「へっくし!」  
 ベッドの中でくしゃみをして、ジェーンは熱に潤んだ瞳をぼんやりと天井に向けた。  
 渡り鳥は体力勝負で身体が資本。健康には常に気を配っているし、彼女には優秀な執事が仕えているのだが、それでも風邪を引くのを完全に避けられるわけでもない。とある町の宿屋で、ジェーンは熱にうなされていた。  
 窓からは月光が差し込み、室内に静謐な青白い光を届けている。  
「う〜〜〜」  
 鼻をすすって気だるげに寝ていると、控えめなノックの音が聞こえる。  
「お嬢様。湯をお持ちいたしました」  
「う〜ん……入って〜」  
 言うと、湯の入ったたらいとタオルをいくらか持ったマクダレンが入ってきた。わずかな月明かりを頼りに危なげなく室内を進み、そばに寄ってくる。  
「湯とタオルを持ってまいりました。汗をぬぐいましょう」  
「うん、お願い」  
 朝、熱を出した頃よりはだいぶ体調はマシになってきたようだ。上体を起こすと、ジェーンは寝ていて固まった感じのする身体を軽く動かした。  
 安宿なので備え付けの寝巻きは無く、渡り鳥ゆえ、寝巻きの類を持ち歩いているわけでもないので着てみるものはいつものオレンジ色のドレス服だ。手袋やスカーフは勿論着けていないが。  
 その、ドレス服の肩紐をスルリと外すと、ジェーンは背中を晒した。一言断りを入れて、マクダレンは湯に浸して絞ったタオルで、その背中をぬぐっていく。  
「ああ、気持ちいいわ」  
「それはようございました」  
 マクダレンとしては、体調の急変に気づけなかった自分の不甲斐なさを感じるところでもあるが、そうした内面を悟らせないのも彼の年の功というべきか。  
 ともあれ、背中と両腕の汗を拭いとると、マクダレンは新しいタオルを取り出した。後はジェーンがすべきことであるし、これまでもそうだった。が。  
「マクダレン、まだ、残ってるわよ」  
 言われて、硬直する。視線だけでジェーンを窺えば、肩越しにマクダレンを見ているが――その目は冗談を言っている風ではなかった。  
「お嬢様、さすがに」  
「前が、残ってるわよ」  
 抗弁するマクダレンをさえぎると、ジェーンはベッドの上でマクダレンに向き直り、服を抑えていた腕を解く。当然、上半身を覆っていた服はハラリと落ちて、マクダレンの前に若々しい身体を晒した。  
「お嬢様!なにを――」  
 慌てて視線を逸らすマクダレンを、ジェーンはいつの間にか伸ばした腕でグイッと向き直らせて。  
「子供の頃は全身拭ってもらってるわよ。それとも――ロディに振られたアタシの身体は、魅力が無い?」  
 不安そうな表情で、そう聞いた。  
 
 かつて共に旅をした渡り鳥の少年、ロディ。ジェーンはロディに惹かれていた。  
 一方、ロディに恋慕を抱くものは他にもいた。アーデルハイドへの魔族襲撃から、つまりはジェーン以前からロディと旅をしていたセシリアである。  
 普通なら、アーデルハイドの公女であるセシリアと渡り鳥のロディには身分差という壁があるはずなのだが、アーデルハイドはその辺りかなりアバウトな国らしい。(そういえば、セシリアの母も庶民出身だったか)  
 魔族大戦終了後も、ロディとセシリアはザックを加えた3人の渡り鳥として旅をし、その途中でジェーンとマクダレンも顔をつき合わせつつジェーンとセシリアで恋の鞘当があったりしたのだが。  
 ロディがとうとう、セシリアを愛する人と決めたのはつい先日。どうもジェーンは相棒とか、戦いの中で背中を預ける相手というような間柄だったらしい。  
 言われて、ジェーンはその場は不敵な笑みでやり過ごしたが、一行と別れた後はそうも行かなかった。  
 荒野の中では小さなミスを連発し、この町についたらいきなり酒場で酒を注文、マクダレンの止めるのも聞かずにジョッキを飲み干し、近くにあった小川に足を滑らせて、翌朝には風邪を引いていたというわけだ。  
 
