「…ハァッ…ハァッ…ん…んん…」
深夜、ヴァレリアシャトーの一室。ARMS本拠地には似つかわしくない女性の官能的な姿が月光に映し出される。
ワンピースが捲り上げられ、下着は脱ぎ散らかされ。あられもない姿で己の指を体に這い回らせるその姿はもはやただの本能に負けた女にすぎない。
それが普段、殺気と戦場が代名詞とも言える人物のものだというのだから、なおさら異様な光景であった。
「……アッ…ふううう……ッ!」
びくびくと体を痺れさせ、あと一歩で意識が飛ぶ。快感と充実感がが彼女を満たしてくれるはずだった。
「随分と派手にしちゃうんだね。カノンって。」
聞きなれた青年の声で、カノンは現実に一気に引き戻された。冷水を浴びせられたように体を跳ねて起こし、もはや意味もないのに体をシーツで必死に隠す。
なぜ彼がここにいるのだ?!いやそれよりも、こんな夜遅くにどうして訪ねてくるのか?!
「……きっ…貴様ッ!なぜここにッ?!」
自分の一番見られたくない姿を目撃されたというショックで、頭の中はいつもと違ってパンクしそうなくらいに冷静さを失った。
彼がなぜここに来たのかはどうでもいいのに。それよりも、今目撃したことを彼がどう思っているか、それを漏洩しないかが重要だというのに。
「え?普通にさ、明日の任務の確認でもしとこうかなと思って。」
「それは就寝前にしたはずだろう!今何時だと……!!」
「だってさ、明日は危険な任務だから。念入りに確認したくてね。ブラッドがさ、カノンなら遅くまで起きてるんじゃないかって。」
けろりと言ってのけるアシュレーの後ろから、さらにカノンのショックを大きくする人物が現れた。アシュレーは一人でここに来たわけではなったのだ。
「……!!そんなことのために二人でどうして来るッ!!」
「お前は元はといえばアシュレーを始末するために仲間になったようなものだからな。念のためだ。アシュレーがここでロードブレイザーにならんとは言いきれんだろう。」
特にお前がそんなことをしていたのを目撃して興奮したらな、と言って余裕たっぷりにニヤッと笑うブラッドが更にカノンの癇に障った。
怒りと羞恥でぶるぶると震え、攻撃態勢に入ろうとするカノンに、アシュレーはさらに追い討ちをかけた。
「打ち合わせってのは嘘だよ。カノンって寝てるときどうしてるのかなって、ブラッドと飲んでたら話題になっちゃってさ。」
それで覗きにきたんだ、とまるで悪戯をした子供のように笑うアシュレーだったが、していることは子供の悪戯では済まないものだ。しかもいい大人二人が。
「そしたらカノンがあんなことしてるだろ。これは見逃すわけにはいかないなって。」
「……何が…望みだ……ッ!」
カノンが食って掛かるのを待っていたかのように、アシュレーとブラッドは顔を見合わせ、カノンに二人で一気に襲い掛かった。
「……くうッ!!」
全身を義体に置き換え、その全身武器ともいえる身体を振るうカノンでも、日々過酷な任務をこなすARMSの仲間の男二人を満足に相手にはできず、即座に自由を奪われた。
しかも、あのような行為に及んでいた後、冷静さを欠いていた彼女ではアシュレーとブラッドの敵ではなかった。
ブラッドがカノンを後ろから羽交い絞めにし、アシュレーはカノンの纏っていたシーツを剥がし、咄嗟に彼女の腕を封じる。
足をばたつかせ抵抗するカノンに、アシュレーはにっこりと笑ってカノンの耳元で囁いた。
「いいのかな、カノン。さっきのこと、みんなに言っちゃうよ。ティムなんてまだ子供だから、どんな顔するかな。」
カノンの足がぴたりと止まる。
「今晩一回だけ付き合ってくれたら、黙っててもいいんだけどなあ。」
普段の熱血漢の青い振る舞いの青年からは想像もつかない言葉の数々にカノンは驚いたが、そこは意地で反論した。
「……ふざけたことをッ!ブラッドはともかく、お前には女が……ッ!」
マリナの存在を指摘されたアシュレーは、頭を掻きながらもじもじとカノンの耳元から顔を離した。
