オデッサの呪われた遺産、『核』兵器グラウスヴァイン。  
世界規模での作戦と、そしてアシュレー・ウィンチェスターの身に宿った魔神の力で辛くもその暴発は 
抑えられた。  
しかし、この一件はますます魔神の危険性を認識させる事件でもあったのだ。  
ARMSが総出でかかっても退けられなかったグラウスヴァインを、たった一人で瞬時に屠ってみせた 
その力。  
そのまま暴走していれば、核など話にもならない危機となっていたのは明白であろう。  
この危機を止めたのは、強力なヘヴィアームでもなく、クレストソーサーの力でもなく、古のゴーレム 
の力でもなく――  
アシュレーを良く知る幼馴染、マリナ・アイリントンの力――力というにはあまりに些細な、それでも 
強い力で、魔神の暴走は止められた。  
危機はなんとか去ったとはいえ、アシュレーの裡にはまだ魔神が燻ったままである。  
ひとまず大事をとって、彼は医務室へと運ばれた。  
仲間のリルカやティムなどはお見舞いをしたいと、随分騒がしかったようではある。  
そこは上司であるアーヴィングの計らいで、医務室には誰も残さず――看護婦の二人も残さずに、アシ 
ュレーは休むことが出来た。  
もっとも身体そのものはそれほど疲労している訳でもない。  
しばらく横になっていると、どうしても退屈を持て余してしまうのだが、そんな時に。  
とん……と、控えめなノックの音が、アシュレーの耳に届いた。  
 
「ああ、開いてるよ」  
扉はゆっくりと開かれる。  
なるべく音を立てないようにと気を使っているのが見てわかるほどだ。  
それから、入ってきた人物はまた同じように慎重に扉を閉める、と、ようやくアシュレーの方を向いた。  
「アシュレー、眠ってた?」  
ベッドから半分身体を起こしていたアシュレーに、その人物――  
「いや、眠れなくって……ちょっと暇だったかな」  
「そう……」  
マリナは。何か考え込むように呟くと、俯いてしまった。  
「マ、マリナはなんでここに?」  
「お見舞い――だけど、迷惑?」  
「そんなことないよッ」  
慌てた様子でアシュレーは立ち上がり、マリナの手を握る。  
「ほら、身体は全然平気なんだ。別に眠ってる必要もないし、話し相手が欲しかったってくらいで――」  
「うん……そう思ったから」  
「そ、そっか。そうだよな、みんな僕の身体は平気だってこと知ってるんだろうし」  
「身体は……」  
身体は。  
問題なのは、身体ではないのだ。  
「……心の方も、今は大丈夫だと思う。ずっと落ち着いてるから」  
「アシュレー……」  
はは、とやや乾いた笑いを浮かべるアシュレーに、マリナは少しだけ近寄る。  
と、彼女はこほ、と小さく咳き込んだ。  
首筋を押さえて、痛みに僅かながら顔をしかめる。  
「マリナ?」  
「ちょっと……あ、大丈夫だから……」  
押さえている首筋には、妙に黒い痣が出来ているようだ。  
その跡は手でつけられたような――いや。  
「……まさか、あの時の――」  
 
アシュレーが魔神の力に流され、暴走しかかっていた時。つい先ほどのこと。  
その場に現れたマリナにアシュレーは掴みかかり、暴走するままに首を絞めて――下手をしたら彼女の 
命を奪うところでさえあった。  
「ごめん……謝って済むようなことじゃない、けど……ごめん」  
マリナの想いを聞くことで、暴走は収まった。  
その時確かに強い繋がりを感じたし、感じたからこそこうして人のままでもいられる。  
とは言え、やってしまったことが消えてなくなる訳でもない。  
「それは……そうだね、じゃあ……一つ、お願い聞いてもらえる?」  
「え? あ、ああ」  
戸惑いながら頷くアシュレーに、ようやくマリナは笑顔を向けた。  
「気にしてないから。そりゃ、ちょっとは痛かったけど……私が、ちゃんとアシュレーのこと信じてあ 
げてればよかったんだもんね」  
「マリナ……」  
一度、彼女の目の前で変貌したことがある。  
その時のマリナは、ひどく怯えて――アシュレーのことをはっきり拒絶していた。  
積もり積もった感情が、先ほどの暴走を招いたのだとすれば、マリナの言うことも一理ある、が。  
「僕にもっと勇気があって、本当のことを言えていればよかったんだから……」  
アシュレーの返答に、マリナはまた顔を伏せた。  
どうしたものかと、しばらく戸惑っていると――彼女の指がふっと伸ばされて、額を小突かれる。  
「えッ?」  
顔をあげた彼女は、毎日見慣れた笑顔をしていた。  
「もう、二人で謝りあってても仕方ないよ、アシュレー。お互い様ってことで……いいじゃない」  
「あ、ああ……」  
ぽりぽりと頭を掻きつつ、アシュレーはベッドの淵に腰掛ける。  
「何て言うのかな……マリナにそういう顔してもらってると、なんだか気が楽になるよ」  
「そんなにおかしな顔してる?」  
「そういう訳じゃなくて……いや、やめよう。こういう話」  
「私は是非とも聞きたいんだけど?」  
どうにか話を軌道に乗せて、ぎこちないながらも二人ともしばらく笑いあっていた。  
 
