古来から、ファルガイアの住人に稀に見られる力がある。  
『夢見』の力――夢の中で啓示を受け、未来に起こることを知るという驚くべきもの。  
与えられる啓示は曖昧で、詳しいことは分からないのだが、それでも使い方によっては大変な役に立つ。  
過去、ファルガイアを襲った幾つもの危機があった。その時も、『夢見』の力はおおいに働いたと伝え 
られているのだ。  
そして現在。世界は至る場所が荒野と化し、海さえも枯れ果てて、緩慢なる滅びが訪れようとしている。  
この状況にあって、ガーディアンと語らう者の土地、パスカーの里に『夢見』の力を持つ一人の少年が 
いた。  
名前をシェーン・キャラダイン。若き神官候補である。  
 
「前々から気にはなってたんだが――あ、福神漬け取ってくれ」  
「あ、はい。兄上」  
もりもりとカレーライスを食べている巨漢の男と、それに比べて随分儚げな印象の少年がいる。  
少年の方もカレーを食べてはいるが、巨漢に比べると明らかに食が細く見えてしまう。  
これは巨漢の方が勢いが良すぎるほどに食べているからで、少年が食べていない訳でもないのだが。  
ともあれ――巨漢は、その名前をギャロウズ・キャラダインと言い、少年――シェーンの兄である。  
やはり彼も神官候補ではあるが、外見同様豪快な性格なのであまりそうは見えない。  
「お、すまねえな。で、なんだ――お前の、その『夢見』なんだがな」  
ギャロウズは、シェーンが渡してくれた福神漬けを美味しそうに貪りながら、ふっと呟いた。  
「夢見?」  
「ああ……具体的にだ、どんなもんが見えるんだ? 予知って言うが」  
「そう、ですね……」  
カレーを食べるスプーンを置いて、少し考え込む。  
「確か……黒い服を着た、一人の……女の子、だったはずですが」  
「女の子だとッ!」  
だん、と。ギャロウズはテーブルを叩いて立ち上がる。  
「あ、兄上?」  
「お……す、すまん。思わず反応しちまってな。で、どんな子だ?」  
身を乗り出して、彼は弟に聞く。少し前とは気合の入り方が明らかに違うようだ。  
「そ、それは、その……どこか寂しそうな顔をした、わりと……綺麗な人、で……」  
「おおッ!」  
更にぐいっとギャロウズは身を乗り出す。  
 
「で、で、その子はどんなこと喋るんだッ!?」  
「で、ですから、それが……夢見の内容なんです」  
「――あ、そうか」  
ようやく落ち着いて、ギャロウズはカレーに手を戻した。  
「俺にも夢見の力がありゃあなあ……そんな綺麗な子とお近づきになれるってんなら、喜んで夢を見る 
んだが」  
「お近づきって……どんなことするつもりなんですか」  
呆れた様子で、シェーンは呟く。  
「そりゃあしっぽりとくんずほぐれつ……ううむ、夢でだけ会える愛しい人ッ!  
 くう、こりゃロマンだぜ、おいッ!」  
「はあ……そんなもんですか……」  
どうもぴんと来ない顔で、シェーンは首を傾げていた。  
夢の中の女性が、見た目は10代前半程度でしかないと知れば、ギャロウズもそこまで期待することは 
なかったのだろうが――  
生憎、シェーンはそんなことまでは言わなかったし、シェーン自身も兄が妙な誤解をしているとは思っ 
ていなかった。  
「で、お前はどうしてんだ、その子相手に」  
「どうって……ですから、夢見の言葉を聞いて、それだけですけど」  
「勿体無い……よし、シェーン。兄として俺が一ついいことを教えてやろう」  
にやっと笑いつつ、ギャロウズはカレーのついたスプーンで弟を指し示す。  
「次にその子が夢に出たら、お前の魅力を発揮してだな、うまい具合にその子とラブラブになるんだよ 
ッ」  
「……兄上、その、なんでそんなことする必要があるんですか?」  
「決まってるだろッ。夢の中とは言え、キレイな女の子と二人っきりッ。  
 しかもわざわざお告げをするってことは、お前に好意を持ってるってことだろッ」  
 
「そ、そうなんでしょうか」  
「そうなんだよ。お前を選んでお告げをしてくれるってことはだ、お前が好きなんだな。  
 ってことは、ちゃんとその想いに応えてやるのが立派な男の態度だぞ?」  
「……でも、夢の中の君……その子がそんな理由でお告げを下さるとは……」  
「そこがわかってないんだなぁ、お前の場合は。だいたい神官ってのは、ガーディアンに好かれてなん 
ぼの仕事だろ。  
 つまり、お告げのをくれるのがガーディアンだかなんだか知らないが、相手に好かれてこそ完璧にな 
るってな訳だ。  
 大体お前もう17だろ? ババアのせいで、外に出る機会がないからなあ……  
 そろそろ、男になってもいい時期なんじゃないかってな。兄としては色々と心配してるんだ、これが」  
「……兄上の仰っていることがどうもよく理解できないんですが。男になるって、もうとっくに……」  
きょとんとしているシェーンに対し、ギャロウズは大仰に天を仰いで嘆いてみせる。  
「かー、わかってねえな。俺だったら、そんな夢でもなんでもキレイな子と一緒なら遠慮なんてしなぐおッ!?」  
熱弁を振るっていたギャロウズは、後ろから頭をしたたかに殴られた。  
「何をシェーンに吹き込んでおるか、この馬鹿者が」  
彼を殴った得物は杖で、その持ち主はハル。二人の祖母であり、神官としての師匠でもある。  
「い、いやあ、ちょっとしたお茶目ってヤツで……だ、だから殴るなババアッ!」  
「ふん……下らぬことを並べ立ておって。よりによってシェーンの夢見を汚すようなことを……今日は 
特に念入りに修行するからの」  
「ちょ、ちょっとしたユーモアだろ、おい、俺はだから悪気があった訳じゃなくってだな――い、痛い 
って言ってるだろババアッ!」  
年のわりに勢いよく、ハルの杖はギャロウズをぽかぽかと殴る。  
どうにも滑稽な様子に、少しぽかんとしていたシェーンもやがて少し笑い――  
とりあえず、神官候補達とかつての神官は普段どおりに修行の場へ向かった。  
 