「……だってさ、マリナのやつ…ボクが久々に帰ったってのに、あの日だからって…させてくれなかったんだ。」
こいつら、ウブな顔してやることはやっていたのか…ッ!とカノンは別の意味で憤慨したが、それどころではない。こいつらの性欲処理に使われるなど、たまったものではない。
「だからッ…!すごく溜まっているんだッ!!このまま我慢してたらいつ欲求が爆発してロードブレイザーになってしまうかッ!!ボクは…ボクは怖いッ!!」
「そういうことだ。協力してやってくれカノン。ついでに俺にもサービスということでな。」
「頼むカノンッ!!僕の煩悩を凶祓ってくれッ!!」
「貴様らぁッ!!今すぐ凶祓われて切り刻まれたいかッ!!」
深刻そうでいて実際そうではない台詞を深刻な顔で言いながら、さりげなくワンピースを脱がせ、豊かな胸を掴むアシュレーに、カノンは思い切り頭突きを喰らわせた。
「いたた…なんでボクだけッ?!」
「ふ…ふざけるなッ!!そんなことなら町にでも行って適当に引っ掛けてこいッ!!アタシは性欲処理係などごめんだッ!!……はうんッ!!」
怒るカノンに、背後からブラッドがカノンの敏感になっていた乳房を掴み上げ、カノンの言葉を遮った。
「ああ、ずるいってブラッドッ!ボクだって早く触りたかったのにッ!」
アシュレーも負けじとカノンの空いた方の乳房にむしゃぶりつくと、それまで抵抗していたカノンの体は力を失って悶え始めた。
「……あああ……ッ!そんなに…強く揉むなぁッ…ッア……痛いッ……!」
鍛え上げられた筋骨隆々とした手でついさっきまで弄っていたところを強く揉みしだかれ、カノンの体は熱を一気に呼び覚ました。
「カノンって、やっぱりおっぱい大きいんだね。マリナも結構大きいけど、また違った感触でいいよ。太股も…むっちりしてて……」
頬を豊かな乳房に摺り寄せながら、太股をアシュレーが撫で回す。自分の手とは別のごつごつした生身の人間の手が這いずり回る感覚に、カノンは体をぞくりと震わせた。
首筋にブラッドが背後から口付ければ、カノンはひッ!とか細い悲鳴を上げた。硬くなった乳首を太い指でしごかれ、カノンの感度は上昇する一方であった。
自分でするよりも、気持ち…いい…しかし、この感覚を、カノンは認めたくなどなかった。
「……やッ……やめ……ッ…痛……」
「本当か?ならこれは一体何なんだろうな?」
「……ッ!!」
ブラッドが腰支えていた手をカノンの下半身に滑らせ、茂みをかき回すと、卑猥な音がぴちゃぴちゃと響いた。
羞恥にカノンの頬が真っ赤に染まる。違う。これは断じて……
「そ、それはさっきまで自分で弄っていたから……ッ!」
「ほほう。自慰を認めたな。」
「よく見えてなかったけど、そこも弄ってたんだ。いやらしいんだね、カノン。」
そのままスリットに大きな掌を滑らせて中に潜む濡れた芽を擦るブラッド。そして腹に舌を這わせるアシュレーに、カノンはただ情けなく愛嬌を漏らした。
自分以外に弄らせたことのない女の部分を男の、しかも逞しい体の持ち主に弄ばれ、さらに体中に他人の舌が這う感覚にカノンは頭がくらくらした。
「……あんッ……い…嫌…嫌…なのにぃッ……」
抵抗する声はよもや男を誘う声でしかない。いつもの女を見せない彼女が音を立てて崩れていく。
くちゅり、と己の体液が敏感な芽の突起に擦り付けられる度、カノンは腰を揺らめかせて悶えた。
「……カノン……いいな……実に…そそられるッ!」
揺らめかせながらも逃げようとするカノンの腰をブラッドは乳房から手を離して押さえつけた。
こりこりと芽を弄ぶ指の動きを早め、濡れそぼった下口に太い指を挿入すると、カノンはいやいやと首を振った。
「そろそろ素直になればいいのに。お互い欲求不満を解消してるだけだろ?」
悪びれもせずしれっとアシュレーが言い、がら空きになった両胸をがっちりと掴んで揉み解す。ハアハアと荒い息をしながらカノンはされるがままだった。