「そのようなことはございません。ただ、お嬢様ももうレディと呼ぶ年頃。如何に私相手といえど、お身体を晒すというのは」  
 何とか抗弁するが、ジェーンは首を傾げると重ねて聞いてくる。、  
「本当に、アタシの身体って、魅力がある?」  
「はっ。無論でございます」  
 ロディがセシリアを選んだのは、別に彼女の身体が魅力的だったとか、そういうわけではない。こと色恋沙汰で、理屈の通る理由などあるまい。  
 そう思いつつ答えたマクダレンに、ジェーンは、ニヤリと笑って、言った。  
「そうよね、魅力が無いわけじゃ無いわよね。ロディはそういう理由で恋人を選ぶような男じゃ無いし――マクダレンだって私の身体、チラチラ見てるし」  
「っ!」  
 今度こそ、完全に硬直してマクダレンは絶句した。その反応を面白がっているようなジェーンに、跪く。  
「申し訳ございませんっ!このマクダレン、老骨の分際で――!」  
 閉じた瞼に、つい先ほど見せられた裸の上半身が映り、ついで旅の最中、先を進むジェーンや魔獣と戦うジェーンの、その腰周りや胸元につい目がいってしまうことが思い出される。  
 日に日に女性らしくなっていく体つきに、マクダレンの中の男がつい反応してしまったのだと、言い訳をするつもりは無かった。50を過ぎた老体が歳の離れた娘か孫のような相手に劣情を抱くなど、マクダレンにとっては恥だった。  
 不意に、クスクスという声が聞こえる。小さくひれ伏したマクダレンをベッドに腰掛けたジェーンが笑っているのだった。だが、それは馬鹿にするようなものではなく、  
「マクダレンってば、本当にお堅いのね」  
 言うと、ジェーンは服に手をかけ、そのまま下半身からも脱ぎ去る。すでにジェーンは、下着一枚だけの姿でマクダレンの前にいた。  
「いいわよ、マクダレン」  
 衣擦れの音が聞こえていたのだろう、微動だにせぬマクダレンに、ジェーンはさらに声をかける。  
「今夜だけ、アタシのことを好きにして。それとも、こう言った方がいい?マクダレン、アタシに――エッチぃことをしなさい」  
 言われて、マクダレンは自分の下半身に熱が集まっていくのを感じた。牡としての本能に我が事ながら呆れる。が、  
「お願い……」  
 ジェーンのその弱弱しい声に、ついにマクダレンの中で、一線を越える覚悟が決まった。身を起こすとジェーンを抱きしめ、口付けを交わす。  
 
