ドッペルがセシリアに変身した!  
 
「どうしましょう。ドッペルへのダメージは、私にはねかえってくるのですよね」  
「なら、別の刺激を試してみたらどうだい?」  
 ハンペンの提案に、ザックはニヤリと笑う。  
「オレの出番だな。ロディ、セシリア、お前らはそこで見てな」  
「なにかいい案があるのですね」  
「温室育ちの姫さんが、自分の写し身に起きることを、少しは我慢できるってんならな」  
「名前で呼んでください! もちろん我慢して見せます!」  
 その時ザックが顔に浮かべたそれが、ドッペル並の暗く濃い笑みだったことに、ロディもセシリアも、気づかなかった。  
 
「まずは敵の武装解除だ」  
 ザックが人並み外れたそのスピードで、偽セシリアのスタッフを叩き落し、衣服のみを切り刻む。  
「きゃッ!」  
 声を上げたのはドッペルではなく、セシリア当人。  
 彼女の身につけている物も、細切れになってあたりに舞い落ちる。  
 横で驚いたロディが、頬を真っ赤に染めているが、セシリアはそれどころではない。  
「姫さん、オレは肌には傷一つつけちゃいないはずだが?」  
 事実、ファイティングポーズを取っている偽セシリアに、ダメージはない。  
「だ、大丈夫です!」  
 セシリアは、胸と股を手で隠すが、まるで隠れていない。  
 ロディはセシリアから眼をそらすように、敵に視線を移すが、こっちは隠してもいない。  
「なに、ダメージを与えず押さえ込んでやるさ」  
 ザックは両手を広げて、偽セシリアにつかみかかる。  
 ドッペルは、落とされたスタッフを拾おうとするが、ザックはスタッフを蹴り飛ばし、かがみこんでいた偽セシリアを、おおいかぶさるようにして床に押さえ込む。  
「大人しな、偽姫さん。そんなに暴れるもんじゃないぜ」  
「あぁん! い、いやッ!」  
 声はロディの隣であがった。  
 
「な、なんでもありません! こっちを見ないでください」  
 セシリアが、顔を真っ赤にしてロディに釈明する。  
 ロディは慌てて、再びザックと偽セシリアの戦闘に集中しようとする。  
 だがそこにあるのは長身のザックの身体の下でうごめく、一糸まとわぬ偽セシリアの裸体だ。  
 セシリアの方は、自分の写し身から眼をそらしてしまっている。  
 偽セシリアは、ザックを蹴り飛ばそうとしているのか、足を大きく振っているが、体格が違いすぎて効果がない。  
 そしてその両の足の付け根が、ロディの目前に晒される。  
 だがそこに、ザックの手ががっしりと掛かると、セシリアの、いったんは取り戻した平静も、長くは持たなかった。  
 隠すために胸と股にそえられていた手が、うごめきはじめたことに、隣にいるロディは、まだ気づかない。  
 セシリアが、いったんは取り戻した平静を崩し、再び声を上げ始めるまでは。  
「ひっ、あ! あぁん!」  
 悲鳴であったそれに、嬌声がまじったことに気づいたのは、声を上げぬ偽セシリアを抑えこんでいるザックだった。  
「ザック!」  
 おろおろしながらロディが、不安そうにザックに呼びかける。  
「ロディ、オレは手が離せない。お前がセシリアを介抱してやれ」  
「介抱って、セシリアはダメージ受けてないし」  
「当然だ。ダメージ与えないために苦労してるんだからな。セシリアが自分で押さえている場所を、優しく撫でさすってやればいい」  
 それでもロディは躊躇していたが、ザックと偽セシリアの戦闘が激しくなると同時にセシリアの膝ががっくりと折れると、ロディは彼女の身体が床に落ちる前に、反射的に抱きとめていた。  
「セシリア、大丈夫?」  
 ザックに言われた通り、セシリアがかきむしるようにしている胸に、そっと触れる。  
「あぁん! ロディ!」  
 びくんと背をのけぞらすセシリアにロディは驚き、ますます一生懸命その胸をなでさする。  
 セシリアがその両足を、ひどくもじもじさせる。  
「こっちもかい?」  
 ロディはセシリアのモモの内側を、なでさする。  
「ひっ! ああん! ああん! いや! いやあん!」  
「ごめん、嫌だった?」  
 ロディが手を離したとたん、セシリアの両腕がロディに絡みつき、その唇がロディの口に押し当てられる。  
 そして唇を離し、頬を赤くそめ、潤んだ瞳にロディを映したまま、小さくつぶやいた。  
「ロディ、やめないでください。私に、さわって……」  
 そのときロディの中で、何かのスイッチが入った。  
 ザックが偽セシリアを床に押さえ込んでいるのと同様に、ロディもセシリアを床に横たえ、その上に覆いかぶさった。  
 
