「そっちから声をかけてきたんだ。こういうのが望みだったんだろ?」  
 王族だと知られてから、ザックの態度は一変した。  
 立て続けに起きた出来事に、そして王族だからというだけで憎まれる状況に、セシリアは疲れ切っていた。  
 そんな中、小さなテントで身を寄せ合って眠っていた時、ザックに襲われたのだ。  
 力強い手に押さえこまれるように口を塞がれ、もう一方の手で衣服を剥ぎ取られる。  
 ロディの姿を、あるいはあの風ネズミがいないかと視線で助けを求めるけれど、姿はない。  
「あいつらだったら、テントの外で見張りをしてる。いいんだぜ? ロディを呼ぼう。そして見せつけるか? 王族も、素っ裸なら俺たちと同じで、ヤルことも同じだってな。それとも股を広げてあいつにもヤらせてやるか?」  
 両手を後ろ手に押さえこまれたまま、口を解放される。  
 けれど声が出なかった。  
「いい覚悟だ」  
 身体を二つ折りするかのように、乱暴に両足を押さえ込まれる。その痛みに悲鳴を上げる間もなく、何の予兆もなく股を引き裂かれた。  
 今までに感じたこともない激痛が、全身を支配する。  
 身動きすらできず、動けばさらに痛みが増すのに、ザックは何度も身体を打ち付けてくる。  
「キツイな。姫さん、はじめてだったのか? そうか女学校にいたんだったよな。女ばっかじゃ、さぞ男が恋しかっただろう。存分に喰らいな」  
 激痛とともに全身がきしみ、それが限界に達した時、セシリアの意識は闇に沈んだ。  
 
 
 

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