その夜。  
修練を終えて、眠りについたシェーンは――どことも知れない場所で、一人の少女と出会う。  
「……夢の中の君……」  
「また会えたわね……シェーン」  
名前も知らないその少女こそ、昼に兄に話した『夢見』の少女だ。  
彼女の言葉は意味深で、一度聞いただけではその真の意味まで理解するのは難しいものがある。  
しかし、正しく解釈できたなら、未来に起こりうる災厄を避けることも可能なのだ。  
「今日は、あなたに少し悲しい話があるの。間も無く、貴方の大切な人が貴方の傍から離れていくこと 
になるわ」  
「大切な人、ですか……」  
「けれど心配しないで。それは一時の別れに過ぎないから。時が来れば、再びその人とも語り合うこと 
だって出来る」  
「……それは、兄上のことなんでしょうか」  
問いかけても、夢の中の君は小さな笑みを浮かべるだけだ。  
謎めいた微笑みからは、その言葉の真意を伺うことは出来ない――が。  
「……はい。例え誰であっても、再会する時があるのなら、その時を待とうと思います」  
今まで、彼女の言葉が不利益をもたらすことはなかった。  
ならば、疑いなく信じても、彼女が不利益をもたらすことは有り得ないのだろう。  
「そう。貴方にとっては辛いことになるかもしれないけれど、それが賢明よ、シェーン」  
「……はい」  
じっと目の前の少女を見つめて、熱にでも浮かされるようにシェーンはこくりと頷いた。  
その瞳には、全幅の信頼がある。尊敬する兄上と同じように、少年にとって夢の中の少女の言葉は絶対 
だった。  
 
もっとも『夢の中の君』にとっては、こうも慕うシェーンにしても都合のよい手駒にしか過ぎないのだ 
が。  
『夢の中の君』――夢魔ベアトリーチェ。  
電気信号によってその身を形作られ、そしてそれゆえに電気信号の世界である夢を自在に操れる。  
ガーディアンの神官候補のシェーンは、彼女にとっては実に都合のよい手駒となるのだ。  
(……容易いものね。あのギャロウズ・キャラダインが里から出たがっているのは、簡単に読み取れる 
ところ。  
 そんな事実を教えるだけで、シェーンにとってわたしは神のようにでも思えるはず……)  
こうやって、些細な、しかし正確な事柄を教え込むことで、シェーンの信頼を得る。  
いずれ訪れる計画遂行の時には、彼に役に立ってもらわなければいけない。  
だから、その時までに自分を妄信するところまで導いておかなければ。  
そのような思索は完全に表に出さず、あくまで未来を教える『夢の中の君』としてベアトリーチェはシ 
ェーンに向かって微笑んだ。  
 
――いつもなら、この辺りで夢を打ち切り、自らの居城へと引き上げるのが慣習となっている。  
しかし、今日に限ってシェーンが不意に口を開いた。  
「あの……一つ、お聞きしてよろしいでしょうか」  
「……何かしら」  
彼が能動的に質問をしてくることは珍しい。少々警戒しつつ、ベアトリーチェはじっと少年を見つめる。  
「実は、その……兄上が言っていたんですが……」  
シェーンの口調は控えめで、問いただすというようには見えない。  
「貴方が、僕にこうしてお告げをしてくれるのは、一体どうして……なんでしょうか」  
「わたし、が?」  
質問の意図を測りかねて、ベアトリーチェはシェーンの様子を詳しく解析しようとする。  
「貴方がこの言葉を聞いて、そして未来を掴んでくれる。そう思っているからこそ、  
 こうして貴方の手助けをしたい……だから、なのだけれどね」  
「僕に期待して下さっていると?」  
「そう……そういうことよ。満足してもらえたかしら?」  
「なら、やっぱり……」  
しばらく彼は考え込んでいたようだが、不意に顔を上げる。  
「あの、じゃあ、僕に好意を持っている……って、そう解釈してもよろしいので……」  
「……ええ」  
なんとも話が掴めない。こういうことを気にする少年ではなかったはずなのに。  
「なら、兄上の言う通りにした方がいいってことに……?」  
「今日は一体どうしたの? 悩みがあるなら……わたしが助けてあげることも出来るのだけど……」  
「それは……その」  
言いづらそうにしているシェーンに、ベアトリーチェは優しく微笑んでみせる。  
「貴方のような人が好きだから――ファルガイアを助けてくれると信じているから、わたしはここにい 
る。  
 その貴方が困っているのなら、何に代えても助けてあげたいわ……」  
表面では、まさに『聖女』のように微笑んで、言葉も優しく包み込むように発して。  
しかし、ベアトリーチェの内心では実に冷たいものが流れていた。  
(……茶番ね。まったく下らないわ。余計な手間を掛けさせてくれる)  
 