男の指が、異物が侵入し、己の内側を蹂躙しても、カノンにはただ喘ぐ行為しか許されなかった。
(あたし…どうしちまったんだ……ッ)
それでもカノンの心は完全に解きほぐされてはいなかった。とどめなく愛液が蜜壷から溢れ、尻に伝って入り口が解されていったとしても。
(嫌だ…ッ!こんな…アタシはこんなことをするために……)
こいつらの仲間になったんじゃない、と繰り返し叫ぼうとするが、それらはすべて甘い吐息変わってしまっていた。
「やはり…いいな。以前から、こうしてお前がどう抱かれるのかを見てみたかった。」
ブラッドの言葉に、目を大きく見開くカノン。以前から?以前からそんな目であたしを見ていた?!
いけすかないやつだったが、同じく戦場に身の安らぎを求めている者同士、多少なりとも頼りにしていたこの男がそんなことを?!
「……お前の格好は戦闘では過激すぎるんだ。特にこのあたりがな。」
ゆっくりねっとりと指を引き抜き、愛液でぬるりとした手でカノンの内股を摺る。むっちりとした太股に指が食い込み、カノンは引き抜かれた例の箇所がひくひとひくつくのを感じた。
「……ぁッ…はぁぁ……ハァ…ハァ……」
「カノン…ソコ、随分ともの欲しそうだけど、大丈夫なのかな?」
いつの間にか胸の感触を楽しんでいたアシュレーがカノンの下半身をまじまじと見ていた。カノンの顔に一気に血が集まる。見られているッ!見られているッ!!自分の恥ずかしいところをッ!!
この、いつか始末してやると心に決めていた小僧にッ!!
カノンの憤る心とは反対に、ソコからはとどめなく、見つめられれば見つめられるほど蜜が溢れ出ていた。
「すごいなあ。マリナよりずっといやらしい……」
「う、うるさいッ!!そんなにあの女がいいならあの女に存分にしてもらえッ!!」
何かと自分の彼女と比べるアシュレーに、カノンは怒った。ただでさえ作り物の体なのだ。普通の女性とは違うことなど嫌というほどわかっている。
「…あ、いや違うんだよ、カノン。カノンも綺麗だなってその……」
「アシュレー、女を抱くときは他の女の名は出すな。相手の機嫌が悪くなるし萎える。」
焦るアシュレーにさりげなくレクチャーをしているブラッドに、カノンはさらに機嫌が悪くなる。こいつら一体、あたしを何だと思ってるッ!!
「ふん、ろくに女を抱くマナーも知らないやつがあたしを脅迫して欲求不満解消か。笑わせるな。」
心に余裕ができたカノンは、髪の毛を掻き揚げ挑発するように腕を組み、胸をたくし上げた。アシュレーはたいしたことない。問題は…ブラッドだ。
経験はおそらくアシュレーよりかは豊富…な上に自分のよく感じるツボを的確に攻めてくる。こいつは強敵だ……貞操を奪われる前に何とか隙を見て逃げたいが、無謀に思えてくる。
自分が経験豊富に見せ、言い負かして相手の気を削いでしまえばやる気も起こらなくなるのでは…と考えてはみたが、甘かった。
「じゃあ言うけどカノン、君はその…経験豊富なのかい?」
ぼそりと恨みがましい目でアシュレーが呟く。
「ハァッ?!そんなもの決まってッ……!!」
ここで言い負かそうとカノンが虚勢を張ろうとしたとき、その戦法はたやすく打ち砕かれた。
「嘘だな。」
またもやここで奴に邪魔されたッ!カノンは、アシュレーが一人でやって来なかった理由をここまできて嫌というほど思い知った。
性的知識にまだまだ不安のあるアシュレーは、おそらく自分一人ではカノンを言いくるめる自信も、襲う自信もなかったのだ。そこでもう一人、強力な助っ人を連れてきたのだ。
「……なッ!貴様に何がわかるッ!!」
「経験豊富なやつが自慰を見られただけであそこまで恥ずかしがりはしないと思うが。」
「〜〜〜〜〜〜ッ!!!」
墓穴を掘るばかりの自分に、カノンはぎりぎりと奥歯をかみ締める。今日はの自分はおかしい。いや、欲情が溜まって自慰を行っていた時点でおかしかったのだろうか?
