ジェットの逆襲  
 
「てめぇ、いい加減にしやがれ。  
 俺が男で、てめぇが女だってこと、思い出させてやる」  
 ある日ジェットがぶち切れて、ヴァージニアに詰め寄った。  
 ヴァーは睨み付けてきたが、かまわず睨み付けてにじり寄って壁際に追い詰める。  
 そして唇でも奪ってやろうとアゴに手をかける。  
 もうちょっと自分に背があれば、なんて考える。  
 そんな余計なことを考えたのが、敗因だったのかもしれない。  
 ドゴッ!  
 股間に受けた衝撃に、ジェットは身を二つ折りにして崩れ落ちる。  
「そんなこと、思い出させてもらわなくても、よく知ってるわッ!」  
 ドゲシッ!  
 跪いた体勢を立て直す間もなく、今度はアゴを蹴り上げられる。  
 仰向けに倒れた無防備な鳩尾に、ヴァージニアの全体重+飛び上がった分の重量がかかった膝が落とされる。  
「グハッ!」  
「なんなら証明してあげましょうかッ!」  
 そのままベルトをハズされ、這いずってでも逃げだそうとしたところを、下着ごとズボンもブーツも奪われた。  
 両足を両脇にかかえられ、股間にヴァージニアの片足が食い込む。  
「それそれそれそれッ!」  
 たぶん人生初の電気あんまがジェットを襲う。  
『てめぇそれでも女かッ!』と言いたかったが、言葉にならない。  
 それでも言いたいことは伝わったようだ。  
「さっきジェット君は、何て言ったのかなぁ? 『てめぇが女だってこと思い出させてやる』んじゃなかったっけぇ?」  
 なんとか逃げ出したものの、下半身のみ丸出しのまま、壁際に追い詰められる。  
「何があったんですか?」  
 買い出しから戻ってきたクライヴとギャロウズが、状況を見てあきれている。  
 ジェットは真っ赤になって股間を隠すが、ヴァージニアは勝ち誇った笑顔をうかべた。  
「年頃の男の子に、女性に対するマナーを躾けてたのよ」  
 ただそれだけでクライヴとギャロウズは納得し、ジェットはその夜毛布をかぶってサメザメと泣いた。  
 
 
 

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