 最初はついばむようなものだったが、幾度と無く繰り返すうちに、ジェーンの唇が力を失い、マクダレンの舌の侵入を許す。  
 そのままジェーンの口内を舌でねぶりながら背中をさすれば、ジェーンの肢体がはねるように反応する。その様子に背徳的な悦びを感じながらマクダレンは、口内を犯していた舌を身体の下へ下へと移していく。  
 首筋、喉、胸の谷間、おなか、おへそ……マクダレンの舌が舐めるたびに、  
「はっ、…あ、ん……、ひゃうっ!」  
 ジェーンの、押し殺しきれぬ声が響き、淫靡な空気が部屋に満ちていく。やがてマクダレンはソコにたどり着いた。ジェーンのクリトリスに。  
 マクダレンの円熟の舌技と指遣いですでに膨らんだソコを、マクダレンは歯を立てて、軽くかんだ。  
「ひゃひぃぃっ!?」  
 突然の刺激にジェーンの背中がはねる。それを無視するように、マクダレンはジェーンの秘所を責め立てる。時に舌先で優しく、時に歯を立てて激しく。その度にジェーンの身体がビクビクと跳ねる。  
「はっ、はぁぁぅ――」  
 声には艶が混じり、肢体からは力が抜けていく。トロン、とした眼差しのジェーンの耳に、衣服が擦れる音が届いた。  
 マクダレンが執事服を脱ぐと、そこには壮年ながら引き締まった筋肉。少し見とれたジェーンの眼は、次いで大きく見開かれた。  
 ズボンと下着も脱ぎ捨てると、そこには大きく屹立する男根。男性器など殆ど見たことの無いジェーンでも、大きいと思えるほどの代物が現れる。  
「うわ、すごい……」  
「私としては、仰々しいかと思っておりますが」  
 ジェーンのぼんやりとした声に、マクダレンが苦笑する。確かに、人並み外れたモノというのは自信満々に自慢するものでもないのだろう。  
 ビクビクと脈打つ男根に目を取られている隙に、マクダレンはジェーンのそばに歩み寄ると、仰向けに寝ていた彼女を軽く引き起こし、  
「お嬢様、好きにしていいとの仰せでしたな」  
「え?」  
「――好きにさせて、いただきます」  
 声に、苦味と渋みと、快楽への期待をにじませて、マクダレンはジェーンの呆けた口に男根を突き刺した。  
「むぐぅっ?!」  
 驚いて咄嗟に後ろに下がろうとするジェーンの頭を、マクダレンの両手が押さえ、離れるのを拒む。仕方無しに口内の肉棒に、自分の舌を這わせると、マクダレンが呻いた。  
「むぅ、ぉぉ。その調子です、お嬢様。舌で、男根を、絡めるように……っ」  
 更には、ジェーンの頭を前後にゆすりだす。見目麗しい少女が、安宿のベッドの上で、跪いて、男の逸物をくわえ込む様は、ひどく淫靡で背徳的だった。  
 やがて、男根の脈動が激しくなるのをジェーンの舌は感じた。  
(もしかして……来るっ?!)  
 すわ射精かと思ったとき、マクダレンは唐突に男根を口から抜き出した。  
「あっ――」  
 切ない声が漏れるのと、ジェーンが再び寝かされるのがほぼ同時。そしてマクダレンはジェーンの頭の方に移動し、  
「私だけ達してはいけませんな、お嬢様――お互いに、貪りましょう」  
 え?と疑問に思うより先に、ジェーンの口にマクダレンの男根が挿入される。  
「?!?」  
 仰向けのジェーンの首を軽く反らせてから突きこまれた男根は、ジェーンの口内を容易く蹂躙し、喉にまで到達する。その感触にジェーンの瞳に涙が浮かぶ。  
 更にマクダレンはそのまま腰をピストン運動させ始める。その激しさは、さっきのフェラチオの比ではない。おまけにマクダレンの口は、ジェーンの秘所をこれも激しく弄り出す。舌先が肉壷にまで入りだすの及んで、ジェーンはマクダレンの言葉の意味を理解した。  
(あっ、やぁ、抉れてっ……)  
 脚が勝手にマクダレンの頭を固定し、まるで離すまいとする。口から喉まで全てはマクダレンの男根に征服され、その脈動が伝わってくる。  
「んむぅぅぅぅぅっ!!!」  
「お嬢様、いきますぞ!」  
 呆気なく絶頂に達したジェーンがイクのと、マクダレンが遂にジェーンの口内に精液を放つのがほぼ同時。まさに『お互いに』相手の身体を『貪った』ように見える。  
 実際は、ジェーンだけが弄ばれたようなものだが。  
 