「えーッ!カノン、君もしかして処…」
「言うなあああああッ!!だから何だッ!!わかったらこの馬鹿げた行為を今すぐ中止しろッ!!このケダモノ共めッ!!」
足をぴったりと閉じ、顔を真っ赤にさせて叫ぶカノンの姿は、普段の落ち着いた、大人の女性を思わせる風貌とはかけ離れていた。
そう、まるでこれから汚されるであろう無垢な少女のような。
男など今まで必要なかった。だから欲さなかっただけだ。だから交わらずに一人で事足りていただけだ。それをこいつらは……ッ!!
「そうか……それならば仕方がない。」
腰を拘束していたブラッドの腕が緩むのを感じ、ほっとそのまますり抜けてやろうとしたその時。
「もしものときは必ず責任を取る。いいなカノン。」
「……なッ!!……なななッ!!!」
緩めた腕はがっちりと太股をつかみ、貝のように閉じていた足を意図も容易くこじ開けた。ぬらりと糸を引いて開かれた花弁は、赤く色づき、本人の意思とは正反対に男を欲していた。
「なぜそうなるッ!!」
「……カノンって鈍いなあ。そこいらのゴロツキやモンスターにカノンの処女を奪われることがある可能性があるなら、僕らが奪いたい……そういうことさ。」
言っている言葉は恐ろしいのに、アシュレーの顔は穏やかで慈愛に満ちていた。仲間を慈しむ時の、あの顔だ。
「馬鹿かッ!!そんなヘマ、あたしがするかと……ッ!!」
言っていることが無茶苦茶だッ!と暴れるカノンを、ブラッドが押さえつける。
「現にヘマをしでかしてこういうことになっているが?」
もはや反論する気力も沸いてこない。そこまでして、ヤりたいか…ッ!ああ、こいつら最低だッ!仲間だなんて、一瞬でも信じていた自分が馬鹿だったッ!
「あのさ…で、どっちがカノンの初めてを?さすがにいっぺんは無理だよね。」
またもやさらっと恐ろしいことを言うアシュレー。一体どうやったら二ついっぺんになどと、そういう発想が生まれるのか。
「……アシュレー、まさか無理でなかったら入れるつもりか。」
「ちっ、違うッ!それぐらいわかるってッ!…その……ボクってほら、マリナの初めて貰っちゃったわけだし……」
マリナに責任を取らなきゃいけないから、いざというときに、責任取れない…かも…などと言いながら顔を赤らめノロケるアシュレー。先ほどの台詞はどこへいったのやら。
「だから、頼むよブラッド。痛くしないでやってくれよ?」
「……承知した。」
まるで大事な任務を遂行する前のような顔で頷くブラッド。痛くしないなど、この男の体格を見れば不可能だろう。
カノンはみるみる顔が引きつっていくのを感じた。よりによって、この男とは…この義体は…そういった方面ではどうなのだろう。
初物でも、痛むのだろうか。それが原因で、不具合を起こしたりはしないのだろうか?