だが、やはりぎこちなさが会話を邪魔する。  
とにかく、今日一日で色々なことが多すぎたのだし――  
アナスタシアの世界から帰ってきた時に一歩前進した関係も、今日でまた一歩どころでなく進んだよう 
な気もする。  
今までの関係はもう二人の間にはなくなっていて、それはどうしても不自然な間を招くことになる。  
「それで――」  
「うん、私も……あ」  
二人同時に口を開いたことが、その不自然な間を生み出した。  
お互いに相手を意識すると、ふっと言葉は出なくなる。  
なんとも気まずい時間が流れている――と、マリナの方が口を開く。  
「あの……アシュレー」  
「……ん?」  
「さっきの……一つお願い聞いてくれるって」  
「ああ、そう言ったっけ」  
きゅっと唇をかみ締めてから、彼女はじっとアシュレーを見据えた。  
「……今日思ったの。ちょっと前、アシュレーが……狭間の世界、だったっけ。そこから帰ってきた時 
にね……  
 あの時、アシュレーが帰ってきてくれて、これでまたずっと一緒にいられるんだ、って思ってた。  
 気持ちは繋がってるって……帰ってきてくれたから、アシュレーは私のこと……って。  
 でもそうじゃなかった。それだけじゃ、駄目だったんだよね。私もアシュレーのこと信じ切れてなか 
った……  
 今だって、信じてるつもりだけど……ね、アシュレー。繋がってるって証拠、作ってもいい?」  
じっと黙って聞いていたアシュレーは、最後の言葉に目を丸くさせる。  
証拠、と来たものである。  
「証拠……って、そんなものなくても、僕とマリナはちゃんと……」  
「私もそう信じてる。だけど……それだから、きちんと二人で繋がってるようにしたいの」  
微妙に鼓動が早くなってきた。  
「マリナ……まさか、それは――」  
「二人とも……昔から一緒で、こんなこと考えたこともなかったよね……でも」  
ごくんと息を呑む。  
思えば、あまりにも一緒なのが当たり前過ぎて、男と女という関係さえも忘れかける程だったのかもし 
れない。  
けれどこうして想いが表に出てきた以上――嫌でも、それは意識せざるを得ないことだ。  
 
「お願い聞いてくれるんだよね。だったら、アシュレー……私と貴方の繋がり……欲しいな……」  
予想していなかった訳でもない。  
彼女を意識し始めたのは最近――案外、つい先ほどなのかもしれないけれど。  
一度意識してしまえば、アシュレーとて若い男なのだ。  
異性として見てしまうのは、むしろまったく自然な話である。  
「マリナッ……だ、けど、そのッ……」  
もっとも実際こういうことになると、どうしていいのか頭が真っ白になる。  
「……こういうの、あんまり女の子に言わせないで欲しいのに……」  
かえってマリナの方が冷静になっているようだが。  
「で、でも、えっとッ……やり方とかッ……く、詳しくないから」  
「そんなこと言ってたら、ずっと出来ないままだよ? アシュレー、お願い聞いてくれるって言ったで 
しょ?」  
「そりゃ、そうだけど、でも、そのッ」  
「アシュレー……」  
まだ優柔不断なアシュレーに、痺れを切らしたのかマリナがにこにこと、妙に優しげな顔を浮かべる。  
「わッ……わかったッ……や、やらせてもらいますッ」  
やけになってそう叫ぶと、ようやくマリナも表情を戻した。  
この妙なやり取りで彼女の緊張も少しはほぐれたらしく、やれやれといった顔をする。  
「せっかく勇気出して言ったのに……」  
「し、仕方ないだろ。僕だってこんなの経験ないんだからッ」  
もう本当に仕方のない相手だ。  
いつも世話を焼いていたアシュレーは、こんな時まで世話を焼いてもらいたい――らしい。  
「じゃあ、こういうのから始めましょう――」  
座っているアシュレーに、マリナはゆっくりと顔を近づけて。  
す、と、その唇を重ねた。  
 
「ん……」  
一瞬戸惑ったアシュレーだが、すぐに落ち着いてその手をマリナの背中に回す。  
しばらくその暖かい感触を二人とも味わって、そっと離れる。  
「なんていうか……いつもと大分違うな……」  
「キスするだけなら初めてじゃないのにね……私もそんな気分……」  
少しだけ笑うと、再び唇を合わせる。  
熱さを増した感触が身体中の血の流れを早くして、ドキドキとした鼓動が相手からも伝わってくるよう 
だ。  
そうやって暖かさと柔らかさを堪能してから、マリナの舌が軽くアシュレーの唇を突付く。  
「ッ……」  
困惑していると、強引に彼女の舌が口内に割り入ってきた。  
探るように口の中を舌が動いて、すぐに固まっていたアシュレーの舌に絡みつく。  
「んッ!?」  
応えることも思いつかずに、とろっとしたマリナの唾液の味が口に広がる。  
柔らかいものが自分の舌先に絡みつく、なんともいえない感触はアシュレーの中へと落ちていくようだ。  
それでもどうにか気をしっかり持って、ようやくこちらも舌を絡めてマリナに応える――と。  
彼女の腕もアシュレーの背中へと回された、お互いに抱きしめあうことになった。  
「ん、んッ……」  
くちゅ、と小さな音が二人の絡み合う舌から発せられる。  
妙にいやらしく聞こえる音が、また余計に印象強く残って、迷いながらも絡み合う舌の確かさへと繋が 
っていく。  
アシュレーの抱きしめる力は段々強くなって、ぎゅっと細いマリナの身体を離さないようにする。  
まるで今二人の繋がっている口の中の熱さと比例するように、あくまで優しくだが抱きしめる。  
けれど、マリナの方は段々と力が弱くなって、立っている足も少し覚束なくなってきた。  
「ん、ふ、んッ……」  
と――彼女の身体から力が抜けて、不意に唇は離れた。離れた舌先からは煌く糸が引いて、すぐに切れ 
る。  
マリナは崩れ落ちるようにアシュレーの身体にもたれかかると、熱い目で彼を見上げた。  
「なんだか……力が入らなくなっちゃう」  
「あ……だ、大丈夫かい? ちょっと強くしすぎたかな……」  
「ううん、そういうんじゃなくて……気持ちよくって、なんだか、ね……アシュレーはどうだった?」  
「……僕も同感、だな」  
 