「い、いえッ、兄上が言っていたんですが、好かれているならそれに応えるのが礼儀だと」  
「応える?」  
「くんずほぐれつでしっぽりって……あ、いえ、意味はちょっとわからないんですが、  
 それが自分を好いてくれる人物に対する礼儀だそうで……」  
「……くんずほぐれつ? しっぽり?」  
「で、ですから、僕もそうすべきなのかって……あ、それをご本人に聞くのはかえって失礼かもッ?」  
「……そう」  
シェーンの兄の性格は知っている。多分何かの勘違いか何かで、そんなことを弟に吹き込んだのだろう 
が。  
(つくづく迷惑な話ね……わたしをどういう存在だと考えているのかしら……)  
相変わらず、表面では穏やかな微笑みを浮かべているが、内心は随分苛立ちが起きている。  
下手な人間ならいくら笑顔を浮かべていても青筋の一つくらいは立っていそうなものだが、流石に夢魔 
である。  
少なくとも、外見にはまったく変化は表れていないのだ。  
「要するに――性交でもしたいと言いたいの?」  
「え? あ、って、せ、性交ッ!?」  
「……そういうことでしょう?」  
「え……な、そ、それはッ……」  
はっきり返答してやったら、シェーンは途端に真っ赤になった。  
性交の意味くらいは知っていても、自分の言ったことがそういう意味になるとは考えていなかったよう 
だ。  
世間知らずというか、なんというか――ああいう兄を持つわりには困ったことである。  
(――とはいえ……)  
そこで、ベアトリーチェはふと考え込んだ。  
これまでニンゲンを騙して利用する際、言葉巧みに誑かすことはあってもそういう類の手段で篭絡した 
ことはあまり無い。  
完全に無い、とは言わないが、特にここ十年来騙してきた相手――  
デュランやラミアムといった連中に対しては、言葉と態度だけで篭絡も出来た。  
彼らは孤独で、他者との繋がりを求めていたから、そういう心の隙間を狙うことであっさりと陥落せし 
めたのだが。  
(シェーンは……家族のこともあるのよね……)  
目の前の少年は、祖母や兄といった家族と強い信頼関係を築いている。  
こういう相手は、状況によっては目覚めてしまうこともありうる――と、夢魔はデータから推測した。  
 
(なら……)  
いっそのこと。シェーンは17歳で、普通ならば性欲などもっとも盛んになる時だ。  
その性格や神官の血筋という事情から、世間の若者よりも疎いとは言え、本能としては求めているのは 
間違いない。  
そういったもので縛るなんて、下らないとは思うのだが。  
(……所詮夢魔だもの。何を気にする必要もないわ)  
自嘲気味に思うと、殊更優しそうな笑顔をシェーンに向ける。  
「わたしとそういうことがしたかったのね。いいわ……してあげる」  
「……えッ!?」  
「気にしないで。貴方ともっと深く繋がりあえるのなら、わたしとしても嬉しいところ。  
 ただね、シェーン?」  
「は……はい」  
「わたしの、この外見なのだけれど――」  
黒い髪に黒いワンピース。黒尽くめの格好に、そして何より。  
「わたしは、まだ幼いように見えるはずよね。こういう年齢の女性とは、普通は性交できないのよ?」  
「え……あ、その……」  
「だけど。わたしは普通のニンゲンではないわ……」  
「あ……そ、そう……です、か」  
「だから、貴方のその望みも叶えてあげられる。嬉しいことね。貴方はどう? 嬉しいかしら?」  
「……はい」  
まさに魅入られたように、シェーンはこくりと頷く。  
「それは何より。――くすくす」  
思わず、いつもの冷笑がこぼれる。このような笑い方は聖女らしくないから、意識して抑えてきたのだ 
が。  
幸いシェーンは気づかなかったようなので、すぐに優しい笑顔に戻す。  
「……ともあれ、シェーン。朝まで時間もないのだから、早く始めるとしましょう」  
「は、はい……」  
まだ夢見心地のように――実際夢の中ではあるが――、シェーンは頷いた。  
 
しかし、シェーン自身は何をしようとする様子もない。  
ぼうっとしているのもあるし、それに彼は経験も知識もほとんどないのだから。  
そんな、戸惑った様子で立っている少年に対し、ベアトリーチェはふっと軽く口元に笑みを浮かべる。  
それから、彼の傍へとそっと動く。  
兄に比べれば小さいと言っても、17歳としては平均的な身長のシェーンである。  
少女のベアトリーチェが前に立っても、その頭は並ぶほどには高くない。  
「さて……まず、貴方のペニスを見せてくれるかしら?」  
「……は、はいッ!?」  
「わたしが取り出してあげてもいいのだけれど、そんなのは情けないと思うでしょう?」  
「あ……はい」  
「だから、こうして見ていてあげるから――自分で、さらけ出してくれるわよね?」  
「…………」  
無言でこくりと頷くと、シェーンはパスカーの民族服をたくし上げ――更に、下着に手をかける。  
――が、言われるままになっているとは言え、考えてみるとこれは――  
「み、見ているん……です、か?」  
「そうだけれど」  
「そんな、じっくり見なくても……」  
「恥ずかしいの?」  
「それは……やっぱり、その……」  
下着に手をかけたまま逡巡する少年に、夢魔はまた笑みを与える。  
「何を恥ずかしがっているの? わたしは貴方のことは全て知っている。  
 だから、取り出すだけならただの作業とも同じ――恥ずかしがる理由はないわ」  
「……う……」  
そんな言葉で恥ずかしさが消えるものでもないのだが、信頼する夢の中の君の言葉は絶対である。  
シェーンは――極めて恐る恐るではあるが、自身の下着を下ろしていった。  
 