肉体を切り離したこの体では処女を失うということは問題になどならない。問題は、カノンのプライドだった。
返り血に汚れた自分には、愛する男とどうこう、という幻想など抱くことはない。しかし……
心を通わせていない男に体を提供するのは御免だった。男に体を提供する、という自分が下手になってしまう状況が許せなかった。そして怖かった。
男を知ってしまったら、自分は一体どうなってしまうのだろうかと。
「……カノン、一応念入りには解しておいたが、傷つけてしまうかもしれん。先に謝っておく。」
カノンの体を背後から引き寄せ、アシュレーに見えるかのようにカノンの足を開いたまま持ち上げる。
「……よせッ!……もう嫌だッ!こんな…こと……ッ!」
ぴちゃ、と男性器をあてがわれたカノンは弱々しく抵抗した。脈打つ熱い熱が伝わる。視線は上を向いたまま。
おそらく規格よりも上回っているであろうそれを、カノンは直視することなどできなかった。
「……どうして、こんな……ッ!」
弱々しくも元凶の二人の男を睨みつける。なぜあたしなのだろう。こうして、手篭めにしておけば気軽にできるから?それともどうしても我慢ができないからか?
どとらにせよ、くだらない理由だ。
「それはね、カノン。」
睨みつけるカノンに、アシュレーは笑顔で返した。
「カノンのことが大事な仲間で、もっと僕らを信じてほしいからだよ。」
していることとは間逆とも言える言葉に、カノンは驚愕する。そして、同時にカノンの腰に杭が下ろされ、カノンの純潔を貫いた。
「ッアッ――――――アアアアッ!!」
思った以上に凄まじい質量を伴って、それは彼女の膣に侵入した。はしたない叫び声を上げるカノンに、外に聞こえるぞ、とブラッドが口を掌で塞いだ。
「…ッ!ふぅッ……かはッ!」
すべてが収まりきると、奥に当たってカノンは身悶えた。子を成す力はもはや備わってはいないそこに、痺れを感じる。
「あ……お…奥に……ッ!」
あれだけのものを収めても、義体は痛みを感じなかった。むしろ、カノンは繋がるそこから甘美な痺れすら感じていた。生身の体であったのだったら、どうなっていただろう。
少女のように、痛みにもだえ苦しんだだろうか?
カノンの表情は痺れに陶酔しきっていた。
「あう……ひぃ……ッ!」
カノンが痛みを感じていないことを悟ると、上下にスイングを開始する。
じゅる、という厭らしい音と共にカノンの体と花弁がかき混ぜられ、だらしなく口を空け、そこからは女のそれが紡ぎ出されていた。
ぐちゅぐちゅとしどけなく滴る蜜。とろんと陶酔した瞳。張り付いた髪の毛。普段凛と人形のように澄ましている彼女が嘘のようだ。
「あっ…あっ……すごいッ!……駄目ッ!」
奥に到達するたびにエクスタシーが体内を支配する。一人では決して得られない喜び。
カノンは全てをさらけ出してしまっていた。本能のままに。
「……ッ…ふああッんッ……あん……」
「やっと、そういう顔してくれたね、カノン。」
「……え……?」
「その顔が、見たかったんだ。」
再び奥に強く打ち付けられた楔に身を震わせながら、カノンはぼんやりと反応した。
「カノンってさ、いっつも気が張ってるというか…その、嬉しいときもこういう嬉しいじゃなくて、戦う狂喜みたいなものがあってさ、こういう顔、してくれないなって思ってて。」
当たり前だ。誰がこんな顔など、してやるものか。
「僕らのこと、そこまで信頼してくれないのかなってね。」
「……どう…いう……」
……どう…いう……」
「寝ている顔を覗きにきたのも、カノンが気を許しているときがどんな顔か気になったからなんだ。」
「身が繋がれば心もおそらく…わかるな?」
言葉が素直に染み込んだのは、この麻薬のような快楽のせいだろうか。
「カノン、僕らで気持ちよくなっていいんだよ、もっと……」