「少し待っててくれる? ちょっと、身体が熱くって……」  
「う、ん……」  
身体をこちらへと預けてくれるマリナを、またそっと抱きしめる。  
昔から一緒だったと言っても、これだけ密着したのはそんなに多くは無い。  
ましてこれほどお互いの身体が熱くなっていることなど、初めての経験である。  
彼女の身体は柔らかく――また自分と同じくらい熱くて、かすかに髪から漂う香りもまとめてアシュレ 
ーの中に刻み込まれていく。  
「……はぁ……もう、大丈夫……」  
なんとも言えず、じっと固まっていたアシュレーはともかく、マリナは身体を起こして彼の横に座る。  
そのまま今度は肩にもたれかかって、まだ落ち着かないアシュレーを見上げた。  
毎日毎日見慣れた顔ではあるけれど、潤んだ瞳と上気した頬が違いを感じさせる。  
「……マリナ」  
名前だけを呼ぶと、またきゅうっと抱きしめた。  
彼女も身体を預けて、じっとアシュレーの力強さを味わう。  
段々とアシュレーもたまらなくなってきた頃に、マリナは耳を彼の胸にあてた。  
「凄いドキドキしてるね、アシュレー……」  
「あ、うん……」  
「……ほら」  
そっと抱きしめている彼の右手を取ると、ゆっくりと導いて――自らの胸に押し当てた。  
「マリナ……ッ?」  
「私も同じくらいドキドキしてるんだよ……」  
確かに――手の先から伝わってくる鼓動は、爆発するかと思えるくらいに高まっている自分のそれと同 
じようだ。  
が、そんなことよりももっと戸惑うことがアシュレーにはある。  
「い、いや、そのッ……マリナ、そこは……」  
布越しに伝わってくる感触は、抱きしめていた時よりも柔らかいもの。  
左胸の膨らみが、鼓動と共に柔らかさをもたらしている。  
思わずより強くそこを知りたくなるが、どうにかこらえて腕を引こうとする――が。  
「もっと、よく確かめて……」  
マリナの方から、アシュレーの腕をより強く引っ張ってきた。  
 
(こういう時に迷ってるなら……そっちの方が、よっぽど格好悪いよな……)  
やっと覚悟を決めると、思い切ってその手は服の上から膨らみを包むように広がる。  
「んッ」  
同時にマリナから吐息が漏れる。  
一瞬手を止めようかとも思ったが、彼女から否定するような態度も出てこないので気を取り直す。  
「……確かに、凄いドキドキしてるんだな……」  
はっきりと彼女の鼓動は伝わってくる。  
けれど、そう言いながらもアシュレーの手は恐る恐る膨らみを揉み始めていた。  
「そッ……そうでしょ……? 私もね、アシュレーがこんなに近くで、すっごく……ん……」  
布越しの上に、ゆっくりと、それもそれほどの力も込めずに揉んでいるから、刺激はまだ少ない。  
それでも、僅かでも身体を走るぴりっとしたものが、マリナの身をよじらせた。  
「ふぅッ……もっと、強くしてもいいよ……」  
もどかしくなってきたのか、小声で懇願する。  
言葉では応えず、アシュレーは少しずつ手に込める力を強くしてみた。  
「あッ……」  
身体に走るものは、それに応じて強くなる。  
まだまだ小さな刺激でも、マリナの吐息は熱さを増していく。  
同時にアシュレーも、伝わってくる柔らかさに戸惑いながらものめりこむ。  
「ぅ、ん……ふぅッ……」  
そうやって、もどかしい刺激が続くうちに、二人の頭には似たようなことが浮かび始める。  
この柔らかさは、服の上からではなく直接触った時にはどれほど増えるのだろう。  
揉みしだかれる刺激は、直にされたらどれほど増えるのだろう。  
共に考えが同じになった時に――  
「あ、あの、アシュレー、私ッ……」  
「その、マリナッ……」  
ほとんど同時に声を出した。  
 
「あ……アシュレーの方から……言ってみて……」  
固まりかけたが、マリナはなんとか声を振り絞る。  
「えッ? あ、いや、そのッ……」  
なんとも間が悪くて、せっかく出そうとした言葉も途切れてしまうが。  
「……アシュレー」  
「あの……マリナ、次は……直接ッ……」  
それでもなんとか言葉にする。  
「服、脱げ……ってこと?」  
「まッ……まあ、そうだけど……」  
「エッチ」  
「うッ……」  
マリナはふっと笑った。  
「うん……私も、直にして欲しいって言おうと思ってたから……でも、私が脱ぐなら、アシュレーも脱 
いで欲しいな。  
 ……やっぱり、恥ずかしいし」  
ばつの悪い顔をしながら、その言葉にアシュレーも素直に頷いた。  
衣擦れの音をするするとさせながら、なんとなしに二人とも顔を合わせずに服を脱ぐ。  
シャツとパンツくらいになったところで、ふっとマリナが声をあげた。  
「あ、アシュレー……」  
「ん?」  
勢いよく振り向く。と。  
「うわッ!?」  
下着だけになった彼女が、迷った顔でそれに手をかけている。  
「こういうの、自分で脱いじゃうのってあんまりよくない? やっぱり、アシュレーの手で外した方が 
いいかな?」  
「なッ……いや、別に、僕はッ、し、知らない、からッ!」  
「じゃあ、私で脱いじゃうけど……いいの?」  
「あ、ああッ! それで全然問題ないッ!」  
思い切り手を振って、慌ててまたアシュレーは後ろを向いた。  
 
ちらりと見えたその肌は、働き者の彼女を象徴しているように適度に日に焼けていた。  
小さい頃に見た時よりも、ずっと大きくなって――肩のなだらかな曲線も、随分と昔とは違う。  
ごくりと息を呑んで、一呼吸ついてから。アシュレーは自分の下着も脱いで、裸になった。  
ゆっくりと振り向く――と、マリナの方もこちらに向いている。  
彼女もまた。その肌を晒して、ちらちらとあちこちに視線を飛ばしているようだ。  
「あ……そのッ……」  
腕でどこかを隠そうにも、全てがあらわになっている以上は隠す場所を決めかねる。  
とりあえず胸を隠してはいるが、そっと陰る部分は足を閉じてもちらちら見える。  
「……なんだか、アシュレー……昔と全然変わっちゃったね」  
「昔って……」  
「一緒にお風呂に入ったりしてたでしょ。もうそんなことしなくなってから何年も経つけど……」  
小さい頃の話だ。  
その時に比べれば、よほど背も伸びたし、筋肉もついたのだし。それに。  
「……あちこち、傷だらけ……だね」  
「ん……」  
ARMSの一員として、モンスターやテロリストと激しい戦いを繰り広げてきたのだ。  
その上一度は爆発するヘイムダル・ガッツォーに巻き込まれて、本当に死に掛けたこともある。  
傷を見るうちに、胸を隠すのも忘れてそこにマリナの手が動いた。  
ぺた、と肌に触れる。  
「やっぱり危険な仕事、ってことだよね……」  
「あ、ああ……でも――」  
「うん、今はもうわかってるから。アシュレーを困らせるようなこと、言うつもりないし……」  
傷をいたわるように、その指は身体の上で躍る。  
「あ、マリナッ……」  
「クレストソーサーとか使えれば、私も手当てできるんだけど……  
 やっぱり普段はリルカちゃんやティム君に治してもらってるの?」  
「あ、ああ。ベリーも使うけど……あの子達には、助けてもらってるのは確かかな……」  
「そういうの……結構、羨ましい……」  
じっと見るように顔を近づけると、マリナは一際大きい傷の一つをぺろりと舐めた。  
 