「……へえ」  
ゆっくりと表に出てきたシェーンのペニスは。  
「成る程。貴方の兄は巨漢だからこうだとしても分かるけれど、貴方も……なかなかのものなのね」  
「う、ぅ……」  
その華奢な外見に似合わず、かなりの大きさとなっていた。  
ややグロテスクにも見える肉の棒は、それでもまだ完全な大きさではないらしく少々垂れ下がっている。  
「……くす。では、手始めに……」  
そっと、ベアトリーチェはその白く小さな手を萎えているペニスに添える。  
「ぁぅッ……」  
ひんやりとした感触が走り、シェーンは小さく悲鳴をあげた。  
しかし、夢魔は気にせず――まず、優しく亀頭を撫でる。  
その途端、びくりとペニスが動いた。  
「……随分と元気ね?」  
「ぼ、僕は……その……」  
「結構なことよ。もっともまだ始まったばかりなのだから、そんなに緊張しないでもいいわ」  
言いながら、ゆっくりと刺激を続けていく。  
包み込むようにベアトリーチェの手は動き、くびれの部分をそっと撫でたりして、じわじわと快感を送 
り込む。  
「くッ……うッ……」  
愛撫されているシェーンは、どこか辛そうな呻きを漏らした。  
表情もぎゅっと歯を食い縛り、耐え忍んでいる様子である。  
ちらりと彼の表情を見て、ベアトリーチェはまたくすりと笑う。  
「どう? 気持ちいい?」  
「な、なんだか、凄く……」  
「それなら、安心して続けられるわね」  
苦しそうな顔とは裏腹に、シェーンの吐息は段々と熱くなっている。  
その小さな手と小さな指で、彼のペニスを翻弄しながら――ベアトリーチェは、くすくすと笑った。  
 
刺激を続けるうちに、夢魔の手の中のものはどんどん熱く、固く、そして大きくなってくる。  
それと同時に敏感にもなっていき、シェーンもはぁはぁと息をつく。  
「う、うぁッ……くッ……」  
優しく擦るたびに、ぴくりと彼のペニスは震え――とろりとした先走りも、少しずつ零れ出した。  
「くすくす……ねえ、シェーン。わたしの手に、こんなものを出してくれて……」  
「す、すみま、せ……」  
「違うわ。嬉しいのよ……だって、気持ちいいんでしょう。なら、わたしももう少し頑張らないとね?」  
「……ぇッ……あ、うッ!」  
優しさだけのようだった手の動きに、速さと激しさが加えられる。  
撫でるだけでなく、扱く動きも増えて、流れ出る先走りをペニス全体へとまぶす。  
「ひッ……く、ぁッ……!」  
ベアトリーチェが手を動かすたびに、湿ったペニスは先走りと混ざってにちゃにちゃと音を立てて。  
そっと、指先で先端の発射口を刺激する――と。  
「あッ……な、何か、来るッ……な、あ、うぁッ……」  
シェーンは――悲鳴をあげて、限界を叫んだ。  
「……そう。なら……出してもいいから」  
ちらりと上目遣いで少年の顔を見てから、夢魔はぐっと強くペニスを扱いた。  
――瞬間。  
「ひぅッ……あ、来るッ……き、来まッ……くぁぁッ!」  
びくっと大きく跳ねてから、少年のものはびゅるっと白い粘液を吐き出す。  
びゅっ、びゅるッ……  
断続的に射精は続き、白く熱い液体は周囲に飛び散っていく。  
「んッ……」  
自然と、それは今までペニスを扱いていたベアトリーチェにも降りかかって、黒いワンピースのところ 
どころに白い斑点を作った。  
「あ……あッ……」  
か細い声で呻くと、シェーンの射精もにわかに止まる。  
それから、急に力が抜けたようにぺたりと座り込んでしまう。  
「はぁ、はぁッ……こ、こんなのって……」  
初めて味わった射精に、少年は戸惑いながら息を吐いた。  
 
「……シェーン」  
「あ……は、はい……」  
精を出して虚脱していたシェーンだったが、『夢の中の君』に名前を呼ばれると慌てて顔をあげる。  
「ほら……こんなに出して。随分と汚れてしまったわ」  
「す、すみませッ……ん……」  
彼女の服には、あちこちに白い染みが出来ている。  
今、自分が放った液体が彼女を汚したのがわかり、急に頭が冷静になる。  
「こ、こんなつもりじゃなかったんです……あの、汚そうなんて……」  
「……くすくす」  
しかし、彼女は面白そうに笑っているだけだ。  
「何を謝っているの? 汚れたことなんて問題じゃないわ……  
 貴方が出してくれた、わたしへの信頼の証――それがこんなに多いから、わたしも嬉しいの。  
 だから、次は……わたしの中へ、それを頂かせてもらうわね」  
「な、中……?」  
座り込んだシェーンに、ベアトリーチェはそっと抱きつく。  
「……ゆ、夢の中の君……」  
「そういう呼び方も少々煩わしいわね……わたしのことは、ベアトリーチェと呼んでくれていいから」  
「……ベアトリーチェ」  
聞かない名前だ。パスカーに伝わるガーディアンの言い伝えにも、そんな名前はなかったはず。  
彼女は超常の存在であるはずだから、ガーディアンの眷属か何かと思っていたのだが。  
「さて……サイズとしては入るかどうか微妙なところだけど……」  
シェーンの思考は、そんな彼女の声で止められた。  
「入る、って」  
「貴方のペニスをわたしの胎内へと迎え入れる。それが最終的な目標だから。  
 ただ、やはりわたしはこのような姿だからね。  
 貴方を迎え入れるのに、少々手間取るかもしれないけれど……」  
 