カノンの目の前でアシュレーのズボンが下ろされる。上を衝く象徴は、限界まで膨らんでいた。
力のない瞳で困惑するカノンに、アシュレーはそれを緩んだ唇を押して捻じ込んだ。
「ふぐッ……」
口を塞がれ、カノンが涙目になる。
「んッ…んんん……むぐう……!」
「カノン、歯を立てちゃ駄目だよ。舌使ってしゃぶって……」
カノンの顎に手を添えながら、アシュレーはカノンの口を蹂躙する。戸惑い、されるがままのカノン。下半身にはブラッドが繋がったまま。
アシュレーの言うとおりに舌を這わせてやると、アシュレーはぴくりと反応した。
「……ぷぱ…気持ち…いい…のか…?」
一度口を離し、カノンが尋ねると、アシュレーは顔を赤らめて頷いた。余裕があるのかそうでないのか全く掴めない。
だが、この男が喜んでいるのも事実なようで。カノンの内に、何かが芽生えるのを感じた。
相手が喜ぶことを、自分がしている。戦闘以外で。
再びイチモツを咥えてしゃぶってやると、アシュレーは困ったような、それでいながらも続けてほしそうな悩ましい顔をした。
カノンはそれに応えてやることにした。いいだろう。あたしが満足させてやらんでもないぞ。
「ん…ふむ…」
ちゅっと時々吸ってやると、それはびくんと跳ねて反応する。カノンの口からはいつしかはしたなく涎が伝い始めていた。
カノンが咥えしゃぶることに夢中になっているのをしばらく様子見していたブラッドだったが、面白くないといわんばかりにカノンの腰を掴んで運動を再開させた。
「ふぶッ!ぷふァッ!」
思わず口を大きく開けてアシュレーのモノを離しそうになるカノン。だが双方とも容赦はしなかった。
「俺に酔ってもらうのはかまわんが、アシュレーのも気持ちよくしてやるんだ、カノン。」
「あっ駄目じゃないかカノン、ブラッドのがいくらボクより大きくて魅力的だからって……」
上も下もひとつしかない体を攻められ、カノンは自身がどろどろに溶かされていく感覚に陥った。
ああ、このまま溶けてしまいたい。一人ですることよりも、繋がることがこれ程までにいいなんて……
「ん……ふあッ……ひもひ…ぃ……」
自ら腰を動かし、吸い付く様はもはやプライドも何もなかった。ただ、お互いを感じたい、その感覚だけがカノンを支配していた。
「満足か。ならばよかった。」
「…ハアハア…舌がざらざらですッごくやわらかくて…程よく摺れてッ…ああッ…もう我慢できないよカノンッ!」
アシュレーの限界が近づき、カノンの口の中で膨張しきったモノが圧迫する。
「んんん……」
苦しく、悩ましげな表情で呻くカノン。
「……お前に欲情するなど…俺がおかしいのかと思ったが……そうではなかったのだな。」
「……ふんむう……ッ!」
ブラッドがカノンの乳房を後ろから掴み抱え、優しくマッサージしてやると、カノンのソコがきゅっと締まる。
「……カノン……綺麗……だぞ……」
後ろから抱きかかえられたままで熱く囁かれ、耳たぶを甘く噛まれ、カノンの理性は一気に吹き飛んだ。
(もっと…もっと、して……)
彼女の中の女が完全に姿を現す。己を汚す存在に体に腕を回し、撫でさする。
「カノン…ね、もう……」
アシュレーが苦しそうにカノンの頭をつかみ、ブラッドが尻を鷲づかみにし、固定する。カノンは驚いたが、ぐずぐずに溶けた体では、もうどすうることもできなかった。
「……出す……ぞ……」
「――――ッ!!!!」
頭が真っ白にはじけ飛び、双方の異物を締め上げる。
カノンの眼帯から本物の涙が雫のように流れ落ち、同時に欲情が双方に打ち出され、カノンは果てた。
ベッドに崩れ落ち、ひくひくと体を痙攣させ、秘唇と口からどろりと欲情が伝う様は、妙に色っぽかった。
「ちょっと…やりすぎた……かな?」
「いや。まだまだだ。あと数回ぐらいは……」