「……あ、ごめんなさい。その……私のここ、触りたいんだったよね」  
身体を見るのに夢中になっていたマリナは、体勢を戻してアシュレーに告げる。  
「い、いいのか? って、聞くようなことでもない、か……」  
「今更だもんね……」  
遠慮がちに、アシュレーの右手は曝け出されたマリナの乳房に伸びた。  
「んッ」  
服の上から触った時よりも、遥かに手触りは心地よい。  
そして、肌から伝わってくる熱さは桁違いだ。  
「マリナッ……」  
もっと彼女の手触りを確かめたくて、力がこもる。  
やわやわと揉むと、マリナもたまらないように、  
「ん、あ、ふぁッ……ん……あ……」  
身もだえしてアシュレーの手に応える。  
「気持ちいい……?」  
「うんッ……んん、ぁッ」  
その姿を見るのがいとおしくて、揉みしだく力もますます強まっていく。  
右手だけでなく、左手も動かして。両の乳房を刺激すると、マリナは身をよじって悶えた。  
「はぁ、あッ……アシュレーッ……」  
身体を支えるのが辛くなってきたのか、彼女は手を脇についてアシュレーの手に翻弄されるままになっ 
ている。  
だが、夢中になった彼の手によって縦横に嬲られると、たまらなくなって腕から力も抜けてきた。  
「ふあ、あ、アシュレー、強ッ、んッ、ふぁぁッ……」  
「……柔らかいよ、ここ」  
調子にのったのか、アシュレーは好きなようにもみ続ける。  
やがて――蓄積された刺激に耐えかねて、マリナの腕はがくんと崩れた。  
「あッ……」  
そのままベッドに仰向けとなって倒れこむ。  
逃さないように、上にのしかかるような格好でアシュレーは身体を動かした。  
「アシュレー……なんか、こういう時は積極的なんだ……」  
「い、いや、別にッ……」  
何故だか妙に焦った声を出しつつ、まだその柔らかい膨らみを堪能する。  
 
ただ、熱を入れて揉みしだくうちに、つい力が入りすぎてしまったようだ。  
ぎゅ、っとするくらい握ってしまうと、流石にマリナも  
「つぁッ!」  
小さく悲鳴をあげる。  
アシュレーは慌てて手を止めると、申し訳なさそうに彼女の方を向く。  
「あ、ご、ごめんッ」  
「う……ん、アシュレー力強いんだから、加減してくれないと……」  
「そんなに筋肉つけた覚えないんだけど……」  
「でも、実際痛かったから……ね、優しくしてね?」  
「ああ……そりゃ、そのつもりなんだけどな……」  
反省しながら、またやわやわと手を動かし始める。  
「ん……ふぅッ……」  
再び熱い息を漏らし始めたマリナを見てから、少しずつ力を強くする。  
先ほどのような、痛いほどの強さではなく、あくまで彼女をたまらなくさせる力で。  
「んん、ひ、あッ……アシュレー……ッ」  
「ああッ……」  
自在にこねまわすうちに、ふとその先端にあるぴんと立った赤い突起が目に付いた。  
「……これも……いいかな……?」  
一旦手を止めると、顔をそこに近づける。  
「え? アシュレー、どうしたの……んッ!?」  
ぺろ、と舌を伸ばして舐めてみる。  
ぴくんと身体を震わして、マリナはそれに応えた。  
感じている様子を見て取って、今度は少しだけでなくぺろぺろと何度も舐める。  
「あ、ひ、あぁッ……んんッ……ふぅッ……」  
送られてくる刺激が今までと違うためか、彼女は拳をぎゅっと握って何か耐えるような顔になった。  
ちら、と上目でそれを見てから、ますますアシュレーは舌の動きに集中する。  
経験もないのだから、とにかくマリナを悦ばせる場所を探して舌を動かしていくと、彼女はますます身 
をよじらせた。  
「やッ……アシュレー、そんなッ……ひぅッ……」  
幼馴染の悶える声が耳に響く。それだけで、こちらの身体もひどく熱くなってきた。  
 
思い切って、乳房ごと口に含んでみる。  
「アシュレーッ……ん、ふッ……」  
口の中に入れたことで、舌の動きもますます早さと熱さが増す。  
歯を立てないように注意しながら、全体を圧迫するように口の中で弄んでみる。  
「そんなッ……いたずらみたいなことッ……あ、んぅッ……!」  
更に、乳首の先だけを口にすると、ちゅうちゅうと吸い込むようなことをしてみせた。  
「あ、ふぁぁぁぁッ!」  
吸われることがもたらす刺激は、今までになく強い。  
マリナの握っていた拳はほどかれて、そのまま自分の乳房に寄せているアシュレーの頭を抱きしめた。  
「アシュレー、な、なんかッ……す、凄くッ……あ、ふああッ」  
軽く歯が当たると敏感な場所だけに、ぴりっと電気が走ったような気持ちにもなる。  
懸命に自分の胸に吸い付くアシュレーの姿と、伝わってくるぴりぴりとした快感が、マリナの身体をも 
焼くかのようだ。  
「んぁ、あ、あああッ……」  
抱きしめている腕にも力がこもり、彼の頭を自分の胸に押し付けるように強くなった。  
「も、もうッ……アシュレー、ちょっとッ……やめッ……んッ……ひぅッ……」  
「……え……?」  
ひとまず、口を離してみる。  
「……はあ、はあ……」  
マリナも手を胸にあてて、息を整えているようだ。  
「ど、どうかした?」  
「はぁ……気持ちよすぎて……おかしくなっちゃいそうだったから……」  
ぽうっとしたままそんなことを言うマリナに、アシュレーはたまらなくなる。  
ほとんど意識しないまま、気づいた時には彼女に口付けていた。  
「ん……あ」  
唇が離れると、マリナは指でその跡をなぞる。  
「……アシュレー、なんだか赤ちゃんみたいに私のおっぱい……」  
「夢中だったんだよ……あんまり言わないでくれ」  
文句を言われた訳でもないが、アシュレーはなんだか気恥ずかしそうに呟いた。  
 