 男根が抜かれると共に、口内の精液をなんとか吐き出すが、それは口元から滝のように流れてジェーンの頬を伝い、むしろジェーンを白く飾り立てた。  
(すごい――考えてるのが、とんじゃった……)  
 呆けるジェーンの眼に、しかし飛び込んできたのは未だ硬さを失わぬ肉の槍。そして、マクダレンの、物足りなさそうな顔。  
「え、マクダレン、まだ……?」  
「勢いが、ついたようでして」  
 しばらく忘れていた性欲が勢いよく走り出しているマクダレンは、今度はジェーンの開いた股の間にしゃがみこむと、その割れ目に肉棒を沿わせた。  
「マッマクダレンっ!それは、ちょっと――!」  
 初体験にさすがにジェーンも顔を引きつらせるが、マクダレンは構わずにジェーンの腰に手を添えて。  
「もう、堪えられそうにありません。お嬢様――お許しを!」  
 一気に、肉棒をつき立てた。  
 それはまさに蹂躙。初々しいジェーンの処女は文字通り貫かれ、その槍は胎内の奥まで達した。  
「――!っ、かっはぁ……」  
 眼を見開き、口からはまだ精液が残る舌を突き出し、身体は弓なりに反りあがり。ジェーンは全身でその衝撃を受け止めた。  
「ああっ、お嬢様っお嬢様ぁっ!」  
 ジェーンに対して、マクダレンはわずかながら「女」という意識を持っていた。それが今爆発しているのだ。  
 常の彼とは全く違う荒々しさ。それはかつて渡り鳥だった頃の名残かもしれない。  
 マクダレンは、少しゆっくりと肉棒を引き抜きながらジェーンの膣の締め付けを楽しみ、ジワジワと突き上げて肉の感触を味わい、鋭く引いて男根が肉を裂く感触を貪った。  
 ジェーンにしてみれば、身体を文字通り裂かれ、子宮口まで一息に抉られ、骨にその衝撃が達する痛みに、細い指の爪をシーツに立てて苦痛に耐えていた――最初は。  
 次第に襲い掛かってくるのは、痛みよりも気持ちよさ。荒々しく胎内を抉られることへの快楽の気持ち。  
「――ぃい!いいよぉマクダレン!もっと、もっとぉ!」  
 気づけば両足をマクダレンに絡め、自分から腰を動かして更なる快感を求めている。  
 ジェーンも、マクダレンに対して思慕を持っていた。頼りになる執事で、渡り鳥の相棒で、父親とは違う大人の男で――。  
 期せずしてお互いの好意が重なり、高まった2人の快楽欲求は、加速度的に跳ね上がっていく。  
 マクダレンは、ジェーンの両足首を掴むと、ジェーンの肩の上まで持っていく。するとジェーンの更に奥までマクダレンの男根は届き、ジェーンに更なる快楽をもたらす。  
「ああっ、あ、あん、あっ、あっ、あ――っ!」  
「くぅ、お嬢様、よろしいですか、行きますぞ――!」  
「来て!アタシの中にぃっ!いっぱいーっ!」  
 2人の絶頂に達する声が響き、ジェーンの膣で何かが膨らみ、弾けるような感触と、熱い液体が注がれる感覚が広がった。同時に、ジェーンの腹部が少しばかり膨らむ。  
 さらに数度マクダレンがピストンし、男根を抜くと、精液と破瓜の血の混ざった液体がゴポリ、と溢れかえった。  
 裸のまま抱き合ってしばし余韻に浸っていると、ジェーンがふと気づいたように言う。  
「あ……まだ、かたい――」  
 言われて、マクダレンは、  
「では、もう一度致しますか?」  
 返答は、マクダレンへのディープキス。  
 
 やがて空が白みだす頃。  
 ベッドには、全身を白く染め上げたジェーンが、時に身体を痙攣させながら横たわっていた。  
 
 その後。  
「あっちゃ〜、うつしちゃったかぁ」  
 2日もするとジェーンは回復したのだが、今度はマクダレンが寝込んでしまった。  
「申し訳ございま……コホッ」  
 額の濡れタオルをジェーンに変えてもらいながら、マクダレンが謝ると、ジェーンはパタパタと気楽に手を振り、  
「いいわよ。ゆっくり治して」  
 さらには頬にキスすると、  
「これからもよろしくね、私の大切なパートナー」  
 渡り鳥としても、人生でも、夜でもね。  
 そう言ってジェーンが部屋を出た後には、年甲斐も無く顔を赤くするマクダレンがいたのだった。  
 
 

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