「貴様、何をふざけたことを言っている。」
先ほどまで倒れこんでいたかと思っていたカノンが、起き上がりながら汚れをシーツで拭っていた。もう既に、いつもの表情に戻っている。
「……残念だなあ、せっかく可愛い顔してたのに。」
「馬鹿を言うなッ!貴様らッ!覚えておくんだなッ!この仮は……」
「何だ?三倍にしてか?夜伽なら俺は嬉しく頂戴するが。」
「……ブラッドッ!貴様ぁッ!」
怒るカノンに、でも気持ちよかったんだろ?俺も三倍気持ちよくしてもらわんとな。と、不敵に笑うブラッド。図星を指摘され、カノンはむくれあがる。
「だっ黙れッ!誰がお前なんかので気持ちよくなるかッ!!」
「あ、でもカノン、初めてがブラッドのだったら、他の人のじゃ満足できなくなるんじゃな…ってうわあああ!」
「望みどおり貴様らの煩悩を凶祓ってやるッ!!覚悟しろッ!!」
いつのまにか拘束を解いたカノンの異形の左腕が伸び、アシュレーを捉える。
「わーッ!ちょっと!!ちょっとカノン?!どうするつも…ぎゃあああッ!!」
ワイヤーで拘束され、アシュレーは仰向けに転がされる。カノンの瞳はギラギラと燃え盛っていた。まるで獲物を仕留める狼の如し。
「喜べ。お前で満足してやる。あたしの信頼を勝ち取りたければあたしが満足するまで相手しろ。いいな?」
「えッ…ちょッ!」
今度はアシュレーが困惑する番であった。ああ、ワイヤーなんか巻きつけられて…マリナに会うときまでに跡が取れないと、言い訳が大変なことに……ッ!
もし今日のことがバレたら……終わりだッ!!拒絶されるッ!!ロードブレイザーになったとき以上に拒絶されるッ!!
「……義体というのは疲れがないのか?」
「ふっ、どうだろうな。お前も試してみるか?ん?」
やれやれ、と首を振りながらもカノンに誘われるまま、ブラッドはカノンの体に手を伸ばした。
結局カノンがへたり込むまで楽しんでしまったために、翌朝は三人ともどこか眠そうだった。特にアシュレーはげっそりしており、リルカにしきりに
「アシュレーどうしたの?」
と聞かれていたが、言えるわけもなくただ話を逸らすしかなかった。あれだけ搾り取られたのだ。今日の彼はピンチになっても恐らくアクセスッ!できるか怪しい。
「あの…大丈夫ですか?なんだか三人とも元気が……任務に障るんじゃ……」
癒しの呪文でもかけます?と空気を読めず聞いたティムに、アシュレーはげんなりとしながら頼む、とつぶやいて机に突っ伏した。
そんなアシュレーをカノンはちらりと一瞥すると、ブラッドの方に歩み寄り、こっそりと囁いた。
「アシュレーのやつ、意外とだらしなかったな。今度からは抜きだな。」
「お前…意外とハードな趣味だったんだな。ついさっきまで処女とは思えんかったぞ、昨夜は。」
むっと顔を赤らめながら、カノンはそういうお前も楽しんでいたくせに、と鼻を鳴らした。
「じゃああたしを最後まで満足させたお前は何なんだ?化け物か?」
「……かもな。」
次溜まったらまたよろしく頼む、と意味ありげに目配せしてからカノンは立ち去った。
子供コンビに囲まれて心配されているアシュレーを見ながら、まあたまにはあいつもつまんでやってもいいか、などどいう不埒な考えもこっそりと抱いて。
そして、ヴァレリアシャトーの一室で、主のアーヴィングがせっせと映像ディスクにラベルを貼って箱につめる姿があった。
「お兄様、お食事の用意ができましたの。…お仕事中、ですか?」
「ああ。ARMSの重要な資金源をな。」
「まあ、お仕事頑張ってくださいね。」
妹ににこやかに微笑を返すと、アーヴィングはまたせっせと作業に取り掛かった。
だがそのラベルに『悩殺!女渡り鳥〜ヘタレ純情新人調教編〜』
などと書かれていたのをアシュレーをはじめカノンも知ることになるのはずっと後のことだ。
おわり