息を整えてから、アシュレーの身体はマリナの下半身へと移る。  
閉じられてはいるものの、繁みはやや湿った様子が見えた。  
「足、開いてみて」  
「えッ……う、うんッ……」  
少しだけ眉を顰めたまま、マリナはそっと足を開く。  
角度は小さく、あくまで必要最低限といったところだが。  
それでも見えてきた秘所は、とろっと濡れて赤く開いている。  
「……これが……」  
「んッ……」  
見入っていると、そこはまた僅かに開きを増して愛液を零す。  
「触ってみて、ね……」  
「ああ……」  
加減が分からないから、ここでも注意深く入り口のあたりをなぞってみる。  
「くッ……んッ……」  
マリナは――恥ずかしくて、目を閉じようとする。けれど、どうしても時折少しだけ開いてアシュレー 
の方を見てしまう。  
そのアシュレーはまだゆっくりと入り口付近を擦って、中には指は入っていない。  
しかし、露出している場所だけでも、マリナの感じる刺激はまた格別だ。  
「ふぁ、あッ……ん、はぁ……」  
ちゅく……と、零れるマリナの液と指が絡んで音を立てる。  
身をかすかに反らせて、彼女は幼馴染の指がくれるものを受け止める。  
「はあぁ……んんッ……」  
そこで、アシュレーはマリナの肉を掻き分け、少しだけ指を入れてみた。  
「あ、アシュレーッ!?」  
慌てたような彼女の声に、入り口から少し入ったところで止まった。  
「私、初めてだから……そんな、指でっていうの……」  
「ちょっと入れただけなら、大丈夫だと思うけど」  
「でも、ちょっと怖くって……あんまり、奥には入れないで、ね?」  
苦笑して頷くと、アシュレーは膣口のあたりで指をくにくにと動かしてみた。途端、  
「ふあぁああッ!」  
思い切り背筋を反らせて、マリナはあえぐ。  
 
あまり奥には入れないように。彼女の言葉をよく噛み締めて、じっくりと指を動かす。  
肉の壁を押し分けるようにして指を動かすと、マリナの声と零れる愛液は量を増す。  
「ふああ、あ……ん、アシュレー、すごッ……んぁ、ぁッ」  
「マリナの中、熱くなってる」  
「うんッ……私も、熱いくらいッ……あぅあッ」  
くちゅりくちゅりと、濡れた彼女を弄ぶ音は響く。  
指の先から伝わる締め付けや、耳に聞こえるマリナが立てるいやらしい音。  
そして何より、彼女の熱っぽい顔が、アシュレーにもそろそろ一つの限界を招いてきた。  
「くぁぁ、あッ……!」  
「……マリナ……」  
はぁ、はぁ、と――少し気を抜けば何か暴発してしまいそうな、そんな気分になりながら。  
アシュレーは、ちゅ……と指を抜き取った。  
「ん……アシュレー?」  
「そろそろ……いいかな……?」  
既にアシュレーのペニスは、直接の刺激は感じなくてもがちがちに固くなっている。  
彼の声を聞いて、ちら、とそこを見たマリナは丸く目を見開いた。  
「いい、けど……やっぱり、昔より凄くおっきくなってる……」  
「だ、だから昔はやめてくれ……」  
なんとか気を取り直し、滾っているものをマリナの秘所に近づける。  
少しでも早く入りたくて、溢れている肉の入り口を求め先端はさまよう――が。  
「くッ……な、なかなか難しいッ……なッ……」  
場所取りがわからなく、マリナの繁みや膣口の近くを擦るばかりだ。  
それはそれで妙に心地よいものがあるにしろ、まさかそれで終わる訳にもいかない。  
「……アシュレー、早く……恥ずかしいんだからッ……」  
「そ、そういわれても……」  
戦闘ではバイアネットを駆使して精密な戦いを行えるアシュレーでも、こういう時にはなかなかうまく 
出来ないらしい。  
マリナの肌や陰毛の感触をペニスの先で感じるだけでも、下手をしたら暴発しかねない程に昂ぶってい 
る、のに。  
「うッ……なんか、情けない気がッ……」  
意地になったように、先でマリナを擦ってしまう。  
 
「アシュレー……ッ」  
「い、今ッ……あッ」  
ずにゅ……と。  
不意に――本当に、意識しなかったかのように、さ迷っていたペニスはマリナの膣肉を分け入った。  
「あ……ッ!」  
「入っ……た、のか……?」  
まだ入り口を少し進んだだけのようだが。  
「んッ……」  
「よし……」  
安心したのか、思い切った勢いでアシュレーは腰を進める。  
――が。  
「えッ……? あ……アシュレッ……あ、うぁぁぁッ!」  
「マリナ……ッ?」  
ずぶずぶ、とペニスは突きこまれた。  
それは、遠慮とは程遠いような、まったく勢いよいもので。  
「いッ……痛……痛いッ……」  
「え、あッ」  
処女肉を突き破るほどの勢いは、マリナにずんっと響いてしまう。  
「アシュレーッ……つ、強すぎッ……い、痛ッ……痛いよッ……!」  
「ごめッ……くッ」  
マリナの表情によって忘れかけていたが、もぐりこんだ彼女の膣内はひどく熱く――  
そして痛みを拒むかのように、手荒く出迎えている。  
吐き出そうとするような肉の動きは、かえって締め付けを強くしてアシュレーのペニスを歓待すること 
になるのだが。  
「ぬ、抜いた方が……いい、よな……」  
「う、うん、もっと、ゆっくりして……痛いよッ……今のままだと……」  
「あ、ああ……すぐッ……!?」  
抜こうとして、少し腰を引いた瞬間のこと。  
わずかにマリナの肉壁に引っかかったペニスの先から、ひどく暗い快感が流れ込んでくる。  
それは、どくん、と身体の裡の何かに当たった。  
「なッ……」  
 
