カポブロンコに最後にサーカスがやってきたときのこと。  
レベッカは好奇心をおさえられず、こっそりテントに忍び込んだ。  
だがその姿を、双子の蛇つかいの男がじっとみていた。  
 
真っ暗なテントで手探りしているうちに荷物が崩れ落ちた。  
「おじょうちゃん、蛇のカゴを落としたね。  
 カゴの中の蛇たちが逃げ出して、おじょうちゃんをねらっているよ。  
 なに動かなければ大丈夫だ。何があってもじっとしておいで」  
 背後から聞こえた蛇遣いの声に、レベッカは身動きできなくなる。  
「オレたちが蛇をおとなしくさせるまで、目をつむっておいで」  
 レベッカはすなおに目を閉じる。  
「ほら、足下に蛇がいるよ」  
 何かが足をさわり、そしてそれは次第に上へと登ってくる。  
 そしてスカートの下へと潜り込み、レベッカのパンツの中へ入ってきた。  
「ほら、上にも蛇がいる」  
 頭にのっかった重みは、首筋を這い、襟首からシャツの下へと入ってきた。  
 
 思わず悲鳴を上げそうになった口が、だれかの手でおおわれる。  
「だめだめ声をだしたら蛇がおどろいてかみつくよ」  
 レベッカは、ぶるぶるふるえながら、一生懸命口を閉じる。  
「そうそう、いいこだ。もぐりこんだ蛇を驚かせないようにしないとね」  
「蛇は慎重に扱わないといけないのさ」  
 二人分の男の手が、レベッカの服をぬがせていく。  
「おや、蛇たちはどこへいったのかな?」  
 二人分の男の手が、レベッカの体をなでまわす。  
 にょろにょろして冷たい蛇は、レベッカにまきつき、股や胸をこすっていく。  
「ひっ!」  
 レベッカはついに悲鳴を上げた。  
 とたんに何かが股の間をチクリとさした。  
「痛い!」  
「おやこれは大変だ。蛇がかみついた」  
「はやく毒をすいださなければ」  
「まだじっとしといで。蛇はほかにもいるからね」  
 男たちはレベッカを抱き上げると、床によこたえ、両手で足をひろげる。  
「ああ、傷口はここにある」  
 股に男の息がかかり、そして男はレベッカの股をすいはじめる。  
 執拗にすわれているうちに、レベッカの意識がもうろうとしてきた。  
 
「いかんいかん。蛇たちがねらっている。命にかえて護ってやろう」  
 男はレベッカにおおいかぶさる。  
「だが毒の始末も必要だ。薬を塗ろってやろう」  
 股に生暖かいものがこすりつけられる。  
「苦しくても痛くても我慢するんだよ」  
「声をだしちゃいけないよ」  
 言われなくても、なぜだか頭がぐらぐらする。  
 レベッカは、蛇の毒のせいかなと考える。  
 股にも尻にも雷が落ちたような痛みを感じ、その後のことは覚えていない。  
 
 サーカスはが帰った後、大人たちの内緒話を聞いてしまった。  
「案外安っぽかったわね。蛇使いの蛇なんか作り物だし」  
「しー。子どもたちの夢を壊すんじゃないよ。レベッカはずいぶん気に入っ  
てたようじゃないか」  
 
 けれどレベッカは、蛇が大嫌いになっていた。  
 
おしまい  
 

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