うマリエル。こんな彼女に応えてあげるのには、嫌がる方が失礼なのかもしれな 
い、と。  
「……!」  
そう判断して――ロディは、そっとマリエルの腰に手をあてた。  
「あ……」  
少しだけ戸惑うマリエルに構わず、ゆっくりと腰を突き上げてみる。  
「う、あッ!」  
こつん、と。奥を突いた感触が伝わってきた。  
「ふうッ……ロディも、やってくれるんですね……嬉しいです……」  
まだ少しだけ痛そうな顔ではあるが、マリエルはふふっと微笑んだ。  
 
「あ……ッ」  
マリエルの苦痛は、それでもすぐに消えたようだ。  
先ほどからの欲情が、多少の痛みなど流しさってしまったらしい。  
「はあ、もっと……力強く、私の中にッ……」  
大胆なことを言いながら、腰の動きも大きくなる。  
ロディの胸板についた手を支えにして、ぐっちゅ、ぐっちゅと腰を上下させてくる。  
「ッ!」  
それに応じて、下からロディも大きく突き上げる。  
二人の腰の動きがシンクロしはじめ、ずん、ずんと一突きごとに奥まで届く。  
「うああッ……ロディ、力強くてッ……ふあッ」  
素朴なマリエルのスカートは、流れてきた愛液や汗で随分汚れてしまっている。  
それでも腰の動きはとまらず、段々にめくれあがってきているが、マリエルもロディも気にはしない。  
小柄なマリエルはロディの身体の上で躍って、ふさふさの耳がゆらゆらと揺れている。  
「あ、うあ、あッ……」  
段々と、マリエルの動きが鈍ってきた。  
いや、ロディの動きが力強くて、小さな彼女では受け止めきれなくなってきたのだ。  
もう、支えにしていた腕もかくんと崩れ、上半身をロディの身体に倒れさせてしまった。  
「……ッ」  
「う……あ、ご、ごめんなさい、私がするって言ったのに……」  
そういうマリエルの頭をそっと撫でると、ロディはずんっと一際大きく突き上げた。  
「んッ!」  
少年の胸に顔を埋めて、マリエルはあえぐ。  
マリエルが倒れてしまったぶん、上下の動きは弱まるが、彼女の感度はより高まってくる。  
 
突き上げる動きから、円を描く動きに切り替えても、ロディの動きは止まらない。  
ただマリエルはロディによって引き起こされる快感にあえぎ、ほとんど動けなくなってしまっているが。  
そうやってマリエルを愛しながら、ロディは自分の胸に顔を押し付けているマリエルを見た。  
小柄な彼女は頭一つロディに届かず、そのふさふさの耳が丁度目の前で揺れている。  
「…………」  
ちょっとした悪戯心を起こして、ロディはその耳をぺろりと舐めてみた。  
毛皮のざらっとした感触が伝わるが、それよりも。  
「ひぁッ!? ロディ、耳はッ……」  
随分敏感らしく、舐めた途端マリエルの中がきゅっと締め付けを強くしてきた。  
気をよくして、ぺろぺろと舐めるのを続けてみる。  
「ひ、あ、あああッ!? そ、そこは駄目ですッ……ふあッ!」  
少し涙まで流してしまうほどに、マリエルは感じている。  
構わず、ペニスによる責めと耳への責めを続けていると、ぴくぴくとマリエルが震えだす。  
「も、もう、駄目ッ……ロディ、気持ちよすぎてッ……ふあああッ……」  
秘所からは、とろとろと愛液が流れ出している。  
耳を刺激してから、それは更に盛大になっているのだ。  
エルゥ独特のその耳は性感帯でもあるようで、上と下からの刺激でマリエルは身を悶えさせてしまう。  
「ひあ、あ、ああッ……!」  
もう言葉にもならない喘ぎしか出せないマリエルの、震える耳をはむっとロディは軽く噛んだ、瞬間――  
「ひあッ……ああああッ!」  
きゅうっ……と膣内のロディを強く締め付けて。  
はしたなくも、ロディの胸板に唾液まで垂らして――  
マリエルは、震えながら達していった。  
 