 ザックは、偽セシリアの両手首を掴んだまま、犬のように顔を舐め、ザックに噛みつこうとする偽セシリアの唇のみを奪う。  
 セシリアは、慣れぬその感触に顔をゆがめるが、唇への唇による執拗な愛撫がはじまると、ついに耐えられず、間近からのぞき込んでいたロディの唇に、自らの唇を押しつける。  
 ロディは驚いたものの、すぐに舌でセシリアの舌をからめとる。  
 ザックは、その舌を這わせるように唇から離しても、二人は濃厚なディープキスが、互いの息を奪い合う。  
 だがそれも、胸の突起をねぶられるまでだった。  
 ザックは執拗に、偽セシリアの膨らんだ胸の先端を、ねぶり続ける。  
 セシリアは身をよじる。  
 だがロディには、セシリアが何を欲しがっているのか、わからないようだった。  
 セシリアは、自分の乳首をつまみ上げ、ねじりたかった。  
 いや、ロディにそうしてほしかった。そのロディの舌で。  
「ロ、ロディ、お願い。わ、私の・・・」  
 この期に及んでも、羞恥が邪魔をする。  
 セシリアが、批難するかのように、あるいは助けを求めるように、ザックを見る。  
 その視線をロディが追う。  
「こうして欲しいんだね」  
 ロディはセシリアの乳首を、そっと口に含むと、まるで赤子のようにそれを吸い始めた。   
 
 偽セシリアは、声さえ上げないが、ひどく動きが鈍っている。  
 ザックは横目でちらりとロディとセシリアの様子を見る。  
「そろそろ最後の仕上げと行くか」  
 片手で偽セシリアの両手首を押さえ込み、開いたか片手でズボンのベルトをはずす。  
 偽セシリアからの感覚は、一時途絶えたはずではあるが、セシリアは今ロディの愛撫に、熱中している。  
「残念だが、のんびりしている余裕はなくってな。すまんが姫さん! 少しばかりダメージが行くぜ!」  
 ザックは、偽セシリアの手首を解放し、反撃を受ける前にその両足に手をかけると、一気に貫いた。  
「あぁーっ!」  
 破瓜の痛みが、セシリアを襲う。  
「セシリア!」  
 ロディがその名を呼ぶ。  
 ザックはセシリアが、いや偽セシリアの身体が慣れるのも待たず、己を何度も叩き付ける。  
 そのたびにセシリアがいくども、短い悲鳴を上げる。  
「ザック! セシリアが!」  
「ロディ! こっちは手一杯だ。お前が慰めろ!」  
 ロディはザックと偽セシリアを見、そして今目の前でロディの前におずおずと両足を広げもだえているセシリアを見比べた。  
 
ロディは意を決し、ザックにならいベルトを外し、突き進んだ。  
「あぁっ…」  
 セシリアの悲鳴であったものが甘く染まると同時に、彼女はロディに腕をまきつけ、さらにと求める。  
「いいぞ、ロディ! その調子だ」  
 ザックはニヤリと笑い、調子を上げる。  
 ドッペルゲンガーは色気に欠ける。  
 それはセシリア本人も同様だ。いや、だった。  
 彼がパンパンと肉を打ち付ければ、ロディも倣う。  
 二組の音が、混じり合うように響き渡る。  
 ザックがぎらつく眼差しで偽セシリアを見据える。  
 ただザックに押さえつけられ、肉体を貪られながらも、ただまじまじとザックを見据え反撃の機会をうかがっている偽セシリア。  
 だがセシリアは、今や女へと変貌し、身もだえ、嬌声を上げている。  
 ザックは少々ロディがうらやましくなる。  
 それでも偽セシリアの内部もまた、今は女そのものだ。  
「そろそろフィニッシュだッ!」  
 ザックがそう叫べば、ロディとセシリアもそれに続く。  
「セシリア、俺たちも行くよ!」  
「はい!」  
 
 そのとき、ドッペルが最後の力を振り絞って、ザックに変身した!  
 
 アッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!  
 
 ザックの声にならない声と、ロディとセシリアの甘く切ない声が、あたりいっぱいに響き渡った。  
 
 
 あのあと絶対に絶対、セシリアは自分の後ろをザックが歩くことを、許さなかった。  
 そしてロディとセシリアが急激に距離を縮めた。  
 キャッキャウフフなロディとセシリアの、楽しそうな語らいを背に受けながら、ザックは陽の傾き始めた荒野を、微妙な孤独と尻の痛みに耐えながら、歩き続ける。  
 その肩で小さな相棒が、やれやれと両手を広げていた。  
 
お/わ/り  
 

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