マリナの痛みを堪える顔や、肉壁を裂くようなこの感触――  
それは、アシュレーの中の昏いものを呼び覚ますきっかけとして、ぞくりと身体を走る。  
「ぐッ……こんな時にッ……」  
「え、アシュレー……?」  
まだ身体を貫かれた痛みは十分過ぎるほどに走っている、が。  
腰を引きかけたアシュレーの顔は、自分以上に何かを耐える――ひどく辛そうな顔になっているのだ。  
「まさか……」  
「だいッ……じょうぶ、だから……」  
「……こんなことでも……そう……」  
「ごめんッ……本当、にッ……」  
まだ突き刺さったままのアシュレーは、身体を中から飲み込むような痛みをくれる。  
――けれど。  
「……ん、アシュレー。私、我慢するから……好きなだけ、突いてみて」  
「……なッ」  
「無理に我慢するとかえってよくない……そう思う、のッ……ん……ッ。  
 痛みなら、大丈夫……アシュレーのくれるものだから、我慢する……ッ」  
「そんなッ。そんなひどいことしたら、かえってッ……」  
目じりには涙も零れているのだが、それでもマリナは笑ってみせた。  
「いいから……いいえ、もっと痛くしてみて。アシュレーと一緒に戦えない私だけど……  
 少しでも、その痛みを感じられれば、私も……アシュレーと同じになれる……」  
「で、でもッ……」  
「いいから、ね? 私に任せて、アシュレー。昔から、色々教えてあげたでしょ……」  
顔は青くなっているほどに、マリナの痛みは大きいのだろう。  
十分に濡れていたと言っても、初めてにしてはあまりに急に入れすぎたのだし。  
それなのに、彼女はむしろ微笑んで、アシュレーから痛みを貰うことを望んでいる。  
「……僕の負け……だな。ごめん、マリナ。多分加減とか……できないと思う」  
「そっちの方が……嬉しいよ」  
それでもなお、マリナは微笑んだ。  
 
「……いくよ」  
「……うん」  
ごく、と息を呑んだマリナは、なるべく力を抜いて備える。  
――それでも。  
ずッ……と、先ほどよりもなお強く、一気に奥まで突き刺さる勢いは――  
「痛ッ……んッ……」  
「……ふぅッ」  
身体がばらばらになるような、そんな錯覚まで呼び起こす。  
「ん、アシュレー……もっと……強くしてもいいからッ……」  
「マリナッ……」  
かすれかけているアシュレーの声を聞いて、涙をぽろぽろと流しながらも彼女は微笑んでみせる。  
むしろ腕を彼の背中で組んで、より自分に近く密着させようと抱きしめるのだ。  
「マリナッ……ごめん、マリナッ」  
「謝らなくてもいいからッ……つぅッ……」  
マリナの膣内を強引に分け入り、引き裂いて、奥を突く。  
それでも出来れば痛まないようにと頭の片隅では思っているのだが、狭く震えるような膣肉にそれを忘 
れかけてしまうのだ。  
彼女の顔を見るのが辛くて、それでもペニスを締め上げる感触は恐ろしいほどに気持ちよくて――  
何かから逃げるように、腰を動かすのが早くなっていく。  
「マリ、ナッ……く、うぅッ!」  
「はぁ……つ、うッ……うん、アシュレーッ」  
奥に入れようとすると、肉壁は拒むように抵抗してくる。  
ざらざらとした感触が、ペニス全体に広がって――こんな状況なのに、気持ちいい。  
「ごめッ……ホントにッ……」  
「だから、アシュレーが謝らなくてもッ……んッ……いいからッ……つッ……」  
そうして抜こうとすると、今までとは逆に捕まえておくかのようにぎゅっと締め付ける。  
彼女の痛みとはまるで正反対の、そして何もかも感じたことのない気持ちが。  
アシュレーの裡で燃える昏い焔をはやらせ――また、鎮めていくようだ。  
「……マリナッ」  
「うん、アシュレーッ……アシュレー、もっとしていいよッ……!」  
彼女の言葉も、もう素直に受け止められる。  
 
破壊の衝動と、たまらない愛おしさが一緒になってマリナの中へ中へと進みたがる。  
こつんと最奥を叩くと、きゅっと全体が締め付けられもする。  
肉壁を思うさまに蹂躙――そう、好き放題にいたぶるような、そんな突き込みをしても、なお。  
「もっとッ……痛いけど、嬉しいからッ……もっと、してッ……!」  
マリナは微笑んで――痛みを享受している。  
「ああ……マリナ……ッ!」  
幼馴染の処女の肉を、アシュレーは存分に引き裂き、愛する。  
膣肉はそんなアシュレーのペニスを包み込み、きゅっと締め付けてくる。  
じゅち、じゅち、と激しく音を立てる二人の間からは、僅かずつ赤いものが流れ出ているが――誰も気 
にはしない。  
ずん、と強く突くたびに、マリナは息を吐きながらアシュレーを強く抱きしめている。  
「んッ……!」  
爪を立てたりするようなこともなく――あくまで、マリナは痛みを受け止めているのだ。  
それがアシュレーの全ての意識を膣内のペニスに集中させて、震えるような快感を生み出す。  
背筋に何かたまっていくような、ペニスの先にも何かどろっとしたものが溜まっていくかのような。  
「ぁ……つ……ん、アシュレーッ……」  
自分の名前を呼んでくれる人を、こんな風にひどい目に合わせている。それなのに。  
「……マリナッ……気持ち、いいんだッ……そのッ……」  
「そうッ……ん、私、平気ッ……だから、気持ちいいなら……アシュレーの好きに、してッ……」  
まだ彼女が感じている様子はない。痛みばかりしか感じていないのだろう。  
そんな彼女の肉を味わうのは後ろめたく、それでも気持ちよくて。  
とろけるような肉壁を味わううちに――ようやく、溜まったものが出ようとして自己主張を始めた。  
「あッ……マリナ、そろそろッ……」  
「え……」  
「もう、僕もッ……出るッ……」  
「あッ……んッ」  
それを聞いた瞬間、マリナはぎゅっとアシュレーを抱きしめた。  
「……中にして、ね」  
「で、もッ……」  
「お願い……」  
 