「ん、はあ、はあ……」  
しばらくロディに顔を埋めて、マリエルは熱くあえいでいたが、それでも顔を起こす。  
「ごめん、なさい……勝手に、一人で……」  
「…………」  
構わないと言うように、そっとロディはマリエルの髪を撫でる。  
嬉しそうに微笑んでから、マリエルは呟いた。  
「……ロディの赤ちゃん……出来たら、いいのに……」  
「……ッ!?」  
「……わかってます……私はエルゥだし……ロディは……  
 でも、今だけ……そんな気分になって……いい、ですか……?」  
「…………」  
ロディは、まだまだ硬いペニスをマリエルの中でずきずきと脈打たせながら、複雑な顔をした。  
ホムンクルスである自分に子供は作れない――それは確実だ。  
そんなことを考えると、少しだけ暗澹たる気持ちにもなるが、それでも。  
今だけ。それが後で、どんなに虚しいことになるかも想像はつくけれど。  
「…………」  
マリエルだって、そんなことは分かっていて、それでも言ったのだろう。  
なら――少しだけ、そんな気分を味わうのも、悪くはない。  
ロディは小さくこくんと頷いて、マリエルに応えた。  
「あ、有難うッ……ロディッ……!」  
嬉しそうに――本当に嬉しそうに笑うと、マリエルは上半身を起こした。  
「じゃあ……今だけ……」  
そうして、また腰を動かし始める。  
 
一度達したせいか、マリエルの感度は上昇している。  
「ロディのがッ……凄くてッ……!」  
また倒れないように、必死で自分を支えている。  
ロディも、続けて味わうマリエルにたまらなくなってきた。  
「あ……ロディの種を、私の中に植えて……そうしたら、きっと芽吹いてッ……」  
虚しいことだと知っていても、マリエルはそう言う。  
ロディも構わず、いや、応えるように突き上げを強める。  
「ひ、あ、ああッ!」  
とろとろになったマリエルの膣内は、それでも狭くてロディを締め付ける。  
ペニスの突き上げをたっぷりと受け止めて、マリエルはぽろっと涙を零した。  
そうして、二人がお互いを愛するうちに、いよいよ限界が近づいてくる。  
ロディが一番強く突き上げた、その時に――  
「はぁッ……ロディの種、私にッ……たっぷり、植えて下さいッ……!」  
「ッ……!」  
この言葉が引き金になったように、ロディのペニスは、びゅるッ……と、精液を吐き出した。  
その勢いは凄いものだ。身を止めて、少年の暖かい胸板に手をおいたまま、マリエルはじっと受け続け 
る。  
びゅッ、びゅるッ……  
がっしりとマリエルの腰を掴んで、ロディは下から流し込む。  
「来てますッ……すご、いッ……」  
膣内に飛び込んでくる精液を感じて、嬉しそうに微笑みながら、マリエルは息をつく。  
ロディもまた、出し続ける快感によって頭が真っ白になっていた。  
 
やがて身体の震えも止まって、マリエルはロディの上に倒れこむ。  
はあはあと、二人とも荒い息のままだ。  
ロディのペニスとマリエルのヴァギナはまだ繋がったままで、とろりと白い液が流れ出している。  
「…………」  
ひとまず、ロディはそっとマリエルを抱きしめた。  
その暖かい感触に、マリエルも目を閉じながら微笑む――が、突然はっとしたようにぱちりとその目を 
開いた。  
「……ぁッ……わ、私ッ……」  
「……?」  
「な、なんでッ……こんなことッ……」  
「……ッ?」  
今までの、妖艶なほどの欲情は目から消えて失せ、いつもの温和なものに戻っている。  
それはいいのだが、つまり元に戻ったということは。  
「あ、あああああああ……わ、わた、私ッ……!」  
あたふたと、ロディの上でマリエルは慌てた。  
 