「――ま、それはやってみてから考えましょう。それと」  
戸惑うシェーンに、ベアトリーチェは唇を寄せる。  
「なッ……えッ!?」  
そのまま、少年の唇と夢魔の唇が、小さく音を立ててくっついた。  
更に、ベアトリーチェは舌をシェーンの口内へと伸ばす。  
「ッ!」  
夢魔の舌はシェーンのそれに絡みつき、同時に彼女の唾液を喉へと流し込む。  
暖かいはずのキスなのに、何故かベアトリーチェから伝わる感触は冷えたものがあって――  
彼女の唾液も、どこか冷たいものを感じるようなのだ。  
けれども、艶かしく自分の舌に絡みつく動きは、シェーンの理性に大きなダメージを与えてしまう。  
「……くす」  
くちゅくちゅと二人の舌は絡み合い、やがてベアトリーチェが離れると、シェーンは何もいえずに彼女 
を見つめた。  
更に、夢魔は射精したことで萎えていたペニスに手を伸ばすと、  
「……予定通りね。ちゃんと大きくなっているわ」  
今まで以上に肥大化したそれを、愛しそうに軽く扱く。  
「ぁッ……」  
またびくんと震えて、シェーンは衝撃に耐える。  
「ほら、この程度では出さないようにね? 何しろ、ここからが本番なんだもの。  
 わたしの方の準備は――もう、出来ているから……」  
ベアトリーチェは、そのまま腰を落としていく。  
シェーンの敏感になったペニスは、すぐに熱く潤った何かに触れた。  
「こ、これ……は?」  
「ここに、貴方を迎えるの。よく濡らしてあるから、貴方のペニスも滑らかに入るはずよ。  
 多少刺激は強いかもしれないけれど……あまり、慌てないようにね?」  
もうほとんどまともな判断も出来なくなってきて、シェーンはその言葉にただ頷くだけだ。  
眼前のベアトリーチェは、微笑みながらこちらを見つめていて――  
その黒い瞳を見つめ返しているうちに、ず、と。  
一瞬の抵抗の直後、ひどく熱くて柔らかいものに、ペニスが包まれているのを感じた。  
 
「う、うぁッ!」  
「……ふぅッ……」  
『夢の中の君』の胎内に呑み込まれている――頭ではそう理解していても、身体の方は完全にパニック 
を起こしている。  
先ほどまで手で弄られていた時も快感を覚えたが、今と比べれば話にさえならない。  
とてつもなく熱くて、その上に柔らかい肉壁が搾り取るかのように締め付けてくる。  
更に彼女の膣内そのものが狭すぎて、入り込んだペニスを押し返そうとする力まである。  
「あッ、あぁッ……こ、こんなッ……ぼ、僕、はッ……」  
ぽろ、と、シェーンの目の端から涙が零れた。  
いつも予言を与えてくれる彼女の中が、こんなにも熱く、そして気持ちのよいものだったなんて。  
何もかもをも忘れてしまいそうになるほどに、夢の中の君の胎内は心地よかった。  
快感が強すぎて、シェーンの表情はいっそ激痛を味わっているかのようにさえ見えるのだが――  
ベアトリーチェは、彼の耳元にそっと囁く。  
「随分と感激してもらっているようだけど――まだ、少ししか入っていないのよ?」  
「え……?」  
「ほら……」  
そう言って、彼女はワンピースをたくしあげた。  
――そこには。  
まばらに生えている黒い繁みが少しと、そして――  
固く大きくなっているペニスが、彼女の小さな身体の中に先端だけが入り込んでいるのが見える。  
「ま、まだ、これだけ……?」  
本当に、亀頭の先だけが入っているに過ぎないのだ。  
「いくらわたしの身体がこうだと言っても、もう少しくらいは余裕があるもの。  
 ちゃんと奥まで貰うのだから……きちんと耐えていて欲しいわね」  
「耐える、って、何……ふぁッ!」  
シェーンの肩に手を置いて、ベアトリーチェはぐっと腰を沈める。  
ずぶずぶと少年のペニスが肉を割り、夢魔の膣内を埋めていく。  
 
中を半分以上埋めると、流石にベアトリーチェの息も荒くなる。  
「ふぅッ……ん、抵抗が大きいわね……はぁッ……」  
「あ……ぁ、あ……ッ……」  
シェーンは味わっている快感の激しさのせいで、ほとんど何も考えられないようだ。  
「くすくす……」  
その顔を眺めて、夢魔は薄く笑うと――  
ずッ、と。  
一気に、ペニスを奥まで飲み込んだ。  
「……うあああッ!?」  
「……んッ」  
その瞬間に加えられた激しすぎる抵抗と肉壁の絡みつきに、シェーンは。  
「ま、またッ……ひ、来ッ……うぁッ!」  
びゅるるるるるッ。  
ベアトリーチェの膣奥めがけて、精液を打ちはなってしまう。  
「くす……もう出したのね、シェーン……ん、熱い……」  
彼女も、膣内での射精を感じ取り、それなりには満足そうに頷いている。  
「う……あ、あの、また、出ちゃって……」  
まだ朦朧とはしているようなのだが、シェーンは咄嗟にそんなことを言う。  
しかし、夢魔はくすくすと微笑んでみせる。  
「……大丈夫よ。わたしの中なのだもの、すぐにでも再開できるわ」  
「え……あ、くッ!?」  
きょとんとしかけたシェーンだったが、彼女の言葉はすぐに理解できた。  
射精したばかりのペニスに、ベアトリーチェの膣壁がきゅうきゅうと絡み付いてきたのだ。  
狭すぎる彼女の膣内だから、ただでさえ快感は大きいというのに――  
絡みつく肉壁は、恐ろしいほどの快楽をシェーンに与える。  
「こんなッ……ぼ、僕ッ……!」  
ペニスの先から身体の中の何もかもを吸われていくように感じる。  
あまりの心地よさに、少年のペニスは――すぐに力を取り戻していた。  
 