「けど、そんなことしたらッ」  
「大丈夫だよ……今日は大丈夫だから、それに……ッ」  
下腹に力を込めたのか、急に締め付けが強くなった。  
「マ、マリナッ!?」  
「ね、抜けないよね……だから、お願い、アシュレー……ッ」  
「くッ……わ、かッ……たッ……」  
彼女の意図はいまいちよくわからないけれど、思い切ってペニスをずんっと強く打ち込んだ。  
一番奥――彼女の子宮口を小突くほどに、奥深く突き刺さる。  
そして。  
びゅるッ……びゅ、びゅるるるるるるッ!  
「あ……あッ……」  
「ん、アシュレー……わかるよ、出てるッ……!」  
自分で慰めた時など話にならないような、凄まじいまでの解放感と共に。  
白い粘液は、だくだくとマリナの中に流れ込んでいく。  
「マリ……ナッ……」  
「もっと、もっと出して……私が、アシュレーで溺れちゃうくらい……」  
言葉に促されるようにして、どろどろとしたものはペニスから流れていく。  
同時に、ゆっくりと裡で燃えていた昏い焔もくすぶり、眠りについていくのが――直感ではあるが、理 
解できた。  
「くッ……」  
二人のペニスとヴァギナの間から、とろっと精液は零れ出す。  
それほどに多量を注ぎ込んで、まだアシュレーは止まらない。  
「こんなに……ぐッ……」  
「はぁ……あ……」  
彼女の中に、少しでも多く注ぐように――ぐっと深く押し込んだまま、射精は続いた。  
「……んッ……」  
「……あ……」  
ふっと全身の力が抜けて、マリナの上に崩れ落ちると。  
何もかもが流れ出たような、心地よい虚脱感と共に――  
ようやく、アシュレーの精の勢いはおさまる。  
「……お、終わった……」  
「うん……」  
 
衝動も収まり、アシュレーはやっと冷静になってきた。  
が、そう考えると今やったことは。  
「……マリナ、本当に……その、よかったのか?」  
「え? 中で……出したこと?」  
「あ……う、うん」  
少しだけ彼女は考え込むような顔をする。  
「うーん……あ、そういえば、今日は安全な日じゃなかったかも」  
「ええッ!?」  
「……ねえ、アシュレー?」  
驚く幼馴染に、マリナはにっこりと屈託のない笑顔を向ける。  
「赤ちゃんできたら、嫌なの?」  
「それはッ……でも、その……」  
「私はすっごく嬉しいな。でもアシュレーが嫌なら、仕方ないけど……」  
にこにこしているが――目は。  
「い、いや、嫌じゃないよッ。そうだな、マリナと赤ちゃんできたら僕もッ……」  
笑っていないのだ。マリナの、その目が。  
「そうだよね、うん。ふふ……」  
「う……」  
どうも――なんとなしに、ひどく嫌な予感がして、アシュレーは冷や汗を流した。  
「と、とにかく……」  
やっと身体を起こすと、そっとペニスを引き抜く。  
「んッ……」  
こぷこぷと、膣内に収まりきらなかった精液が零れ出てきた。  
シーツに溜まりが出来て、それでもとろとろと流れている。  
「本当……沢山出たよね、アシュレー」  
「僕もびっくりするくらい……あ」  
シーツの一部に、じわりと赤い染みが広がっているのが見える。  
「……初めて――だったんだよな……」  
「……アシュレーにあげるって決めてたから……昔から。だから、私、凄く幸せ……」  
 
また更にしばらくして、流れ出る精液も底をついたようだ。  
そんな光景を見ていたアシュレーにとっては、またいつの間にかペニスが力を滾らせているのだが。  
「……じゃ、じゃあ、これで……」  
「……待って、アシュレー」  
ぎゅ、と。彼女は腕を握っていた。  
「な、何?」  
「……元気だよね、そこ」  
「うぇッ……そ、そりゃあ……ご、ごめん」  
目ざとくアシュレーのペニスを見つけていたマリナは、またにっこりと笑う。  
「なんだか、沢山零れちゃったし。また、精液もらっておきたいな」  
「マリナ……って、なッ……」  
さりげなく凄いことを言う彼女に、アシュレーは絶句する。  
「ねえ、収まらないでしょ?」  
「それは……でも、そのッ……」  
マリナは下腹部に手をあてて、なんだかうっとりとした様子で、言う。  
「……ほら、ここにはまだ沢山アシュレーが入るよ……それに、痛みも結構なくなってきたし……  
 してくれるよね、アシュレー?」  
「……はい」  
これは多分、長い間の一緒の生活が身に染み込ませた習性なのだろう。  
マリナに強く出られると――アシュレーは、もう何も言えなくなっていた。  
「……じゃあ……」  
再び仰向けになって、待っている彼女の上に覆いかぶさっていく。  
そして、精液でとろとろに汚れているペニスを、そのまま彼女の秘所に押し当てる。  
二度目で、今度はスムーズに――入った。  
「んッ」  
マリナの方も、先ほどよりは遥かに楽な顔で受け入れる。  
「……本当に大丈夫かい?」  
「ちょっと、まだ痛みはあるけど……大丈夫」  
 
ぐっちゅ、ぐっちゅ……と、今度はゆっくりとストロークをとる。  
「あぁ……う、あ……ん……あぅ……」  
じっくりと、なるべく彼女も感じてくれるように動く。  
今さっき破瓜したばかりで、それも手ひどく痛めつけられた膣肉はそう簡単には感じないのだが。  
だとしても、アシュレーは今度は優しく動いていた。  
「はあ……あ……ん、アシュレー……」  
「ん……」  
「……さっきは、痛くても嬉しかったけど……今は、あんまり痛くないし、それに……」  
ちゅぷ……と、精液だけでない湿り気が膣内に少しずつ現れている。  
「……やっぱり、優しいアシュレーが……一番好き」  
「……ああ」  
アシュレーにとっても、彼女を傷つけるよりはいたわりたい。  
丁寧に、傷を癒すように中を突く――いや、突くというよりは撫でるように動く。  
「はぁ……ん……」  
吐息を漏らす唇に、アシュレーはそっと自分のそれを近づけた。  
「……ん、アシュレー」  
少し顔を上げて、求めてきたマリナに応える。  
また舌を絡み合わせて、唾液を共に交換しあって――  
同時に、膣内も擦りあげる。  
「ふぁッ」  
ふ、と口を離す。  
そうして、また少し動きを早くした。  
ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅッ。  
「あ、あ、アシュレー……ん、くッ……」  
感じているのは確かなのだ。  
が、まだ痛みを完全に打ち消すほどには感じてもいないのだろうし、絶頂も恐らく程遠い。  
それでも、今度こそはマリナにも快感を与えたいと、アシュレーは腰を動かすとともにまた乳首を口に 
含む。  
「あッ……そこ……」  
 