とりあえず、冷静になったマリエルが分析するに、やはり原因はあのモンスターらしい。  
人間を害するための毒を分泌していたのは間違いなく、それをマリエルが受けてしまったのもやはり確 
か。  
ただ、この『人間』を害するための毒というのが問題だったのでは、とマリエルは推測する。  
「私、エルゥですから……人間とは、身体が……違うんですよね」  
遺伝子の構造の違いとでも言うべきか。毒の働きも、人間とは微妙に異なってくるのではないか。  
アンチドウテによる解毒も何か関係したのかもしれないし、とにかく、細かいことは不明にしろ。  
その効果の違いが、つまりマリエルの神経中枢を刺激して性欲を高め――挙句この始末、である。  
 
「……ごめんなさい……こんなことッ! ……こんな、こと……」  
顔を真っ赤にして、マリエルは謝ってくる。  
答えようもなく、ロディも戸惑ってしまうのだが。  
「………ッ」  
とりあえず、まだ繋がったままの場所をちらちらと見ていると、マリエルもそれに気づいたようだ。  
「あ、あああああッ! ご、ごめんなさいッ!」  
また慌てて抜こうとするが、慌てているせいか抜けずにかえって刺激してしまう。  
「ッ……!」  
そうしているうちに、またむくむくとペニスがいきりたってきた。  
「あ、ロディッ!?」  
膣内でそれを敏感に感じ取って、マリエルが悲鳴をあげる。  
「……ッ」  
どうしようか、とロディが戸惑っていると、マリエルが思い切り顔を赤くして、更に俯きながら呟いて 
きた。  
「……せっかく、ですから……あの……今の、普通の私と……そのッ……」  
「……ッ!?」  
「あ……その、ご、ごめんなさ……」  
普段のマリエルなのに、随分と大胆なことを言う。  
そんなマリエルがなんだかいじらしくて、ロディも身体を起こすと――そっと、口付けた。  
「あ……」  
「…………」  
涙目になっていたマリエルに、にっこりと笑いかけて、こくんと頷く。  
 
今度は服を脱いで、二人とも裸になる。  
それから、今までとは反対の格好になって、ロディが上からマリエルにゆっくり突き入れた。  
「……あの……優しく……お願いします……」  
一度味わっているというのに、今が初めてのようにマリエルは恥らう。  
顔を近づけて、その耳に優しく口付けをしてから、ゆっくりとロディは腰を動かし始めた。  
「ぁ……」  
控えめに、小さく声を出してくる。  
「……ッ」  
なんだか違う反応に、ロディも興奮を煽られる。  
何しろ、二度もマリエルは達しているのだし、精液や愛液の助けで中も随分スムーズだ。  
段々と、突き入れる動きも激しくなっていく。  
「ぁ……んッ……」  
声をあまり出さないように、マリエルは歯を食いしばっている。  
むしろ、声をあげさせてやりたいと、突き入れながらロディはそっと小ぶりなマリエルの胸を揉んでみ 
る。  
「ふッ……あッ……」  
それでも、マリエルは声を出すことを躊躇っている。  
ぺろりと、小さな赤い突起を舐めてみても、  
「んッ……!」  
抵抗するばかりだ。  
今までが今までだったので、ひどく違和感を覚えるが――こちらが、本当のマリエル、なのだろう。  
無理をして声を出させる必要もない。それに、こうして二人でぐちゅぐちゅと愛し合ううちに、  
「ふあッ……!」  
段々と、マリエルも声をあげてきたからだ。  
 