「ほら。言った通りでしょう?」  
「は、は……い……」  
挿れられているベアトリーチェの方がまだ余裕がある。  
シェーンは――動かないでいても絡みついてくる、彼女の肉の襞が与える快感によって身体を悶えさせ 
ていた。  
「こ、これじゃ……す、すぐ、出てしまいま……ひッ……うッ」  
「そう? そんなにわたしの中は、気持ちいい?」  
「はいッ……あ、うッ!」  
少年の答えにくすりと笑うと、夢魔はゆっくりと腰を持ち上げた。  
つぷっ……と、小さな音と共にやはりゆっくりと繋がっている部分が見えてくる。  
「ほら、見える? わたしと貴方が、こうして一つになっているところが」  
「あ……」  
自分のもの――それこそ、毎日見慣れているものなのに、こうして夢の中の君の胎内に打ち込まれてい 
る。  
根元までどろりとした液体で濡れ、白く汚れてさえいるペニスに――シェーンは目を背けたくなる気分 
だった。  
気分はそうでも、実際に目を逸らすことは出来ないままで。  
ゆっくりと彼女の中から抜けていく様を、じっと凝視している――と。  
「……くすくす」  
一瞬彼女と目があって、薄い笑いを向けられた――直後に。  
「……んッ!」  
ベアトリーチェは、一気に――もう少しで抜けるというところで、また自らの奥までシェーンを呑み込 
む。  
ずちゅッ!  
シェーンの精液と、ベアトリーチェの愛液の混ざったものが、勢いによって押し出される。  
同時に彼女の一番奥までペニスは届いて、子宮口を突き上げる形になった。  
「はぁッ……ん、くッ」  
「あッ……う、うあッ!」  
今度は、ベアトリーチェ自身もかなりの刺激を受けたらしい。  
軽く目を閉じて、しばしの余韻にひたっている。  
とはいえ、やはりシェーンの味わう快楽は凄まじいものだ。  
「……はぁ、はぁッ……く、はぁッ……」  
どうにか射精はこらえたものの、意識が飛びかけてしまっている。  
 
 
「我慢できたのね。それでいいわ、シェーン。  
 もっとも、ここからは更に激しくしていくのだから、この程度で達してしまっては貴方の理性も危う 
いのだけどね。  
 ――大丈夫だとは思うけれど、気をしっかりと持っているのよ」  
「そ、そんなに……?」  
なんとも恐ろしいことを言ってから、ベアトリーチェは再び腰を動かし始める。  
ストロークは大きく取らず、狭い範囲での上下動になるのだが――  
くちゅ、くちゅ、くちゅッ。  
接合部から流れる音もそれほど大きくはない。控えめとも言えるような小さな動きである。  
――しかし。  
「う、うわ、あッ、くぁッ!」  
「……気持ち良さそうね。くすくす……」  
それだけの動きでも、狭すぎるベアトリーチェの膣内では激しい抵抗が生まれる。  
更に襞の絡みつきもますます複雑さを増して、シェーンは自分自身が彼女の中に呑み込まれていく錯覚 
を覚えた。  
「んッ……はぁッ……」  
一方のベアトリーチェもまた、胎内を貫く少年の熱く固いペニスの感触に、たまらない吐息を漏らして 
いる。  
抵抗が大きいということは、彼女が受ける衝撃もまた大きいということ。  
シェーンを嬲りながら、彼女自身も大きな快感を受けているのだ。  
「くすくす……ん、立派よ、シェーンッ……は、んッ……」  
くちゅ、くちゅ――と、小さな音は流れ続ける。  
「う……く、あッ……!」  
シェーンはー―必死になって、射精をこらえている。  
ほんの少しでも気を抜けば、たちまち弾けてしまいそうで。  
夢の中の君に言われたから、そんな無様な姿を晒すのは避けたいのだ。  
もう少し、もう少し――もう少し我慢しなければ。  
「んッ……ふぅッ。今度は、なかなか頑張るわね……」  
「え……あ、はいッ……」  
誉められた――のだろう。そう思うと、シェーンも嬉しくなってくる。  
自分の腰の上で揺れるベアトリーチェを、しっかりと抱きしめてみた。  
 
「はぁッ……ん、シェーン……?」  
少し戸惑ったような彼女の声が聞こえる。  
けれど、ほとんど自分でも無意識の行動だったから――答えられず、ただ彼女が与える快感に耐えるこ 
としかできない。  
「……くす。そう、そんなに……ん、ぁッ……」  
少しだけ寂しそうな声に聞こえたが、それでも何も言えなくて。  
伝えられる快感は、ささやかな我慢さえも吹き飛ばそうとしている。  
「ん、く、ぁッ……ね、シェーン?」  
「……ひぅッ、あッ……え……」  
「……わたしもね――気持ち、いいの」  
「ッ……!」  
耳元に、囁かれたその言葉――  
それと同時に、再びぐいっとベアトリーチェの奥にまでペニスが届くと。  
「あ……くぅッ!」  
びゅッ……びゅるるるるるッ。  
「はぁッ……! ん、出してるわねッ……」  
二度目の膣内射精を、シェーンは撃ち放った。  
「あ……あッ……」  
我慢するつもりだったのに、もうちょっとこらえるつもりだったのに――  
そんな後悔が、頭の中を駆け巡る。  
ベアトリーチェに――夢の中の君に気持ちよくなってもらえて、それは恩返しのような気持ちで。  
それなのに、自分はまたあっさりと――出してしまった。  
「ご、ごめんなさッ……は、ぅぁッ……」  
だくだくと夢魔の膣内に少年の精液は流れ込む。  
その熱さに、動きを止めてシェーンの肩にもたれ掛かっていたベアトリーチェは。  
「……くすくす」  
満足そうに薄く笑ってから、再び彼の耳元に唇を寄せた。  
「謝らなくてもいいわ。わたしを味わっているのに、こんなに我慢してくれたのだから……  
 普通のニンゲンならば、こうも耐えるのは難しいのよ?  
 だから、貴方はもっと自信を持っても……構わないの」  
 