ちゅうちゅうと甘えるように吸い込むと、マリナも  
「ふあぁぁぁッ……」  
これに関しては心から気持ち良さそうにあえぐ。  
「アシュレー……ん、そこ、好きなの……?」  
「……ッ」  
こくんと頷いてから、また吸い上げる。  
「はあ、あ……仕方ないね……じゃあ、アシュレーと私の赤ちゃんも……こんな風に、お乳を吸うのか 
な……ッ」  
「ッ!?」  
びくっとアシュレーは震える。  
――ともかく、胸を刺激することで膣内の痛みから少しは目を逸らすことも出来たようだ。  
ちゅ、と口を離すと、マリナもうっとりとした目つきになっていた。  
「ん……アシュレー、気持ちよかった……」  
「そっか……なら、よかった……」  
もう一回キスをしてから、突き込みをする。  
ぐちゅぐちゅぐちゅッ。  
愛液がとろとろと膣内には満ちてきている。  
先ほどの異常な締め付けとはまったく違うが、今度のは柔らかく包み込むようにペニスを締めているよ 
うだ。  
「はんッ……ふう、アシュレー……ん、ふぁ……」  
「マリナ……」  
「アシュレー、好き……好きだよ、アシュレー……」  
「僕もッ……」  
ぴちゅぴちゅと、優しくアシュレーのペニスはマリナの膣内を行き来する。  
愛液のぬめりは増して、なめらかに中を動ける。  
それがじっくりと彼女の肉を感じさせ、一度出して収まっていたものも段々と高まってくる。  
「くッ……」  
再び、背筋に溜まるものを感じる。  
「あ……アシュレー、そろそろ……?」  
「……わかる?」  
こくんと頷くと、またきゅっとマリナはアシュレーを抱きしめた。  
 
「マリナ……やっぱり……」  
「中で、ね……」  
「……ああ……まあ、もう仕方ないかな……」  
達観したように呟くと、一気に限界を超えないように、コントロールしながらペニスを動かす。  
「ん、んッ……」  
なるべく奥へ奥へとものは動いて、彼女の期待に応えるように一番奥を目指していく。  
「くッ、う」  
ざらっとした感触と、ぷりぷりとした肉の弾力がペニスに響く。  
そうして、我慢しながら抜き差しを続けるうちに――  
「は、ぁ……アシュレー、ねッ……」  
「んッ!」  
限界がやってくることに気づいて――思い切り、深く打ち込む。  
「ふぁぁぁぁッ!」  
痛みなのか、快感なのか――境界線のような声をあげて、マリナが喘いだと同時に。  
「ぐ、出ッ……!」  
「ん、出して、出してッ!」  
びゅ、びゅる、びゅるるるるるッ!  
白濁が――また。  
熱い液体が、マリナの膣内を――染める。  
「あ、ああ……また来てる、アシュレーの熱いのまた沢山出てるッ」  
「う……ぐ……」  
二度目でも、その勢いは変わらないようだ。  
マリナを打ち抜くように、彼女の奥の奥までそれこそ侵食するかのように、白い液は彼女を犯す。  
「熱いよ、アシュレー……こんなに、沢山ッ……あ、中で、溜まってるッ……」  
「うんッ……」  
愛液も混じったことで、溢れる精液の勢いは強くなったようだ。  
膣内はすぐに染められ、またとろっと零れ落ちていく。  
 
「あふ……あ……」  
二度目の終わりを迎えて――今度こそぐったりとして、アシュレーはマリナと重なるように倒れた。  
「……アシュレー……お疲れ様……ん、気持ちよかったよ……」  
「……ああ、僕も……疲れた……」  
そういう彼を、マリナはぎゅうっと抱きしめる。  
「ねえ、アシュレー。カイバーベルトとか、ロードブレイザーとか……全部、終わったら……」  
「……マリナ」  
言いかけた彼女の唇を、そっとついばんでから――アシュレーが言う。  
「その先、僕に……言わせてもらえないかな」  
「え……」  
「その……えっと……」  
思い切り深呼吸して、声を出そうと――して。  
「……あ、やっぱり……やめた」  
「えッ?」  
やや不満そうに声を出すマリナに、アシュレーは少し苦笑する。  
「いや、こういうこと言ってから戦いに出ちゃうと、なんだか不吉な気がしてね」  
「……でも」  
「……大丈夫。僕は必ず帰ってくるよ。大体さ……」  
ちら、とマリナと自分が繋がっている部分を見る。  
「……責任、取らなきゃならないからな。おばさんにも申し訳ないし」  
大真面目にそう言った彼に、マリナは――  
「……ふふッ」  
毎朝アシュレーを起こした時のような笑みを浮かべる。そして、アシュレーにしても。  
「……ははッ……」  
笑って、そうして――  
「……ちょっと、休もうか」  
「そうだね……」  
抱き合ったまま、二人は瞳を閉じた。  
 
 
 
「で、どうするんです先輩?」  
「どうするたって、どうしよう?」  
いい加減に仕事が滞っては困るからと、医務室勤めのモモとリンダはこっそりと部屋に入ってきた。  
そこで見つけたのが、抱き合って眠る二人である。  
「……これ、アーヴィング様に報告すべきなんでしょうかね?」  
「いやあ……流石にそれはねえ……」  
二人とも、顔を赤くしながら困っている。  
「起こします?」  
「……それもアレだし……えーっと……」  
なんとなしに、ヴァレリアシャトー内の人員のカルテを取り出す。  
「アシュレー君もマリナさんも病気とかないし、多分問題はないわ」  
「そういう問題ですか?」  
「そういう問題じゃないわよね……」  
「……私、助産婦の仕事したことないです」  
「いや、そこまで話を飛躍……って、ありうるけど……」  
――看護婦は、心底困っているというのに。  
ベッドの二人は――  
「……マリナ」  
「……アシュレー」  
お互いの名前を呼んで――実に、まったく。幸せそうに眠っていた。  
 

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