「あ……ん、あッ……」  
「ッ……」  
子宮口を突付き、更にロディとマリエルは深く接合する。  
相変わらずマリエルの喘ぎは控えめだが、それでも声は少しだけ大きくなった。  
「……ロディと、こんなことにッ……なるなんてッ……んッ……」  
「……?」  
ぐちゅぐちゅと、動きは変わらないのだが、ふとマリエルは独り言のように呟き始めた。  
「わかってたらッ……あッ……ん、もっと、おめかししてたの……にッ……」  
苦笑して、ロディはずんっと突きこんでみる。  
「ああッ!?」  
ようやく、マリエルは声をあげた。  
一度声を出すと、止まらなくなってしまう。  
ぐっちゅ、ぐっちゅ……  
「ふ、あ、あ、ああッ……」  
恥ずかしがりながらも、大きくあえぎを出してきた。  
「んッ……ロディッ……私、またッ……」  
「……ッ」  
「またッ……ロディ、お願いしますッ……その、力強いッ……ロディの種、をッ……」  
無意識のうちだろうか、またあのおねだりをマリエルはする。  
躊躇うことなくロディは頷いて、一気に動きを速めた。  
「う、あああッ!」  
今までになく大きく叫ぶと、びくんとマリエルは身体を震わす。  
少し遅れて、膣内もまた強く締め付けてくる。  
「ッ!」  
ちょっとだけ慌てて、一番奥までロディも突き入れる。  
それによって、少年の限界も突破された。  
「んッ!」  
びゅくッ!  
二度目でも、なお勢いは変わらずにマリエルに流れ込む。  
 
「あ……また、中にッ……私の中に根をはって……うあッ……」  
再び味わう熱い精液が、マリエルの意識を溶かしていく。  
ロディのペニスも、強い締め付けとたっぷりと流し込む精液で、意識が少し飛びかける。  
「ッ……!!」  
二人ともが、相手から与えられる快感に、頭を真っ白にして抱き合った。  
だくだくと、勢いは変わらないまま流れ込んでいく。  
「熱いッ……こんな、元気な種はッ……ふあ、きっとッ……」  
びくんびくんと、吐き出しながらもペニスは暴れているかのようだ。  
イったまま中を小突かれて、マリエルはまたあえぎをあげる。  
「ひ、あッ……!」  
「……!」  
どうにか、顔を近づけてキスをする。  
くちゅくちゅと舌を絡めて、マリエルの唾液をロディは飲み込む。  
「ん、んッ……」  
――それでも、やがて射精は止まる。  
「ふ……う」  
「ッ……」  
二人とも、真っ白になってお互いに抱き合って倒れこむ。  
そうして、  
「……あ……」  
先に意識を戻したマリエルは――  
気恥ずかしさや気持ちよさ、様々な感情を混じり合わせて、どんな顔をしたらいいか考え込むものの。  
「……?」  
そっと目を開けたロディに、  
「……その……有難う……ロディ」  
微笑んで呟いた。  
 
「ッ……なんでこんなに遅いんですかッ!」  
「いや、まあ、アレだ。時に落ち着けセシリア」  
幸せそうな二人はいいのだが、マリエルの家ではセシリアが凄いことになっていた。  
「だ、だいたいザックがッ……ロディとマリエルの二人でッ……」  
「そ、それが悪いか?」  
「悪いって……マリエルだって……ロディのこと……知らない訳じゃないでしょう……?」  
最初は昂ぶっていた感情も、話しているうちに落ち着いてきたらしい。  
段々セシリアの声が小さくなる。  
「そう言われてもなあ」  
「ザックが悪い訳じゃないよ……うん。だいたい、モンスターか何かに襲われて、それで遅いって可能 
性も……」  
ハンペンがフォローを出すも、セシリアの目は冷たい。  
「……這い寄る混沌も一人で倒せるロディが、このあたりのモンスター如きに……?」  
「……ご、ごめんなさい」  
「……い、今から私が連れ戻してッ……」  
そう言うセシリアの肩を、ザックは必死に掴む。  
「余計なことしたら嫌われるぞッ!」  
「それは……」  
「……まあ、なんだ。十中八九アレだろうが……今はまあ……落ち着け」  
「……帰ってきたら、必ずッ……ロディッ……」  
ふつふつとしているセシリアに、ザックとハンペンは揃って盛大にため息をついた。  
「あいつもな……女殺しだよな」  
「本人に自覚がないのが罪ではあるね」  
同情していいのかどうか、やや迷いながら――  
もう沈みかけている夕日を見つめて、ザックとハンペンはふ、と。世を儚んだような、ニヒルな笑いを 
浮かべた  
 

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