「え……そ、そうなのです……か……」  
「そうなのよ、だからね、シェーン」  
精を吐きつくして、ベアトリーチェの胎内にありながらも萎えかけていたペニスに。  
「……んッ」  
彼女が何か気を入れると、再び中できゅうきゅうと肉の襞が絡みついてきた。  
「う、うぁッ!?」  
「……ん、ふぅッ……」  
そんな部分さえも自由に出来るのか、夢魔は胎内のシェーンを翻弄する。  
萎えることも許されずに、終わることのない快楽が少年を襲い――  
「ほら、もう大丈夫。一緒に愉しまないと……ね?」  
「あ……ああ、あ……!」  
もう、シェーンの身体や意志とは無関係に。  
中に入ったままのペニスは、変わらぬ硬度を取り戻していた。  
「さあ――まだ、舞踏会は終わらないわ。今度は、もうちょっと激しくしてあげましょうか……」  
言いながら、また彼女は腰を動かす。  
ぐっちゅ、ぐっちゅッ……と、先ほどよりも大きめの間隔で、上下動をしているのだ。  
「ん、く、はぁッ……」  
二度も出された精液と、分泌される愛液の助けで、随分と肉の抵抗もスムーズになった。  
もっともあくまで前と比較してであって、やはり異様なまでの締め付けというのはある。  
「ベアトリーチェさ……んッ……く、あぁッ!」  
外見のような、まるで少女の如き高い悲鳴をあげて、シェーンは身悶える。  
「くすくすくす……」  
その声を薄く笑いながら聞き流し、ベアトリーチェは腰の動きと膣内での責めを更に激しくしていく。  
「あ、う、ひッ……う、ああッ……」  
シェーンの悲鳴も高く、細くなっていくのだが。  
「……くす、ふぅッ……はぁ、ん……」  
やはり、ベアトリーチェ自らも快感が高まっているようだ。  
 
そうやってシェーンのペニスを味わいながら、耳元へ囁きかける。  
「気持ちいいわ……貴方のペニスは、随分と美味しいから……くす……」  
「ッ……!」  
「シェーン、貴方は立派よ……んッ。これなら、あの兄上にも劣らないのかも……ね?」  
「あ、兄上……にッ……」  
シェーンの兄への憧れと、そして――  
「貴方は立派なオトコだから……一人でもやっていけるわ……」  
「ぼ、僕、がッ……ひ、一人、でッ……」  
反発。いや、そう呼ぶのとも違う、なんとも哀れな感情だ。  
兄のような力があれば、兄のように立派であれば――  
シェーンがそんなことを思っているのは、今までの接触で理解している。  
「だからわたしの言うことを聞いて、そうすれば……兄上を、助けてあげることさえ……出来るのよ」  
「僕が、助けるッ……!」  
「そう……くすくすくす……」  
心の間隙に忍び込む、夢魔の言葉は――シェーンの理性を、呆気なく吹き飛ばした。  
「僕が……立派なッ……」  
ぐっちゅ、ぐっちゅ、ぐっちゅ。  
ベアトリーチェだけが動いて、シェーンは受身になっているこの音に。  
ぐっ、っと――少年は、不意に彼女の腰を掴んだ。  
「……シェーン?」  
「僕が、頑張れば……兄上を、助けられ……るん、ですよね……?」  
「……くすくす……」  
勝利を確信して、ベアトリーチェは微笑む。  
「……その通り。貴方が立派になれば、それでいいの。  
 ならば、ほら――わかっているでしょう?」  
「……はいッ!」  
シェーンは、掴んだ手に力を込めて――  
思い切って、自らも腰を突き上げた。  
 
「あぅあッ!」  
大きなペニスが、自らの膣内を思いもよらない力強さで貫く。  
これにはベアトリーチェもたまらない声をあげたが、更に。  
「ん、ふあ、あッ! くッ……んんッ!」  
無我夢中になって、シェーンは突き上げてくる。  
ずちゅ、ずちゅ、ずちゅッ――流れ出る水音も変わり、激しく大きくなっていく。  
「ベアトリーチェさ、んッ……あ、うッ……くぅッ!」  
狭く熱い肉の中を、少年のペニスは力強く貫き、抉る。  
自分だけで動いていた時よりも、圧倒的に大きな快感がベアトリーチェにも響いて――  
「シェーン、ん、いいわッ……はぁ、んぁッ!」  
顔を上気させて、その突き上げを受け止める。  
ぐちゃぐちゃと水音は響き渡り、シェーンはもう暴走と言ってもいいくらいに滅茶苦茶に突き上げてい 
る。  
「ああッ……ん、くぁッ! 本当に、立派になったわッ……あ、うぁッ……んッ」  
夢魔の声色からも、余裕が薄れてきている。  
「……ぼ、僕ッ……う、くッ……」  
まだ見た目は幼い少女でも、ベアトリーチェの膣内は甘美に過ぎるから。  
経験がないから、他と比較はできないシェーンにしても、この動きを止められそうにはなかった。  
「あ……ぁ、んッ……シェーン、凄くッ……んぁぁッ! 上手にッ……あ、んッ……」  
今度はベアトリーチェの方からシェーンに抱きついている。  
彼の動きが激しくなったので、好きなようには出来なくなってきたようだ。  
けれど、そんな状況だからといって焦っている様子はない。  
「もう……わたしの中を味わったのなら、普通のニンゲンではね……満足できなくなるはずよ。  
 だからシェーン、貴方は――ずっと、わたしの言うことを聞いてくれれば、それで……  
 ん、はぁッ!」  
「言葉を聞けば……ぼ、僕は……」  
「夢見と共に、貴方には快楽を与えてあげるから……くす……ん、ふぁッ……  
 そう、わたしだけを信じて……わたしを……」  
「……も、もうッ!」  
 
心の底にまでしみこんでくるような囁きに、シェーンの限界も近づいてきた。  
そして、突き上げを受けている夢魔もまた、その時が近づいたのを感じ取る。  
「もう……出ちゃいそうなの?」  
「は、いッ……う、あ、ああッ」  
「なら……一緒に……」  
抱きついていた手を動かして、ベアトリーチェは少年の肩に手を置く。そして。  
「わたしも、動かすから……あわせてくれるわね?」  
「……はいッ!」  
それを合図に――シェーンは突き上げて、そしてベアトリーチェは腰を落とす。  
「……ん、くぅッ」  
動きがあわさったことで、もっと奥まで届く。  
子宮口を持ち上げて、更に身体全体を揺さぶるほどに突き込んで――  
「あ……出ッ……出るッ……」  
「出していいわッ……ん、くぁぁぁぁッ!」  
肩に置いていた手が崩れ、ベアトリーチェは痙攣しながらシェーンの胸に倒れこむ。  
それと同時に、膣内にも搾り取ろうとする大きな衝撃が走って。  
「出ますッ……く、中、にッ……ぃッ……あ、うああッ!」  
びゅるッ……びゅるる、びゅッ!  
三度目の射精は、どくどくと流れ、夢魔の子宮の中へと入っていく。  
今までに出された精液を押しのけるほどの勢いで、それは膣内から逆流し、ぽたぽたと地面に落ちた。  
「……熱い……ん……あ……」  
シェーンの胸に顔を埋めながら、ベアトリーチェはうっとりとした声を漏らす。  
それを聞きながら、少年も――  
「出てッ……出てる、凄くッ……」  
自分の身体から、快感の液体が流れ出る感触に、声にならない声を漏らして――それから、ぎゅ、と。  
身体を預けてくる夢魔を、力強く抱きしめた。  
 
「……はぁ、ん……沢山……出したわね……」  
シェーンの胸に抱かれたまま、ベアトリーチェは顔をあげる。  
「ぼ、僕……僕……」  
「……くすくす」  
呆然としている彼の腕を外すと、そっと夢魔は腰をあげる。  
こぽ……と小さな音がして、接合部からはまた逆流した精液が零れ落ちた。  
「んッ……」  
更に抜いていくと、どろっとしたものが零れ、溜まっていく。  
「ん、ふぅッ……」  
やがて完全に抜けると――ベアトリーチェの膣口からは、絶え間ないほどに白い粘液が流れ出る。  
「本当に沢山。貴方も随分と立派だったわ、シェーン」  
「は……はい……」  
「これで――」  
薄く笑ってから、ベアトリーチェはシェーンに口付けをする。  
「んッ」  
「……これで貴方ともより深く繋がることが出来た。わたしも嬉しいわ。  
 これからも、ファルガイアの為に――そして」  
くすくすと薄ら笑いを浮かべる彼女の姿は、普段の『夢の中の君』としては明らかに違和感を覚える姿 
なのに。  
今のシェーンは、ただぼんやりと彼女を眺めているだけで。  
「わたしの為に。尽くしてくれるわね、シェーン?」  
「……はい」  
「……くすくすくす……」  
酷薄なその笑い方からは、今まで感じていた優しさはほとんど見えないというのに――  
「僕は……頑張ります……きっと」  
何故かは知らないが、シェーンは強く決心をしていた。  
 
「兄上ッ!」  
「な、なんだ、シェーンッ!?」  
翌日の早朝。パスカーの神官見習いの朝は早い――が。  
「さあ、今日も頑張って修行していきましょうッ!  
 僕も立派な神官になって、ファルガイアを救ってみせますからッ!」  
「……熱いなー。お前らしくないぞ、ちょっと」  
シェーンは、また妙に張り切っていた。  
それを見て、兄のギャロウズは戸惑いながら頭を掻くばかりである。  
「ほう……ようやく、シェーンも神官たる自覚が出来たようじゃの。  
 ギャロウズ……お前も兄を見習わんか」  
「そう言われてもなぁ……まあ、ぼちぼち頑張ろうや、シェーン」  
「ぼちぼちじゃありませんッ! もう、徹底的に頑張っていかないとッ」  
「……やる気あるなぁ」  
「う、うむ……こんな子だったか?」  
戸惑っている祖母と兄とを尻目に、シェーンの調子は実に絶好調のようであった。  
 
「くすくす。……今は、ね。そうやって実力を高めてくれないと」  
その様子を、崖の上――誰からも見えない高所から、ベアトリーチェは見下ろしている。  
「貴方の力が必要になるのは、もう少し先のこと。  
 今のうちに力をつけて――柱にもなれるほどに強くなってね、シェーン。  
 その時にこそ、わたしの夢も叶うのだから……くすくす」  
くすくすと笑いながら、ベアトリーチェはその身をノイズと変えて――  
彼女の目的の為に、何処かへと消えていった。  
 

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